いづなとフェイトがダンジョンに居るのは間違い、です? 作:いづなたん大好き
てくてくと見た事もない聞いた事もない中世の街を歩く事、数分。路地裏から抜け出して、大通りに出る。道はわからずとも、臭いでわかる。この身体は高性能で臭いをかぎ分けられる。その代わり、とっても臭くて鼻が曲がりそうになる。性能の良すぎるのも問題だという事がわかった。
さて、大通りみたいな所に出ると、雨具を着ながら移動している人がちらほらと見える。イマニティはもちろんのこと、ワービーストやエルフ、ドワーフなんてのも確認できるが……ここが伝説の勇者の伝説の世界かはわからないが、少なくとも初瀬いづなの登場作品、ノーゲーム・ノーライフではないだろう。あの世界は各種族が対立しているから、こんな仲良く過ごしている光景は空と白が頑張ったあとでしかありえないぞ。
「お腹へった、です……」
お腹がくぅ~くぅ~と鳴るけれど、お金がないので買う事も出来ない。先ずは資金稼ぎから……そう思って回りを見るとギルドと書かれた看板が凄く上の方にあった。
「ぎるど……? ぎるど、ぎるど、ですっ!」
ファンタジー世界で御馴染みなギルドなのですから、お金を稼げぐのに丁度いいかも知れないのです。
中に入る前に無性に身体を震わせて水滴を飛ばしたくなったので、その通りに行動してから中に入る。そのまま進んで受付と書かれた所まで進むです。
「ちょっと、いいか、です」
エルフっぽいお姉さんを見つけたのでそいつに話しかけて、聞きたいことを聞いてみる。エルフのお姉さんとか、心がわくわくしてくる。耳動いているし食べてみたい。
「あら、どこかしら?」
周りを探しているので、カウンターの下から声をかける。
「下だ、です」
「あら、可愛らしいお嬢さんね。どうしたの?」
「ぼーけんしゃになりにきた、です」
「えっと、冒険者かしら?」
冒険者と発音したのに、ぼーけんしゃとなったせいでちゃんと聞こえていなかったみたいだ。
「それだ、です」
「えっと、あのね? 冒険者になるには流石に若すぎるの」
「若くねー、です。いづなは、いづなは……」
頭で計算しているのに、なぜか両手を使って数えていく。
「二十七なのです!」
いづなの年齢と前の年齢を足したらそれぐらいなのです。
「嘘ね。その耳とか見た事はないけれど、特徴からして獣人だろうし……小人族でもないでしょう」
「う~嘘じゃねーですっ!」
「駄目です。登録は出来ません」
何度言ってもきいてくれねー。仕方ないから諦めるしかない。
「ちっ、覚えていろ、です!」
「あっ、ちょっとっ!」
外に出ると雨は上がっていて、そのまま走るです。雨が止んだからか、屋台が出だしたのです。
「いらっしゃい、いらっしゃい! 出来たてのじゃが丸君だよ!」
「一つ、ちょうだい」
「もちろんっ!」
黒髪が美味しそうな匂いをしている物を渡しているのをみつけたのです。
「「あっ」」
受け渡しを行うさい、いっぱい入った袋が手から滑ったのかじゃが丸君といわれた物が落ちていく。その瞬間、いづなは全身に力を漲らせて駆け抜ける。
「「え?」」
直後、いづなの手にはそれが握られている。
「ん」
「ああ、ありがと……」
「拾ったから三割よこしやがれ、です」
「ちょっ!?」
「それは……」
「なら、捨ててやるです」
「ぐぐぐぐ……」
「まあまあ、いいですよ」
「ミアハ、いいの?」
「ええ。はい、どうぞ」
「感謝、です」
貰ったじゃが丸君なる物をはぐはぐと食べていくです。どこかで聞いたことがあるけれど、覚えていないので気にしないのです。少しは腹が膨れやがったけど、全然たりねぇです。次の獲物を探す為に回りに聞き耳をたてる。ぴくぴくと動く耳に様々な声が聞こえる中、必要な情報だけを集めるのです。
「なあ、そろそろダンジョンに行こうぜ」
「そうだな」
見つけたので、早速移動する。
「何処に行くのだい!」
後ろから声が聞こえてくるけれど、無視なのです。ダンジョンなら美味そうな肉にありつけそうだから、そっちに行くのが優先だ、です。
巨大な塔に入ると、円形の広間についた。円形の広間には長く太い柱が等間隔で並んでいて、頭上には本物と見紛うような美しい蒼穹の天井画が広がっていた。床の中央では唯一直径10Mの大穴が開いてやがる。そこに設置された螺旋階段からダンジョンに入っていくらしい。
