いづなとフェイトがダンジョンに居るのは間違い、です? 作:いづなたん大好き
ベル
僕は幸運な事に一目惚れしたヴァレンシュタインさん……アイズさんと夫婦になれた。でも、僕達の関係はあくまでも娘になったいづなやフェイトがいるからだ。彼女が僕から離れればアイズさんも僕から離れていく。だからこそ、あの狼さんが言っていた通りにアイズさんに相応しい力を手に入れないといけない。そうじゃないと、この幸運は何時まで続くかわからない。
だから、できることはなんでも、何もかもやらなくてはいけない。それがどんなに困難であり、絶望的な事だとしても。好きになった女の人を守れる男になるために、どんなに恥ずかしくても必死に足掻く。それが今、僕ができることだ。例え娘に恥を忍んで強くしてくれとお願いしても、やり遂げる。
「でも、これはちょっと無理かも……いや、やるしかない」
手に持っているのはこないだ神様とアイズさんに買ってもらった短剣と小剣。僕が持つ事によって、黄色の刀身がどちらも帯電する。そして、相手は……目の前を等間隔で配置された雷の塊。どう見ても大規模な攻撃魔法であり、放った相手はゴスロリ姿が似合う可愛らしい金髪ツインテールの女の子。僕の義理の娘であるフェイトだ。その子は恥ずかしがりながらこちらに向けて手を振り下ろしてくる。
「フォトンランサー・ファランクスシフト。シュート」
一斉に雷の球体から目の前を埋め尽くすような弾幕が展開され、僕と隣に立っているアイズさんに襲い掛かってくる。どの一撃も攻撃力は徹底的に下げられて一発一発が痺れる程度。それでも数が当たれば痛い。だから、僕達は協力して回避する。二人で協力しないと攻略できない。
「ベル、後ろは任せるから。死角には常に私がいるようにして、視野を広く取って常に冷静にね」
「はい、頑張ります!」
僕がやることは色んなところからやってくる攻撃を防ぐだけ。ほとんどはアイズさんが斬り捨ててくれる。ただ、呼吸を合わせないと互いが回避した物が相手に当たる事もあるから、とても危険だ。
少しミスしただけで喰らって、そこから沢山ダメージを受ける。何度も防ぎきれずに気絶し、アイズさんの膝枕で起こされる。ここ数日、そんな感じだ。それにフェイトやいづなから言われた。僕がアイズさんに追いつくのは今の段階では無理だという事。だけど、呼吸を合わせて二人でペアになって攻撃力をアイズさん、防御を僕が担当すればいいと言われた。その呼吸を合わせるのも難しいけれど、四六時中、お風呂とトイレ以外は一緒にいるようにすれば自然と相手の事が理解できると言われてそのように過ごしている。天然なアイズさんや娘に振り回されることもあるけど、どれもとても楽しい。
「だんだんと息が合ってきたね」
「そうですね。でも、僕が足を引っ張ってばかりで……」
「レベル1だから仕方がないよ」
「やっぱりダンジョンに……」
「駄目です。このフォトンランサー・ファランクスシフトを攻略できるぐらいの連携がないと死にます」
「そんな事はないけれど……」
「いづなは反対の意見みたいだけど……」
「知りません」
神ロキに買ってもらったゴスロリを着ているフェイトはそっぽを向く。同一人物だけれど、性格が正反対な彼女達ではダンジョンへの意見が違う。いづなは実戦で勉強し、フェイトは訓練をするべきと言っている。現状では訓練の方に重きを置いているのは、僕とアイズさんの息があっていないといざという時に助けられない可能性があるからだ。
「ごめんなさい。僕のせいでアイズさんまでここで足止めになっちゃって……」
「そんなことないよ。それに訓練は大事。私もいづなやフェイトから教えてもらった事でもっと強くなれているから。正確に魔法の中心を斬ることやこんなエアリアルの使い方なんて、思いもつかなかった」
アイズさんはエアリアルを使って見えない剣を作り出したり、風を圧縮して斬撃の形にして飛ばす事を試したりしている。風圧としてあてるだけじゃなく、殺傷能力を極限まで上げていっているのだ。それこそ、風で刃が作れるぐらいに。
