どうも、ふぁもにかです。感想欄的には恭華さんのくっ殺展開を想定している方々が多かったようですが、そうは問屋が卸しません。この作品はKENZENなので、あくまでKENZENに事が運ぶのです。R-元服にさせてなるものですか!
「聞き分けはいいけど少々せっかちなんですかね、本当の貴方は。ねぇ――雲雀恭華さん」
「……」
黒曜ヘルシーランド3階。今は朽ち果てた映画館跡にて。六道骸が底冷えのする声で『雲雀恭華』の名を口にした。雲雀は表向きは何ともなさそうな顔をしていたが、内心は穏やかではなかった。ちなみに。ポーカーフェイスなんて別に得意でないのに、雲雀が今の骸の一言でボロを出さなかったのは、以前リボーンに真の性別を見抜かれた前例の賜物だ。
え、ちょッ、は!? はぁあああああああああ!?
なんでバレてるの!? 入念に変装をしたつもりなのに!?
なんですぐバレてしまうん? わけがわからないよ! どういうことなの!?
僕の変装スキルはリボーンの教授のおかげで間違いなく向上している。よっぽどでもない限り、まずバレないレベルには到達しているはず。なのに、どうして。
「名前、間違えてるよ。僕は雲雀恭弥だ」
「おや。これはすみません。雲雀恭華さん」
「……ねぇ、君はさっき聞いた人の名前も覚えられないような単細胞なのかい? 君がさっきから言っているのは僕の妹の名前だ」
「違いますよね。ウソは良くないですよ。なぜか『雲雀恭弥』という偽名を使い、男装をした上で並盛中の風紀委員長をやっている雲雀恭華さん」
「……」
あ、これダメだ。完全に僕の真の性別を確信している奴だ。その手のニッコリ笑顔だ。
ただ鎌をかけているだけかと思いたくてごまかしてみたけど、全然骸くんが揺らいでくれない。
にしても、なんでわかったんだろう。骸くんってつい最近マフィアの刑務所を脱獄したばっかりで、情報収集しようにもそこまで深くは僕のことを探れないはずなのに。
仮に探れるとしても、僕じゃなくてボンゴレ10代目のことをもっと優先しそうなのに。
「クフフ、なぜわかったのかと言いたげな眼差しですね。では、種明かしをしましょうか。貴女はランキングフゥ太を知っていますか?」
「ランキングフゥ太? 何それ?」
「その様子だと、知らないようですね。となると、ハズレですか」
僕はフゥ太を原作知識で知っている。だけど敢えて素知らぬフリをしてみた。
その演技を骸くんが見抜かなかった辺り、僕の変装がバレた説はなさそうだ。
「で、そのランキングフゥ太って?」
「非常に優秀な裏社会の情報屋ですよ。彼の手掛けるランキングの的中率は100%、そのため彼のランキングの内容を記したランキングブックを手に入れたら世界を獲れるとも言われています」
「ワォ、凄いね」
「同感です。僕はそのランキングフゥ太に接触し、ランキングブックから『並盛中ケンカの強さランキング』を見せてもらいました。結果、1位は雲雀恭華という人だとわかりました。そこで早速情報収集してみたのですが、雲雀恭華の暴力的な噂は全然聞こえてこない。聞こえるのは、卓越したケンカの実力で不良を統率し、並盛町で名を轟かせる雲雀恭弥のことばかり。なのに、ケンカランキングに雲雀恭弥の名はどこにも載っていない。……明らかにおかしいですよね。ここから推理すれば、自ずと貴女が男装をして、偽名を使っている雲雀恭華だと見えてくるものです」
「弱い根拠だね。僕は並中生のつもりだけど、実年齢はとっくに15歳を超えているし、並盛中の卒業要件は既に満たしている。僕がそのランキングの並中生の定義に当てはまらなかったからランキングに載らなかっただけじゃないの?」
「クフフ、根拠はまだありますよ。『並盛中歴代風紀委員長のケンカの強さランキング』というものもありましてね。それの1位も『雲雀恭華』で、雲雀恭弥の名は載っていないんですよ。不思議ですね。貴方の妹はいつ、ケンカに長けた風紀委員長になったんでしょうね? 風紀委員長を務めているはずの雲雀恭弥の名がなぜどこにも見当たらないのでしょうね?」
「……」
「お望みなら、もっと根拠を示しましょうか?」
\(^o^)/オワタ
これは、詰みですね。これ以上はもうごまかせる気がしない。
フゥ太くんのランキング能力と骸くんの頭脳のコンビ、マジで怖すぎるよ!
