RAIL WARS!~警4にもう一人少年が居たら~   作:鶴雪 吹急

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四番線

 講習終了後の一週間、俺は神奈川工業高校で普通の学校生活に戻った。

 戻った後の初日こそ家を出た途端、六浦が飛び出てきて講習の様子を聞いてきたり、教室に入った途端他の奴らも聞いてくるわで忙しかったが、それも二日で済んだ。

 ランニングやら当たり障りの無いキツイ訓練を話したら聞かれなくなったんです。

 それからは普通に学校生活を送る事ができた。

 

 

「久里浜、少し変わったね」

「は?」

 

 今日は水曜日。

 六浦と一緒に仲木戸駅で電車に乗り込むとき、六浦はそんな事を言った。

 

『普通、品川行き、発車です。ドアを閉めます』

 

 ドアが閉まり、電車は加速を始めた。

 

「変わったって何が?」

「ほら、自衛隊の人達とか見たいになったなって」

「なんだそれ」

 

 口では言っておきながら、少し考える。

 確かに自衛隊への体験入隊や五能教官による訓練で少しは鍛えられた気がするが、まさかそんなんだとは思わなかった。

 

『まもなく、生麦、生麦です。お出口は...』

「あ!もうすぐ着くよ!たい焼き屋さんあるかな~」

 

 六浦は生麦到着のアナウンスを聞くと、すぐに窓の外に目を向ける。

 電車は生麦駅を滑り込んでいった。

 

 ◇ ◆ ◇ ◇ ◆ ◇

 

「たい焼き、あんこで二つ、ください!」

「あいよ~」

 

 生麦駅の駅前には時たまたい焼き屋の軽トラが来ることがある。

 六浦はそれを見つけると好んで買いに行く。俺が居れば俺を道連れに

 

「お姉ちゃん、いつも買ってくれるから、たい焼き一つサービスね~」

「うわぁ~♪ありがと!おじさん!」

「いいえ」

 

 六浦は買ったたい焼きを一つ俺に渡すと、歩き始めた。

 行き先は、たい焼きを買うといつも寄る公園だ。

 

ー公園ー

 

「ん~♪やっぱあそこのたい焼き美味しいな~」

「確かに」

 

 誰も居ない夕暮れの公園に六浦の声だけが響く。

 確かにあそこのたい焼きは美味しい。

 俺達はあっという間に一つのたい焼きを平らげてしまった。

 

「さて、おじさんがサービスしてくれたたい焼きですが...」

 

 六浦はそう言いながら、たい焼きを半分にする。縦に

 

「半分こね!」

 

 そう言ってたい焼きの上半分を俺に渡してきた。

 

「ありがと。そう言えば六浦」

「ん?何?」

「どうしてお前は、たい焼きを縦に割るんだ?」

 

 そう聞くと六浦はニコッっと笑い、

 

「だって、私、頭も尻尾も両方好きだもん」

 

 そう言いパクリっとたい焼きの頭を食べた。

 

「それに、..(モグモグ)..これのほうが喧嘩しないでしょ?」

「そうだな」

 

 そのときの六浦の笑顔は正直、可愛いと思ってしまった。

 

 ◇ ◆ ◇ ◇ ◆ ◇

 

「はぁ~♪美味しかった!」

「良かったな」

 

 二人でたい焼きの味の感想を言いながらベンチを立つ。

 

「あ、そうだ!久里浜!」

「ん?」

 

 公園の出口へ向かいながら六浦が話しかけてきた。

 

「今度さ、また一緒に鉄道旅、しようよ」

「鉄道旅って、大回りだろ」

「違うよ、私鉄と國鉄二つ使っての豪華なのっ!」

 

 そう言って六浦は頬を膨らませる。

 

「まあ、良いけどさ、今度暇な開いたときな」

「やったっ♪」

 

 俺と六浦はそのまま、話しながら家に帰った。

 

ーそれから四日後、月曜日ー

 

『まもなく、東京、東京です...』

 

 俺は國鉄京浜東北線を使って東京駅を目指していた。

 國鉄中央学園への行路よりこっちは比較的近い。

 しかし...

