この素晴らしい世界で蒼い悪魔に力を!   作:(´・ω・`)

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第21話「この裏ボスとエンカウントを!」

 ――夕暮れ。太陽は山に半分身を隠し、橙色の光で空を染めた頃。

 冒険者達は拠点に戻り、鋭気を養いに酒場へ行く時間――街外れの丘に、ひと組のパーティーがクエストに出かけていた。

 

「あーっ! それ私が目つけてた肉ーっ! 返しなさい! アンタはこの野菜だけ食ってればいいじゃないの!」

「お前、もう5枚ぐらい肉食ってるからいいだろうが。それに、キャベツ祭からちょっと野菜が苦手になってさ。野菜スティックにも嫌な思いさせられたし。何だよ跳ねる野菜スティックって……なぁ、コレ焼いてる間に、顔面めがけて跳んできたりしないよな?」

「焼いてる分は大丈夫だ。それと、カズマだけでなくアクアもだが、肉ばかり食べていては大きくなれないぞ?」

「……おっ、そうだな」

「カズマ、紅魔族というのは魔力だけでなく知力も高いんです。今どうしてカズマが、ダクネスと私を交互に見たのか、当ててあげましょうか?」

 

 丘の上、テントを張った傍でバーベキューをするのは、アクセルの街に住む駆け出し冒険者、カズマとその仲間達。

 4人の近くにあるのは、お金のない人達、身寄りのない人達が使う共同墓地。

 決して、4人には墓の傍で飯を食う趣味があるわけではない。今回彼らが受けたクエスト『ゾンビメーカー』討伐の目的地が、ここだからだ。

 

 『ゾンビメーカー』――死体に憑りつく悪霊の一種で、数体のゾンビを操る雑魚モンスター。

 能力だけ見れば厄介そうだが、操る取り巻きのゾンビはそこまで強くない。駆け出しでも倒せるレベルらしいので、カズマはこれを受けることにした。

 そして、ゾンビメーカーは夜に現れる。そのため、カズマ達はこうして食事を取りながら、日が落ちるのを待っていたのだ。

 

「ん……カズマ、コーヒー頼めるか?」

「おう」

 

 ダクネスにコップを渡されたカズマは、それを手に取るとコップの中にコーヒーの粉を入れる。

 

「『クリエイトウォーター』……そんで混ぜ混ぜしてから『ティンダー』っと」

 

 すると彼はコップに手をかざし、『クリエイトウォーター』で手のひらから綺麗な水を出してコップに入れ、スプーンで粉と水をクルクルと混ぜる。

 ある程度混ざったところで、カズマは『ティンダー』で手のひらに火を作り、コップの底を炙るように手をかざした。

 『クリエイトウォーター』『ティンダー』――共に『初級魔法』と呼ばれる魔法スキルである。

 ものの数秒で温かいコーヒーを作ったカズマは、ダクネスへコップを返す。

 

「すまない……しかし、初級魔法なんていつの間に覚えたのだ?」

「最近仲良くなった魔法使いに教えてもらったんだよ。確か、リーンって言ったかな。中級魔法は今の俺じゃ覚えられないから、取り敢えず初級魔法だけでもってことで」

 

 ダクネスの質問に、カズマは自分の分のコーヒーも作りながら答える。

 

 リーン、それと彼女のパーティーメンバーのダスト、キース、テイラー。カズマは、既に彼等とも交流を深めていた。

 一度、酔っ払ったダストから「上位職におんぶに抱っことは羨ましいな」と絡まれた時、だったら喜んで代わってやるよとカズマは言い返し、ダストとパーティーメンバーを交代した。

 その際、カズマはリーンから魔法を教えてもらい、持ち前の幸運と機転で危機を回避。キース達からも認められるようになった。

 そしてダストは、一度代わったことでカズマの苦しみを分かち合える仲になり、2人は心の友となったのだ。

 

 因みに、カズマはそこで問題児達がいないことの解放感と喜びを味わい、今度はクエストに行かず充実な1日を過ごしたいと思ったため、バージルへ生活の交換を依頼したそうな。

 

「初級……魔法……っ!」

 

 と、カズマが初級魔法について話していた時、それを聞いていためぐみんが歯をギリっとさせ、杖を強く握り締めた。

 

「……どうした? そんな親の仇を恨むような声出して」

「あぁ……実は、以前カズマとバージルが交代した時に、バージルから爆裂魔法は初級魔法以下だと言われてな。それを気にしているんだ」

「ふーん……」

 

 めぐみんが初級魔法のことを恨めしく思っている理由を聞き、カズマはめぐみんに視線を戻す。

 初級魔法についてブツブツと恨み言を呟くめぐみん。それを見たカズマは『潜伏』を使って静かに背後へ回り込み、彼女に近寄っていく。

 

