†ボンゴレ雲の守護者†雲雀さん(憑依)   作:ふぁもにか

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 どうも、ふぁもにかです。今の所、前半に雲雀さん視点の描写、後半に他のキャラ視点の描写で突き進んでいるこの作品ですが、今回は結構意外なキャラが後半に登場します。あの2人の絡みって相当レアな気がするのですが、どうなんでしょうね。



風紀3.†すやすやお昼寝で風紀を守ろう†

 

 光陰矢の如しとはよく言ったもので。

 僕がこの世界の女の子の雲雀さんに憑依してからある程度の日数が経ち。

 ついに沢田綱吉を筆頭とした主人公勢が並盛中に入学した。

 これで、ツナくんが1-Aのクラスメイトたちにダメツナダメツナと言われるようになれば、ツナくんの元に家庭教師のリボーンが現れ、原作が始まることとなる。

 ボケーッとしていたら命を失いかねない、ツナくんの激動の日々が始まるのだ。

 

 しかし、原作準拠の流れなら雲雀さんの登場は2学期になってからだ。

 僕はもう少しだけのんびりできることだろう。ツナくんと違って。

 

 基本的に、この手の作品内のキャラに転生なり憑依なりした人物のスタンスとしては、原作への積極的介入、原作の野次馬的傍観、原作介入の徹底的回避などが挙げられる。

 僕は雲雀さんらしい言動を心掛けているため、原作との接触は避けられないだろう。

 並盛を物理で支配する僕が遅かれ早かれリボーンに目をつけられないはずがない。

 

 ただ、僕はツナくんたちと出会うその日までただ座して待つつもりはない。

 僕はある理由から、リボーン以外のとあるマフィア関係者に早めに接触するつもりでいる。

 この世界には原作があるとはいえ、何もかもが原作通りになるとは限らない。

 僕が本来の雲雀さんのように所構わず暴力を振りまいていないことからも明らかだ。

 ゆえに、何が起こっても大丈夫なように少しでも準備が必要なのだ。

 

 とはいえ、今は時期じゃない。

 急いては事を仕損じるし、時期を見誤っては成功するものも失敗してしまう。

 ということで、僕は今日分の風紀委員長としての仕事を終え、校舎の屋上へ足を運んだ。

 この雲雀さんボディが可及的速やかなお昼寝を欲しているからだ。

 

 何気に雲雀さんの体は常時寝不足状態である。

 葉が落ちる音で目を覚ます雲雀さんはまともに何時間もぐっすり眠れないのだ。

 いくら夜中でも、家の中や外から一切音がしない状況が何時間も続くことはマレなのである。

 ゆえに、態度にこそ出ないが、雲雀さんはいつも眠気を堪えていたりする。

 これ、詳しいことはわからないけど、睡眠障害なんじゃないのかな。

 

 とはいえ、雲雀さん的には寝不足は何ら問題ない症状なのだろう。

 考え方を変えれば、寝不足なのは、眠りたいと思ったらいつでも眠れるということなのだから。

 それに雲雀さん的には寝ている時間こそが至高なのだろうと僕は考えている。

 なぜなら、寝ている時だけは絶対に誰とも群れずに済むから。

 

 雲雀さんは群れることを非常に嫌う。

 しかし、人間である以上、程度の差こそあれ群れることからは避けられない。

 雲雀さんのように、並盛の風紀を守ろうと考えているならなおさらだ。

 しかし、寝ている時は関係ない。群れずに、自由にいられる。

 眠ることは、雲雀さんがいかなる概念にも囚われない、至福の時なのだ。

 あ、夢の中で草食動物たちがわらわらしていたら話は別だけどね。

 

 というわけで、雲雀さんの言動をなるべく踏襲しておきたい僕もすやすや眠ることにする。

 4月の日差しはぽかぽかとしていて、お昼寝には最高の季節だ。

 その辺に仰向けになって、目を瞑れば……1、2、ほら。( ˘ω˘)スヤァ

 ホント、雲雀さんの寝つきの良さもまた素晴らしいよね。

 

