……はい、ごめんなさい。また何か月も更新途絶させちゃって、本当に申し訳ございませんでした。あれですね、私は2作品同時連載が致命的にできない人種なんだなってことがよくわかりました。『オリジナル魔法少女育成計画 罠罠罠』の執筆がある程度落ち着いたので、今日から更新再開します。とはいえ、卒論だの引っ越しだのリアルの忙しさは変わらずなので、素早い更新は期待薄ってことでどうかご理解くださいませ。
入江正一くんの暗躍により10年後の未来に強制的に放り込まれる形で姿を消したリボーン、ツナくん、獄寺くんの後を追うように。山本くん、ランボ、イーピン、京子ちゃん、ハルもまた姿を消した。その翌日。
僕は風紀副委員長の草壁さんを経由して風紀委員に失踪した並盛中の生徒たちの捜索を命じた後、自分自身も並盛町のパトロールを兼ねて、男装の上で行方不明の生徒たちを捜している。見つからないのは百も承知。しかし、並盛中の風紀を守ることを重視する雲雀恭弥が、並中生徒の原因不明の連続失踪に何も動きを見せないのは明らかに不自然ゆえの行動だ。何せ、この連続失踪は黒曜中みたく、他校の生徒の犯行だとの推測だってできるのだから。
「雲雀ぃぃいいいいいいい!」
未来での幻騎士との戦いを見据えた脳内シミュレーションを行いたい願望もあるため、ほどほどで捜索を切り上げよう。そのように思考を巡らせていると、僕の背後から切羽詰まった声が轟いた。こうも熱意を込めて僕の名前を呼びそうな人。心当たりは1つしかない。
「いつになく暑苦しいね、笹川了平。一体、何の用だい?」
僕は後ろを振り向きつつ、簡潔に尋ねる。
ギザギザとした銀髪に鼻の上の白い絆創膏が特徴的な了平くんに問いかける。
「京子がどこにいるか知らないか!? 今、極限に捜索中なんだ!」
「京子? あぁ、笹川京子か。風紀委員でも彼女を捜しているけど、足取りは掴めていないよ」
「なにッ!?」
「笹川京子だけじゃない。沢田綱吉、獄寺隼人、山本武……皆、行方不明になってるね。僕の部下に町中を探させているけど、まるで見つかっていない」
「……なん、だと!?」
僕が素直に了平くんに現状を伝えると、了平くんは呆然とした表情で固まった。どうやら了平くんは僕ならば何か手掛かりを掴めているものと思い込んでいた分、ショックが大きいようだ。
それにしても、意外だ。原作では了平くんは未来へ送られるまでに日本を5周してまで京子ちゃんたちを全力で捜し回っていた。なのに、まだ了平くんが並盛町を離れていなかったとはね。
……待った。これ、ちょっとマズいんじゃないか? このままだと了平くんは並盛町での捜索にとどまるかもしれない。それじゃあダメだ。未来編で了平くんはそんなに活躍しなかったけど、日本を何周もして体を鍛えまくっていないことが後々の了平くんの死に繋がるかもしれない。僕が了平くんを日本5周に焚きつけた方が良さそうだ。
「これだけ捜して手掛かり1つ発見できないとなると、彼女たちはもう並盛町にはいないのかもしれないね。僕は引き続き並盛町で捜索するから、君は他の町で捜したらどうだい? お得意のロードワークも兼ねてさ」
「おおおおお! ナイスアイディアだ、雲雀! そうだ、なぜ俺は並盛の外を捜そうと思わなかったんだ!? 待ってろ、京子! うおおお――」
「――待ちなよ」
僕の提案を速攻で受け入れ、今すぐにでも実行しようとした了平くんを引き留めるため、僕は了平くんの左手首にグググッと力を込めて彼の動きを止める。
了平くんが原作と同様に素直に日本5周をするならいい。だが、ここで僕が追加で誘導しなければ、泳いででも海外に向かって捜索範囲を広げる可能性がある。さすがに中学生の正一くんが、海外に行ってしまった了平くんに10年バズーカを当てるのは至難の業だろう。そのため、了平くんを日本に留める方便を伝えないといけないのだ。
「いだだだだ!? いきなり何をする!?」
「1つ言い忘れたことがあってね。並盛中の風紀委員長は、並中生が今、日本にいるか海外にいるかを察知できる優秀なセンサーを持っている」