「初級魔法? そんな子供だましみたいな技が、爆裂魔法を超えるわけないでしょう? そう、我が爆裂魔法こそ至高にして最きょ――」

「『フリーズ』」

「おぉおおおおおおおおわぁああああああああはぁああああああああっ!?」

 

 そしてカズマは、彼女の首筋に手をかざし、ドッキリさながら初級魔法『フリーズ』を放った。

 突如として首筋にヒンヤリ感を覚えためぐみんは、咄嗟にその場を離れると、首筋に手を当てて背後を振り返る。

 

「……爆裂娘、初級魔法に破れたり」

「鬼ですか!? カズマは鬼なんですか!? 鬼いちゃんを更に超えた鬼い様にでもなるつもりですか!?」

 

 決まった、と心の中で呟くカズマに、めぐみんは涙目で言葉を返した。

 冬の知らせが近い、肌寒くなってきたこの季節。そんな時期に首元へフリーズをかけられるのは、めぐみんでなくとも堪えるだろう。

 それを何の戸惑いもなくやってのけた鬼畜カズマに、ダクネスは私もして欲しいとばかりに期待の目を向けるが、カズマはそれを無視してめぐみんに話しかける。

 

「なぁ、お前って爆裂魔法以外の魔法について、知識だけは知ってたりするのか?」

「謝罪も無しですか……学生時代、私は常にトップの成績を修めていました。魔法に関して知らぬ物はない、と思っていただこう」

「……へぇー……」

「なんですか。そのコイツ絶対嘘吐いてるなって思ってそうな目は。爆裂魔法ぶちかましますよ?」

 

 カズマの質問に、めぐみんは自信有りげに魔法関連ならなんでもござれと答える。

 が、普段の行動を知っているカズマからしたら、どうにもめぐみんが成績優秀者だったことに疑問を抱かざるをえなかった。

 そもそも、紅魔の里には学校があるのかと思ったが、カズマは気にせず質問を続ける。

 

「なら……『クリエイトアース』! ……これって何に使うんだ? 初級魔法の中で、これだけ使い方がわからなくってさ」

 

 カズマは初級魔法『クリエイトアース』を唱えると、手に持った土を見せながらめぐみんに尋ねた。

 それは、文字通り魔力で土を作る魔法。手の隙間からは、わりとサラサラした粉状の土が溢れている。

 

「えっと……その魔法で創られた土は、畑に使用すると作物が良い感じに育ちますね」

「……それだけ?」

「それだけです」

 

 めぐみんのわかりやすくも短い解説を聞き、カズマは落胆した。

 

 そもそも初級魔法とは、基本的に日常生活で使われるものだ。

 何かを燃やしたい時、潤いが欲しい時、何かを凍らせたい時など……決して、戦闘に使える物ではない。

 それを実感したカズマは、早く中級魔法も覚えられるようになりたいなーと、心の中で呟く。

 

 と、その時――近くからプッと吹き出す笑い声が聞こえた。

 

「何々!? カズマさん農家に転職するんですか!? 『クリエイトアース』で畑作って『クリエイトウォーター』で水やって……まさに天職じゃないですかやだー! プークスクス!」

 

 皆さんご存知、アクアである。

 彼女は良い感じに焼きあがった肉を乗せた皿を手に、腹パンからの背負い投げで更にもう一発腹パンをしたくなるような顔で、カズマを煽るように笑っている。

 当然、それを見てイラッときたカズマは無言で立ち上がると、『クリエイトアース』で創った土を握る手を、アクアに向け――。

 

「『ウインドブレス』!」

「ギャアアアアッ!? 目が!? 目がぁああああああああっ!?」

 

 握り拳を開くと同時に、小さな風を起こす初級魔法『ウインドブレス』を放ち、全ての土をアクアに飛ばした。

 ダイレクトで両目に土が入ったアクアは、痛みで涙を流しながらその場を転がる。皿は落ち、肉は全て地面の上に。もったいない。

 

「……なるほど、こうやって使うのか」

「使いませんよ!? なんで組み合わせ技なんか作って、そこらのウィザード以上に初級魔法使いこなしてるんですか!?」

 

 

*********************************

 

「……冷えてきたわね。なんだか墓地の雰囲気も相まって、ボスでも出てきそうな雰囲気なんですけど」

「おい、そんなフラグ臭いこと言うなよ。今日はゾンビメーカーと、その取り巻きを倒して土に還す。俺達はいつも通り馬小屋で寝る。オーケー?」

 

 楽しい楽しい夕食タイムは終わり、夜。

 ゾンビメーカーが出る頃合いになり、カズマ達はテントをしまって装備を整えてから、共同墓地に入っていた。

 おどろおどろしい雰囲気を醸し出す墓地を歩く中で、不意にアクアがポツリと呟いたが、モロにフラグ臭かったのでカズマは慌てて訂正する。

 

「どうだカズマ? 『敵感知』に反応はあるか?」

 