 

 ……ふと思った。

 寝不足を解消したいのなら、高級耳栓でも購入すればいいのではないかと。

 その時、歴史が動いた。なんてね。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 根津銅八郎は並盛中の理科を担当する55歳の男性教師である。

 生徒からの根津への評判はすこぶる悪い。誰もが根津の名前を聞くと、しかめっ面をする。

 根津は授業中やテスト返却中に成績の悪い生徒を吊し上げ、公開処刑するからだ。

 

 しかし、根津は自分に対する生徒の評価などどうでもよかった。

 根津はバカな生徒を筆頭に、並盛中から気に入らない生徒を排除したい欲求に駆られていた。

 例え自分への心証が害されようと、とにかく頭の出来のよろしくない生徒を退学させたかった。

 

 頭の悪い生徒は目障りだ。まるで学生時代の私を見ているようでムカつくからだ。

 不良な生徒は排除対象だ。学生時代の冴えない私を喜び勇んで虐げてきたからだ。

 中学生レベルの授業内容を理解できないアホ生徒など、中学校に馴染めず道を踏み外す沸点の低い不良など、社会のゴミだ。ゴミの処理、これを私が担って何が悪い。

 

 根津は己の打ち立てた身勝手な基準を用い、勝手に生徒をゴミかそうでないかを判別する。

 こんな歪んだ教師スタイルを取る根津である。ストレスが溜まらないわけがない。

 いくらゴミ生徒を退学に追いやっても、新たなゴミ生徒が湧いて出てくる現状に行き場のないイライラが募らないわけがない。

 

 

(なぜだ、なぜゴミが減らない! こんなにも私が率先してゴミを処分しているのに……!)

 

 昼休みにて。根津は苛立ちをそのままに階段を踏みつけながら屋上へ足早に向かう。

 バンと力任せに扉を開けて、スーツの内ポケットからタバコを取り出した時、根津は先客がいることに気づいた。雲雀恭弥。並盛町を暴力で支配する、並盛中の風紀委員長だ。

 

 

(くそッ、なんで教師の上に平然と生徒が居座っているんだ! 私は東大卒だぞ!)

 

 いつもの根津なら雲雀の姿を捉えた瞬間、すぐさま踵を返していたことだろう。

 しかし、今日の根津は大層イラついていた。呑気に眠る雲雀を一瞥すると、タバコに火をつける。そして、雲雀の顔にタバコを押し付けようとする。

 

 

(これは社会を知らないくせに我が物顔で偉ぶる生意気坊主への社会的制裁(きょういく)だ!)

 

 根津の口角が凶悪に吊り上がる。

 数秒後の、あの雲雀恭弥が火傷にのたうち回る姿を想像したからだ。

 

 

「ねぇ。僕の眠りを妨げると、どうなるか知っているかい?」

 

 しかし、根津の思惑は現実とならなかった。

 根津が乱暴に扉を開けた時点で目を覚ましていた雲雀がパッチリと目を開けて、底冷えのする声をぶつけてきたからだ。

 

 

「ひ、ひぇッ!? ぼ、暴力か!? 暴力反対!」

「……」

 

 ひょいっと体を起こす雲雀に、根津は尻餅をつく。

 腰の抜けている根津は雲雀の暴力に怯え、体を縮こまらせるも、当の雲雀は攻撃してこない。

 ただふわぁーと、マイペースにあくびをしているのみだ。

 

 ここで根津は思い出した。

 自分と似たような思想を持つ教師が以前、話していたことが脳裏をよぎる。

 彼曰く、最近の雲雀は腑抜けている。おそらく嫌味を言った程度では、暴力を振るわない。

 雲雀が手を出してこないのなら、何を怯える必要があるだろうか。

 

 

