†ボンゴレ雲の守護者†雲雀さん(憑依)   作:ふぁもにか

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 どうも、ふぁもにかです。今回は男装主人公なら是非こなすべき展開を用意したつもりです。また、前回同様、意外な人物との組み合わせも用意してみました。はてさて、今回は雲雀さんにどのような道筋がもたらされるのでしょうね。



風紀4.†誕生日を祝って風紀を守ろう†

 

 ハッピーバースデー、トゥーユー! ハッピーバースデー、トゥーユー!

 ハッピーバースデー、ディア☆ひばりん☆ ハッピーバースデー、トゥーユー!

 

 ……ふぅ、お誕生日の歌、詠唱完了。

 さすがに1番の方は歌わなくていいか。

 1番は確かグッドモーニングの歌だもんね、あれ。

 

 さて、本日は5月5日。雲雀さんの誕生日である。

 何歳かはわからないが、雲雀さんは今日、また1つ大人になったのだ。

 心なしか、雲雀さんの体躯も大人らしく成長しているように感じられる。

 

 さて、大事なことなのでもう一度言うが、今日は雲雀さんの誕生日である。

 この記念すべき日に、いつものように雲雀恭弥の言動をトレースするなんて論外だ。

 誕生日ぐらいは男装を解除して、ありのままの姿で過ごしてもいいのではなかろうか。

 

 ということで、僕は今、女装して並盛町へ繰り出している。

 ……雲雀さんの元々の性別が女の子なわけだから女装って言葉の違和感が凄まじいけど。

 

 女の子らしい衣装に身を包んだ僕が向かう先は無論、ケーキ屋である。

 そう、ケーキを買うのだ。雲雀さんの誕生を孤高に自宅で祝う際の必需品を手に入れるのだ。

 雲雀さんとケーキ。似合わないと思いがちだが、雲雀さんは案外、甘いものを食べられる。

 憑依したばかりの時は苦手なのかなとも思ったけど、普通に自作の甘いお菓子も食べられたし、雲雀さんに苦手なものはないとか、そんなノリの設定が反映されたのだろう。

 もしくは、甘いモノを愛する女の子らしい感性が影響したか。

 

 

「へへへ。よぉ、そこのかわいい子?」

「ちょっと俺らと一緒に遊ばねぇ? 退屈させねぇからよ?」

 

 目的のケーキ屋が視界に入ってきた辺りで、僕の前方に軟派な男3名が立ち塞がる。

 雲雀さんは一応並盛中所属だからと、化粧はしなかったのだが、それでも雲雀恭華としての美貌は男たちの劣情のストライクゾーンをぶち抜くクオリティのようだ。

 この反応だと、APP16くらいかな。はいはい、さすひばさすひば。

 

 

「邪魔☆」

 

 せっかくの誕生日タイムをゲスな妄想ばかりしている男連中に奪われるわけにはいかない。

 僕はトートバッグから仕込みトンファーを展開し、一瞬にして3人の男を咬み殺す。

 その後、「ふぎゃ!?」「ぎゃおす!?」「すべゃ!?」などと珍妙な悲鳴を残して地に倒れる男たちを無視して僕はケーキ屋に入った。

 

 ちなみに、今の僕は女装中のため、なるべく年頃の女の子らしい態度を心掛けている。

 恭華さんモードの時まで†孤高の浮き雲†でいる必要なんてないもんね。

 え、じゃあさっきトンファーを振るってたのは何だったのかって?

 ……元気な女の子って、素敵だよね。ね?

 

 

「いらっしゃいませ!」

 

 店員の朗らかな声に笑みを返し、ショーケースに並べられたケーキたちを一瞥する。

 チーズケーキにショートケーキ、モンブランにミルフィーユと人気所が密集する様は圧巻だ。

 口内のよだれが一気に量を増したことからも、雲雀さんの体も地味にテンションが上がってることがわかる。やっぱり雲雀さんも女の子なんだね。いやはや、良かった良かった。

 

 

「はひ!? とっても綺麗な女の子がいます!?」

 

 と、ここで背後から少々バカっぽいリアクションが聞こえてくる。

 えっと、この声はもしかして? と、振り返ってみると、案の定の人物が僕を見つめていた。

 ま、まさかこのタイミングで出会うことになろうとは。正直、意外すぎる件。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 5月5日。三浦ハルは全力ダッシュでケーキ屋を目指していた。

 ハルの誕生日は5月3日なのに、今の今まですっかり忘れていたのだ。

 そのため、慌てて13歳になった自分の誕生日を祝おうと、ハルはケーキ屋へ突入した。

 