 その後ろで、いつでも行けるとばかりに剣の柄へ手を置いていたダクネスが、カズマに墓地の様子を尋ねてきた。

 盗賊スキル『敵感知』で、墓地の様子を探りながら先頭を歩いていたカズマは、ダクネスを安心させるように答える。

 

「いや、今んとこ何も反応してな……んっ? 待て……丁度今ピリピリ来た」

「「ッ!」」

 

 が、そのタイミングでカズマの『敵感知』に反応があった。カズマは4人に知らせるよう手を挙げて足を止める。

 カズマの言葉を聞き、警戒心を高めて武器を構えるめぐみんとダクネス。カズマの後ろを歩いていたアクアは、目を細めて道の先を見る。

 緊張感が漂う中、カズマは敵感知でキャッチした敵の数を口にした。

 

「来てる来てる……敵が1匹、2匹、3匹、4匹、5匹……あれ?」

 

 『敵感知』で感じる存在は5匹以上。それを知り、カズマは疑問を抱く。

 

 ゾンビメーカーの取り巻きは、多くて3匹と聞いていた。5匹以上いるのはおかしい。墓荒らしのモンスターでもいるのだろうか?

 彼なりに推測を立てていた時――視線の先で、墓地を照らすように青白い光がボウッと灯された。

 

 よーく見てみると――青く光っていたのは、大きめの魔法陣。

 その中心には、見るからにゾンビメーカーとは思えない、黒いローブを来た者が立っていた。

 また、その周りにはゆらゆらと魔法陣の中心へ動くアンデッド達がいる。彼らは黒ローブの取り巻きと見ていいだろう。

 

「……あの……あそこにいるの、ゾンビメーカーじゃないと思うのですが……」

 

 敵を見ためぐみんが、若干怯えたようにカズマへ話す。ダクネスもちょっと怖いのか、ゴクリと息を呑んで、既に抜いていた剣を少し震わせている。

 現に、カズマもアレがゾンビメーカーじゃないと薄々感じていた。しかし墓地にいる以上、アンデッドの可能性が高い。

 

 どれほどの強敵かわからないが、こちらには、対アンデッドのスペシャリストこと自称女神がいる。

 まだ対アンデッドの力を発揮した様子は見れていないが、絶対に解けないと言われていたらしい死の宣告をアッサリ解いたり、大きな湖を綺麗に浄化したりと、女神の力があることは確認できている。ここは、アクアの力に期待するしかない。

 むしろここで活躍しなきゃお前の存在価値ないからなと、カズマは背後にいるアクアへ警告しようと顔を向ける。

 

「あぁああああああああああああーっ!?」

「おおう!?」

 

 その瞬間、アクアが墓地全体に響き渡るような声を上げ、カズマ達はビクリと驚いた。

 一体何事かと思い、3人がアクアを見ると――なんと彼女は、何を思ったか黒ローブの人物へと駆け出した。

 

「あっ! 馬鹿!」

 

 カズマは慌てて呼び止めるが、彼女は足を止めようとせず。

 そして、アクアが黒ローブの人物が立っている魔法陣の傍で止まると、ビシッと黒ローブを指差して、声高らかに告げた。

 

 

「リッチーがこんな所にノコノコ現れるとは不届きな! この私が成敗してやるわ!」

「えぇっ!? だ、誰ですか!?」

 

 いきなり現れたかと思いきや物騒なことを話すアクアを見て、『リッチー』と呼ばれた黒ローブの者は酷く困惑し出す。

 が、アクアはお構いなしに魔法陣へ近付くと、その足で地に浮かぶ魔法陣を連続で踏みつけ始めた。

 

「あぁっ!? やめてください! 私の魔法陣を壊そうとしないで!?」

「黙らっしゃいアンデッド! どうせここに眠る死者達を利用して、ロクでもないことしようと企んでたんでしょ! こんなものっ! こんなものっ!」

 

 黒ローブことリッチーは、涙目でアクアにやめるよう呼びかけるが、アクアは決してその足を止めようとしない。

 周りにいたアンデッド達は足を止めると、ぼーっとしたように2人の様子を見守り始めていた。

 

「た……助けて! 助けてください!」

 

 そんな時、リッチーは涙目になりながら助けを求めてそう叫ぶ。

 恐らく自分達に言っているのだろう。そう感じたカズマは、暴れるアクアを止めようとその場へ駆け寄る。

 

 

 ――その瞬間、暗闇から1本の剣が飛んできた。

 

「わっ!?」

「アクアッ!?」

 

 飛んできた剣はアクアの足元に刺さり、それに驚いたアクアは後ろに倒れて尻餅を付く。

 慌ててアクアへ駆け寄るカズマ達。アクアに怪我がないことを確認した3人は、飛んできた剣を見る。

 

 そして――ダクネスは驚きのあまり目をカッと見開いた。

 

「ッ……これは……!」

 

 地面に突き刺さる剣――それは、浅葱色に光っていた。

 しばらくして、地面に刺さっていた剣はパリンと砕け、跡形もなく消え去る。

 カズマ達は消えてしまった剣から目を離すと、その剣が飛んできた方向を見た。

 

 そして――彼等の視線が集まる暗闇から、1人の者が顔を出す。

 

 

「……何故貴様等がここにいる」

「(裏ボス来ちゃったぁああああああああっ!?)」

 

 カズマ達の前に、バージルが現れた!