もう雲雀恭弥らしくしている必要はないし、ここからは恭華さんモードの口調でいくか。
「……降参だよ。そうさ、僕は雲雀恭華だよ」
「おや。口調は少し柔らかくなりましたが、素の貴女も一人称は『僕』なんですね。しかし、貴女の正体を知っている今も半信半疑ですよ。今の貴女は男性にしか見えませんからね」
「それは良かった。僕の変装スキルが拙いわけじゃないとわかって安心したよ」
やっぱり僕の変装を見破られたわけじゃないのか。
こういうバレ方もあるとはね。事前に想定しておけばよかった。
「それで? 僕の正体を知った君はどうするのかな?」
「おや。思ったより動揺していないですね?」
「僕の男装や偽名は惰性で続けていただけで、大した理由はないからね。君にバレた所で、弱みにはならないよ。好きにすればいいさ」
そう、当の雲雀さん的には男装や偽名に大層な事情があっただろうから、嫌だと思われるけど。
僕自身は別に雲雀さんの真の性別をバラされても特に痛くないんだよね。
精々、いずれ雲雀さんの精神が帰ってきた時に容赦なく咬み殺されるぐらいだし。
だから、僕のこの秘密を骸くんが知った所で精神的ダメージは負わないし、弱みにもならない。
「……ふむ、虚勢やハッタリではなさそうですね。やれやれ、それは残念です」
「僕の弱みで、一体何を企んでいたのやら」
「クフフ、秘密です」
「で、話は終わりかい?」
「はい、僕からの話は以上です」
「じゃあ次は僕の番だね。君にお願いがあるんだ」
骸くんの話が終わったようなので、僕は例の提案を始める。
黒曜編での並中生の被害者を減らせるかどうかはここからが正念場だ。
交渉相手は切れ者、六道骸。どうなるかわからないけど、上手くいけばいいなぁ。
◇◇◇
(男装や偽名のことをバラさないでくれるに越したことはないけど、バラされたらバラされたで構わない、といった様子ですね。これでは彼女の精神を揺さぶる材料にはできなさそうです)
六道骸は少々肩透かしを食らっていた。
せっかく『並盛中ケンカの強さランキング』1位の雲雀恭華の弱みを掴んだと思っていたのに、当の本人が男装や偽名のことを気にしていなかったからだ。
この弱みを起点として恭華をマインドコントロールし、ボンゴレ10代目を手中に収める手札の1つにすることを視野に入れていただけに、当てが外れたのは地味に残念だった。
「じゃあ次は僕の番だね。君にお願いがあるんだ」
「何ですか?」
「黒曜生が『並盛中ケンカの強さランキング』の24位以上の生徒を襲撃して、順位の数だけ歯を抜こうとするの、やめさせてくれないかな? 君ならできるよね?」
「お断りします。目的を果たせなくなりますので」
「襲撃自体をやめろとは言ってないよ。ただ、襲撃人数を減らして、襲撃方法を変えてほしいんだ。君の目的とやらのためには必ず24人を襲わないといけないのかな? ランキングの順位を示すために、何が何でも歯を抜かないといけないのかな? 襲撃人数なんて10人もいれば充分だし、順位を示す方法も、例えば懐中時計の時刻で示すとか、他に効率的な方法があるはずだ」
「……ふむ、思ったより僕の目的に寄り添った提案ですね。なぜ僕の襲撃自体を止めようとしないのですか? 僕の行いは、並盛町の風紀維持を信条とする貴女にはとても許せないはずでは?」
「確かに許せないね。けど、君に目的があるように僕にも目的がある。完全に襲撃を止められると、それはそれで困るんだ」
骸は雲雀の提案を受けて、しばし思考する。骸の目的をほとんど制限しないだろう雲雀の提案。これを受け入れた場合の今後の展開を軽くシミュレーションした骸は言葉を紡ぐ。
