†ボンゴレ雲の守護者†雲雀さん(憑依)   作:ふぁもにか

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 どうも、ふぁもにかです。何だか上条さんが登場しそうなサブタイトルですが、この作品はクロスオーバーしないので、その辺の心配はしなくて大丈夫です。にしても、骸さんの描写をしていると、何かジェイド・カーティスに見えてくる不思議。陰険、はそうかもしれないけど、別に骸さんってばメガネじゃないのに。どういうことなのか、これがわからない。



風紀16.†幻想殺しで風紀を守ろう†

 

 

 黒曜ヘルシーランド3階。今は朽ち果てた映画館跡にて。

 六道骸が幻術を仕掛けるも雲雀恭華に全く通じず、恭華のトンファーで顔を殴られた時。

 ほんのわずかな時の中で。恭華の思考回路はいつになく、ギュンギュン稼働していた。

 

 

 やっぱりだ。僕に骸くんの幻術が効いていない。

 僕は特に幻術対策していないのに。超直感なんて備わってないのに。

 それでも僕の目は骸くんの幻術を見破っているらしい。

 

 骸くんの待つ映画館に入った時、僕は2人の骸くんを見た。

 1人は奥のソファーに悠々と腰掛ける骸くん。

 もう1人は僕から10メートルほど距離を置いて、真横から僕を眺める骸くん。

 前者は半透明の立体映像みたいに透けていて、後者はしっかりと実体を持っていた。

 

 最初は『六道骸、実は双子説』とか生まれて少々混乱したが、今は理解している。

 半透明の方が幻術で、後ろが透けていない方が本物ということだ。スケスケだぜ。

 だけど、どうして僕に幻術が効かないのだろうか。原作雲雀さんには通じるのに。

 ……ん? 普通の雲雀さんには幻術は効く。でも憑依された雲雀さんに幻術は効かない。

 

 あ、これ。もしかして。幻術の効果範囲は雲雀さんの体だけ、ということじゃないか?

 いくら雲雀さんの体は騙せても。脳は騙せても。心はあくまで僕。雲雀さんとは別物の異物だ。

 だから、幻術で僕は騙せない。僕が雲雀さんに憑依中という状況を骸くんが知らない限り、騙しようがないのだ。

 

 例えるなら、今の僕はガンダムの搭乗者みたいなものだ。

 いくらガンダム本体に幻術を仕掛けようとも、搭乗者には何ら影響は及ばない。

 雲雀さんの体を通して、食事の味を楽しめたり、運動すれば疲れたりと、感覚を感じていたので、てっきり僕は雲雀さんの体と一体化しているものと考えていた。

 でも、本質的には僕は雲雀さんの体を自在に操作するプレイヤーみたいなものだったわけだ。

 ゲームのキャラクターが毒状態になった所でゲーム画面の先のプレイヤーも連動して毒を喰らわないように、雲雀さん自体が幻術にかかっても、僕に幻術の効果は届かない。

 

 要するに、僕に幻術は通じない。多分、精神干渉系の技も通じない。

 この幻術無効化能力、名づけるなら――†幻想殺し†(イマジンブレイカー)

 【緊急】雲雀さんに憑依したと思っていたら実は上条さんに憑依していた件。並盛町は学園都市だった? 早く男女平等パンチを習得しなきゃ――っとと、ちょっと脱線してしまった。

 

 とにかく、僕の幻想殺しは重大なアドバンテージだ。

 リボーンの世界で、幻術の通じない体がどれほどチートかは語るまでもない。

 今後ボンゴレに立ちはだかる強敵は、大抵幻術を使ってくるからだ。

 幻術を制する者はマフィア関係の戦闘を制する。持論だが、そう言っていいほどのメリットだ。

 

 ……これは、骸くんの幻術を無効化できるとなると、いけるかもしれない。

 ちょっと整理してみよう。骸くんの右目に宿る六道輪廻の詳細はこんな感じだ。

 

 一.地獄道:永遠の悪夢により精神を破壊する能力(幻術)

 二.餓鬼道:技を奪いとるスキル(他者に憑依中に使用可能?)