「?」
「つまり、笹川京子たちは海外にはいない。日本のどこかにいるということだ」
「そうか! ならば日本中をしっかり捜し尽くせばいいのだな! 助かったぞ、雲雀! 京子ぉぉおおおおおおおおお! 沢田ぁぁああああああああ!」
僕の拙い嘘を了平くんは欠片も疑わずに信じ、行方不明者の名前を叫びながらダッシュでその場を去る。これから了平くんは日本5周を経て筋肉をより一層ムキムキに改造するのだろう。
「……」
あれだけ努力を重ねる了平くんが未来のマフィアの世界ではあんまり活躍できない。
もしもリボーンが筋肉重視の格闘漫画なら縦横無尽の大活躍待ったなしの努力家なのになぁ。
どんどん小さくなる了平くんの背中を見つめつつ、僕は世の中の理不尽さを実感するのだった。
◇◇◇
10年バズーカに命中したリボーンが失踪した件について、10年後ランボから情報を得ようとランボの10年バズーカを強引に使おうとした際にうっかり自分も着弾したことを契機に、10年後の世界に飛ばされた沢田綱吉に待っていたのは絶望的な未来だった。
10年間で知り合った面々はミルフィオーレファミリーが実行中のボンゴレ狩りの対象とされ、次々と消されている。山本のお父さんも殺されたし、運悪くイタリア旅行に向かった両親の安否もわからない。そして、10年後のツナ自身が棺桶に入っていたという事実がツナの心を確かに傷つけていた。
ラル・ミルチや10年後の山本のおかげで半日でボンゴレアジトに辿り着き、緊張を解けるようになった時、ツナは無性に現実逃避したかった。性質の悪い悪夢を見ているだけだと己に言い聞かせたかった。だが、ツナが目を背ければ、その分被害者が増え、状況は悪化する。そのため、翌日からツナはいっぱいいっぱいながらも己のできることを始めた。
だが、事は順風満帆とはならなかった。
10年後の山本とともに10年後の京子ちゃん、ハル、ランボ、イーピンを迎えに行くも、その5人が立て続けに10年前の見慣れた姿と入れ替わってしまう。
そのまた翌日には、お兄さんのことを心配した京子ちゃんがアジトから抜け出してしまう。
もちろん、京子ちゃんもボンゴレ狩りの対象だ。
ミルフィオーレに見つかれば、すぐさま殺されてしまう。
守護者を集めて入江正一という人を倒すなんて言っている場合じゃない。
でも、この大変な状況下で、10年後の雲雀さんがいれば、どれだけ心強いか。
上記の心境の元、ツナは京子ちゃんを捜す『ツナ&ラル・ミルチ班』と、雲雀さんの手掛かりを探しに並盛神社に向かう『獄寺くん&山本班』に分けて同時に動くことに決めた。
ツナはとにかく必死だった。並盛町を徘徊するミルフィオーレの第3アフェランドラ隊の監視の目をかいくぐり、どうにか10年後の黒川花に保護されていた京子ちゃんを見つけた後。ガンマと交戦していると思われる獄寺くんと山本の元へ急ぐツナは焦りに満ちていた。
ツナの脳裏に、激強らしいガンマを前に、血だまりに倒れる獄寺くんと山本の姿が浮かんでならない。嫌な予感を否定したくても、己には超直感がある以上、十分にあり得る展開だった。
とにかく。急いで2人と合流しないと。はやる気持ちを胸に草木をかき分けて並盛神社に到着したツナが見た光景は――
「ちょっと遅かったかな、君たち。もう少し早く来ていたら、面白いモノを見られただろうに」
「ガハッ!」
あっけらかんとした口調でツナたちを迎える10年後の恭華と、恭華が出したであろうカバの匣兵器でガンマを遥か彼方へと吹っ飛ばすシーンだった。
「あ、あれって!」
「やっほー、沢田くん。話には聞いてたけど、ホントに小さくなってるね」
「恭華! ……さん?」
恭華とさほど雰囲気の変わっていない10年後の恭華の様子にツナは一度は普段の調子で彼女の名を呼び、その後、おずおずと『さん』を追加する。改めて恭華の全身を視界に収めたツナは、すっかり大人の女性らしく成長した恭華をいつものように呼ぶことに違和感を抱いたのだ。
