IS~インフィニット・ストラトス 失われし青い翼の騎士と平和の歌姫 作:ダークエイジ
C・Eではない世界のどこかの山の中腹に彼女の家はあった。彼女の名前は篠ノ之束。この世界に存在するマルチフォーム・スーツ『インフィニット・ストラトス』通称ISの設計者だ。しかし、ISは女性にしか扱えず、そのせいで社会は女尊男卑となってしまった。
「ふ、ふふ〜ん♪」
鼻歌を歌いながら新型のISのデータを見ている。ディスプレイには白式とある。まだ、完成しているわけではない。
「束さま・・・」
「やぁ、くうちゃん。」
後ろからやってきたのは両目を閉じた銀髪の子。名をクロエ・クロニクルと言う。
「どうしたの?」
「お部屋のお掃除が終わりました。」
束は彼女を引き取った時から娘として可愛がっている。妹は一人と決めているからだ。
「いつもありがとね。」
そう言って彼女の頭を撫でた瞬間、何やら庭で爆発が起きた。家の警報がけたたましく鳴り続ける。二人は急いで庭に出た。
「うにゃー!何事っ!?」
「・・・・」
出てみると、そこには三人の男女が横たわっていた。しかも、三人の服装はどこか可笑しい。二人の男達はパイロットスーツみたいな服装で、女の方は何やら黒い和服っぽいものを着込んでいた。
「う〜ん、何奴〜?」
そう言いながら、束は女をマジマジと見る。かなりの美人だ。それに胸も結構ある。
「束さまっ!!」
「どうしたの?そんな大声出してぇ。」
いつも冷静なクロエが大声を出したので、そっちを向くとクロエは男達が身につけていたアクセサリーを差し出してきた。しかも、ただのアクセサリーではない。待機状態のISである。
「う〜ん、IS?こんなの作った覚えはないけどなぁ。」
世界にISは467機しかないのだが、この二機は束が作った機体ではない。そんなことはありえない筈であった。ISは束しか作れないのだから。
「う〜ん、これは面白そうだぞ!!」
興味を惹かれた束は早速、そのISを調べる事にしたのだった。
「うーん・・・」
キラが目覚めるとそこは見知らぬ民家であった。あたりを見回すと、ユウイチとラクスもいる。
「ラクス、ユウイチ!!!」
二人を揺さぶると、直ぐに起きてキラと同じ反応を見せた。
「ここはどこだ?」
「ううぅ。」
三人の最後の記憶だと、あのヴァイスと交戦した後に光に飲みこれたところであった。三人が必死に考えていると、部屋のドアが開いて住人らしき女性が入って来た。
「やぁやぁ!お目覚めかな?」
その女性は結構奇抜な格好をしていて、童話に出てきそうなドレスで機械的なウサミミまで付けているのだ。
「しかし、君達が持ってたISは凄いねぇ。束さんびっくりしちゃったよ。」
話の意図が読めずにポカンとしていると、束がずずいッと顔近づけて来た。
「いやぁ、あれが無かったら直ぐに出て行ってもらおうと思ったけどねぇ。」
「あれってなんです?」
すると、束は怪訝な顔をしてこっちを向いてきた。
「ん〜?君達のISでしょ?ストライク・フリーダムにアイズ・フリーダム。」
「IS?MSじゃなくてですか?」
「MS?」
食い違う認識に、ユウイチがある質問をぶつけてみた。
「今って、C・E何年すか?」
「C・E?今は西暦だけど?」
それを聞いた瞬間、ユウイチは深く溜息を吐いた。何か心当たりがあるらしい。
「ユウイチ、どういう事なの?」
「ある噂が流れてたんだ。企業連がアルファの力を使って他の世界に移動できる装置を作ったってな。」
「そんな馬鹿なっ!!」
「ええ〜い!!どういうことか説明してよっ!!!」
ユウイチは仕方なく今ある仮説を束に話した。自分達が他の世界からやってきたと言う事を。それを聞いた束は真剣な眼差しで考え込んだ。
「なるほど。それなら、あの二機を君達が持ってた事も説明がつくね。」