 三.畜生道:人を死に至らしめる生物の召喚(おそらく動物全般)

 四.修羅道:格闘スキルの向上(雲雀さんクラスの戦闘能力)

 五.人間道:修羅道以上に格闘スキルを向上させて最も危険なスキル(ちょおつおい)

 六.天界道:マインドコントロール(骸くん的には契約?)

 ※参照元:六道骸のキャラソング「霧の憑依」の歌詞

 

 地獄道は僕の幻想殺しで容易に攻略できるから問題ない。

 餓鬼道は骸くんが他者に憑依中に使える技って印象だから、今は無視してよさそう。

 畜生道は毒蛇の他にも飢えたライオンとか召喚しそうだから要注意。

 修羅道は戦闘能力を跳ね上げるけど、原作のボロボロ雲雀さんでも喰らいつけたから大丈夫。

 人間道は正直使われるとマズいけど、骸くん自身が使用を控えてるから警戒は不要。

 天界道は骸くんの三叉槍の穂先で傷つけられさえしなければいい。

 

 結論。人間道を使われない限り、割と勝算ありそうだね。幻想殺し様様だよ。

 にへへ。ほぼ負け戦だった所に唐突に勝算が見出されたせいか、ワクテカしてきた。

 よし、やろう。骸くんに勝って、「いやぁ、六道骸は強敵でしたね」と微笑んでやるんだ!

 

 

 ◇◇◇

 

 

「――クフ、クハハハハ! 貴女は本当に面白い人だ!」

 

 六道骸は心底愉快そうに笑った。

 なぜなら、幻術が全く効かない相手は初めてだからだ。

 幻術を見破る者は時折存在する。同じ幻術使いなら容易に相手の幻術に惑わされないし、直感なんて理屈をすっ飛ばした理由で幻術に囚われない猛者もいる。

 

 だが。雲雀恭華には幻術がまるで効果を示していないのだ。

 幻術で相手の脳を騙せる、騙せないなんて次元じゃない。

 雲雀恭華の前では、幻術が当然のように無効化されているのだ。

 これが笑わずにいられるものか。骸は爛々とした眼光を恭華に注いだ。

 

 

「捕まえて、隅々まで調べたくなってきました」

「言いたいことはわかるけど、もっと言葉を選べないのかな?」

「おや。では改めて――貴女の四肢を解剖台に拘束して麻酔なしで切り開きたくなってきました」

「違う、そうじゃない!」

 

 骸の発言から実際の解剖風景を想像してしまったのか、恭華はブルリと体を震わせる。

 一方、骸は地獄道で全長50メートル級の大蛇の幻術を作り、恭華に大蛇を差し向ける。

 シャアアアアと叫ぶ幻術の大蛇。その迫力ある幻術の中に、骸は畜生道から全長1メートル程度の毒蛇を計5匹、忍ばせている。が、雲雀はすぐさま大蛇の中に潜む毒蛇の頭をトンファーに仕込まれた銃弾で次々と撃ち抜いた。

 

 

「こういう手品は通じないと言ったはずだけど?」

「念のためですよ。あと、この技術は一般に幻術と呼ばれています」

「へぇ」

 

 今度は僕の番だと言わんばかりに恭華は一気に骸との距離を詰める。

 骸は修羅道を用いて己の戦闘能力を跳ね上げると、恭華の容赦ないトンファーを敢えて紙一重でかわす。その後、恭華の腹部に三叉槍の柄で突かんとする。

 が、直前で反応した恭華が左のトンファーで三叉槍を床に叩きつける。続けて右のトンファーで骸の下顎を打ち抜こうとするも、骸が瞬時に後退したため、トンファーは虚空を掠めるのみだ。

 

 

「やるね」

「貴女も中々だと思いますよ」

 

 まずは互いに様子見の攻撃をした両者は内心はともかく、表向きには相手の戦闘センスを褒める。その後、2人は再び衝突した。長い得物を持つ骸は恭華との距離が縮まりすぎないように気を遣いながら、柄で、穂先で恭華を貫かんと三叉槍を振るう。

 