「お母さん、お父さん。今日って何かがあるのですか?」
「そう言えば……今日は
「それって確か、モンスターを地上に運んでくるんでしたっけ」
「そうだよ。お祭りだね」
「お祭り……」
「三人で行ってみる?」
「行きたいです!」
「ベルもいい?」
「はい。僕も大丈夫です」
こうして、僕達は朝食を食べてから
ロキファミリアに戻り、朝食を食べていると、神ロキがやってきた。
「アイズたん」
「どうしたの? 護衛の件なら断ったはずだけど……」
「ああ、それはええねん。でも、今日の予定を教えてくれへん?」
「今日は
「三人で!」
「レフィーヤ、どうしたの?」
「い、いえ……」
エルフのレフィーヤさんから、無茶苦茶睨まれる。凄く怖い。あの人はアイズさんの事が凄く好きらしいから仕方がないのかもしれない。
「そうか、ならええわ。全員、聞くんや。今日の
「え?」
「どういうことですか?」
「騒ぎが起こる可能性があるんや。だから、武器の携帯はもちろん、防具もできたら装備していくように。こいつは神様からの命令や。フィン」
「というわけだから、武装して
「はい! 団長は今日の御予定はありますか?」
「僕はロキの護衛だね」
「私も一緒に行っていいですか!」
「いいよ」
どうやら、何かがあるみたい。神様は大丈夫かな?
ロキファミリアから出て、フェイトを中心で手を繋いで歩いていく。僕達の姿に皆が見てくる。
「あれ、剣姫……」
「おい、あの子供って、それにあいつ……」
「まるで娘みたい」
見られている。すごく見られている。親子として見られている。確かにフェイトはアイズさん似ていて、瞳の色だけが違う。その瞳は僕と同じ色。うん、傍から見たら本当に僕の娘にみえる。
「フェイト、何か食べたいものはある?」
「クレープ、食べてみたいです」
「いいよ。ベルは何がいい?」
「あ、僕がだしますよ」
全部アイズさんに出させるわけにもいかないしね。
「味見しようか。はい、フェイト」
「はい。ん、美味しいです。次はお父さんがどうぞ」
「えっと、ぼくは……」
「食べてくれないんですか?」
涙目でこちらを見詰めてくるので、アイズさんの方をみると頷いた。僕は目を瞑って食べてから、アイズさんに返す。アイズさんはそのまま食べてしまった。
「白髪、ちょっといいかにゃ?」
「どうしました?」
「実はシルの奴が……」
アーニャさんから依頼された僕達はシルさんを探しながら祭りをみていく。途中で神様も合流して、四人でまわっていく。僕の手はフェイトと神様で埋まってしまった。
そんな感じで祭りを楽しんでいると、大きな猿が闘技場からでてくる。対応しようとしたら、フェイトが――
「邪魔です」
その一言で発動されたフォトンランサーの魔法が白い大きな猿に襲い掛かっていく。一発一発はたいしたことがなくても、膨大な魔力が注がれたそれは相手を動けなくする。
「お父さん、どうぞ」
「うん」
腰にさげていた短剣と小剣を引き抜き、すぐに斬るとあっさりと切断される。相手は痙攣した後で倒れてしまった。
「アイズたん! モンスターが逃げよった! 対応してくれへん!?」
「わかった。フェイトはベルと一緒にお願い」
「うん」
「わかりました。気をつけてください」
「いってくる」
「「いってらっしゃい」」
二人で見送った後、フェイトに空へと信号弾をあげてもらう、これでロキファミリアの人達は気付いたはずだ。その後、モンスターは狩られていったけれど、新種の敵が現れた。僕はアイズさんと合流して連携で仕留める。フェイトは魔法少女という姿になって、空を飛び、上から無数の雷を落として敵を滅ぼす。相手の花のモンスターは空への攻撃手段がないから届かない。
それに地上では僕とアイズさんがしっかりと連携して倒す。フェイトから施される訓練によって大分動きやすかった。やっぱり、もっと強くなろう。