†ボンゴレ雲の守護者†雲雀さん(憑依)   作:ふぁもにか

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10年後恭華「匣兵器の研究をしててふと思ったんだけど……雲の炎の属性:増殖を上手く活用すれば全世界のハゲに悩む方々を救えるのではなかろうか」
ニゲラ・ベアバングル「その発想はなかった。天才かよ」

 どうも、ふぁもにかです。今回は早速例外発動のため、10年後の描写しかしません。せっかくのガンマ戦だからと、張り切って執筆していたら思ったより文字量が膨れ上がりましたからね、仕方ありませんな。ちなみに。ネタバレですが、雲ハリネズミのロールさんの出番はお預けです。

ロール「キュッ!?」

※一々地の文で「10年後恭華が――」と描写するのがくどく感じられてきたため、今回は普通に『恭華』で統一していますので、あしからず。



風紀32.†匣兵器ラッシュで風紀を守ろう†

 

 

 並盛神社にて。雲雀恭華と対峙するミルフィオーレファミリーの第3アフェランドラ隊の隊長ことγ(ガンマ)は、恭華に舐められていることへの怒りや苛立ちを抱えながらも、激情を剥き出しにすることなく冷静に恭華を見つめる。

 

 

 ――確かに僕があんまり強くないのは認めるよ。だけど、恭弥兄から借りた匣兵器におんぶに抱っこスタイルでいけば……ま、何とかなるんじゃないかな? 君程度、余裕余裕♪

 

 

 いくら相手が匣兵器を持っているとはいえ、ミルフィオーレの精鋭であることを表す6弔花の1人であり、精製度Aランク以上ゆえにより純度の高い炎を活用できる雷のマーレリングを所持している俺が、ボンゴレ10代目の雲の守護者の妹ごときに負けるはずがない。

 が、なぜか。俺の直感が、奴を警戒しろと声高に叫んでいる。命がけが常なマフィアの世界で長らく生き抜いてきた歴戦の勘が、決して慢心するなと警鐘を鳴らしている。

 

 

(この手の感覚には従うに限るな。それが賢い生き方だ)

 

 そのため。ガンマは自分からは仕掛けず、恭華の出方を待つ。

 恭華の一挙手一投足にしかと目を配り、平常心の維持に努める。

 

 

「さぁ、始めようか」

 

 恭華は右手の中指にリングを嵌めると、ボウッと雲の炎をリング上に生成した。

 

 

「なぁッ!?」

 

 ガンマは驚愕した。恭華が装備しているのは一見、己の持つマーレリングより遥かに精製度の低いリングだ。精々Cランクだろう。なのに、雲の炎がバカでかいのだ。少なくとも雲の炎は恭華の体の2倍以上に膨れ上がっているのだ。

 

 一体、どれほどの覚悟を胸に秘めていれば。これほど膨大な炎を生み出せるというのか。いや、そもそも精製度Cランクのリングが彼女の強大な波動エネルギーに耐えられるはずがない。リングが壊れ、使い物にならなくならなければおかしい。なぜ。なぜだ。

 

 

「簡単な話だよ。大きな炎を出してなおリングが壊れないのは、これが純度を極限にまで低めた脆い炎だからだよ。胸中に秘める覚悟をコントロールして炎の純度を低めれば、例え粗製なリングで大きな炎を出した所でリングを壊さずに済むってわけ。で、このテクニックの何が良いって――」

 

 ガンマの脳内で渦巻く疑問を読み取った恭華はニコニコと笑みを浮かべつつ解説する。

 そして。ギュッと右拳を握る。瞬間、今までは薄かった紫の雲の炎が、一気に濃くなった。

 

 

「――低ランクのリングでも一瞬だけ、純度が高くて大きい炎を創出できる所なんだよね」

 

 恭華は己の覚悟を調整し、リング上の雲の炎の純度を一気に高め、匣にリングの炎を注入する。

 そして。恭華が匣をガンマへと向けると同時に恭華のリングはパリンと粉々に砕けた。

 

 

(精製度の低い指輪でも高密度の炎エネルギーを活用できるように我流のテクニックを編み出すとは……こんな奴は初めてだ)

 

 恭華の匣の一面がパカッと開き、中から勢いよく何かが飛び出してくる。

 ガンマは恭華の匣兵器の正体を知るため、自身の雷狐2匹をぶつけることにした。

 互いの匣兵器が激しく衝突し、拮抗したことで、ガンマは恭華の匣兵器を視認できた。

 

 

「これは、アリか? それにしては、大きいな」

「正解。恭弥兄は群れる習性を持つ動物とか大嫌いだから、僕に快く貸してくれるんだよね」

 

 全長70センチほどだろうか。やけに大きく黒いアリが全身に雲の炎を纏いながら、電狐に力で押し勝とうと、衝突を続けている。これほどアリのサイズが大きいのは、恭華がとんでもない量の雲の炎を匣に注ぎ込んだからだろうか。

 

 

「お次はこれだよ」

 

 見た所、雲アリの相手は電狐たち――コルルとピジェット――に任せてよさそうだ。ガンマは己の判断の元、恭華と直接戦うべく、一息に距離を詰めようとする。一方。恭華は新たなリングを指に装備し、レディーススーツの内側に固定していた匣に雲の膨大な炎を注入する。刹那。パリンとのリングの破砕音の後。ドシュゥゥと、恭華を起点に白色の煙幕が辺り一帯を白く染め上げた。

 

 

(煙を出す匣で目くらまし……正面から戦うのを避ける狙いか?)