「別に恭華でいいよ。今さら君に『さん』付けされてもむず痒いだけだし」
「そ、そうかな」
「それより。ほら、あっちの林の中に獄寺くんと山本くんが倒れてるよ。もっと早く助けられたらよかったんだけどね」
「え」
恭華に指差されるままに、ツナが視線を向けると。そこには獄寺くんと山本が血まみれで倒れていた。2人とも、遠目からわかるほどの酷い重傷だ。
「獄寺くん! 山本!」
ツナは青ざめる。慌てて駆け寄り、名前を呼びかけても、2人はピクリとも動かない。
まさか、最悪の予想が脳裏によぎる。まさか、いや、そんなわけない、でも――。
「心配ないよ。そうだよね、草壁さん?」
「はい。外傷こそ派手ですが、命に別状はありません。すぐにアジトに運んで治療すれば、問題ないでしょう」
「そ、そっか。良かった……」
ツナは2人の傍らにへなへなと座り込み、安堵の息を零す。
そして。一刻も早く2人をアジトに連れ帰らないととの使命感が湧き上がる。
「草壁さん。沢田くんたちへの説明、お願いしていい?」
「はい。お任せください」
「ありがとう。それじゃ、僕は今からちょっと準備してくるよ」
恭華は指にリングを嵌めると、テクテクと並盛神社の石灯籠へと歩を進め。
そのまま、石灯籠の中に吸い込まれるようにして恭華の姿が掻き消えた。
「き、消えた!?」
「隠し扉!? 霧系のリングを使ったカモフラージュか……」
ツナが想定外な恭華の消え方に驚き、ラル・ミルチが即座に恭華の行ったことに推測をつける中。ツナは10年後の草壁哲矢から説明を受ける。並盛神社には我々の地下組織のハッチがあり、ボンゴレアジトとも繋がっているため、獄寺隼人と山本武を速やかにアジトの治療室に運び込める。だが、並盛神社で2人が使用した嵐と雨のボンゴレリングにマモンチェーンをつけると、精製度Aのリング2つの反応が並盛神社でそろって消失したとの情報をミルフィオーレに与えてしまい、そこからボンゴレアジトの場所がバレる危険性があると。
結局。嵐と雨のボンゴレリングの件はラル・ミルチが、10年後の黒川花の家で待機している京子を迎えに行くついでに並盛神社から離れた地点でマモンチェーンをつけ、ツナと草壁の2人で獄寺と山本をアジトの医療室へと運び込むこととなった。
その後。ラル・ミルチと京子がアジトに帰還し、医療室で獄寺と山本に治療が施された後。ミルフィオーレの情報収集に取り組んでいた10年後のビアンキとフゥ太もアジトへ帰還。応接室でビアンキ、フゥ太、草壁から様々な情報を得ることとなった。
ツナが現状目的としている入江正一はミルフィオーレ日本支部に滞在しており、日本支部は並盛駅地下のショッピングモールにあること。雲雀恭弥が並盛中学風紀委員を母体とした秘密地下財団:風紀財団の委員長に君臨し、匣の研究や調査のために世界を飛び回っていること。雲雀恭華が風紀財団の副委員長として、各地の風紀財団の運営を担当していること。雲雀恭弥が雲雀恭華と入れ替わりで10日後にアジトへ来る予定とのこと、などなど。数多くの情報とツナは対面した。
そして。応接室を訪れた京子、ハル、ランボ、イーピンが10年後のビアンキとフゥ太との邂逅を楽しんでいると。応接室にさらなる来訪者が現れた。恭華だ。
「話は終わったかな?」
「はひ!? え、え!? もしかして――10年後の恭華ちゃん!?」
「正解! それなりに見た目変わったつもりなんだけど、即座に見破るとはさすがはハル」
「えへへぇ」
「えっと、恭華ちゃん? 恭華、さん?」
「呼び方は今まで通りでお願い、京子ちゃん。いきなり京子ちゃんにさん付けされたり他人行儀に話されると何か距離取られたみたいで悲しくなるから」
「は、はい。じゃなくて、うん。わかった、恭華ちゃん」
ハルが恭華へと駆け寄り、半ば確信をもって恭華の名を呼びかける。対する恭華はニコニコ笑顔でハルの頭を撫で、ハルは素直に照れ顔を浮かべる。一方。京子がツナと同様に恭華の呼び方に迷っていると、恭華が先手を打って『恭華ちゃん』呼びを要請する。京子は大人な女性と化した恭華に今まで通りの話し方を維持することへの違和感を抱きつつも、恭華の頼みを了承した。
