「っ!おわぁぁぁぁ!」
手紙を開封した瞬間、アインは空中に放り出されていた。
「(漂うマナの量がハイランドより多い!?ほんとに別の世界なのか!?)」
周りを見ると、3人の少年少女が同じように落下していた。
「(落下地点に湖はあるけど、高度は約4000m!私以外はまずい!)」
瞬時に判断し、魔法を発動する。
地面から強烈な風が吹き、4人をゆっくりと着水させる。
「何なのよ、もう…」
アインが水から上がったときには既に3人とも上がり、罵詈雑言を吐き捨てていた。
「し、信じられないわ!まさか問答無用で引き摺りこんだ挙句、空に放り出すなんて!」
「右に同じだクソッタレ。場合によっちゃその場で即ゲームオーバーだぜコレ。石の中に呼び出された方がまだ親切だ」
「……いえ。石の中に呼び出されては動けないでしょう?」
「俺は問題ない」
「そう。身勝手ね」
二人の男女は互いに鼻を鳴らして、服の端を絞る。
その後ろに続くように、先ほどの三毛猫を抱いた少女が続く。そして同じように服を絞っている。
ちなみにアインは身体を風の膜で覆っていたので全く濡れていない。
「此処……どこだろう?」
「さぁな。まぁ世界の果てっぽいのが見えたし、どこぞの大亀の背中じゃねぇか?」
「ファンタジーね…」
「まず間違いないだろうけど、一応確認しとくぞ。もしかしてお前達にも変な手紙が?」
「そうだけど、まずは“オマエ”って呼び方を訂正して。ーーー私は久遠飛鳥よ。以後は気をつけて。それで、そこの猫を抱きかかえている貴女は?」
「……春日部耀。以下同文」
「そう。よろしく春日部さん。次に、野蛮で凶暴そうなそこの貴方は?」
「高圧的な自己紹介をありがとうよ。見たまんま野蛮で凶暴な逆廻十六夜です。粗野で凶暴で快楽主義者と三拍子そろった駄目人間なので、用法と用量を守った上で適切な態度で接してくれお嬢様」
「そう。取扱説明書をくれたら考えてあげるわ、十六夜君」
「ハハ、マジかよ。今度作っとくから覚悟しとけ、お嬢様」
「(なーんか個性的な人ばっかだな…あっちのヘッドホンつけた人はそこそこ強い感じだけど…)」
「それじゃ、最後に、そこの貴女。お名前は?」
「アインよ。よろしくお願いしますね?久遠さん、十六夜くん、耀さん」
アインは笑みを浮かべた。
そんなアイン達を物陰から見ていた黒ウサギは思う。
(うわぁ…なんか問題児だらけみたいですねえ…)
黒ウサギはため息をついた。
「で、呼び出されたはいいけど何で誰もいねえんだよ。この場合、招待状に書かれた箱庭の事を
説明する人間が現れるもんじゃねえのか?」
「本当よ、普通こういうときは案内人がいるものじゃないの?」
「自由に探索するのも面白そうですけどね〜」
(えぇっ!?そ、それはマズイです!)
アインの提案に黒ウサギは戦慄する。
「仕方ねえな。さっきからそこに隠れている奴にでも聞くか?」
(へっ!?)
黒ウサギは心臓が飛び出るかと思うくらい驚いた。
「なんだ、貴方も気付いていたの?」
「当然。これでもかくれんぼは負けなしだぜ?」
「……風上に立たれたら嫌でも分かる」
「こう言う時は気付かないふりしてあげるのが優しさなんですよ」
黒ウサギは物陰から飛び出し、叫んだ。
「そんな優しさ、いらないのですよ!?」
瞬間、アインを除く3人が冷ややかな目を黒ウサギに向けた。
「や、やだなあ御三人様。そんなに睨まれたら黒ウサギは怖くて死んじゃいますよ?ええ、ウサギは古来よりストレスに弱い生き物なのです。そんな脆弱な黒ウサギに免じて、ここは一つ穏便に御話を」
「断る」
「却下」
「お断りします」
「ワロタ」
「あっは、取りつくシマもございませんね♪」
バンザーイと言わんばかりにお手上げするウサ耳少女。
しかしその目は冷静に4人を値踏みしていた。
(この状況でNOと言える勝ち気は買いです。扱いにくそうではありますけども)
黒ウサギは4人にどう接するべきか考えているとーー
アインが胸をもんできた。
「ちょ、何をするんですかぁぁぁぁ!」
「いやいや、ウサギの割に立派なモノ付けてるな〜と」
「ナイスだアイン、俺もやる!」
「いい加減にしてください!問題児サマ方ぁぁぁぁ!