 

 

*********************************

 

 ――時は遡り、約1週間前の事。

 店を開けてまだ間もない、朝のデビルメイクライに、1人の女性が挨拶と称して訪れた。

 アクセルの街で魔道具店を営んでいる、おっとりとした印象を受ける茶髪の女性――名はウィズという。

 

「……魔道具店?」

「はい。モンスターと戦う冒険者や、街で平和な生活を送る方々のお役に立てるような物を売っているんです。今月も赤字でしたけど……あっ、よかったら名刺をどうぞ」

 

 ウィズは、ポツリと経営がうまくいっていないことをぼやきながらも、魔道具店のことを紹介し、名刺をバージルに渡す。

 『ウィズ魔道具店』の名刺を、黙って受け取るバージル。彼が名刺に視線を移す傍ら、ウィズは話を続けた。

 

「で、最近この街に便利屋さんが開いたと聞いて……もしかしたら、私もお世話になることがあるかもしれないので、せめてご挨拶だけでもと思って……」

 

 ウィズがここへ来た目的を話す傍ら、バージルは手に持っていた名刺を机の上に置き、ウィズへ視線を戻す。

 

 

 ――机の下で、刀を握り締めたまま。

 

「……便利屋、と銘打っているが、全ての依頼を受けるわけではない」

「……? はい?」

 

 ずっと黙っていたバージルが静かに話し出したのを見て、ウィズは自分の話をやめ、彼に耳を傾ける。

 対してバージルは、決してウィズから視線を外すことなく、話を続けた。

 

「受けるか否かは、全て俺が決めている。割に合わない報酬、便利屋を頼らずともできる依頼、気に入らん依頼人……そういった物は断るつもりだ。ましてや――」

 

 ウィズへ――氷のように、冷たい目を向けながら。

 

「人を演じる貴様のような、端から信用できん奴など以ての外だ」

「――ッ!」

 

 バージルの言葉を聞き、ウィズは目を見開いた。

 

 彼女が人ならざる者であることは、最初から気付いていた。

 ウィズからは、人間とは違う匂い――あのベルディアと同じ、魔の匂いがしていたからだ。

 かといって、彼がよく知る悪魔とは違う。そしてベルディアに近い匂い。恐らく、ベルディアと似た種族なのだろう。

 が、人間でないことに変わりはない。バージルは、いつでも刀を抜けるようにしながらウィズの言葉を待つ。

 

「……流石ですね。でも、私に争うつもりは一切ないので、できればその殺気をしまっていただけるとありがたいのですが……」

 

 すると、ウィズは小さく笑ってそう話し、自分に戦うつもりはないとアピールしてきた。

 確かに、彼女からは殺意の類が一切見られない。しかしバージルは素直に従おうとせず、更に強く刀を握る。

 不審な動きを見せれば、即斬り殺す。その鋭い視線を受け、ウィズは困ったように笑いながらも、自分について話し出した。

 

「貴方の察する通り、私は人間ではありません。リッチー……ノーライフキングなんて呼ばれてます」

 

 『リッチー』――アンデッド族の最高峰、アンデッドの王とも呼ばれる存在。

 通常、強い恨みや思念を残した者が死ぬ時、偶発的にアンデッドとなるが、リッチーは違う。その者等は、自らの意志でアンデッドとなったのだ。

 偉大な大魔導師が、力を得るために人間であることをやめ、不老不死の力を得た存在。神の敵対者――それがリッチーである。

 

「(成程、道理で高い魔力を持っている……ベルディア以上に楽しめそうだな)」

 

 ウィズの話を聞く傍ら、ウィズが持つ魔力を感じていたバージルは、面白い物を見つけたとばかりに不敵な笑みを浮かべる。

 しかし、そんなことを思われているなどとはいざ知らず、ウィズは次に、バージルへ質問をしてきた。

 

「貴方も……ですよね?」

「……気付いていたか」

「……はい」

 

 貴方も、とはどういう意味か。そんな野暮な質問はせず、バージルは話を進める。

 既に、バージルも自分と同じく人間ではないことを察していたウィズは、続けて彼に尋ねた。

 

「貴方は……どっちなんですか?」

「……どちらでもある。生まれながらに、俺は人間であり、人間ではない」

 

 既に勘付いていたウィズに隠す意味はないと考え、バージルは静かに答える。

 それを聞き、ウィズは少し驚いたように手を口に当てた。

 