 対する恭華はトンファーから射出できる銃弾で骸の移動先を制限しつつ、骸の懐に飛び込み、怒涛の殴り込みを行うべくトンファーを振るう。その際、どれだけ三叉槍で体を打ち付けられようとも、恭華は止まらない。恭華的には多少怪我を負おうとも、三叉槍の穂先で傷つけられなければいいのだ。それに、守る戦い方はらしくない。恭華の猪突猛進スタイルが起因する所である。

 

 

(クフ、恭華さんは実に戦闘狂ですね)

 

 無傷での勝利を捨て、本気を出して戦う恭華に、骸の修羅道は喰らいつくので精一杯。当然、骸も無傷ではいられず、その身にトンファーの打撲痕が次々と刻まれる。

 人間道を用いれば恭華を倒せる可能性は高いが、その選択肢を選びたくない骸は、代わりに自身に接近中の恭華に向けて畜生道から獰猛な虎6匹を召喚した。

 

 

「「「「「「グァァァァアアアアアアウッ!」」」」」」

「へぇ、迫力あるね」

 

 虎は映画館跡をビリビリ震わす唸り声と共に一斉に恭華へと飛びかかる。

 骸から恭華の姿が見えなくなるも、直後。6匹の虎は恭華の渾身のトンファーを体に打ち付けられ、それぞれ四方八方へ吹っ飛ばされていった。が、虎が何もできなかったわけじゃない。虎の爪は恭華の体にいくつもの裂傷を刻み、さらには恭華の左肩を深々と突き刺していた。

 

 

「くッ……」

 

 恭華はダクダクと左肩から血を流し、握力が弱まったのか、左のトンファーを落とす。

 この好機に骸は攻め込んだ。三叉槍の柄を迅速に繰り出し、恭華の首を打ちつけようとする。恭華が右のトンファーで骸の三叉槍を下から殴り、柄の方向を恭華の首から頭上へとズラす。が、骸はこの瞬間を待っていた。恭華の戦闘スキルから、こういう対処をしてくれると期待していた。

 

 

(決まった)

 

 骸は柄での突きをピタリと止める。そして、トンファーで殴られた衝撃を利用して、三叉槍を一回転。恭華に穂先が向こうとした所で、骸は逆袈裟を振るった。恭華は骸が迅速に攻撃を切り返してきたことにわずかに反応が遅れ、三叉槍の攻撃を右のトンファーで防ぐことや、回避行動が間に合わない。骸は勝利を確信した。この三叉槍で傷を入れたら、契約が成立するからだ。

 

 要は恭華の体を乗っ取れるようになるのだ。相手の体を自由に動かせる権限を得た時点で勝負は決まったも同然なのは想像にたやすいだろう。しかし、骸は忘れていた。恭華の提案にしろ、幻術の利かない幻想殺しな体質にしろ、とにかく雲雀恭華は常識に留まらない規格外であることを。

 

 

「させないよ」

 

 恭華は左手で骸の三叉槍の穂先をギュッと掴んだ。これにより、恭華は三叉槍で斬りつけられることはないが、左手に傷がつき、骸との契約が成立する。そのはずだった。しかし、三叉槍が恭華の左手に切り傷を生むことはなかった。恭華の掴んだ穂先の部分がボロボロと溶け始めたからだ。

 

 

「なッ!?」

 

 思わぬ異常現象に骸は思わず恭華から飛びのく。その後、バッと三叉槍を見やるが、既に穂先はデロデロに溶けきり、消失していた。この時、ブショアアと溶ける音が嫌に骸の耳についた。

 

 

「間一髪だね。危ない危ない」

「貴女は一体、何を――」

「話すと思うの? ただ、切り札を1つ切っただけさ」

 

 ホッと息を吐く恭華にたまらず骸が問いかけるも、当然ながら恭華はネタばらしをしない。恭華が何をしたのか。答えは簡単、とっさに左袖に忍ばせていた『溶解さくらもち』を左手に取り出し、『溶解さくらもち』ごと三叉槍を掴み、穂先を溶かしたのだ。

 

