RAIL WARS!~警4にもう一人少年が居たら~   作:鶴雪 吹急

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二番線

 翌朝、俺はいつもより結構早くに家を出る。

 目指すはいつもの京急の生麦駅ではなく、國鉄での最寄駅の鶴見駅。

 駅員に定期を見せてホームへ向かうと、ちょうど205系が滑り込んできた。

 真っ青の銅製車体にホームの蛍光灯を反射させるその車両に俺は乗る。

 

「大宮行き、発車しまーす」

 

 車掌の声と共に扉が閉まる。

 ガタンゴトンっと車両が動き始め鶴見を離れる。

 そこからは、川崎駅で南武線に乗り換え、府中本町駅で武蔵野線に乗り換えて西国分寺駅へ到着した。

 学園は南口の方へあるので、改札を通り、そちらへ向かう。

 駅出入り口付近では、國鉄のキャラクター「ツバテッツ」と女性の駅員が子供達に風船を配っていた。

 そういう光景を見るとなんだか心が穏やかになる。

 そのまま、横を通り過ぎようとしたその時、

 

「あー、風船が...」

 

 子供が木に引っかかった風船を見上げながら悲しそうな声を上げる。

 

「あー。僕、取ってあげるよ」

 

 俺は「こういう奴には進んで手を貸せ」っと親に言われていたので、助ける事にした。

 風船を取る為に、手に持っていた荷物を地面に置こうとする。と、そんな時。

 

「背中貸してっ!」

 

 そう言って、一人の女子高校生が俺の背中を踏み台に飛び上がった。

 女子高生は枝に引っ掛かった風船をいとも簡単に取り、着地。

 やさしく微笑みながら子供へ渡した。

 

「はい、どうぞっ」

「ありがとう!お姉ちゃん!」

「いいえ」

「イテテッ。ってお前は!」

 

 笑顔で子供を見送っているその女子高生に俺は見覚えがあった。

 

「あ!あんた、おとといの!」

 

 向こうも覚えて居たらしい。

 

「お前も、OJTなのか?」

 

『OJT』

 正しくは、学生鉄道OJT。高校二年になった時点から、鉄道会社で働き、学生を早くから売り込むという仕組みの研修制度だ。研修期間は鉄道会社によってまちまちで、國鉄ではOJTに参加しなかった者は國鉄に少しでも関わる企業には入れないというぐらいの重要な研修である。ここでミスをすると、鉄道関連の就職は難しくなる。

 ちなみに前回(メタいな、おい)の研修の話とはこの事です。

 

「そうよ。女でも男と戦える職場だもの」

 

 女子高生は腰に手をあてて言った。

 

「私は、桜井あおい。んで、あんたは?」

「俺は、久里浜長門だ」

「そう。よろしくね」

 

 素っ気ない返事を聞きながら、俺は鞄を拾い上げる。

 そして、桜井に『どうせなら、一緒に』と言った所。

 

「嫌よ。何で、男と二人で行かなきゃ行けないの」

 

 っと言って、向こうに行ってしまった。

 そして向こうを歩いていた、トワイライトエクスプレスカラーの制服が特徴の女子高生に話し掛け、そのまま歩いて行ってしまった。

 もし、この場に六浦が居たら『あらら、ふられてしまいましたね~久里浜~』なんて言うだろう。

 俺はそんな事を考えながら、一人さびしく学園へと向かった。

 駅から歩いて5分。0系新幹線が鎮座する校門へ着いた。

 

『國鉄中央学園』

 西国分寺駅近くの一等地にあり、敷地面積は約十万平方メートル(およそドーム球場2個分)。運転士や車掌などの國鉄職員の実地研修を行っている施設である。中央線からは線路が引き込まれていて、実物の車両や施設を使った研修が行えるようになっている。

 

 今は電気機関車の整備作業が行われていた。

 園内に入ると、かなりの車両が置いてある整備格納庫や信号機、ポイント設備が目に入る。そして、その後方には何の面白みも無い校舎がいくつも建っていた。

 佐倉先生が書いてくれた地図を頼りに、校舎群へ向けて歩き始める。目指すは、第十三号館の二百六号室だ。

 途中で、ブレザー服でキョロキョロしている一人の学生が目に付いた。

 俺は、そいつに話しかけた。

 

「ねぇ、君も鉄道OJTなの?」

 

 学生はこちらに気付き『あ、ああ。そうだよ』と答えた。

 まあ、そんなんじゃなきゃこんなとこ居ないけど。

 

「俺は、久里浜長門だ。君は?」

「俺は高山直人。よろしく」

「よろしく」

 

 互いに自己紹介をした後、十三号館へ向けて歩き始めたその時、

 後方から走る足音が聞こえて来たと思ったら、俺と高山の背中に衝撃が走る。

 

ガツン!