 ウィズは、バージルから悪魔の力を感じていた。

 彼女がよく知る悪魔とは少し違う気もするが、それは本当に些細な物。ほぼ同じだと言ってもいい。

 と同時に、彼から人間の力も感じていた。人間と悪魔――二つの力を、バージルから感じ取っていたのだ。

 これにウィズは疑問を抱いていたが、彼は最初から人間であり悪魔でもある――つまり半人半魔であることを聞き、納得すると同時に驚いたのだった。

 

「珍しいですね……悪魔と人間が結ばれて、ましてや子を残すなんて……」

「……だろうな」

 

 ウィズの言葉に、バージルは小さく同意する。

 人間と交じり、子孫を残す種族はいるが、その中でも悪魔は稀だ。

 悪魔達は常に自分第一。相手を想い、愛を育み、子孫を残すなど、本来なら有り得ないこと。

 

 ……その悪魔、バージルの父が、魔王軍幹部どころか魔王の右腕とも呼べる存在だったと知ったら、ウィズはどれだけビックリ仰天することか。

 

 彼の話を聞き、ウィズはひとしきり驚いたが……次に、彼女は優しく微笑んでこう話す。

 

「フフッ……なんだか嬉しいです。私と似たような人が、私と同じように、アクセルの街で店を経営してるなんて」

 

 ウィズは嬉しそうに、今後もよろしくしたいという思いを告げる。

 その様子を、バージルは無言で見続けていた。

 

 先程からバージルは、話を聞きながら彼女の様子を伺っているが……やはり、ウィズからは殺気の色が一切見られない。

 彼女が見せるのは、友好的に接して相手を騙そうという、狡猾な悪魔の目ではない。あの、エリスやアクア達が見せる――裏表の無い純粋な目。

 未だに疑ってはいるものの、どうにも彼女が演技をしているようには思えなかった。

 

「もっと話してみたいのですが、私は店の方がありますので、これにて……あっ、店はメインストリートから少し外れた、住宅街の中にありますので、もしお暇な時間があれば、是非とも寄ってみてくださいね」

 

 名残惜しそうにしながらも、ウィズはそう話してペコリと頭を下げる。

 そして、ちゃっかり宣伝をしながらも、彼女はデビルメイクライを去っていった。

 

「……フンッ」

 

 よくわからん女だ。そう思いながらも、バージルは彼女から貰った名刺に目を向ける。

 ウィズ魔道具店――今月も赤字だとボヤいていたため、あまり期待はできないが……もしかしたら、掘り出し物もあるかもしれない。

 

「(……暇な時があれば、行ってみるか)」

 

 ウィズ魔道具店が少し気になったバージルは、ウィズの名刺から目を離し、本の続きを読み始めた。

 

 

*********************************

 

 ――翌日から、早速カズマの宣伝効果が現れてきたのか、少しずつ依頼人が来るようになった。

 事情があってギルドに出せないモンスター討伐、アイテムの捜索、街に出るゴロツキを殺さないように掃除するなど、派手な物から地道な物まで。

 街の外に関することは、大概がギルドに出して冒険者に解決できるものが多いため、デビルメイクライに来る依頼はほとんどが街の中でのことだった。

 鉱石や情報など、金以外の報酬を得るのが主な目的だが、人として街での交流を深めていく目的もあったので、つまらんと思いながらも、依頼はなるべく受けていった。

 

 ――が、ウィズに言ったように、全ての依頼を受けるわけではない。

 

 

「バージル! 今回も私に剣の稽古を――!」

「帰れ」

 

「新しいプレ……鍛錬を思いついたんだ! それに付き合ってはくれぬか!? 報酬ならいくらでも出すぞ!」

「いくら積まれようとも受けん。帰れ」

 

「私はもっと強くなりたい! 無論性喜士としてだ! だから――!」

「貴様の依頼を受ける気はない。帰れ」

 

 このように、依頼内容や報酬、そして依頼人が気に食わなければ、依頼を受けなかった。全部同一人物のように思えるが気にしてはいけない。

 こういった客商売では、全ての依頼を受けるべきだという意見もあるだろうが、こうやってまともな客を選ぶことも、店を経営するにおいては大切なこと。

 

 そして――デビルメイクライが開店してから、1週間が過ぎた。

 

 

*********************************

 

 もうすぐ夕暮れ時。先程まで街の外の討伐依頼を受けていたバージルは椅子に座り、報酬で受け取った宝石を眺める。

 自分に使い時はないが、インテリアとして飾れるかと思いながら、バージルは宝石を机に置く。

 

 依頼人は朝か昼時に来ることが多く、逆に閉店間際の夕暮れ近くになれば、依頼人はほとんど来ない。

 今日はもう店を閉め、夕食を食べにギルドへ行くかとバージルが考えていた時――ふと、机に置きっぱなしだった1枚の紙切れが目に入った。

 