「許容範囲の提案ですね、特に断る理由も見受けられない。しかし、この僕が、何の見返りもないのに、ただの一中学校の主ごときの命令を、素直に聞き入れると思っているのですか?」
「いや、思ってないよ。だからまずは君を咬み殺す。対話でダメなら実力行使、それが高町式交渉術の基本だからね。で、さっきも言ったけど、いつまでソファーに座ってるの? さっさと得物を用意して、構えなよ?」
「おや。先ほども思いましたが、敵にわざわざ準備をさせるとは、優しいですね」
「君のような一筋縄でいかなそうな敵は正面から咬み殺してこそだからね」
「……クフフ、貴女は面白いですね。いいですよ、余興にはちょうどいいでしょう」
一度は仕舞ったトンファーを両手に構えて、ニィと笑みを深める恭華。
そんな恭華のことが幾分か気に入った骸はソファーの後ろから三叉の槍を取り出す。
すると。突如、恭華が骸に背を向け、何もない空間にトンファーを振るった。
直後。ソファー付近の骸の姿が掻き消え、恭華のトンファーで顔を殴られた骸が現れた。
「ッ!?」
骸は驚愕した。実は恭華が入室した時点でソファーの自分を幻覚にすり替えていた骸は、自身が見えないように幻術を施した状態で恭華を背後から不意打ちしようとした。それを未然に防がれたのだ。それも幻術を扱う術者でない恭華にだ。驚くのも無理はない。
「さっきから何かコソコソと手品まがいのことをやっているみたいだけど。僕に小手先の技が通じると思わないことだね」
雲雀恭華に幻術が通じていない。恭華の迷いのない一撃と言葉から、骸は理解した。
頬を強く殴られた痛みを一気にかき消すような衝撃的な事実に骸は目を見開く。
その後、骸は数歩後ずさるも、その場に倒れずに踏みとどまり。
「――クフ、クハハハハ! 貴女は本当に面白い人だ!」
哄笑。そして獰猛な肉食獣のごとき、好戦的な眼差しを恭華に注いだ。
雲雀恭弥→本作の主人公。本名は雲雀恭華。今は凡人が憑依している。実は14話の『一方、来訪者たる雲雀は一瞬、不思議そうな顔をした後に、何事もなかったように骸をまっすぐに見据える』の一文は、既に骸が幻術を行使しているが、雲雀に通じていない伏線だった。
六道骸→黒曜編のラスボス。ボンゴレ10代目を我が物にする際に活用できそうな恭華を、弱みを使ってマインドコントロールしたかったが、思惑が外れた模様。さらには術者じゃないのに幻術が通じないこともあり、ただいま恭華に興味津々。
というわけで、15話は終了です。この度、凡人憑依者が雲雀さんに憑りついたことで生まれた雲雀さんの補正の一部が明かされました。この補正が存在する理由は次回触れますが、チートまっしぐらな補正には変わりないので、「何だよ、主人公最強系かよ」と拒否反応を起こした方は今後はブラウザバック推奨です。
にしても、この手の補正ってリボーン二次創作の強いオリ主モノ&原作沿いのタイプだとほぼ必須みたいなものですよねぇ。それだけ幻術は恐ろしい能力ってことなのでしょう。
~おまけ(もしも正体バレが最悪のケースだったら)~
骸「ところで、貴女の正体を確かめる際にこんなランキングも見てみたのですが、非常に興味深いことが書かれていますね(←1枚の紙を恭華に渡す)」
恭華「え?」
『雲雀恭華のバレたら嫌な秘密ランキング』
1位 実は別人が憑依していること
2位 原作知識を知っていること
3位 着ぐるみパジャマで徘徊していること
4位 男装をしていること
5位 偽名を使っていること
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骸「この1位の件、非常に興味深いですね。あと、原作知識って何ですか?」
恭華「う、うわぁああああああああああ!!(←現実逃避)」
こんな展開じゃなくて良かったね!