「た…大変よ!皆!」
ラビットハウスのドアを勢い良く開け、息を切らしながら千夜が入ってきた。
「そんなに慌ててどうしたんだ千夜?」
「ど…どうしたの千夜ちゃん?」
「備品は丁寧に扱ってください…」
「そ…そんな事よりこれ見て!これ!」
何かのチラシをテーブル席に叩きつけた。
「何だこれ?」
「チラシ?」
「だから…備品は丁寧に扱ってください…」
千夜が置いたチラシを囲う様にリゼ達が集まる。
「ん?喫茶店クローバーラビット本日オープン…ってこれがどうしたんだ?」
「こ…ここ…結構ここの近くだよ…」
「近所に…喫茶店が…更にうちにお客さんが来なくなってしまいます…」
チノがそう言うと、何も解ってないなかったリゼもはっとした。
「チノちゃんの言う通りよ、このままじゃあラビットハウスが無くなってしまうわ!」
「ど…ど…どうしようチノちゃん!?」
泣きながらココアがチノに抱きつく。
「ココアさん店は無くなりませんよ…父のバーがありますから…でも昼間カフェにお客さんが来なくなるのは困ります…」
泣くココアにしょんぼりするチノから滲み出る黒いオーラが、次第に広がっていく。
「ど…どうしよう千夜?…」
「そうねぇ…」
腕を組み首を傾け考える。
「そうだわ!偵察に行ってみましょう!」
「偵察何てしてどうするんですか?…」
「フフッ実際に行ってみて良い所を真似してみるのよ!そうすればラビットハウスにもお客さんが沢山来るわよ!」
「確かにそうですね」
「ラビットハウスの為に頑張ろうねチノちゃん!」
黒いオーラが消え、今度は後光がチノ達を照らし始めた。
「おい!店番はどうするんだ?」
「店の事は気にしないで行ってくるといい」
店の奥からチノのお父さんが出てきた。
「お父さんでも…」
「お客が来たら俺が相手をしておくから安心しなさい」
「わかりました、それではお願いします」
「じゃあ早速行ってみましょう」
「偵察かぁワクワクするな!」
「絶対にチノのちゃんのお店を守るよ!」
『おー!!』
「だから…店は無くなりませんよ…」
「ありがとうございました!」
お会計を済ませ満足をした笑顔で、店内最後のお客さんを見送った後一息付いた。
「まさかこんなに来てくれる何て思わなかったわ…」
「疲れたぁ〜…お腹すいたァ〜甘い物食べたいよぉ」
主に接客やレジを担当していた奏姉や琴姉が倒れる様に、カウンター席に座った。
「お疲れ様奏姉、琴姉」
トレーに紅茶の入ったポットとティーカップを載せ、2人の前に置く。
「この香りは…ウバね?」
「奏姉当たり!今スコーン焼いてるからそれに合う紅茶を用意したんだよ、人が空いてる今のうちに休憩しよ」
「わぁーい!スコーン!スコーン!」
「待っててね」
スコーンの様子を見に厨房に戻る。
「我ながら本当によく出来た弟だわ…」
「本当一番疲れてるのは自分のはずなのに、私達の事を気遣ってくれなんてね」
「昔はよく私達の後ろを、お姉ちゃん待ってぇって着いて来てたのに…」
クルット椅子を回転させカウンターに寄りかかると、正面を向き肘をつく奏と目が合う。
「本っ当…今では頼れる男になっちゃって…」
「こんなんじゃあ近いうちに彼女をここに連れて来るかもね…」
「頼もう!」
『え!?』
しみじみとした雰囲気をぶち壊す様な声と共に、喫茶店に女の子が5人入ってきた。
「い…今た…頼もうって!?しかも他店ウェイトレスの格好してるよ?…1人以外…」
「落ち着いて姉さん!多分あの子達はこの街の喫茶店かカフェの従業員で新しく出来たこの店を潰す新人狩りだ!」
「え!?新人狩り!?」
「ハッハハハ!そう!私達は新人狩りだ!私の許可なしにこの街に喫茶店をオープンさせるなんていい度胸してますね!」
「…お…おい…何時から私達は新人狩りになったんだ?」
「…わかりませんが…多分ココアさんはテンションが上がってしまってあんな事を言ったんだと思います」
「なんで私まで…」
「ラビットハウスの前を通りがかったのが運の尽きだったわねシャロちゃん」
ラビットハウスを出た後、たまたま通りかかったシャロを無理やり連れてきていた。
「ど…どうしよう琴音…」
「決まってるよ!新人狩りなら返り討ちにしてやる!」
「向こうもやる気みたいだね!」
「煽ったのはココアさんです…」
「じゃあ早速!5番勝負開始だよ!」