 そのケーキ屋には先客がいた。

 パーマの入った艶やかな黒髪。理性的な瞳。整った顔つき。スレンダーな体躯。

 可愛さとカッコよさとを兼ね備えた、非の打ち所のない美少女さんがいた。

 

 

「はひ!? とっても綺麗な女の子がいます!?」

 

 つい、ハルは心の中で思ったことをそのまま叫んだ。

 直後、ハルは目の前の女の子の迷惑になったのではないかと内心で焦る。

 すると、ハルの大声に気づいた美少女さんがこちらに目を向けてくる。

 当の美少女さんは、ハルの存在にわずかながら驚いているようだった。

 

 

「貴女は……」

「は、はい! 私は緑中1年の三浦ハルです!」

「あ、ご親切にどうも。僕は並盛中の雲雀恭華だよ。よろしく」

「はひ!? 名前まで可愛いなんて、凄いです! 完璧です!」

「えと、大げさだと思うけど、ありがとう? ハルって名前も素敵だと思うよ?」

「そう、ですか? ありがとうございます! 恭華ちゃんって呼んでいいですか?」

「いいよ。その代わり、僕もハルって呼ぶね」

 

 初対面の相手と会ったらまずは自己紹介をしないと。

 ハルのハキハキとした自己紹介を契機に、ハルは瞬く間に恭華との仲を縮めていく。

 ハルの天真爛漫さが功を奏した瞬間である。

 

 

「このケーキ屋によく来るんですか? ここのケーキ、本当に美味しいですよね! ハル、食べる度にほっぺたが落ちちゃわないかって心配になっちゃうんです! 恭華ちゃんはどうですか?」

「いや、ここに来たのは今日が初めてなんだ。へぇ、ここのケーキってそんなに美味しいんだ、楽しみになってきたよ」

「え、初めてなんですか?」

「うん。今日は僕の誕生日でね。誕生日ぐらいは自作のお菓子じゃなくて、ちゃんとした所で買ったケーキを食べようかなって」

「はひ!? そうなんですか!? 実はハルも誕生日のためにここへ来たんです!?」

「あれ、そうなの? じゃあ、もしかしてハルも今日が誕生日なの? 凄い偶然だね」

「あ、いえ。ハルの誕生日は一昨日の5月3日です。自分の誕生日のことを今朝思い出したから、今からでもお祝いしようかなって――そうだ! 恭華ちゃん! せっかくですし、一緒に祝いましょう! 1人で祝うより2人で祝った方が楽しいですよ!」

「え、でも……」

「ハルはノープログレムです! さぁさぁ!」

 

 ハルは持ち前の無自覚な強引さで恭華と一緒に互いの誕生日を祝うことを決める。

 そして、それぞれ食べたいケーキを購入すると、イートインスペースの一角に着席した。

 ちなみに。ハルはミルフィーユ、恭華はレアチーズケーキを頼んでいる。

 

 

「ハッピーバースデー、トゥーユー! ハッピーバースデー、トゥーユー!  ハッピーバースデー、ディア恭華ちゃーん! ハッピーバースデー、トゥーユー! イエーイ!」

「イ、イエーイ……」

 

 ハルがパチパチパチと勢いよく拍手すると、恭華が照れくさそうに頬を掻く。

 恭華の満更でもない表情にハルが自分のことのように嬉しく思っていると、「ぼ、僕も歌わないとだね」と、恭華がお返しにお誕生日の歌をハルに対して歌ってくれた。

 

 

「ハッピーバースデー、トゥーユー! ハッピーバースデー、トゥーユー!  ハッピーバースデー、ディアハールー! ハッピーバースデー、トゥーユー!」

 

 恭華の声はまるでウグイスのように澄んでいて。ハルは思った。

 こんな心地いい声で誕生日を祝ってもらえるハルは何て果報者なのか。

 

 

「う、うぅぅ……」

「ハ、ハル!? なんでそんなに号泣してるの!?」

「が、感動じだがらでず! ハルば今、猛烈に感動じでいまず!」

「全く、ハルは何から何まで大げさだなぁ……」

 

 ダバーと洪水のように涙を流すハルに、恭華はハンカチを優しく当ててハルの涙を拭う。

 そうして。ハルの感動が落ち着いた頃。ハルは思った。恭華ちゃんと友達になりたい。

 ゆえに。今日、偶然出会った恭華相手に、ハルは積極的に親睦を深めていった。

 

 

「恭華ちゃん、食べ合いっこしましょ。はい、あーん」

「え、あーん!?」

「はい! ミルフィーユ、美味しいですよー! あ、後で恭華ちゃんのレアチーズケーキ、一口もらっていいですか!? いいですよね!?」

「う、うん。別に僕は構わないけど」

「やったぁ! じゃ、あーん♡」

「ところで、ハルのフォークで食べさせてもらわないといけない理由がどこにあるんだろうか?」

「いいからいいから」

 

