†ボンゴレ雲の守護者†雲雀さん(憑依)   作:ふぁもにか

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 どうも、ふぁもにかです。おそらく今話が2017年最後の更新となります。連載初期と比べると、すっかり遅筆化してしまったこの作品……2018年内に完結させられるかが著しく不安です。最近は他の原作の二次創作を書きたいという魔の欲求が沸々と私の中で湧き上がりまくっている分、凄まじく心配なのです。



風紀37.†誰がための罠で風紀を守ろう†

 

 

 10年後の並盛。ミルフィオーレ日本支部への強襲を控えた前夜。

 10年前から未来へとやってきたツナたちがボンゴレアジトでパーティーを楽しむ中。

 10年後の雲雀恭華、笹川了平、草壁哲矢。そしてラル・ミルチ、リボーンの5名は風紀財団の和室に集結していた。

 

 

「いよいよだな。雲雀、明日は我ら年長組、いい所を見せんとな!」

「そうだね。せっかくの機会だ、派手に暴れないとね」

「おお! 極限にその意気だ! さすがは雲雀ッ!」

「どういたしまして」

 

 明日の決戦を前に、戦意をみなぎらせている了平の意気込みに、恭華もまた同調する。ちなみに、今の恭華は特に雲雀恭弥に変装せず、紫を基調とし、所々に白の花が装飾された女性らしい着物に身を包んでいる。

 

 

「ラル・ミルチ。貴女は明日、どうするのですか?」

「無論、出る。戦力は多いに越したことはないからな」

 

 草壁の問いかけに、ラル・ミルチは平然と返答する。現状、ラル・ミルチはアルコバレーノに有害な非7^3線(ノン・トゥリニセッテ)を浴びすぎたせいで、ボロボロの体になっている。それでもなお、ラル・ミルチは明日のミルフィオーレ日本支部強襲に加わることを心から望む。己の身を危険に晒してでも、ミルフィオーレを倒すことに価値を見いだしているのだ。

 

 

「……それにしても、まさか雲雀恭弥の正体が女だったとはな」

 

 あまり己の体調に関わる話題を続けてほしくないラル・ミルチは話の矛先を恭華の性別へと向け、まじまじと恭華の全身を見つめる。雲雀恭華は普通に女性らしい見た目をしているのに、どうして彼女の男装を見抜けなかったのかを不思議に思いつつ、恭華を眺める。

 

 

「隠すつもりはなかったんだけどね。大人組にはもう大体バラしてるし」

「そうなのか。……了平。いつ頃、恭華は秘密をバラしたんだ?」

「あぁ! あれはいつのことだったか――」

「――話さなくていいよ。その時になってのお楽しみさ」

 

 一方の恭華がラル・ミルチに仲間外れの意図はなかったことを伝える中、リボーンは純粋な興味からの問いを了平に投げかける。了平が過去に思いをはせるも、即座に恭華が話を遮った。

 

 

「僕の話はさておき。皆に集まってもらったのはただ和気あいあいとお茶を飲んで戯れるためじゃないよ。本題に入ろっか。草壁さん」

「はい。明日の作戦の成功率をハイパーコンピューターで試算しました。敵施設の規模から人数を割り出し、ミルフィオーレ構成員の平均戦闘力を入力し、他の要素をかけ合わせた結果――成功率、わずか0.0024%。これはラル・ミルチの戦力も含めて高く見積もった数字です。他の要因による補正も考えられるが、どれもこちらに旗色の悪いものばかりだ」

「ま、そんなもんだろうな」

「だね。何せ、数が違う。ボンゴレ側の強襲部隊に対し、ミルフィオーレの人員は圧倒的に多い。数の暴力に1人1人の質で対抗して打ち勝つのは、存外難しいからね」

「奇跡でも起きなければ成功しない数字か。……沢田たちには黙っておけ。士気に関わるぞ」

「今さらショックを与えても、他の選択肢はないのだしな……」

 

 恭華に促された草壁は明日のミルフィオーレ日本支部強襲作戦のシミュレーション結果を公表する。結果をまだ知らなかったリボーン、恭華、ラル・ミルチ、了平はまるで動揺しない。元々、明日の作戦の成功率の低さを想定済みだったようだ。

 

 

「ってより、無意味な数字だな」

「「「ッ!」」」

「ヴァリアーのように完成されたプロなら戦闘力や可能性を数値化することに意味があるだろう。だが、伸び盛りのあいつらを計算に当てはめるなんてバカげてると思うぞ。数値化できねぇ所にあいつらの強さはあるからな」

 

 シミュレーション結果に対するリボーンの見解に一時は意外そうに目を見開くラル・ミルチ、了平、草壁だったが、すぐにリボーンの主張は最もなものだとして各々うなずく。

 