 『溶解さくらもち』とは、ビアンキが手掛けるポイズンクッキングの一種で、様々な物体を腐らせる効果を持っている。そう、恭華は料理の勉強をする中で、メシウマヒロインを極めるだけでなく、メシマズヒロインの道も同時に模索し、切り開いていたのだ。

 

 本人の発想的には、『ちょっと僕もツナくんみたいに零地点突破してみたい→でも僕にボンゴレの血は流れてないから本家の零地点突破はできない→何のスキルなら零地点突破してマイナスの境地に至れるだろうか→ふむ、料理スキルとかどうだろう→メシマズとメシウマとを使い分けられる女の子って斬新で素敵だよね?→よし、ポイズンクッキングを練習してみるか』とのルートを辿っている。結果、恭華は弛まぬ実践の果てに『溶解さくらもち』をマスターし、『料理スキルの零地点突破・†ポイズンクッキング(ヴェレーノ・クチーナ)†』などと勝手に名付けている。何てフリーダムな発想だろうか。

 

 だが、恭華に憑依中の凡人はネタでポイズンクッキングの練習を始めたわけじゃない。原作の雲雀さんとは違ってメンタルが弱い凡人は、ごり押しには不利な女の子の体に憑依中の凡人は、今後の危険なリボーン世界を生き残るために、なるべく切り札を多く揃える心積もりなのだ。だから、仕込みトンファーに銃機能を追加するし、ポイズンクッキングも一部取得する。1だけ努力すれば10の結果が伴ってくる、雲雀さんの天才スペックを利用して多彩な攻撃手段を用意する。その心構えが今、骸の三叉槍を防いでマインドコントロールを許さない未来を生成したわけである。

 

 

「ところで、僕も君も中々にボロボロになってきたけど、まだ戦う? これ以上続けるなら、どっちもタダじゃ済まないと思うよ?」

 

 戦況が膠着状態となる中。恭華は落としていたトンファーを左手で拾いつつ骸に尋ねる。

 すると、骸は三叉槍や自身の体を軽く一瞥して、逡巡の後に口を開く。

 

 

「……そうですね。これ以上消耗するのは得策ではありません。わかりました、貴女の提案を受け入れましょう。僕の目的と関係ない貴女との戦いにうつつを抜かし、本懐を遂げられなければ本末転倒ですしね」

「そう」

「ただし1つだけ条件があります」

「なに?」

「このまま引き分けだと面白くないので、またいずれ、雌雄を決しましょう」

「……ま、いいよ。僕も勝敗がハッキリしてる方が好きだから」

 

 骸が提示する条件に恭華は意外そうに目を見開くも、しばしの沈黙の後に首肯する。再び骸と戦うことになれば、三叉槍で傷つけられ、マインドコントロールされる可能性はある。だが、恭華は黒曜編を終えた後の骸にはそこまで危険性がないことを知っている。ゆえに、申出を受諾した。

 

 

「おや、気が合いますね」

「僕を解剖したがっている人に言われても嬉しくないね」

「クフフ、あれは愛情表現ですよ」

「目が笑ってないよ?」

 

 その後、恭華は骸と軽口を交わしつつ黒曜ヘルシーランドを後にする。

 かくして。恭華は黒曜編での並中生の被害を減らすことに成功した。

 

 




雲雀恭弥→本作の主人公。本名は雲雀恭華。今は凡人が憑依している。本人は凡人のつもりだが、たまに深夜のテンションのごとき謎の発想の元で活動する。幻想殺しの恩恵のおかげで骸と割と対等に戦うことができた。骸に勝利できなかったのが少しだけ残念らしい。
六道骸→黒曜編のラスボス。恭華に幻術が通じないため、主に畜生道と修羅道を用いて戦闘に臨んだ。人間道を使えば恭華に勝てたのに使わなかったのは、それほどまでに人間道が嫌いだったのか、それとも恭華のことをある程度は気に入ったのか。

 というわけで、16話は終了です。上手いこと恭華さんと骸さんとの戦闘は引き分けに終わったのですが、うん。戦闘描写の劣化具合がヤバい件。どうしよう。こうも私の描写力が衰えているとは思いませんでした。ライトノベルを読んで勉強しなきゃ。
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