ゴジオが高海家に来てから一週間になろうとしていた。Aqoursのメンバーも“二人”を除き皆がゴジオと触れ合える様になっていた。
そして今日は日曜日なので果南のお店でダイビングを楽しむ日である。メンバーは言い出しっぺの松浦果南に小原鞠莉、高見千歌と桜内梨子。そしてゴジオである。今日いないメンバー…黒澤ルビィと国木田花丸はショッピングで姉のダイヤは生徒会のお仕事。津島善子は個人のネット占い更新に渡辺曜は掛け持ちで水泳部の練習である。ヨットを1台出して果南が操舵をしてダイビングポイントに停船する。鞠莉は甲板でダイバースーツの前を開けてビキニの胸元で陽の光を一杯に浴び、そよぐ風に身を晒して気持ち良さそうに金髪をかき上げた。
「Shining(しゃいに~)♪♪
何て気持ちの良いサンシャイン、九月半ばも捨てたものではないわ!」
鞠莉の言葉に千歌も同意し照り着く太陽を眩しげに見上げる。
「ホントだよ、曜ちゃんとダイヤさんは仕方ないとしてルビィちゃん達来れば良かったのに~。」
「えぇ、そうね♪」
鞠莉は千歌に笑顔で頷き、今度は二人並んで両手を広げて胸一杯に深呼吸をした。そんな二人の足下をゴジオは長い尾っぽを振りながらテテテテと走り回り、どうも落ち着きがない。そして梨子はと云うと…、ゴジオが怖くてずっと果南の後ろに隠れていた。果南は後ろで何とも怪訝な表情でゴジオを見つめる梨子を見て苦笑してしまう。
「梨子ちゃんはまだゴジオに馴れないのかな?」
「なっ、慣れませんよ!あんな牙見てしまったら…、あんなのに噛まれたらって考えたら…、腰抜けそうです!」
梨子は本当に腰砕けになり、果南にすがる。彼女がゴジオを怖がる理由は犬が苦手な理由と同じでゴジオが鋭い牙を持っているからである。想像力が過ぎる様で犬等が持つ牙で噛まれたら大怪我してしまう…と何時も思い考えてしまうらしい。
…確かにゴジオに噛まれたら大怪我のレベルでは済まされないかも知れないが…。
「梨子ちゃんゴジオ怖くないよ、ホラ!」
千歌はそう言うと何を思ったのかいきなりゴジオの尾っぽをギュッと掴み取った。ゴジオはカッと円らな丸い眼を見開き、けたたましく咆哮した。
「アンギャアアアアアアアアアッ!!!!!」
そしてゴジオは尾っぽを千歌の手から無理矢理引き剥がすと何と千歌に突進して溝内に頭突きをかました。
「ウゴフウッ!?」
さすがの千歌もこの攻撃は耐えられず、うつ伏せに倒れ込んだ。ゴジオは追い討ちと言わんばかりにうつ伏せな千歌の頭をペシペシと尾っぽで叩いた。
「千歌ちゃん!?」
すると今まで果南の後ろに隠れていた梨子が千歌に駆け寄って抱き起こした。
「千歌ちゃん大丈夫!?」
「うえ~、今のは効いた~。」
千歌は苦笑いをして見せるが梨子はキッとゴジオを睨み近付くとゴジオは何気に後退り、何と梨子はゴジオの頭をガシリと両手で掴み抑え込んだ。
「女の子に乱暴するなんて最低だよ、もう絶対やっちゃ駄目っ!!」
梨子は強くゴジオの頭を抑え、ゴジオは口を半開きにして梨子と見つめ合うが、首をグイグイと動かし無理矢理彼女の手から頭を離すとヘソを曲げたのか梨子をジ~ッと見つめた後ボートから海に飛び込んでしまった。
「あっ!?」
梨子は直ぐに追いかけたがゴジオは海底まで潜ってしまった様であった。梨子はまた泣きそうな顔をして千歌の方を向く。
「ごっ、ごめんなさい千歌ちゃん!
ゴッ、ゴジオくん逃げちゃった…、逃げちゃったよ~!!」
どうやら彼女はゴジオが海に逃げ帰ってしまったと思っている様で千歌は苦笑しながら梨子をなだめた。
「あっはっは、大丈夫だよゴジオ戻って来るから。
海にはしいたけと一緒によく遊びに行ってるから問題ないよ。
それとさっきは心配してくれてありがとね、梨子ちゃん。後…ゴジオ…、怖くなかったでしょ?」
千歌にお礼を言われてしまった梨子はちょっとだけ赤らめ、彼女に微笑んで頷いて見せた。
「さーて、ゴジオに先を越された事だし、わったーし達も海に入りましょう!」
鞠莉がダイバースーツの胸元のジッパーを閉めて元気良く声を張り上げて千歌も元気良く“オーッ!”と掛け声を上げ、梨子は控えめに千歌に続いた。
そんな元気な仲間達を松浦果南は楽しげに見つめるが、梨子ではないがまだゴジオに対して幾つもの疑問を頭から消せずに少々モヤモヤ感を心中に漂わせていたのであった。