「さて。いきなり物騒な未来に飛ばされて不安もいっぱいだろうけど、ま、そんな時は遠慮なく僕たち大人組に頼ってよ。僕もしばらくここにいるからさ、君たちより10年先輩で大人な僕の女性的包容力で君たちに安心と希望をプレゼントしちゃうから」
「恭華……」
「ということで。早速だけど、僕についてきてよ。良い物、見せるから。目的地は地下12階の視聴覚室だよ」
恭華は10年前の過去からやってきたツナたちを見渡しながら心強い言葉を放つ。そんな恭華をツナが頼もしく感じていると、恭華はおもむろに応接室の入り口まで移動し、皆の同行を促す。この時の恭華の得意げな表情がツナには非常に印象的に感じられた。
雲雀恭弥→本作の主人公、かつボンゴレ雲の守護者。本名は雲雀恭華。今は凡人が憑依している。了平強化イベントが未だに始動していないことに危機感を覚え、了平を焚きつけた。
笹川了平→『極限』が口癖の熱血漢、かつボンゴレ晴の守護者。基本的に人の言うことを疑わないので、雲雀の発言を盲信して並盛町から旅立った。
10年後雲雀→並盛中学風紀委員を母体とした秘密地下財団:風紀財団のトップに就いている。今は恭華モードのままツナたちと接する方針な模様。
沢田綱吉→原作の主人公。10年後の恭華、草壁、ビアンキ、フゥ太と次々と大人組がやってきたことで少しは心に余裕が生まれてきている。
笹川京子→原作主人公ツナの憧れのクラスメイトにして、原作のヒロインの1人。この作品ではビアンキに加えて恭華もいるので、大人の女性がいる安心感はより高まっていると思われる。
三浦ハル→原作のヒロインの1人。最初は衝動のままに恭華に抱きつこうとしたが、10年後恭華から何か神聖なものを感じたために抱きつきを遠慮したという裏話。
10年後草壁哲矢→風紀財団に所属し、雲雀を支える腹心。その気になれば戦闘不能になった5人を運べるが、今回はツナと手分けして獄寺と山本をアジトまで運んだ模様。
ラル・ミルチ→ボンゴレ門外顧問機関CEDEFに所属しているアルコバレーノ。未来の状況についてまるで知らないツナたちにいろいろ教えるチュートリアルポジションの役目を全うしている。
というわけで、33話は終了です。33話は難産でした。何というか、笹川兄妹の会話文を上手く作れないんですよね。会話文を作っては違和感があるなと消して、また会話文を作っては消してを何回も繰り返していました。この書きにくさの正体は一体何なのか、これがわからない。
~おまけ(オリジナル匣兵器・解説)~
No.2 雲アリ(フォルミーカ・ディ・ヌーヴォラ)
匣タイプ:アニマル 属性:雲 設計者:ロレンツィニ
大きさ:70センチ パワー:E スピード:D スタミナ:E 賢さ:A
性格:働き者 技:たいあたり、かみつく、からみつく、かみくだく
増殖能力を持つ雲の匣兵器。匣に投入された炎や他の匣兵器の放つ炎を吸収すると、分裂して数を増やす。1匹ではとても脅威と言えない弱さだが、放置しているとどんどん増殖する上、賢く働き者ゆえに集団で連携して行動できる&場における最善な行動を自ら考えて能動的に選択できるため、厄介な匣兵器と言える。恭華は雲アリを『メルエム』と命名した。
~おまけ(完全なるネタ)~
雲雀「ロードワークに関して、より鍛えられる効率的な方法があるよ」
了平「何ぃ!? そんなものがあるのか!? 教えてくれ!」
雲雀「モリヤステップって言うんだけど、この動画を参照すると良いよ(ニ●ニ●動画を見せながら)」
了平「おおお! 極限に体を鍛えられそうな動きだ! 早速試すぞ!」
雲雀(つい魔が差して了平くんにモリヤステップを教えちゃったけど、後悔はしていない)
その後、日本各地に「キョウコ!」「サワダ!」「タコヘッド!」などと謎の言葉を連呼しながら妙なステップで全力ダッシュする、おかしな人が出没するようになったとか。