どうも、ふぁもにかです。今回はシャマルさんのファンの方々には大変アレな内容になっております。早急なブラウザバックが貴方の心身を救うことでしょう。
閑話休題。ここの所は色んなソード・ワールド動画を見ているのですが、いやはや。どのシリーズも素晴らしいですね。「名も無き冒険者たち」も「シュトライア興産」も「雷光の七班」も「脳筋突破ザントーマ」も「渾然一体ヴァルキュリア」も「釘のサンライズ隊」も「自由奔放ティダーンズ」も「天真乱漫もふりースターズ」も本当に面白い。が、時間がないから中々最新話まで追いつかない不具合。もっと時間がほしいなぁ……
ただ順風満帆なだけの人生は存在しない。
誰であろうと。幸福と不幸を繰り返し、終着点に行きつくのだ。
一寸先には闇があり。またさらに一寸先には光があり。
その度に人は一喜一憂して、時間とともに人間性を成熟させるわけだ。
まぁ、雲雀さんに憑依中の僕が何を言いたいのかというと。
「待ってよぉ~☆ 俺とチューしよーぜぇ♡」
「にゃあああああああああああああ!?」
キス魔おじさんことDr.シャマルに捕捉され、標的とされ、追われている今の恭華さんモードな僕は紛れもなく不幸の時間に突入しているということだ。
◇◇◇
不幸の始まりはほんの些細な出来事からだった。
僕が無事、退院してから月日は流れ。並盛町が冬を迎え、新年を越して。ますます寒さが肌に突き刺さる中。休日だろうと当然のように並盛中に登校し、草壁さんとともに応接室で業務に励んでいた所。ふと、校庭からワーワーと騒ぎ声が聞こえてきた。
ちょうど本日分の業務を終えたばかりということで。僕は温かい緑茶を用意しつつ、窓から外を見下ろすと。眼下には、ツナくんたちが3チームに分かれて派手に雪合戦を行っていた。
様々な思惑が錯綜しつつも純真無垢に、真剣に遊ぶツナくんたちを見て。
ふと。気の迷いか、僕も雪を使って遊びたくなった。童心に返りたくなった。
とはいえ、雲雀恭弥に男装した状態で雪遊びなんてやらかせば、絵面を第三者視点で考えるだけで壮絶なキャラ崩壊だし、その姿を誰かに目撃されたら目も当てられない。
そんなわけで、僕は人気のない公園に場所を移し、恭華さんな服装に着替え。
一人でコツコツと雪だるまを作ることにした。ハルを誘おうかとも思ったけど、やめておいた。
ハルは僕にかなり懐いている印象がある。僕の急な呼び出しがあると、例え新体操部の部活など他の先約があってもほっぽり出しそうな予感がしたからだ。
ボッチで雪だるま作りなんてつまらないと思うかもしれない。
が、何事も凝ろうと思えば集中するし、楽しくもなるものだ。
まして、雲雀さんのスペックがあれば、クオリティの高い雪だるまも容易に作成できる。
モリゾー。キングさよなライオン。ソニック。グレートありがとウサギ。まだ見ぬヒバード。どせいさん。まだ見ぬロール。オプーナ。せんとくん。ヴェルタースおじいさん。などなど。
色んな有名キャラクターを短時間に次々と生み出し、雪景色を背景にしたキャラたちの夢の競演を成し遂げた僕は、達成感を満喫しつつ、携帯で記念写真を撮った。
直後、僕の背後からパチパチパチとの拍手と、声が届いた。
(え、見られてた? 誰に――って。げえッ、Dr.シャマル!? なぜここに!?)
「いやぁ、君凄いねぇ。可愛いだけじゃなくてこんな独創的な雪だるまを作れるなんて、もーぉ反則だよ。ね、チューしていい?」
「え? は?」
「その反応は脈ありだよね? それじゃ、遠慮なくぅ!」
「あ、いや、何その無駄に洗練された無駄な動き! へ、変態! こっち来るな!」
「やれやれ、変態とは心外な。俺は愛の伝道師さ。さ、君も素直になろっか」
(ダメだ、話が通じない! 逃げないと!)