 1週間前、ウィズが残していった魔道具店の名刺。

 普通、こういう名刺には店の営業時間も書かれている筈なのだが、店主がウッカリしていたのか、どこにも営業時間は書かれていない。

 もっとも、この世界には時計というものがない。つまり時間を計ることができないため、時間が書かれていないのは頷けるが……。

 

「(……フム……)」

 

 いつまで開いているのかわからないが、この時間帯だと恐らく閉まっているだろう。

 が、場所を調べるだけなら、店が開店していようがいまいが関係ない。

 

「(……寄ってみるか)」

 

 少し夕食は遅くなるが、ギルドへ行く前にウィズ魔道具店を探してみよう。

 そう考えたバージルは、机に置いていた名刺を懐に入れ、しっかりと刀も持って家から出た。

 確か、魔道具店は住宅街にあると言っていた。普通、そういったアイテムを売る店は商業区にあるものだが……デビルメイクライと同じように、自宅兼店舗なのだろう。

 その辺りのことは特に気にせず、バージルは住宅街へと歩いて行った。

 

 

*********************************

 

 ギルドとは少し方向が異なるが、しばらく歩いて住宅街に入ったバージル。

 この時間となると、住宅街にはクエストから帰ってきた冒険者や、買い物帰りの主婦で溢れている。

 そんな彼等は、突如住宅街に現れた有名人のバージルを、二度見してはまじまじと見つめているが、バージルは気にせず街を歩く。

 

 そして――彼は、とある店の前で足を止めた。

 扉の上に吊るされる形で出ている看板に書かれていたのは、ウィズ魔道具店という名前――今回の目的地だ。

 

 看板と名刺を交互に見、ここで間違いないと確信するバージル。

 店を見れば、まだ店内に灯りは点いている、ドアノブにかけてある札も『Open(開店中)』と示していた。

 既に閉まっていると思っており、今回は場所を調べるだけにしようと考えていたが、店が開いているならば少し中も見ておくかと、バージルは店に入るため足を進める。

 

 が――それよりも早く扉が開き、1人の女性が魔道具店から出てきた。

 

「……あら、バージルさん? 1週間ぶりですね」

 

 出てきたのは、魔道具店の店主であるウィズ。魔道具店の鍵だろうか、それを手に持ってた。

 店の近くにバージルがいたことに気付いた彼女は、彼に視線を向けて微笑む。

 

「あっ! もしかしてお店に来てくださったんですか!? あっ……でもお墓に行かなきゃ……あぁけど折角のお客さんが……」

 

 ウィズはもしかしてと喜んでテンションを上げるが、すぐさま困ったように唸り出す。

 その様子を見兼ねたバージルは、彼女に近寄りながら理由を聞いた。

 

「……用事か?」

「あっ、はい……実はこの時間、私は街の近くにある共同墓地に行って、そこで迷える魂の浄化をしなければならなくって……」

「魂の浄化だと? リッチーの貴様がか?」

 

 リッチーとは、アンデッドの王。つまりアンデッドの味方だ。

 そんな彼女が自ら魂を浄化する、言い換えればアンデッドの数を、味方を減らすようなことをやるとは、どういうことなのか。

 疑問に思いながらバージルが尋ねると、ウィズはとても言いにくそうにしながらも答えた。

 

「本来、こういった仕事はプリーストの役目なのですが……その……この街のプリーストの方々は……拝金主義と言いますか……」

 

 拝金主義――つまり、共同墓地の浄化はお金が貰えないからやらない、ということだ。

 プリーストが手を付けなければ、必然的に共同墓地では浄化されていない死体が増えていく。

 そして、浄化が不十分な死体は独りでに動き出し、成仏できない死体――アンデッドとなり、墓地に湧いてしまうのだ。

 

「すみません! 本当にすみません! 折角足を運んでくださって本当に申し訳ないのですが、また日を改めて来てくださいますか? お昼でしたら必ず開いておりますので……!」

 

 折角来てくれたお客さんを無下にしたくないのか、ウィズはペコペコと謝りながらバージルに話す。

 しかしバージルは、怒るわけでもなければ呆れもせず――ウィズの予想にしていなかった言葉を伝えた。

 

「それに、他の者が同行することは可能か?」

「えっ? 別に同行は問題ありませんが……もしかして、一緒に来てくださるんですか?」

「あぁ。魂の浄化がどういったものか、少し興味がある」

 

 驚きながら尋ねてくるウィズに、バージルは素直に答えた。

 もっとも、彼が同行してみたいと思ったのは、この世界のアンデッドをじっくり観察できることと、いずれ戦うであろうウィズの力量を少しでも計れるかもしれない、という目論見があったからだが。

 

「……わかりました。じゃあ、一緒に行きましょうか」

 

 しかし、そんな真意など知らずにウィズは嬉しそうに笑うと、魔道具店に鍵をかけてから、バージルと共に歩き出した。

 

 

*********************************

 