 

 この戦法を選ぶのなら、雲雀恭華は本人の申告通り、戦闘能力に長けていないのだろう。なら、この視界を妨げる煙を晴らすまで。ガンマは雷の炎を纏い、宙に浮遊するビリヤード球をキューで突く。ビリヤード球はガンマが思い描いた通りに他のビリヤード球とぶつかり合い、次々と地面に突き刺さる。そして。ビリヤード球の雷の炎を一気に放出して煙をかき消そうとした、その時。

 

 

「……」

「おっとッ!」

 

 ガンマの側面から白煙を切り裂くようにして恭華が飛び出し、装備していたトンファーで無言のままガンマに襲いかからんとしていることに気づいたガンマは間一髪、背後に飛び退く。すると、恭華はガンマに追撃せずに煙の中に姿を消した。

 

 

(どうもこの煙を消されるのは都合が悪いらしいな)

 

 煙なんて消された所で再び匣に炎を注入して新たな煙を放出すればいいだけ。普通ならそうだ。しかし、彼女は俺が煙を消すのを体を張って妨害してきた。戦闘能力が高くないはずなのに。

 

 ……彼女は匣兵器を用いる度にリングを使い捨てにする戦法を採用している。もしかしたらリングのストックが心もとないのかもしれない。そのようにガンマが推測を立てていると。今度はガンマの背後から恭華が攻撃を仕掛けてくる。

 

 

「残念だったな。煙で俺の視界を封じたつもりのようだが……煙の動きで居場所はわかるもんだぜ?」

 

 だが。恭華の居場所をうねる煙の様子から察知していたガンマは恭華から離れるように前方に駆ける。そして、クルリと恭華へと振り返り、ガンマの動きに呼応して再び宙に浮かび始めたビリヤード球をキューで突く。結果、ビリヤード球は互いに弾き弾かれ、最終的に恭華を取り囲むように地面に着弾した。

 

 

「たっぷり味わいな。ショットプラズマ!」

「……」

 

 ビリヤード球同士が共鳴して放つ鋭い雷の炎を回避できずに、感電した恭華は目を見開く。

 が、恭華は悲鳴を上げない。うめき声1つ漏らさない。ただただ驚いたように瞠目し。

 次の瞬間。恭華の体が、武器のトンファーが、粉々に砕け散った。文字通り、あたかも恭華の体に埋め込まれていた強力な爆弾が起爆したかのように、恭華の体が四散五裂したのだ。

 

 

「は……!?」

 

 ガンマのショットプラズマの影響でほんの少しだけ煙の密度が薄まる中。

 予想だにしていなかったグロテスクな光景にガンマは思わず言葉を失う。

 が、今が戦闘中だと思い出し、我に返ったガンマは恭華がいた地点へ近づく。

 すると。ガンマの足元に無数の小さな黒焦げの何かが散乱していた。

 

 

(これは、小魚?)

 

 ガンマが内心でコテンと首を傾げた直後。ガンマの右腕に衝撃が走った。

 視線を送ると、70センチサイズの雲アリがガンマの右腕を力強く咬んでいた。

 

 

「なにッ!?」

 

 ガンマは右腕の雲アリを振り払い、雷の炎を込めたキューで突き刺そうとする。しかし、ガンマの行動を妨害するように別の雲アリがわらわらと立て続けに現れ、ガンマの左腕を、ふくらはぎを咬みついてくる。数の力を武器に、ガンマの体中を咬みつきつつ、足でガンマの体を拘束してくる雲アリたち。ガンマが空を自在に飛ぶ手段であるFシューズをも雲アリに咬み砕かれた以上、ガンマが雲アリを振り払えなくなり、身動きが取れなくなるのは自明の理だった。

 

 

(おかしい。何だこれは!? なぜこんなにもアリがいる!? 奴がコピーの匣兵器を大量に所持しているのか!? くそッ、コルルとピジェットはどうなっている!?)