もしも僕が雪だるま作りに没頭しすぎなければ。適度に周囲に目を向けていれば。
シャマルの接近に気づけたはずだ。何たって、雲雀さんのスペックだもの。
しかし現実の僕は気づけなかった。時間は巻き戻せない。手遅れだ。
そんなわけで。僕は今、シャマルに執拗に追われている。ボスケテ。
◇◇◇
「待ってくれよ、かわいこちゃーん♡」
「待つわけあるか! というか、なんで僕をずっと狙ってくるんだ!? 可愛い人なら僕以外にもいるよな!?」
「悪いが、今の俺は君にゾッコンなのさ」
「こんなに嬉しくない特別扱いとか初めてだよ、このロリコン!」
僕の逃亡劇もかれこれ10数分は経過している。その間、僕は逃げながらもシャマルに暴走をやめるよう色々と言葉を投げかけているが、まるでシャマル暴走特急が止まる気配はない。いつの間にか飲酒ブーストもかけているせいか、踏みとどまる判断能力も落ちていそうだ。
正直、これは大ピンチだ。ポイズンクッキングで入院した時以上にヤバい。
シャマルは真面目な時は頼りがいがあるけど、日常編ではフルスロットルで女の敵だ。
京子ちゃんレベルの天然属性がなければ、スルーできないほどの変質者だ。
まさしく事案の権化、ギャグ時空な並盛町でなければ警官と戯れるべき存在だろう。
加えて、シャマルは単なる変質者のようでさりげなく強いマフィア関係者だから厄介だ。
ビアンキのポイズンクッキングの顔面投擲には、ラップ的なもので顔面直撃を防いで回避する。
雲雀さんのトンファーを喰らいつつも、蚊を媒介としてサクラクラ病を伝染させる。
独立暗殺部隊ヴァリアーに誘われるぐらいだ。『厄介』の一言に尽きる。
この辺がフリーの殺し屋:トライデント・シャマルの強みか。なんてこった。
とにかく。下手に攻撃すれば、シャマルに妙な病気を植えつけられかねない。
攻撃できない危ない存在が迫ってくるなら、もはや逃げるしかない。
そもそも、雲雀さんが男装していたのが、過去に男に性的暴行されたとかそんな理由だとしたら、キス魔おじさんとは相性が悪すぎる。いっそ天敵だ。
そういった意味でも僕にはこのまま逃げる選択肢しか残されていない。
しっかし、どこに逃げたものか。自宅バレなんて論外だからと、あてもなくテキトーに逃げ続けてきたけど、未だにシャマルを撒けていない。
逃げた先にツナくんがいればシャマルを押し付けられるのだが、まぁ早々都合よくツナくんとは会えないだろう。さっきまで校庭で雪合戦してたわけだしね。
どうしよう、ホントどうしよう。
さすがにずっと走り続けるのは疲れるから、並盛中で雲雀さんのバイク回収は必須だ。
でも、バイクを使っても、それでもシャマルを撒けない予感がするのは気のせいだろうか。
あぁもう。なんて恐怖体験だよ、これ。今日は厄日であったか。
「わッ!?」
しまった。走りながら考えすぎたせいで、前への注意が足りなかった。
そのせいで誰かとぶつかってしまったけど、幸いにも相手は転んでいない。
ただ僕の方が尻餅をついただけだ。猶予はない、さっさと謝って早く逃げないと。
「大丈夫、ですか?」
「あ、はい。すみません。失礼し――え?」
差し伸べられた相手の手を掴んですぐに立ち上がりつつ、頭を下げて。
ぶつかった相手の顔を見て。知人を前に僕は思わず硬直した。
◇◇◇
並盛中の風紀委員たる秋田勝は寒空の元、精力的に風紀維持活動に励んでいた。
今日は雪が降り積もるほどに寒く、さらに休日だったが、それでも秋田勝は熱心に並盛町の見回りを行っていた。全ては風紀委員として、憧れの雲雀先輩の一助になりたいからである。
安易にホモ扱いしてはいけない一途さが秋田勝には秘められている。
「うぅ、さむッ」
制服を巧みにすり抜けて体を凍えさせる風に秋田がブルリと体を震わせる中。
偶然、近くに置かれた自動販売機が目に入り、秋田はつい足を止める。
(体が冷えてきたし、何か温かい飲み物でも飲もうかな)
秋田は自動販売機の飲み物を凝視しつつ、財布と相談する。
と、その時。ドンと、秋田の肩に少々強めの衝撃が走った。
つい転びそうになったけど、秋田はバランスを取って事なきを得た。
秋田の目の前には、「わッ!?」と声を上げて、尻餅をつく少女の姿。
どうやら自動販売機に気を取られていたせいで、誰かにぶつかったようだ。
「大丈夫、ですか?」
「あ、はい。すみません。失礼し――え?」
自分の不注意で怪我をさせてはいないか。
秋田は心配そうに少女に声をかけ、立ち上がりやすいように手を差し出す。
大した怪我じゃないらしく、少女はすぐに秋田の手を握って立ち上がり、秋田にペコリと頭を下げようとして、意外そうに目を丸くした。
(え? 何だろ、この反応?)
