RAIL WARS!~警4にもう一人少年が居たら~   作:鶴雪 吹急

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一駅目
一番線


『まもなく、京急新子安、京急新子安です。お出口は...』

 

 車掌のアナウンスと共に車両が減速する。

 後ろに置いていかれかけた、隣を走る京浜東北線國鉄205系が少し追い上げを見せるが駅なのですぐに減速しまった。

 この先は國鉄はあまり見えないので、窓に背を向け携帯を取り出す。

 

『普通、品川行き発車です。ドアを閉めます』

 

 ドアチャイムと共にドアが閉まる。

 先にドアが閉まったこの車両が京浜東北線を置いていく。

 

(この区間の最高速度は90km/h...。勝てなくは無いな)

 

 京急が京浜東北線から逃げ切るなと考えながら、運行情報の確認を済ませる。

 

(異常なしっと)

『まもなく、生麦、生麦です。お出口は右側です』

 

 車両がホームに滑り込む。

 ここが最寄り駅なのでホームに降りる。

 人の流れを避けるように、ホームの端っこに立ち、乗っていた車両の最後尾を見る。

 これは、自分が鉄道ファンになってからの癖だ。

 

『普通、品川行き発車です。ドアを閉めます』

 

 列車がホームを品川方面に走り出す。少しずつ人が減り始めるホームで、俺はその車両を静かに見送り、家路に着く。

 駅から10分ほど歩き、もうすぐ家っというところで家の影から一人の女子が飛び出した。

 

「ばぁ!」

「やあ、六浦」

「何よ~。久里浜~。もう少し驚いてくれてもいいんじゃない?」

 

 彼女は六浦 里穂。同じ高校の同じクラスの女子で家が近い。

 おっと、紹介していなかった。俺は久里浜 長門。六浦と同じ高校、神奈川工業高校・鉄道運輸科の二年だ。

 六浦と俺は鉄道ファンなので、それで仲良くしている。

 

「それより、何でこんな所に居るんだよ?先に家に帰ったんじゃないのか?」

「あ!そうだ、そうだ!久里浜!」

「な、何だよ」

「寝台列車撮ろ!寝台列車!」

「へ?」

 

 俺の思考回路が半分追いついていない中、

 六浦は俺の手をガシッ!っと掴み、引っ張る。

 

「ささ!行きましょ!」

「え、お、ちょま、待てー!」

 

 もうすぐ家っと言うところで、俺は六浦に連れて行かれてしまった。

 

ー國鉄鶴見駅ー

 

 入場券を購入し、國鉄鶴見駅、京浜東北線の東京よりホーム端でカメラを構える六浦。

 時刻は06:30。

 ちなみにもうすぐやってくるのは寝台特急「瀬戸・出雲」

 ブルトレブーム後、一度は姿を消したものの新型電気機関車EF68形500番台と28系客車で復活を果たした。

 「瀬戸・出雲」は夜に東海道を駆け抜け、翌日の朝から終着駅での観光を楽しんでもらうため、この時間帯に鶴見あたりを通る。

 

「もうすぐねって、久里浜!カメラは!」

「お前が無理くり連れてくるからねぇよ!」

「あ、そうだったね」ゴメンゴメン

 

 その時、東京方面から京浜東北線がホームへ滑り込んできた。

 

『鶴見~。鶴見~。ご乗車ありがとうございます』

「待ちなさい!痴漢男!」

「?」

 

 ドアが開いたとたん、男が飛び出した。するともう一人、栗色の髪をアップスタイルにした俺らと同い年くらいの女子が男のあとを追いかけて飛び出てきた。

 男はホーム端に追い詰められ、逃げ場を失った。

 

「さあ、おとなしくしなs」

「う、うりゃぁ!」

 

 男は逃げられないと思ったのか、その女子に向かって殴りかかってきた。

 

「はぁ!」

 

 それを軽く女子は吹き飛ばした。

 男は勢い良く六浦の前に転がってくる。

 

「ちっ!こうなったら、この女を盾に...」

 

 男は六浦に向かって襲い掛かってきた。

 

「えっ。...」

 

 六浦は驚き、固まってしまっている。

 

「はっ!」

 

 六浦に襲い掛かるため腹をがら空きにしていた男に、俺は蹴りを一発ぶち込んだ。

 男は勢い良く後ろに吹っ飛び、今度はまた女子の下へ。

 

 ◇ ◆ ◇

 

「ぐふぅ!」

「観念しなさい!」

 

 大事なところを思いっきりけられ、足掻く男。

 それを見下ろす女子。普通にクラスとかに居たら可愛い女の子なのだろうが状況が状況なだけに、恐ろしくも思える。

 

「大丈夫だったか?六浦?」

「え、あ、う、うん」

 

ダダン ダダン ダダン...