「――そういえば、便利屋のことを聞いた時に知ったのですが……バージルさん、魔王軍幹部を倒したそうですね?」

 

 共同墓地への道中、ウィズはバージルに話を振ってきた。

 魔王軍幹部。十中八九ベルディアのことだと思ったバージルは、前を向いたままウィズに言葉を返す。

 

「あのデュラハンか。奴は中々に楽しめた。最後まで自ら背を向けん、騎士のような男だった」

「へぇー……あのベルディアさんが……」

 

 魔王軍幹部を倒したことは、カズマの宣伝で知れ渡っていたのだろう。

 もう隠す必要はないと思ったバージルは、ベルディアのことを思い出しながら話す

 それを聞いていたウィズは、口に人差し指を当てると、ベルディアの姿を思い描くように上を向いた。

 

 

 ――が、おかしい。

 

「……何故奴の名を知っている?」

 

 バージルは、まだベルディアという名前を口にしていない。

 なのに何故、彼女はベルディアのことを知り、それもさん付けで、まるで知り合いのように呟いたのか。

 バージルの質問を聞いたウィズは、ついうっかりしていたのか、頬をポリポリと掻きながら質問に答えた。

 

「実は私――こう見えて、魔王軍幹部なんです」

 

 

 その言葉を聞いた途端――ピタリとバージルは足を止めた。

 突然止まったバージルに合わせ、ウィズも足を止めて彼を見る。

 すると、バージルは左手に持っていた刀を抜こうと柄に手をつけ――。

 

「あぁっ!? 待ってください! 私はただ、結界維持の為に仕方なく幹部をやっているだけなので、人間の方々に危害を加える気は一切ないんです! 本当なんです!」

 

 確実に自分を殺すつもりだと感じたウィズは、刀を抜こうとしたバージルを慌てて止めた。

 しかしバージルは刀から手を離すことなく、黙ってウィズを睨み続ける。

 

「勿論、ベルディアさんの仇討ちを、なんて思ってもいません! その……正直言って、ベルディアさんとはあまり仲が良くなかったので……」

 

 元とはいえ、仲間が殺されたのなら大抵の者は仲間の仇討ちに出るだろう。

 しかし、そのつもりは一切ないとウィズは話した。その言葉に、バージルは心の中でそうだろうなと呟く。

 

 同族意識の高い者や同族を大切に思う者はいるが、大抵の悪魔は自分本位。仲間はあくまで利用できる者としか見ていない。

 多数の悪魔がスパーダとその血族を狙ってきたのは、魔帝を殺された恨みで、という魔帝に忠義を尽くす者もいたが、スパーダは自分達が住む魔界を脅かす脅威だったから、スパーダを倒せば魔帝を超えた存在になれるからという、自分本位の者が多かっただろう。

 故に、仇討ちとして向かってくる悪魔は数少ないのだ。彼女は悪魔ではないがアンデッド。おまけに魔王軍幹部ときたら、その思考は恐らく悪魔寄りだろう。

 

 ウィズは敵意がないことをアピールするが、未だバージルは刀を握っている。

 まだ信じてもらえていないと思ったウィズは――更に、自分の本心を語った。

 

「……私は中立の立場にいるので、冒険者が魔王軍を攻撃しても、魔王軍に加勢をするつもりはありません。その逆もしかりです。無関係の方を攻撃するならば、話は別ですけど……」

 

 ウィズは少し俯いてそう話すと、再び顔を上げてバージルを見る。

 そして、しばし間を置いてから――。

 

「それに……まだ心は、人間のつもりですから」

 

 彼女は小さく微笑み――どこか悲しげな表情で、バージルにそう伝えた。

 

 

「……そうか」

 

 するとバージルは小さくそう呟き、刀の柄から手を離した。

 

 バージルは、贖罪者だ。

 力を人の為に使う。それが、生前多くの人間を殺してきた彼の、エリスから受けた罰。

 彼に、人間を殺すことは許されない。また同じ罪を犯すことはできない。

 だからこそ――バージルは、ウィズを斬ることができないのだ。

 

 かといって、彼女を信じたわけではない。

 その目も、心も、全て演じたもので、根底は悪魔と同じ可能性もまだ捨てきれない。

 彼女は人間か否か――それが不確定な状態では、刃を振りかざすことができない。だから刀を抜かないのだ。

 

 多くの人間を騙せるほどに、人間を演じられる悪魔か。

 聡明に見えるが実は何も考えていなさそうな、ただの人間(バカ)か。

 それがハッキリするまで、彼女を殺すのは置いておこう。そう決めて、バージルは殺気をしまった。

 

「……ありがとうございます。バージルさん」

 

 ウィズはホッと安堵するように息を吐くと、ようやく殺意をしまってくれたバージルに礼を告げた。

 バージルは特に何も言葉を返さず、ウィズから視線を逸らす。

 そして2人は、再び共同墓地に向けて歩いて行った。

 