 

「やっばい!8:30になる!」

 

 現在、俺は絶賛、半分遅刻しかけてる身である。

 「東京中央公安室第四警戒班」と配属先を言い渡されたときからの楽しみさでの寝不足が、ここまで響いてきたのだ。

 焦る俺を乗せて、京浜東北線205系は東京駅三番ホームに滑り込む。

 ドアが開くと同時に、俺はホームへ飛び出し、駆け足で流れるリーマンの流れに乗る。

 

(ごめんよ!ケト205!)

 

 見送りが出来ないことを一人謝り、俺は地図の公安室を目指した。

 丸の内側北自由通路に入り、すぐにある東京鉄道公安隊室の扉を焦り気味に、でも丁寧に開ける。

 

ガチャッ!

 

 俺は焦って居たこともあり、室内、脱帽時であるにも関わらずに、海軍式敬礼と呼ばれる敬礼をし、大声で

 

「本日付で、東京中央公安室第四警戒班に学生鉄道OJTで参りました!久里浜長門です!宜しくお願いいたします!」

 

 と言っていた。

 手に気付き、さっと降ろすと、

 

「敬礼かっこいいな、元気があってよろしい!」

「良く来たな新人!」

 

 など、声がかかり拍手で迎えられた。

 何だろう。結構嬉しい。

 

「もう少し早けりゃ、五能隊長にその元気な姿を見せられたのにな」

「すみません。半分遅刻気味だったもので」

 

 ほんとに恥ずかしい限りである。

 

「君が、久里浜君ね?」

 

 恥ずかしさで、頭をぽりぽり掻いていると

 おっとり系の女の人がこっちに向かってきた。

 

「あ、はい。そうです」

「じゃあ、研修生ね。あそこが、男子用のロッカールームで君のロッカーが中にあるの。ロッカーの中にある、制服に着替えたら、あそこの会議室に来て」

 

 見た目で人を判断するなとは言うが、この人は、見た目通り、おっとり、ぼんやりしていて、喋り方もくたぁとしている。

 

「はい。分かりました」

 

 そんな事は頭の片隅に放り去り、俺は指示されたロッカールームへ向かった。

 部屋の中には「久里浜」と書かれたネームプレート入ったロッカーがあり、中には新品、サイズぴったりの制服一着、上下セットがあった。

 俺は(こんなんオーダーメイドに作るか普通...)そう思いながら、俺は制服に袖を通す。

 鉄道公安隊手帳を内ポケット、折り畳み式警棒、公安隊のマークが入った手錠をベルトに、装備一式を身に纏う。

 帽子を小脇に抱えて、ロッカールームを出て、会議室の扉の前に立つ。

 

ワーワー

ガヤガヤ

 

「はぁー」

 

 俺は、何と無く、その喧騒だけで誰がいるか見当がついた。

 

ガチャッ

 

 扉の向こうには何時かの四人が居たのだ。




 いかがでしたか?
 たい焼きのあんこって暖かくて美味しいですよね。
 そんな事はさておき、久里浜と六浦の話に出てきた私鉄と國鉄複合鉄路旅は何時か番外編で書こうと思います。
 一応、自分で考えた行路で一回ロケしてこないと、面白くかけない気がしますので...
 写真ものせれたらなと思います。
 まあ、金欠気味なので、来年になるかも知れませんが...

ー解説ー
・大回り
 鉄道会社(リアルだと主にJR東、西など)が設定する範囲内を一筆書きの行路を、最安値で旅すること。
 例)山手線、品川⇒田町に内回りでなく、外回りを利用して、向かう

・海軍式敬礼
 軍艦の狭い艦内で敬礼するため、肘を下げた敬礼の方式。

 それでは、次回もお楽しみに! 
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