やはり俺が青蘭学園で青春をおくるのは間違っている。 作:キール
美海side
私はコロシアムで行われていたバトルの様子を見ていた。
「君の要望どおりに瞬殺できめるよ」
プログレスの一人で1年生の武田 歩ちゃんはそういって相手に向かっていった。
相手より早く動き、相手を上回る力を出し、歩ちゃんは全ての上で相手を上回る力を発揮していた。
歩ちゃんは宣言どおりに相手を開始10分で倒していた。
「やっぱり強いわね……あの子」
「UCクラスなのに、核上の相手に対して反撃をさせずに終わらせたよ」
私の近くにいる子達はざわつき始める。
(そりゃそうだよ。今年の新入生の中ではトップレベルの子だもん)
歩ちゃんは今年の新入生の中で、実力は他を寄せ付けず、トップレベルだった。
そんな歩ちゃんの実力に目をつけ、多くのαドライバーが声をかけたらしい。
しかし、歩ちゃんは全ての誘いを断った。
『私は一人で大丈夫なので。ずっとそうしてきたし……』
その理由を尋ねたところ、歩ちゃんは不機嫌になりながらこういった。
しかし、この学校にいる以上はどうしてもαドライバーは必要になる。
一人ではどうしようもない。そこで私は余っているαドライバーを探し、一人の男の子にたどり着いた。
その男の子が比企谷 八幡君。学年は二年。
この二人は共通点があった。それはなにかというと性格だ。
二人とも他人とはあわせない慣性の持ち主で、孤独を愛するところがある。
だから私は二人を組ませることにした。
さっきのバトルの会場に来るまでの二人を見たが、相変わらず二人の呼吸はずれているようだった。
そんな二人を見て心配になった私だが、バトルになると、様子が一変した。
先ほどまでのやり取りがうそのように呼吸が合っている。それも歩ちゃんは比企谷君のことを信じているようだった。
何でそう思ったのか、気になり、私はすぐに歩ちゃんの元に向かった。
歩ちゃんはコロシアムを出たところにあるベンチに腰を下ろしていた。
「お疲れ様。歩ちゃん」
「どうも……会長」
「疲れた?」
「そりゃ疲れますよ。瞬殺といっても体力は使ってますから」
小柄ながらも足が速いことから、スピードがあり、非力と思われがちだがパワーもある。そのぶん体力を使うことから、バトル後はこうやって座っている姿をよく見かける。
「最後の技は歩ちゃんが考えたの?」
「あれは私じゃなくて、八幡のアイデアです。本来は相手の動きを止めたりするの使うんですけどね」
相手の真上に剣を投げ、上空に投げられた剣は無数の刃とかし、真下にいる相手に切り刻んでいく。あれを言葉で表現するのなら剣の雨だった。
「はじめてみたけど、今まで隠してたの?」
「今まで試せる場面がなかったので、ぶっつけで使いました」
「ぶっつけなの!?」
「はい。練習ではやったことあるんですけど、本番で試すのはあれが初めてでした。うまくいってよかったです」
やるほうもあれだけど、比企谷君も止めなよ…いくら怖いもの知らずといっても限度があるよ。
「まさに勝利の雨でしたね。相手の方からも恐ろしいっていわれました」
「そりゃそうだよ…」
歩ちゃんは小さく笑っているが、相手からしたらあれは恐怖にしかならない。
小柄ながらも、持ち前のスピードとパワーで相手を攪乱し、大技で占める。敵としたら一番攻略がしにくい相手だった。
「そういえば、比企谷君とは仲良くなった?」
「いやぁ…まだまだですね。仲良くなる前にいつも口論になるというか…」
歩ちゃんは頬をぽりぽりとかいていた。
「あれだけ息が合ってるのに、仲良くないの?」
「難しいですね、男女の仲って。今まで友達がいなかったからどう接していいのかわからないんですよ」
歩ちゃんは小さいころからずっと剣道をやってきたらしく、自分を鍛えるために遊ぶ時間を減らして、剣道に打ち込んでいた。
だが、そのせいで友達と付き合う機会が少なかった。本人もそれは自覚しているらしく、もう少し友達と遊ぶ時間を作ればよかったと前に嘆いていた。
「相棒としてまだまだ未熟かもしれないんですけど、私は八幡の近くに入れてよかったと思います」
「それ、本人に言ってあげなよ」
「いっても信用しませんもん。あのひねくれものは」
私はそれを聞いて、歩ちゃんと比企谷君。この凸凹コンビが今後どう成長していくのか非常に楽しみに思えた。