「あの、並盛中の風紀委員の人ですよね? 助けてください、変質者が追ってくるんです!」
秋田が少女の妙な反応に内心でクエスチョンマークを浮かべていると。
ハッと我に返った少女が焦りを多分に含んだ口調で秋田に頼み、秋田の背中に身を隠した。
「変質者?」
「ふぃー、やっと止まってくれたか。君、体力あるなぁ、ビックリだ」
秋田が少女から詳しい事情を聞こうとした時、秋田の前方から声が響く。
視線を向けると、見た目30代半ばな髭の男性が膝に手を置いて荒く呼吸を繰り返していた。
「んあ? 誰だお前? そこのかわいこちゃんの彼氏か何か?」
ようやく呼吸を落ち着かせた男性が顔を上げ、秋田の顔をうっとうしそうに見つめる。
赤らんだ顔からして、男性が真昼間から全力で酔っているのは明らかだった。
「いえ、違いますけど」
「あっそ。じゃ男はあっち行った。シッシッ」
「いや、そういうわけにはいきませんよ。この子から助けてくれって頼まれましたし、風紀委員として、今の貴方は見過ごせません」
「それは言葉の綾。その子が素直じゃないってだけ。いいから彼女と2人きりにさせてくれ」
「嫌です」
「……あんまり大人を怒らせない方が身のためだぞ、少年?」
「自分を大人だって言うなら、もっと大人らしく振る舞ってくださいよ」
「ほう、言うじゃねぇか」
秋田との会話を通じて幾分か酔いを醒ましたらしい男性がニヤリと口角を吊り上げる。
同時に、秋田は悟った。目の前の変質者がただ者ではないと。自分より遥かに強いと。
「な、なんでこの子を追い回してるんですか?」
「なんでって、一目見て気に入ったから以外に理由があるか? 恋に理屈は通じねぇさ」
「この子に恋したからって追い回していいことにはなりませんよ? 怯えてるじゃないですか」
「だから怯えてないって言ってるだろ? 百戦錬磨の俺の目に狂いはない。さ、わかったろ。後ろのかわいこちゃんを渡してくれ」
「い、嫌です。絶対に渡しません」
シャマルから鋭い眼光をぶつけられ、秋田は思わず逃げ出したくなる感情に駆られる。
しかし、秋田は逃げなかった。寸前の所で思いとどまり、男性との対峙を続ける。思い出したからだ。桃巨会のヤクザに絡まれたかつての自分を助けてくれた、尊敬すべき雲雀恭弥の姿を。
今、自分の後ろに隠れている女の子は、かつての自分だ。
怖い人にただ震えることしかできず、助けを求める自分自身だ。
ここで逃げることは、自分を見捨てるのと同じ。だから、譲れない。
「並盛町の風紀を守るのが風紀委員の務めです!」
秋田は虚勢を多分に含んだ宣言をする。
内心では男性に怯えながらも、絶対に退かない意思を示す。
と、ここで。秋田を睨みつけていた男性が「やれやれ」と頭を掻いた。
「あー、ヤダヤダ。これじゃ俺が一方的に悪人じゃないか。……仕方ない、かわいこちゃんとのチューはまたの機会にするか」
男性は興ざめしたと言わんばかりに踵を返し、姿を消す。
すると。秋田の背中越しに経緯を見守っていた少女が秋田に頭を下げた。
「助かりました。ありがとうございます、秋田さん」
「あ、どういたしまして。って、あれ? どうして俺の名前を?」
「あ。……えと、秋田さんの話を恭弥兄から聞いていたので」
秋田が素直に尋ねると、少女は一瞬『しまった』といった表情を浮かべる。
が、少女は何事もなかったように秋田の名を知る理由を口にした。
(え? 恭弥兄って言った? それって雲雀先輩の名前だよね? てことは、もしかして――)
「もしかして君、雲雀恭弥先輩のご家族の方ですか?」
「はい。妹の雲雀恭華です」
「あぁ、先輩の妹さんですか。確かに目つきが似てますね」
「よく言われます。……恭弥兄、秋田さんのこと期待してるみたいですよ?」
「ほ、本当ですか!?」
「はい。風紀委員のお勤め、頑張ってください。それでは失礼します」
少女こと恭華は助けてくれたお礼に秋田が喜びそうな言葉を残し、その場を去る。恭華の口から、雲雀恭弥が自分に好印象を抱いていると知った秋田のテンションが上がらないわけがなく。
「よ、よし! 見回り、もっと頑張るぞ!」
あたかも某ボクシング部部長が憑依したかのように全力で風紀維持活動に取り組むのだった。
雲雀恭弥→本作の主人公。本名は雲雀恭華。今は凡人が憑依している。油断していた所をシャマルに見つかり、全力で逃亡していた。シャマルに『雲雀恭弥=雲雀恭華』とバレていないのが不幸中の幸いか。
Dr.シャマル→闇医者かつフリーの殺し屋なキス魔おじさん。3次元の可愛い女性をこよなく愛する。666の不治の病にかかっており、その不治の病原菌を蚊を媒介にして敵に感染させ、病死させる「トライデント・モスキート」の使い手。つよそう。
秋田勝→2話が初登場なオリキャラ。雲雀に恐怖せずに崇拝している数少ない風紀委員の一人。最近は草壁の出番を奪ってる感が無きにしもあらず。
というわけで、10話は終了です。何だか思いっきりシャマルさんへのアンチ・ヘイトになっちゃった気がしますが、私はシャマルさんが結構好きです。ただ、ここのおにゃのこな雲雀さん(憑依中)とはちょっと相性が悪かったのです。
閑話休題。未来編でも活躍してほしかったなぁ、シャマルさん……(´;ω;`)