 

「「痛っ!」」

 

 高山は前に二、三歩よろめきながら進み、倒れた。

 俺は、何とか持ちこたえた。

 ったく、何度目だよ背中に衝撃が来るの...。(実は今朝、背中からベットから床へ落ちている)

 俺らの背中に衝撃を与えた犯人を見ると、それは、がたいがいい学ランを着た高校生だった。

 いい感じに日焼けした顔からは笑顔を覗かせている。

 

「よっ!お前らも鉄道OJTだろ、十三号館ってどこだ?」

 

 学ランの高校生は額に手をあて、遠くを見通す感じで左右を見ている。

 高山がなんだか切れているがまあいい。

 

「君もそうなのか?」

 

 俺は学ラン高校生に聞いた。

 

「おう。桜堤高校二年岩泉翔だ。よろしく頼む」

 

 岩泉のいきなりの自己紹介に戸惑いながらも、高山と俺も自己紹介をした。

 

「俺は高山直人。桐生鉄道高校の二年生だ」

 

 鉄道高校という名に岩泉は感心している。

 てか、あれか、こういう自己紹介って高校名も言うのか?

 

「俺は久里浜長門。神奈川工業高校の鉄道運輸科二年だ」

 

 互いに自己紹介をし、今度こそ十三号館目掛け、歩き...いや、時間が無いので小走りで向かい始めた。

 

ー十三号館前ー

 

「「「ボロッ!」」」

 

 それが俺ら三人見たまんまの感想だった。

 建物は鉄筋コンクリートの三階建て、入り口には学校の来客出入り口に掲げてあるような達筆な字で縦書きに"十三号館"っと書かれていた。しかし、時間が無い俺らは、そんな事をすぐに頭の片隅にどかし、目的の二百六号室に向かった。

 各自、指定された席に着き、5分ほど経った後に発車ベルのような音と共に一秒の狂いもなく先生らしき女性が入ってきた。

 白い制服を着こなしたその女性は教卓に本を置くと、号令をかけた。

 

「起立!」

 

 教室の空気が変わり、全員ガタガタと机やら椅子やらを音を立てて、立ち上がる。

 俺も少しはびびったが、気を取り直して自衛隊には届かないがキチっとした姿勢で教卓の女性を見る。

 

「礼!...着席。明日からは、出席番号一番の岩泉からやるように」

 

 女性に呼ばれた岩泉はというと、ボケーっとしている。

 

「聞いているのか岩泉!これは遊びではないぞ!」

「はいっ!」

 

 やっと気付いた岩泉は席を立ち上がって返事をした。

 

「他の奴らもだ。我々が扱うのはお客様・・・つまりは人の命だ。いくらお前らが研修生だろうとお客様には関係ない。鉄道では一つのミスが重大な事故へとつながる。現場に出ればお前らもプロでなければならない。それを肝に命じとけ!」

 

『はい!』

 

 俺らはあっという間に団結する事を覚えさせられた。

 女性は教室を見渡すとチョークを手に取り、黒板に文字を書く。

 

"五能瞳 東京公安機動部隊隊長"

 

 チョークを置き、五能隊長はまたこちらを向いた。

 

「お前達は各都道府県の公安隊に配属される予定だ。各公安隊からはお前らを即戦力にするようにと要請が来ている。そこで、普段多忙な私が特別に教官を勤める事になった。ありがたく思え!」

 

『はい!』

 

 朝っぱらから皆して声を張って返事をする。

 

「では、ホームルームは終了だ。一時限目の準備をするようにっ!」

 

 その言葉と同時にまた発車ベルのような音が鳴る。

 五能教官はそのまま教室を出て行った。

 出て行ったと同時に教室の緊張が解けた。

 今日からこんな中での講習が始まるのであった。




 いかがでしたか?
 今回は、アニメであった描写を加えてみました。
 特に問題がなければこれからもちょくちょく加えられるだけ加えてみます。
ー解説ー
・南武線
 本線は川崎駅から立川駅を結び
 尻手駅から浜川崎駅を結ぶ南部支線
 尻手駅から新鶴見信号場を経由し鶴見駅までを結ぶ尻手短絡線を持つ路線
・武蔵野線
 貨物は鶴見駅を、旅客は府中本町駅を起点とし
 終点、西船橋駅までを山手線の外側をぐるりと結ぶ路線
・トワイライトエクスプレス
 大阪-札幌間で運行さている
 豪華寝台特急
 現実では2016年3月をもって引退している
・0系新幹線
 日本初の新幹線車両。最高速度は220Km/h
 ひかりからこだままで運用に使われた
 食堂車を連結していた事もある

 それでは、次回もお楽しみに
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