冒険者だろう人の後ろをてくてくと歩いてダンジョンに入っていく。
「ふにゃっ!?」
「危ないから子供が入っちゃ駄目でしょ」
いきなり服を背後から掴まれてちゅーぶらりんにされた。そのまま外に運び出そうとするので、尻尾でべちんっと叩いてやるです。
「なっ⁉」
その間に急いでダンジョンに入っていく。
「待ってっ!」
「待てと言われて待つ奴はいねー、です!」
「それはそうだけどっ!」
一階層を走って進んでいると、どんどん走る速度が速くなっていく。人間じゃ考えられないくらい速くなった。だいたい体感で90キロくらいは直に出るみたい。この身体は便利だけど、速くなると壁が迫ってくるのも速くなる。だから、飛んで壁を蹴って方向転換をしていく。
「すごく、すごく、たのしぃーぞっ、です!」
走っている通路の先に人が戦っている姿が見える。邪魔をしたら駄目だと思うから、ジャンプして天井を蹴って追い越していく。
「なんだっ⁉」
「今のは新種?」
即座に駆け抜けると前からめちゃくちゃ臭い奴がいたので、鼻を片手で防いですれ違いざまに空いている片手を振るう。それだけで吹き飛んで壁の染みになった。
「こいつらは食欲がわかねー、です」
迷いの無い人が通るルートの臭いをかぎ分けて、そのルートを辿っていく。直に階段が見えてきて、そのまま奥へと進んでいく。
ゴブリンっぽいのは嫌だけど、コボルトはまだ食えるのです。生肉とか嫌だと思ったら、ばちぃとなって焼けやがったのでそのまま食うのです。めっちゃ不味いけど、腹は膨れやがるのです。だから、適当に狩ってやるです。
ゴブリンやコボルトを階層行ったり来たりして狩っていると、悲鳴が聞こえてきやがったです。それと同時に美味しそうな匂いがしやがった。本来なら無視してやるけど、旨そうな獲物が居るなら別だ、です。
そんな訳で、走ると頭に角を持つ赤い肌の牛男……ミノタウロスっぽいのが白いイマニティを殺そうとしてやがったです。
「っ⁉ こっちに来ちゃ駄目だ」
「に~くぅううぅうううううううぅぅぅぅぅ、でぇぇぇすっ!」
「え!?」
駆け抜けて、飛び上がりながら血壊を発動。空中で二段ジャンプの要領で更に加速してやるです。空気の膜を破って反応できていないミノタウロスを蹴る瞬間、別の所から剣がゆっくりと迫ってくる。空中を更に蹴って方向をかえながら、剣を蹴りあげて空中で回りながらミノタウロスに腕を振るって手足を斬り落としてやる。そのつもりでやったら、明らかに爪じゃ切れない部分まで切れた。不思議力万歳っ。
「「っ⁉」」
ミノタウロスは崩れて、剣は天井に突き刺さり、白いイマニティは震え、剣をつかってきた金色のイマニティはこっちを警戒してやがる、です。でも、いづなにはそんなのかんけーねーです。だから、ミノタウロスの腕をさっきの要領で肉を焼いて食うです。牛肉うまー、です。
「大丈夫?」
「あっ、はい」
白いのが金髪に手を取って起こされたようだ、です。
「君」
「これはいづなのだから、やらねーぞ、です」
ミノタウロスの腕に噛みついて食べながら言ってやる、です。
「いや、いらない」
「というか、食べて大丈夫なんですか!?」
「さあ?」
「それにミノタウロスがなんでこんな上層に……」
「それは私達のせい。下から逃げてきたの」
「下から……つまり、下にはこいつがもっといやがる、です?」
「うん」
「なら、食いにいく、です」
「あっ、ま……」
粗方食べ終えたので、壁にもたれ掛かって呻いていたミノタウロスの心臓を引き抜いてやる、です。そしたら心臓の代わりになんか変な石ころがでやがった、です。どうでもいいから、その辺に捨てる、です。そしたら、ミノタウロスが塵になって消えやがったです。ゴブリンやコボルトもそんな感じだった、です。殺すのは食ってからじゃいけないとか、不便だぞ、です。
取り敢えず、そのまま下へ食料を求めて向かっていく。幸い、金髪とミノタウロスの匂いは覚えたからルートは問題ねぇ、です。
「えっと、君、名前は?」
「べ、ベル・クラネルです」
「私はアイズ・ヴァレンシュタイン。ちょっとお願いがあるんだけど……」
「なんですか?」
「肩車して欲しい」
「え?」
「剣、取りたい」
「あ~そうですね。わ、わかりました」
「てめぇ、アイズに何してやがるっ!!」
「? 肩車」
「あわわ」