黒ウサギがキレた。
「あ、あり得ないのですよ。まさか話を聞いて貰うだけで小一時間も費やすとは。学級崩壊とはきっとこのような状態に違いないのデス」
あの後―――アイン達に散々揉みくちゃにされた黒ウサギは、疲れた様に呟いた。
「大変、堪能させていただきました。また揉ませて下さいね」
「いたしません!」
「いいからさっさと始めろ」
ようやく黒ウサギを弄るのに飽きた十六夜にツッコまれ、黒ウサギは気を取り直した様に咳払いをした。
「それではいいですか、皆様方?
ようこそ、"箱庭の世界"へ! 我々は皆様にギフトを与えれた者達だけが参加できる『ギフトゲーム』への参加資格をプレゼントさせて頂こうかと召喚いたしました!」
「ギフトゲーム?」
「そうです! 既に気づいていらっしゃるでしょうが、御四人様は皆、普通の人間ではございません! その特異な力は様々な修羅神仏から、悪魔から、精霊から、星から与えられた恩恵でございます。『ギフトゲーム』はその恩恵を用いて競いあう為のゲーム。そしてこの箱庭の世界は強大力を持つギフト所持者がオモシロオカシク生活出来る為に造られたステージなのでございますよ!」
両手を広げて箱庭をアピールする黒ウサギ。アイン達はそんな黒ウサギの説明を興味深そうに聞いている。何せ、神や悪魔や精霊や星といった物まで出てくるスケールだ。この問題児達が興味を持たないわけがない。
そしてその説明を聞いた、久遠飛鳥が質問する為に挙手した。
「まず、初歩的な質問からしていい? 貴方の言う我々とは貴方を含めただれかなの?」
「YES! 異世界から呼び出されたギフト所持者は箱庭で生活するにあたって、数多とあるコミュニティに必ず属していただきます」
「嫌だね」
「属していただきます! そして『ギフトゲーム』の勝者はゲームの主権者ホストが提示した賞品をゲットできるというとってもシンプルな構造となっております」
今の反応は逆廻十六夜がコミュニティに入らないと言っただけの反応、黒ウサギの顔に必死さが窺えた。アインとしてはその反応に様々な疑問が浮かんだが、面倒なのでスルーした。
「……主権者ホストってなに?」
「様々ですね。暇を持て余した修羅神仏が人を試すための試練と称して開催されるゲームもあれば、コミュニティの力を誇示するために独自開催するグループもございます。
特徴として、前者は自由参加が多いですが主権者ホストが修羅神仏なだけあって凶悪かつ難解なものが多く、命の危険もあるでしょう。しかし、見返りは大きいです。主権者次第ですが、新たな恩恵を手にすることも夢ではありません。後者は参加のためにチップを用意する必要があります。参加者が敗退すればすべて主権者のコミュニティに寄贈されるシステムです」
「後者は結構俗物ね……チップには何を?」
「それも様々ですね。金品・土地・利権・名誉・人間……そしてギフトを賭けあうことも可能です。新たな才能を他人から奪えばより高度なギフトゲームに挑む事も可能でしょう。ただし、ギフトを賭けた戦いに負ければ当然――ご自身の才能も失われるのであしからず」
にやりと笑いながら、挑発するように黒ウサギは言う。飛鳥が更に質問重ねていき、黒ウサギが答えていく。やがて、一通りの説明を終えたのか一枚の封書を取り出し、皆を誘う。
「さて、皆さんの召喚を依頼した黒ウサギには、箱庭の世界における全ての質問に答える義務がございます。が、それら全てを語るには少々お時間がかかるでしょう。新たな同士候補である皆さんをいつまでも野外に出しておくのは忍びない。ここから先は我らのコミュニティでお話しさせていただきたいのですが──」
「──待てよ、まだ俺が質問してないだろ?」
静聴していた十六夜が、威圧的な声で口を挟む。立ち上がり、軽薄な笑みを消した少年に気が付いた黒ウサギは、やや構えて聞き返した。
「……どういった質問です? ルールですか? ゲームそのものですか?」
「そんなものはどうでもいい」
十六夜は切って捨てる。腹の底からどうでもいいと、興味があることは最初から一つだけなのだと、全てを見下すような視線で一つだけ、問い掛ける。
「この世界は──面白いか?」
その言葉を聞いて一瞬黒ウサギはきょとん、と惚けるが、すぐに花が咲いたような輝く笑顔で、こう断言する。
「──YES! 『ギフトゲーム』は人を超えた者たちだけが参加できる神魔の遊戯。箱庭の世界は外界より格段に面白いと、黒ウサギは保証いたします!」
Q|アインの使ってる魔法って何?
A|そのうち説明します
Q|アインって未だに中身男なの?
A|性格や口調、思考は女ですが男を好きになることはありません
Q|アインの性格がよくわからん
A|礼儀正しいながらもアグレッシブ