 お互いのケーキを『あーん』で食べさせあったり。

 

 

「1年に1日しかない誕生日なのにケーキ一切れで終わらせるなんて物足りないです! もっと食べましょう! 恭華ちゃんは何を食べたいですか?」

「僕はさっき食べたレアチーズケーキでもう十分なんだけど」

「えぇぇぇ! そんなこと言わずに一緒にケーキを追加して、また食べ合いっこしましょうよ!」

「……どうせケーキの食べすぎで太るなら、僕も巻き添えにしてしまえ。とか思ってない?」

「は、はひ!? い、一体何のことでしょうか!? ハルハゼンゼンワカラナイデス」

「ハルってわかりやすいよね」

「むぅ! そんなことないですよぉ!」

 

 ケーキを追加注文して、パクパク召し上がったり。

 

 

「さぁ! 流行りのお洋服の偵察に行きましょう! そうしましょう!」

「え、いや僕はケーキを食べたらそのまま帰る予定で……」

「せっかく町に来たのにすぐ帰っちゃうのはもったいないってかの偉人の何とかさんも言ってます! てことでほら、色々見ていきましょう! 試着室でファッションショーとか絶対楽しいですよ! 女の子のロマンですよ!」

「そ、そうかな?」

「そうです! このハルが太鼓判を押します! 間違いありません!」

 

 恭華を無理やり引き連れて、ウィンドウショッピングを実施したり。

 とにかく遊び回った。とても数時間前に初体面した相手とは思えないノリで、ハルはとにかく恭華と一緒に時を過ごした。全ては、恭華と友達になるため。

 

 

「恭華ちゃん。今日、ハルと一緒で楽しかったですか?」

「……そうだね、たまにはこんなに騒がしいのも悪くはなかったよ」

 

 夕日が沈まんとする頃。ハルは少しだけ疲れが表情に出ている恭華の姿を見て、後悔した。

 あぁ、やってしまった。ハルの都合にひたすら付き合わせて、疲れさせてしまった。

 これでは、恭華は友達になってくれないのではないか。ハルの顔が蒼白に染まっていく。

 

 

「ご、ごめんなさい! ハル、いつもこんな感じで! 人に迷惑をかけちゃうんです! 本当にごめんなさい!」

 

 ハルはぺこぺこと頭を下げる。恭華に嫌われたくない一心で。

 

 

「なんで謝るの? 僕は楽しかったよ。色々と新鮮だった」

「え?」

「じゃあね、ハル」

 

 恭華はハルに微笑みを見せると、クルリとハルに背中を向けて歩き出す。

 恭華はハルを嫌っていない。それだけわかれば十分だった。

 

 

「恭華ちゃん! ハルと友達になってください! それで、また2人で遊びましょう!」

 

 ハルの申し出に雲雀は返事をしない。

 ただ、ヒラヒラと、後ろ手でハルに手を振った。それは肯定の返事だった。

 願った通り、恭華がハルの友達になってくれた。ハルはグググッと両手で拳を作る。

 

 

「やったぁあああああああああああああああ!!」

 

 そして。両手の拳を真上に掲げ、己の歓喜の感情を思いっきり爆発させた。

 かくして。ハルの13歳の誕生日は例年と比べてはるかに特別な意味合いを持つのだった。

 

 




雲雀恭弥→本作の主人公。本名は雲雀恭華。今は凡人が憑依している。誕生日ぐらいは男装しなくてもいいんじゃね、と恭華の姿で並盛町に繰り出した。ちなみに、恭弥と恭華とは見た目がまるで別人のため、見破れるものはそう多くないと思われる。
三浦ハル→原作のヒロインの1人。天真爛漫かつ明朗快活で、勉強はできるが一周回ったバカといった印象。月1でケーキをパクつくことを楽しみにしている。恭華のことを酷く気に入り、どうにかして友達になろうとあの手この手を講じた。

 というわけで、4話は終了です。雲雀さんを女の子にした以上、原作の女の子キャラとのキャッキャウフフな絡みはやっぱり欠かせませんよね。にしても、女の子が登場してくれると文章が華やかになったみたいで、やっぱり女の子の存在は素晴らしいのです。

 ちなみに、ハルの代わりに京子ちゃんを登場させることも考えたのですが、ハルと雲雀さんとの誕生日が近いことや、京子ちゃんを出すと熱血お兄ちゃんが暴走しそうで制御しきれそうになかったので、今回はハルのターンとなりました。やったね、ハルちゃん!
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