 そう。リボーンの言う通りだ。雲雀恭華は考える。このシミュレーション結果にはツナくん、獄寺くん、山本くんの修行の成果もある程度は見込まれている。だが、ツナくんの必殺技:(イクス)バーナーや、獄寺くんのSISTEMA C.A.I(スィステーマ シーエーアイ)の完成、スクアーロの戦いの映像を収めた「剣帝への道」から戦闘技術をどんどん吸収した山本くんの進化まではシミュレーションに反映しきれていないからね。

 

 

(それに……)

 

 恭華は思いを馳せる。今の時代のツナくんは、ミルフィオーレに撃たれ仮死状態となる前日にこう言っていた。『もうすぐ一番可能性を持っていた頃の、俺が来る』と。

 

 僕も全面的に同意する。10年前のあの頃こそ。成長期であり。思春期であり。世界に対し何かと多感だったあの頃こそ。僕たちは無限の可能性を秘めていた。試練を乗り越え成長することで、僕たちは何者にでも昇華できた。何者にでも到達できる素養を持っていた。今の僕たちが失ってしまったものを、10年前の僕たちはきちんと持っている。

 

 ボンゴレリングもなければ、成長する余地・可能性が10年前と比べて乏しい今の僕たちでは白蘭を倒せない。だからこそ。10年前の自分たちに、ミルフィオーレ日本支部の強襲作戦という名の厳しい試練を課し、大いに成長してもらう。その成長の対象には、当然ながら10年前の僕も入っている。中身の精神年齢が大学生だとか、そんなことは些末事だ。明日の作戦で、10年前の僕にもまた、大いに進化してもらわなければ困るのだ。

 

 

(10年前の僕。この世界は原作じゃないよ。創作でもない。原作と類似点が多いだけの、1つのれっきとした、息づいた世界だ。その世界の裏社会に所属する以上、舐めていたら、死ぬ。ボンゴレだから大丈夫とか、主人公サイドだから何とかなるとか、そんなわけはない。なんて、もう頭ではとっくに理解してるんだろうけど、まだ認識が甘い。……だからこそ僕は、今から君を当事者の座に引きずり下ろすよ。くれぐれも覚悟してよね)

 

 恭華は内心で10年前の己に語りかけ、こっそり笑みを零すのだった。

 

 

 ◇◇◇

 

 恭華、了平、草壁、ラル・ミルチ、リボーン。以上、5名による大人の会合の終了後。真夜中にて。ミルフィオーレ日本支部は、6弔花こと入江正一の指揮の元、ボンゴレアジトへの夜襲を始めていた。グロ・キシニアがクローム髑髏との交戦時に彼女のカバンに発信器を仕掛けた機転により、ミルフィオーレ日本支部と同様に、ボンゴレアジトが並盛に存在することが発覚したからだ。

 

 ホワイトスペルとブラックスペルの混合部隊がボンゴレアジトへと迫る。ミルフィオーレ日本支部のほぼCランク以上の戦士で構成されたボンゴレ強襲部隊の動きは迅速だ。ボンゴレ側の仕掛けた監視カメラを、雨コウモリの超音波で。雷ホタルの電気で。雲蛾の鱗粉で。ボンゴレ側に気づかれないよう隠密に、かつ速やかに破壊していく。

 

 その後、強襲部隊は発信器の真上のポイントまで到達する。強襲部隊は空き地を嵐モグラで掘削を始める。嵐の分解の炎を活用した嵐モグラの掘削スピードは凄まじく、みるみるうちに穴が掘られていく。結果、嵐モグラはあっという間に、空き地の土に隠れていた、見るからに頑丈そうな装甲を掘り当てた。装甲を目の当たりにした強襲部隊はこの下にボンゴレアジトが存在するとの確信を深め、装甲に爆弾を設置し、起爆させる。

 

 

『全隊突入!』

 

 ミルフィオーレ日本支部の司令室からの入江の号令により、強襲部隊は次々と爆弾でこじ開けられた風穴の中へと跳び込んでいく。

 

 

『ボンゴレリングの回収を優先せよ。守護者は生け捕りだ』

「抵抗する場合はいかがなさいますか?」

『……殺せ』

「「「了解(ラジャ)」」」

 

 強襲部隊が全員アジト内に突入し終えた頃合いを見計らい、入江がさらなる指示を飛ばす。命の危機が、ボンゴレの面々に刻一刻と迫っているのは確実。そのはずだった。

 

 

「何だここは……?」

「大広間か?」

 

 強襲部隊が降り立った場所は無駄に広々とした、殺風景な空間だった。ボンゴレの人間やマフィアのアジトらしき装置が存在しないことに強襲部隊は首をかしげる。

 

 

「な、何だ!?」

「出口が!?」

 

 と、ここで。強襲部隊が突入の際に使用した風穴にて突如、格子が組み上げられ、風穴が次々と塞がれる。格子は己の頑丈さを誇るように紫の仄かな光を放っており、壊すには骨が折れそうだった。そんな中、未だ塞ぎきれていない風穴から大広間へと、1人の影が飛び降りる。長身痩躯を黒スーツで着飾った、ボサボサの黒髪に不敵な表情が特徴的な人物だ。

