RAIL WARS!~警4にもう一人少年が居たら~   作:鶴雪 吹急

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五番線

「そんな!あなたみたいな人がいるから、女というだけでバカにされるんです!しかも警四なんて言われて...完全にバカにされてるじゃないですか!!」

「おい!言いすぎだろ桜井!」

「何よ高山!本当の事でしょ!」

 

 高山と桜井はそう言うと互いを睨み合う。

 小海はそんな二人を交互に見てアタフタしている。

 岩泉はそんな中、腕を組み寝ている。

 

「どう言う状況だ?これ」

 

 制服に着替えてドアを開けた途端にこれである。

 中にはさっきの通り、高山・桜井・小海・岩泉と、それに加えてさっきのおっとり系の女の人が居た。

 その声に岩泉以外の全員が反応する。

 

「あっ久里浜!あんたも警四なんてふざけてると思うでしょ!」

「久里浜!言いすぎだよな!」

「ちょっと、二人とも...」

「え、えぇー」

 

 俺に意見を言った後、二人はまた睨み合う。

 その時、様子を見ていたさっきのおっとり系の女の人の雰囲気が変わった気がした。

 顔には出ていないが、キレているようだ。

 きっと、顔にはあまりでないんだろう。

 二人の間に入るとサッと二人を引き離した。

 

「まぁまぁ、喧嘩はそこまでねぇ~。ほら、久里浜君も困ってるから。高山君ありがとうね、私のために怒ってくれてぇ~」

「あのっ!飯田さん!」

 

 それでも噛み付こうとする桜井におっとり系の女性改め、飯田さんは手の平を見せて、ストップをさせた。

 

「まあ、桜井さんの言ってることも間違っては無いからねぇ~」

「なら!」

 

 桜井は同意された事で自分の意見を強く主張しようとするが、飯田さんの『でも』の言葉に遮られてしまった。

 

「でもね、桜井さん。お仕事はどんな事でも大事なお仕事だから、()()()()()()()とかの区別は無いから、それだけは忘れないでねっ」

「そっ、それは...」

 

 桜井が飯田さんの言葉に沈黙し、この喧嘩は終った。

 小海はその様子にほっと安堵の表情を浮かべた。

 俺はというと、喧嘩どうこうより、飯田さんのあのポーカーフェイスが少し怖いなと思ってしまった。

 そんな時、岩泉が起き、状況を見て一言。

 

「高山...桜井...こんなところでイチャつくなよ」

「「違うわっ!」」

「プハッ」

 

 今まで対立していた二人が始めて声が合い、俺は噴出してしまった。

 

「笑うなっ!」

「グハッ!」

 

 岩泉の発言と、俺への桜井の溝撃ちでこの話は終った。

 

 その後、俺が警四についての軽い話を聞いた後、飯田さんの勧めで、まずは駅一番の実力者に会いに行く事にした。

 「東京駅に配属された人は、最初に駅長に挨拶するのが恒例なの」飯田さんの話を聞きながら、東京駅の十五番ホームに向かう。

 

「高山、東京駅の駅長ってそんなにすごいのか?」

「すごいも何も、東京駅の駅長は、どんな國鉄職員でも、最後にはなりたい地位で、大きな東京駅の最高責任者なんだ。任命されるのも、國鉄理事以上の人だから、雲の上のような存在なんだ」

「へ~。ありがと」

 

 高山の回答が終ってすぐに十五番ホームの新幹線が姿を現した。

 9時00分東京発、スーパーひかり215号、鹿児島中央行き。使用車輌300系だ。

 300系新幹線はその長いカモノハシのようなノーズが特徴で、エアロストリームというらしい、営業最高速度は270Km/hだ。

 ちなみに、鹿児島中央到着は15時45分、約七時間の長旅だ。まあ、日本のほとんどの都道府県を通る國鉄なら、長距離列車も珍しくはないが。

 出発のメロディと共に、新幹線はゆっくり十五番ホームを離れる。次第にスピードを上げ、最後は新幹線らしい閃光のように走っていった。

 駅長はそんな300系を見えなくなるまで、背筋を伸ばし、見事なまでに綺麗な敬礼で見送った。

 

「よしっ!」

 

 駅長は静かになった十五番線ホームのホーム、架線、線路を丁寧な指差し確認で、確認し終える。

 そのまま、身体をこちらに向けて丁寧に頭を下げて挨拶をしてくれた。

 

「東京駅駅長の片町です。今年の学生鉄道OJTの皆さんですね?」

「はいっ!桜井あおい以下四名。東京中央公安室・第四警戒班に配属されました」

 

 駅長の挨拶に桜井は一歩前に出て、ニコニコしながら名乗った。今もニコニコしながら敬礼してるし...脇では高山も何か言いたげだ。

 

「警四といえば、飯田君のところですね。彼女はとても優秀ですから、研修としては最高の時間になるでしょう。あっ、それと後の四人の方は右から、小海君、高山君、岩泉君に久里浜君ですね東京駅の治安を宜しくお願いしますよ」

 

 高山が驚いたような顔をしている。

 

「僕らみたいな研修生の名前まで、覚えていらっしゃるのですか?」

 

 その質問もご尤もだ。こんなでっかい駅の駅長だ。研修生なんて、組織の端くれをいちいち覚えられるはずも無い。しかし、今回は理由が何と無く察せるので、その問いの回答はもうでているが...。

 駅長は高山の質問に年相応に出てきたお腹をポンポンと叩きながら、笑って、言った。

 

「はっはっはっ。たまたまですよ。小海お嬢様と久里浜さんがいらしたものですから」

 

 そう言って、片町さんは俺と小海を交互に見て笑いかける。小海は微笑み返し、俺もそれに習った。

 この答えに、高山はまた驚き、桜井と岩泉もそれに加勢する。

 なんせ、研修生のうちの二人が駅長と関わりがあるんだからそうなるだろうな。




 いかがでしたか?
 まさかの二人揃ってお知り合いでした。
 果たして、久里浜と駅長の関係とは?

ー解説ー
・300系新幹線
 原作、作中登場の300系は700系新幹線のようなエアロストリームを採用している。
 主に「スーパーひかり」に使用されている。
 現実の300系はライバルである航空機に勝つために、「のぞみ」で270Km/h運転を行うために開発・製造された車輌。
 「9時の会議に間に合う」をキャッチフレーズに世のサラリーマンの足となった。
 2012/3/16に引退。
・スーパーひかり
 原作、作中では、東京から鹿児島中央までを繋ぐ、ロングラン列車として登場。
 現実では、「のぞみ」の前身である、「スーパーひかり」というものがある。
 これは当時の「ひかり」より、速く、優れた新幹線の開発のためモップアップであり、260Km/hで走れる車輌を開発した結果が300系となっている。

 それでは、次回もお楽しみに
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