 

 そんな状況の横を「瀬戸・出雲」が走り抜けていった。

 

「あー!行っちゃった...」

「仕方ない。もう帰るか」

「そうだね」

 

 騒ぎが過ぎ去った後の鶴見駅を、残念そうな六浦を連れて今度こそ家路に付いた。

 

ー家の前ー

 

「じゃあね、久里浜」

「ああ」

 

 六浦と別れ、家に入る。

 両親は訳ありで家に居ないため、電気をつけ、一人リビングにくつろぐ。

 

(着替えて、飯食って、寝るか)

 

 そう思いながら、俺は家の仕事に取り掛かる。

 

~翌日~

 

「ふぁ~」

 

 いつもどおりの時間に家を出る。

 

「おっはよ~」

「おはよう。六浦」

 

 六浦とは学校が同じでおまけに家も近い。

 なので、自然と一緒に学校へ向かうようになった。

 時々、周りから『この、リア充め』見たいな目線で見られるが俺は、そんなことぜ~んぜん考えていないので、別に気にならなかった。

 

ー神奈川工業高校ー

 

「おーい。久里浜」

「あっ、先生」

 

 廊下を歩いていると、後ろから佐倉先生が呼んで来た。

 

「研修の件で話があるんだが...」

「分かりました」

 

 俺は使われていない教室へ通された。

 

「研修先なんだが」

 

 先生はそう言って一枚のファイルを渡してきた。

 俺はそれを受け取り、中身にさっと目を通す。

 

「國有鉄道公安隊...ですか?」

「ああ」

 

『國有鉄道公安隊』

 これは、國鉄が有する鉄道公安組織で、戦後、増え続ける鉄道犯罪に対応すべく、警察ではなく鉄道に詳しい國鉄職員から隊員を募り、鉄道内のありとあらゆる事件を解決するためのつくられた組織だ。隊員数は全体で約3000名。警察権を持っており、鉄道施設内であれば逮捕も出来る國鉄のみにある鉄道警察だ。

 

「そこで良いか?」

「はい」

 

 別に断る理由も、文句も無かった。

 何処に行こうがとりあえず、國鉄で働けるのならOKだったからだ。

 

「なら、明日から講習だ。講習場所は西国分寺駅にある、中央学園だそうだ」

「分かりました」

 

 俺は先生に一礼して、廊下に出た。

 教室に戻ると六浦が寄って来た。

 

「何、先生と話してたの?」

「研修についてだよ」

「どこ行くの?」

「鉄道公安隊だってさ」

「えー!久里浜が」

 

 六浦の反応にあわせ、周りからも数名寄ってきた。

 話によると、この高校からも複数人希望者が出たが、通ったのは1割程度らしい。しかも全員公安隊行きだったとか。

 

「明日から講習らしいんだ」

「どのくらい」

「一ヶ月、みっちりと」

「うへぇ~」

「六浦はどうだったんだ?」

「希望通りのアテンダントですが、何か?」

「良かったな」

「ありがと♪」

 

 その後の授業も問題無く終了し、帰宅となった。

 

ー帰路ー

 

「久里浜は明日から講習か~」

 

 六浦はしみじみと考えるように呟いた。

 

「ま、大丈夫っしょ」

「大丈夫だよ。定期を変えてない以外は...」

「何やってんの!早く変えなさいよ!」

 

 こうして、俺は一旦、普通の学生生活から、おさらばした。




 いかがでしたか?
 とりあえず、解説を入れましょう。
・京浜東北線
 北は大宮、南は大船を結ぶ首都圏の通勤路線
・京急(京浜急行電鉄)
 品川(泉岳寺)から三崎口や浦賀までを繋ぐ私鉄路線
・國鉄205系
 京浜東北線などに投入されている鋼製車体の車輌。
 現実ではステンレス車体で初期のJRを支えた。
・寝台特急「瀬戸・出雲」
 東京から出雲市・高松間を結ぶ寝台特急。
 現実では、電車寝台列車「サンライズ瀬戸・出雲」として走っている。
・EF68型
 架空の電気機関車。
 モデルはEF510型500番台(元北斗星の牽引機)、ナンバープレートはEF66型(貨物列車の牽引機)がモデル。
・28系客車
 オール二階建て(通勤電車のグリーン車みたいなの)の客車で、主に東海道線の寝台特急に用いられる。
 26系(JRではE26系。寝台特急カシオペアの客車)の銅製車体バージョン。
 カラーはブルトレのような、青い車体に白または金の帯を締める。

 解説は間違ってたりするかもしれません。ここちげぇぞ!ってのがあったらお知らせください。
 やっと投稿したこの作品。
 原作は手元にまだ二巻までしかない現状...。
 まあ、他の作品と共にゆっくりやっていきますので、よろしくお願いします。
 では、次回もお楽しみに!

ーお知らせー
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