 

 

「弱いばかりに群れをなし。咬み殺される、袋の鼠」

「ひ、雲雀恭弥!?」

「わ、罠だ!」

 

 強襲部隊の前に姿を現したのは男装済みの雲雀恭華だった。そう、これはミルフィオーレ日本支部の猛者で構成された強襲部隊をアジト外におびき寄せ、身動きを封じるために恭華が仕掛けた罠である。グロ・キシニアがクロームに仕掛けた発信器を、危篤状態のクロームを救うついでに回収していた恭華は、ボンゴレアジトから離れた倉庫予定地に発信器を移動させていたのだ。ミルフィオーレの強襲部隊を一手に引きつけ、恭華が相手をする。もちろん、恭華は和室にてリボーンたち大人組に事前にこの作戦を明かした上で、囮役に臨んでいる。

 

 

「草食動物が肉食動物の血肉となるように、君たちには僕のエサになってもらう」

「くそッ!」

「――さぁ、始めようか」

 

 恭華は凶悪そうに口角を吊り上げつつ、所持している匣兵器と1枚の小さな紙を、手首のスナップを利用して真上に放り投げる。と、その時。恭華の周囲を唐突に濃密な煙がボフッと包み込んだ。恭華の雲ケムリの煙幕ではない。ピンク色の、ファンシーな煙だ。何とも現状の雰囲気にそぐわない奇妙な煙が恭華を覆い隠す。そして、煙が晴れた時。スーツ姿の恭華は消失していた。代わりに現れたのは、スーツ姿の恭華よりも一回り小さい人物だった。ムスッとした顔に、ボサボサの黒髪。肩に羽織った学ランに『風紀』と書かれた左腕の腕章。以上の特徴を兼ね備えた人物――もとい、10年前の男装中の恭華だった。

 

 

「……」

 

 過去から未来の並盛へと時をかけた恭華は現状を飲み込めず、その場に立ち尽くす。

 恭華の視線は白ずくめと黒ずくめなミルフィオーレの強襲部隊に固定されている。

 そんな恭華の足元に、先ほど大人恭華が投げていた匣兵器が音を立てて次々と落ちていく。

 ここで。これ見よがしに恭華の目の前をひらひらと舞いながら床に落ちようとしている紙を恭華はつい掴み取る。その紙には、こう記されていた。

 

 

 

 

『後は任せたよ ┠ヽ(*´▽`*)ノ┨ 10年前の僕ww』

 

 

 

 

「…………」

 

 恭華の体がフルフルと震え。紙がグシャッと握りつぶされる。

 

 

(はかったなぁぁああああああ!? 10年後の僕ぅうううううううう!?)

 

 ミルフィオーレの強襲部隊が恭華を取り囲む中。原作と全く違うタイミングで未来編に突入させられた恭華は思わず、内心で絶叫した。この時、恭華の脳裏では「てへぺろ☆(・ω<)」する10年後の恭華の姿が鮮明に映し出されているのだった。

 

 




雲雀恭弥→本作の主人公、かつボンゴレ雲の守護者。本名は雲雀恭華。今は凡人が憑依している。未来に行ったら早速幻騎士戦だとの前提で心の準備をしていたのに、想定と全く違う展開が待ち受けていたことに、凡人相応の反応を見せた。
10年後雲雀→並盛中学風紀委員を母体とした秘密地下財団:風紀財団のトップに就いている。10年前の己にもより成長してもらうため、敢えて10年前の己に原作とは違う展開を用意した。要するに、確信犯。
笹川了平→『極限』が口癖の熱血漢、かつボンゴレ晴の守護者。現状、10年前の己とは入れ替わっていない。10年の時を経て、ある程度は落ち着きを得た模様。
リボーン→ツナを立派なボンゴレ10代目にするために、イタリアから派遣された凄腕の殺し屋。短期間でぐんぐん成長するツナくんたちの可能性を最も高く買っている。
草壁哲矢→風紀財団に所属し、雲雀を支える腹心。ミルフィオーレ日本支部の強襲作戦の高度なシミュレート結果を素早く算出できる辺りが、彼の有能さの一例となっている。
ラル・ミルチ→ボンゴレ門外顧問機関CEDEFに所属しているアルコバレーノ。雲雀の男装技術はこの10年間で相当なレベルに達したためか、彼女を以てしても雲雀の性別を自力で見破ることはできなかったらしい。

 というわけで、37話は終了です。早速恭華さんが未来へと来ちゃいましたね。正直、このシーンを書きたい一心で未来編は執筆していました。しっかし、今回で10年後雲雀さんの出番は終了となるのでしょうか。中身は相変わらず凡人とはいえ、10年後雲雀さんの様子を執筆できなくなるというのは何とも悲しいですね。
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