「信じてくれるのか?」
「うん。」
そう言って彼女はこの世界の事を説明しだした。そして、説明を聞いた三人はガックシと項垂れた。
「女性しか使えないIS・・・」
「女尊男卑の世界・・・」
「大変ですわねぇ・・・」
しかし、三人は実際にこうして、他の世界に送られてしまったのだからしょうがない。
「じゃあ、君たちの世界の話をしてよ。」
「分かりました。」
そう言って、キラの知る限りのC・Eの事を話した。
「う〜ん、君達も苦労したんだねぇ。」
束は演技か本気か知らないが、涙ぐんで見せる。しかし、次の瞬間には笑顔に変わっていた。
「そろそろ、夕飯の支度するから降りてきなよ。」
「「「はぁ・・・」」」
束に連れられていくと、そこには見事な和室と日本庭園が広がっていた。その光景に三人は感嘆の溜息を吐いた。しかも、キラはディスプレイに映し出された機体も気になった。
「新型のISですか?」
「そうだよ、紅椿って言うんだ。そういえば自己紹介がまだだったよね。篠ノ之束さんだよ〜ハロ〜!」
「キラ・ヤマトです。」
「ユウイチ・S・レイヴンだ。」
「ラクス・クラインですわ。」
四人が自己紹介をしていると、部屋の奥からクロエがやってきた。束は直様、クロエに抱きつく。
「束さま・・・」
「この子はくーちゃん。束さんの娘だよ。」
もうなにがなんだがわからない三人はとりあえず苦笑しておいた。
「くーちゃん、ラクスちゃんと一緒に夕飯作ってきて。」
「わ、分かりました。」
そう言って二人は台所に消えた。残されたキラは未だに先ほどのディスプレイを眺めていた。
「むむ、そんなに紅椿が気になる?」
「ええ。」
キラはそう言うと、物凄い速さでキーボードを打ち始める。その速さに束が関心した様に声を上げた。
「むっ!凄く速いねっ。束さんと同じくらい?」
そんな言葉も気にせずにキラは紅椿のデータを確認していく。
「この機体、ワンオフ機ですね。でも、エネルギー効率が悪い。」
「ほほぉ、お主なかなかやるのぉ。」
それから三人は紅椿の開発作業に夢中になってしまった。因みにIS化した二機に男である二人が乗れるか調べたが、大丈夫な様であった。
そして、夜。夕飯を平らげてからの事。
「いやぁ、今日は久しぶりに楽しかったよ。」
ご満悦の束は三人を眺めるとふふふっと笑った。
「三人とも気に入ったよ。行く宛が無いんなら泊めてあげる〜。」
「ホントですかっ!?」
確かに今、放り出されたら完璧に野宿する事になってしまう。泊めてくれるのなら、それはありがたい申し出だ。しかし、こういうのには必ず裏がある。
「その代わりなんですか?」
「やっぱり分かってた?実はね、あともう少しでIS学園っていう高校が入学式を迎えるの。その学園に親友の弟の『いっくん』が入学するんだけどぉ。」
そのいっくんっていうのは、ニュースでやってた世界で唯一ISを扱える男子『織斑一夏』のことであろう。
「なるほどな。男で唯一ISを使える親友の弟の織斑一夏を様々な危険から守ってくれと言う話だな。しかも、IS学園に入学して。」
世界で唯一ISを使える男子となれば、様々な者が彼を欲しがるだろう。それは容易に想像できる。
「あと、私の妹である『箒ちゃん』も入学するんだけど・・・。」
はぁとキラは溜息を吐く。
「別にいいですよ。」
他にやることはないのだ。それぐらい容易い。
「やっぁたぁ!!そうなれば、ラクスちゃんの専用機を作ってあげるからね!!!」
「きゃっ!!篠ノ之さん!?」
ラクスの胸を揉みながら喜ぶ束は子供の様に無邪気であった。
「束さんでいいよぅ!!」
「まったく。」
「そうだ!!君達の事は『ちーちゃん』にも知らせなきゃね。」
その人がキラ達の話を信じるかは知らないが、こうしてキラ達の新たなる世界での戦いが幕を上げたのであった。
次回はどうしよう。