「おい、雲雀恭弥ぁ。あ、あくまで仮定の話だが、いつまでも中学校を卒業せず、この学歴社会において邪魔にしかならない不良どもを束ねているトップがいるとしよう。エリートコースを歩んできた私が推測するに、そういう奴は所詮井の中の蛙、大海を知らない。いくら狭い世界で頂点に君臨しようと、暴力で集団を統率する、協調性皆無な奴に社会の居場所はない。そんな人間に果たして、生きる意味があると思うかね?」

 

 根津はクククッと喉を震わせながら雲雀を精神的に傷つけにかかる。

 根津は常々思っていた。雲雀恭弥こそが、並盛中にこびりつく最も厄介なゴミだと。

 そのゴミを処分できる機会が今、巡ってきている。このチャンスはモノにするべきだ。

 

 あの雲雀相手にこの程度の言葉責めで効果があるとは思えない。

 だから、積み重ねるのだ。敵意を持った言葉はナイフとなって心を傷つける。

 自分では平気と思っていても、人は案外、悪口への耐性がない。心の盾は簡単に用意できない。

 多感な10代ならなおさら、雲雀だって例外ではないはずなのだ。

 

 

「否定はしないよ。けど、居場所がないのなら作るまでだよ」

「は、はぁ?」

「僕ならできる。東大を卒業したとうそぶく君にはできないだろうけど」

「なぁッ!?」

「僕が何も知らないとでも思っているの? 経歴詐称で教職に就いた、5流大学卒の草食動物くん。学歴アレルギーも大変だね」

「な、なななななな――」

 

 根津の嫌みのお返しとばかりに雲雀の投じた爆弾発言に、根津はただ驚くことしかできない。

 確かに雲雀は理不尽な物理的暴力を振るわなくなった。しかし、言葉で相手を追い詰めないとは言っていない。根津は雲雀を下に見過ぎていたのだ。

 

 

(マ、マズい。私の経歴詐称をバラされたら一環の終わり……!)

「君の経歴詐称を告発するつもりはないよ」

「へ?」

「僕が君を排除しないのは、必要だからだよ。社会というくだらないシステムは皆が皆、善人では成り立たない。一定数のゴミがいるから、社会は均衡を保てる。そう、君は並盛中に必要なゴミさ。他者をゴミだゴミだと見下す君こそがより劣悪なゴミなのさ」

「……」

「ま、僕が直接手を下さずとも近い将来、君は破滅する。芸術的な悲鳴を楽しみにしているよ」

 

 雲雀はただ立ち尽くす根津を放置して屋上を後にする。

 しばらく突っ立っていた根津は、ハッと我に返る。怒りに肩をワナワナと震わせる。

 

 

「あ、んのガキッ……! 生意気言いやがってぇぇええええええええ!! クソッ! クソ、クソッ! クソ野郎がぁぁああああああああ!!」

 

 根津は50代男性の体面を置き去りにして地団太を踏む。

 その後、根津の心に燻る激情はますます頭の悪い生徒への八つ当たりに向けられるのだった。

 

 




雲雀恭弥→本作の主人公。本名は雲雀恭華。今は凡人が憑依している。ほんの些細な音でも目を覚ますため、寝不足である。眠気を隠そうとして、でも微妙に隠しきれてない感じな雲雀恭華さんの姿を妄想してみると凄く「うむッ!」ってなるのはここだけの話。
根津銅八郎→並盛中の理科を担当する55歳の男性教師。事あるごとに自身が東大卒であることやエリートの中のエリートであることを自慢しつつ、頭の悪い生徒をいじめて憂さ晴らしをしているため、彼の評判は地に落ちている。本人は気にしていない。ちなみに、東大卒だと経歴詐称をしているが、そのことを55歳になるまで悟らせなかった猛者でもある。

 というわけで、3話は終了です。まさかの根津先生登場の巻。ま、原作が始まったら速攻で経歴詐称が明るみに出てしまい、人生終了しちゃうキャラなので今の内に登場させておきたかったんですよね。……それにしても、この作品の後半部分の視点が草壁さん→秋田勝→根津先生と男ばっかりな件。そろそろ女の子の視点も描写したいなぁ。
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