やはり俺が青蘭学園で青春をおくるのは間違っている。 作:キール
私が青蘭学園に入学してから一ヶ月がたった。
「八幡はGWはどうすごすの?」
「家でゴロゴロしてるな」
時期は4月の後半。来週からはGWとなり、学校は休みになる。
「ゴロゴロすごすって、いかにも八幡らしいね」
「お前はどうするんだ?」
「私は本家のほうにいくかな。ここでの生活の報告もしなきゃいけないし」
千葉にある本家のほうからは呼び出しが何回かあるそうだし、またあの老人たちの顔を見るのはいやだけど、家の代表としては顔を出さないといけない立場なのはわかってるので、少しだけ話して、帰ろうと思っている。
「本家って、お前のところってそんなにでかいのか?」
「結構大きいよ。子供のころから師範に徹底的に鍛えられるし」
「だから、あれだけ強いわけか」
「うん。練習が終わると、体中が痣だらけっていうのもあったよ」
「スパルタというか……厳しいんだな」
私のところはスパルタで有名だからね。泣き言をいおうもんなら拳骨が飛んでくるくらいだし。
「そのおかげでこれだけ強くなれたんだけどね」
あのスパルタのおかげでこれだけの力を身につけた。
当初、老人たちは私が青蘭学園に行くことは反対していた。そんなところに行かなくてもここで強くなればいいじゃないかと、強く反対していた。
私を手放したくないのか、それとも別の意味があったのかはわからない。
「本家に行く途中で会えるかもね。本家の場所が千葉だし」
「休みの日まであいたくねぇよ」
「あ。そういうこというんだ~ほんとは会いたいくせに~」
「そんなことは一ミリもおもってないからな」
まったくこの相棒はどうしてここまで考え方があれなのか。
「ゴロゴロしすぎて、GWがあけるころに4月病にかからないでよ」
「それはわからん」
「でも、たるんでたら、あの先輩たちに静粛されそうだからね」
私たちは校内の一角を見ると、今日も先輩たちはお互いを高めるための修行をしている。
「あの人たちが普通の人間とは思えないな」
「私もそう思うよ……特に生徒会長はこの学園の希望って言われるくらいだし」
「あの人と勝負したら勝てるか?」
「無理。レベルが違いすぎるもん」
美海先輩だけじゃない、この学校には強い人たちが山ほどいる。
「この前、セニア先輩に『あなたは興味あります。ぜひ勝負ください』っていわれたんだけどね」
「それでどうしたんだ?」
「速攻で断ってきた。いくらなんでも無理、勝てるわけないし」
「でも食い下がってきただろ?」
「よく知ってるね……『あなたとはバトルしたいです。一度でいいので戦ってください』って頼まれちゃった」
「それで受けるのか?」
「断ってきたよ。八幡がダメージの逆流で病院送りになりそうだったし」
ブルーミングバトルにおいてαドライバーにはプログレスのダメージを肩代わりする。
そのためプログレスがダメージを受けることでαドライバーに反動が行き、リンクが切れてしまうということがよくあるらしい。
「病院か。一年のころに入院した以来になりそうだな」
「八幡ってここに来る前は、普通の高校に通ってたんだよね?」
「ああ。総武高校にな」
「転校してきたって事だよね?」
「ああ。一年の冬にここにきたからな」
「そうなんだ」
私が八幡と出会ったのは入学して間もないころのこと。
相棒は必要ないと思っていた私の元に美海先輩からいいαドライバーが見つかったから組んでみてといわれた。
八幡の第一印象は目つきが悪い。考え方がひねくれてるという最悪の形だった。
八幡を見ているうちに私は八幡が兄貴に似ているということに気づいた。
私の兄貴も八幡と同じで孤独を愛し、ボッチでいることを誇りに思っている変な人だった。
「ほんと、八幡ってうちの兄貴にそっくりだよ。考え方もその変なこだわりも」
「お前って兄弟いるのか?」
「上に兄貴がいるよ。八幡は?」
「下に妹がいる」
八幡にも兄妹がいるんだ。一度会ってみたいなぁ。
「お前の兄貴ってどんなやつなんだ?」
「そうだね。少し変わってる人かなぁ」
「ふーん」
「今度会ってみる?」
「いや、いい」
兄貴はそろそろ目を覚ましただろうか。八幡を見ると、いつもそう思う。
私の兄貴は数年前に練習の合間にいきなり倒れ、それから数年がたった今も昏睡状態で目を覚まさなかった。