 

 混乱するガンマをよそに、恭華の放出した白煙が徐々に晴れていく。

 その時、ガンマが見たモノは――全身の至る所を咬み千切られ、力尽きている電狐2匹と。ショットプラズマで焼いたはずなのに無傷でピンピンしている恭華の姿。

 

 

「うん。上手くいったね、よかったよかった」

「お前、何をした!?」

「手の内を明かすのは負けフラグだけど、まぁいいか。雲アリは匣に注入した炎や他の匣兵器の炎を吸収することで、分裂するんだよ。君の匣兵器は雲アリとの衝突の中で炎エネルギーを献上し続けた末に、数の力に敗れたのさ。でもって、さっき君を襲った僕は霧シラスの群れで作った僕の偽者だよ。……いやぁ、群れっていいよね。例え1体1体が矮小な力しかなくても、束になれば強敵を欺き、圧倒できるんだから」

 

 恭華は無残な姿に成り果てた霧シラスを匣の中に戻しつつ、簡潔に種を明かす。

 どうやら。彼女が煙を吐き出す匣を用いたのは、不意打ちでガンマを倒すためではなく。霧シラスの匣に霧の炎を注入し、己の偽者を作る様子を見せないため。そして、雲アリが増殖とともにコルルとピジェットを倒し、ガンマに攻撃を仕掛ける一切のシーンを見せないためだったようだ。

 

 

(まさかここまで頭のキレる奴だったとは……)

 

 慢心したつもりはなかった。だが、まだまだ警戒が足りなかった。

 それが今の結果だ。敵の守護者の身内ごときに敗北する情けない俺だ。

 

 

「くそッ……」

「さて。トドメといこうか」

 

 恭華はスーツのポケットから取り出した新たなリングを嵌め、雲の炎を灯し、また別の匣を開匣する。現れたのは、灰褐色のカバ。全身に雲の炎をしかと纏っている。

 

 

「あれは!?」

 

 と、その時。並盛神社の茂みから2人の人物が顔を覗かせる。

 1人はゴーグルで両眼を隠した女。もう1人は栗色のツンツンとした髪が特徴的な少年。

 

 

「ちょっと遅かったかな、君たち。もう少し早く来ていたら、面白いモノを見られただろうに」

(……あのガキは、まさかな)

 

 雲カバがガンマに向けてドドドドと突進を始め。恭華が突如現れた2名に対してニヘラと笑いかける中。少年からボンゴレ10代目の面影を感じ取ったガンマは己の直感をつい否定する。何せ、ボンゴレ10代目は確かに衆目の下で射殺されたはずなのだから。

 

 

「ガハッ!」

 

 その後、ガンマは己に纏わりつく雲アリごと雲カバの突進を喰らい、遥か彼方へと吹っ飛ばされる。ただでさえカバは2~3トンもの巨体を持ち、時速40キロの突進を繰り出すことができる動物だ。それに加え、この雲カバは雲の炎の属性:増殖で肉体が補強され、膨れ上がっているはずとなると、その威力は推して計るべきだろう。

 

 ガンマが雲カバの突進をまともに受けて耐えられるはずもなく、ガンマは勢いよく吹っ飛ばされたまま意識を失う。かくして。ガンマは恭華に一撃も与えられずに完全敗北を喫するのだった。

 

 




10年後雲雀→並盛中学風紀委員を母体とした秘密地下財団:風紀財団のトップに就いている。あんまり強くないとガンマに行った手前、恭華モードの時に原作と同様にガンマと直接戦い、己の並外れた戦闘能力を見せつけるのはよろしくないとの考えの元、匣兵器のみの力でガンマに勝利した。覚悟を調整して炎の純度をコントロールするとかマジ規格外な雲雀さんクオリティである。ちなみに、雲ハリネズミもちゃんと持っている。
γ(ガンマ)→ミルフィオーレのブラックスペルかつ、第3アフェランドラ隊の隊長かつ、6弔花かつ、雷のマーレリング所持者の中年男性。恭華のとにかく規格外なリングの運用方法や匣兵器ラッシュに動揺するばかりで善戦できなかった印象しかない。

ふぁもにか「ふぇぇ、ガンマの攻撃を文章で表現するのが凄く難しいよぉ……」

 というわけで、32話は終了です。未来編の何が楽しいって、『ぼくのかんがえたさいきょうの』オリジナル匣兵器をたくさん放出できる所ですよね! ふふふ、私のオリジナル匣兵器のアイディアストックはまだ残っていますぜ。お楽しみに。


 ~おまけ(オリジナル匣兵器・解説)~

 No.1 雲カバ(イッポポータモ・ヌーヴォラ)

 匣タイプ:アニマル 属性:雲 設計者:ロレンツィニ
 大きさ:4メートル パワー:A スピード:C スタミナ:B 賢さ:C
 性格:脳筋 技:とっしん、かみくだく、どろかけ、じしん

 増殖能力を持つ雲の匣兵器。全身を満遍なく覆う雲の炎を活用し、皮膚や体重を随時増殖させることで突進や地震の威力を上げると同時に、攻撃されても容易に傷つかない防御力を得ている。脳筋な性格のため、泥かけや地震といった間接攻撃よりも、突進や咬み砕くといった直接攻撃を好む。10年後恭華は雲カバを『メルカバ』と命名した。
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