 

*********************************

 

 ――その後、2人は共同墓地にて魂の浄化を開始。

 順調に魂の浄化が進んでいた時、突如としてそれを妨害しようとする乱入者が現れた。

 ウィズの助けを求める声を聞き、バージルが様子を見に行くと――そこで、バッタリとカズマ達に出会ってしまったのだった。

 

 

「……そういうことでしたか」

「貴様等の探していたゾンビメーカーとやらは、恐らくウィズのことだろう」

 

 バージルとカズマは、お互いにどうしてこの場に来たのか理由を伝えた。

 因みにバージルは、混乱を招くだろうと考え、彼女が魔王軍幹部だということは明かしていない。

 

「す、すみません! すみません! 冒険者の方々に誤解を招くようなことをしてしまって……!」

「いやいや、謝ることはないですよ。ロクに確認をしなかったギルドが悪いんだし」

 

 ゾンビメーカー討伐クエストとして来たカズマだったが、その正体は黒ローブ――ウィズだったようだ。

 彼女は魂の浄化を目的に来ているのだから、浄化されたいアンデッド達が集まるのは必然。

 また、彼女曰くリッチーの性質で、周辺に眠るアンデッドがどうしても地上に出てきてしまうのだとか。

 

「なら……俺達がここにいる理由はないな。よーし、そんじゃ皆帰るぞー。さぁ早く帰って寝よう寝よう」

 

 つまり、この共同墓地にゾンビメーカーは出現していない。冒険者側の勘違いだった。

 となれば、もう自分達がここにいる意味はない。

 クエストの報告は、リッチーが仕事してたからなんて馬鹿正直に言えばどうなるかわからないので、既に成仏していたことにしよう。クエストは失敗になるだろうが、仕方のないことだ。

 考えをまとめたカズマは、仲間の3人にさっさと帰ろうと促す。

 

 まるで――面倒事が起きる前に、早く帰りたいと言うかのように。

 

 

「なんてこと……! お兄ちゃんは、このリッチーに操られているのね! 待っててお兄ちゃん! 今すぐその呪縛を、私達4人が解いてあげるから!」

「えぇっ!?」

「お前は何を言っとるんだ!? どこをどう見たら、バージルさんが操られてるって思えるんだよ!? 被害妄想も大概にしろよ! あとちゃっかり俺も巻き込むな!?」

 

 だが、その面倒事は彼を逃がさない。

 なんとこの駄女神は、バージルは操られているが故に、ウィズの味方をしていると言い出したのだ。

 悪い予感が当たったと思いながらも、カズマはすぐさまアクアへツッコミを入れる。

 が、アクアはいつも通り一切聞く耳を持とうとせず、どこからともなく取り出した杖を剣のように構え、狙われて涙目になるウィズと対峙した。

 

「おいめぐみん! ダクネス! お前達からも何とか言ってやってくれ!」

 

 これまたいつものことだが、自分1人では彼女は聞いてくれそうにない。相手がアンデッドだから尚更だ。

 そう思ったカズマは、残り2人の仲間にもアクアを説得するよう助けを求める。

 

 

「ウィズを狙うということは、必然的にウィズの味方をしているバージルと戦うことになる……良い機会です。バージル……今こそ貴方に、爆裂魔法の恐ろしさを思い知らせ、初級魔法以下と侮辱したことを後悔させてやりましょう!」

「すまないカズマ。私も止めるべきだとわかっているが……身体が言うことを聞かないのだ。私の身体が、剣が、魂が言っている……バージルと戦えと!」

「お前ら馬鹿か!? 揃いも揃って馬鹿なのか!?」

 

 が、2人も話を聞かない、己の欲望に忠実な馬鹿だった。

 もうこの3人は駄目だ。となれば、最後の希望は1人しかいない。カズマは頭を抱えながらも、バージルへ目を向ける。

 そう、彼が「くだらん」などと言って無視してくれれば、この場は丸く収まるのだ。バージルが相手にしなければ――。

 

「俺は奴の魔道具店に用がある。店主なくして店は開けん。貴様等が店主を倒そうというなら……返り討ちにさせてもらう」

「(いやそこは無視しよう!? なんでそこ引き受けちゃうの!?)」

 

 しかしバージルは、問題児3人から吹っ掛けられた勝負を引き受けてきた。

 まさかの展開に、カズマはビックリ仰天しながらも心の中で突っ込む。

 

 街外れの共同墓地にて、睨み合うバージルとアクア、めぐみん、ダクネス。そして巻き込まれたカズマ。

 浄化されに湧いて出たアンデッド達と、浄化しに来た筈のウィズが不安そうに見つめる中――戦いの火蓋が、切って落とされようとしていた。

 

 

「(……いや、これなんて無理ゲー?)」

 




見た目年齢はバージル(18~19)よりウィズ(20)の方が年上という事実。

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