どうも、ふぁもにかです。日常編をサクサクカットしていくか、もうちょっとオリジナルネタを入れ込むかで迷っていた上に、スランプの呪いが舞い降り、ついでに多忙なリアルや、ソードワールドリプレイ動画にドハマリした影響で、しばらく更新していませんでした。この状況は今後もまだまだ続くと思われます。本当にすまぬ。
僕は今、男装せずに恭華さんの姿でショッピングモールを訪れている。
化粧品や衣服、アクセサリーなどを扱う店に片っ端から入っている。
雲雀恭弥としての男装技術を更なる高みへ向上させるヒントを掴むためだ。
体育祭の時、僕の男装は実にあっさりとリボーンにバレてしまった。
少なくとも、憑依前の雲雀さんレベルの男装はきちんと再現できていたはずなのに。
僕の変装の何がいけなかったのか。どこに改善の余地があるのか。
それを見つけるために、ショッピングモールで色んな商品を見て回っているのだ。
もちろん、事前にファッション雑誌を読み漁った上でのことだ。
しかし、リボーンに変装がバレたのは本当に想定外だった。
何だかんだ、隠し通せると思っていた僕は、間違いなくリボーンを甘く見積もっていた。
同じマフィア関係者のビアンキが見抜けていなさそうだった影響か、楽観的だったのだ。
僕個人としては、別に雲雀さんの真の性別がバレようが問題ない。
でも憑依する前の雲雀さんが隠していた以上、性別バレイベントは容認できない。
そんなことをやらかしたら最後、雲雀さんの精神が戻ってきた時に本気で咬み殺される。
容赦なくバリガブグシャムシャされて、食料にされる。うぼぁ。
リボーンに見破られたのなら、他のマフィア関係者も警戒する必要があるだろう。
特に、最強の赤ん坊ことアルコバレーノの面々に真の性別を隠し通すのは困難だ。
とはいえ、アルコバレーノに性別がバレるのはそこまで問題視しなくていい。
アルコバレーノは性格に癖はあるけど、根本は悪人じゃないからね。……多分。
それよりも、Dr.シャマルだ。シャマルにだけは絶対にバレたくない。
三次元の女好きを極め、見目麗しい女性を見かけたら速攻でキスを仕掛けてくるあのキス魔おじさんなら、初対面だろうと直感で真の性別を見破りかねない。
そうなれば、今後シャマルと出くわす度に付きまとわれてしまう。
雲雀さんじゃなくても、群れることを嫌がりストレスの溜まる未来が透けて見える。
僕が並盛山でトンファーを振るう修行の時間を削ってでも男装に力を入れるのも当然だ。
ちなみに、雲雀さんが女だとの弱みを知ったリボーンはこれまで僕に大した要求をしていない。精々、性別を隠す代わりにツナくんがつい殺しちゃった泥棒の死体処理とツナくんの殺人の事実の抹消を頼まれ、ツナくん家に行ったぐらいだ。
それも結局は、泥棒の正体が自分の意思で心臓を止めて仮死状態になる「殺され屋」のモレッティだったためにツナくんは殺人をしておらず、当然リボーンもそのことを知っていたため、死体処理の案件はなくなった。ゆえに、これも要求の内には入らない。
後々厄介な要求をぶつけるつもりなのか。
それともこのまま僕に大した要求をしてこないのか。
どうなんだろうね。リボーンの思考はまるで読めないや。
「あ、恭華ちゃん!」
あ、ハルだ。声の元へ振り向くと、三浦ハルがパタパタと走り寄ってくる。
僕に手を振り、晴れやかな笑みを浮かべるハル。まるで犬耳や尻尾がついているような感覚だ。なるほど、これが幻覚か。病みつきになってしまいそうだ。
「やぁ、ハル。今日も元気だね」
「はい! ハルは元気が取り柄ですから!」
「今日はどうしたの?」
「ハルはリボーンちゃんの誕生日のためにパーティーグッズを買いにきたんです! そうだ! 恭華ちゃんも一緒に祝いましょう!」
「え?」
「誕生会のメンバーが一人でも多い方がリボーンちゃんも嬉しいはずです!」
「待って待って。僕、そのリボーン? のこと、知らないよ?」
「大丈夫です! リボーンちゃんはプリティーですから、きっと恭華ちゃんも仲良くなれます!」
そういえば今日はリボーンの誕生日だったか。
なんて思っていたら、何か僕もリボーンの誕生日を祝う流れになっていた件。
むむむ、どうしよう。正直な所、リボーンにはちょっと会いたくない。
僕の渾身の男装をいとも簡単に見破ってのけたリボーンだ。
下手したら、今度は雲雀さんに憑依中の僕のことまで発見しかねない。
でも、ここで断ってハルの残念そうな顔を見るのは忍びない。
……考え中。考え中。考え中。終わり。
よし、決めた。リボーンに会いに行こう。
何を血迷ったかと思われるかもしれない。
でも、憑依のことを知られるリスクを負ってでも、リボーンに会いたい。
それで、リボーンから変装の指南をしてもらうよう、頼みたい。
リボーンに弱みを握られている上にさらに貸しを与えることになるが、リボーン以外の面々に雲雀さんの性別がバレにくくできるメリットは大きいしね。シャマル対策は最重要案件なのだ。
ついでに、恭華さんモードの時ぐらい、ツナくんたちと仲良くなっておきたい。
せっかくハルが誘ってくれたわけだし、僕もリボーンの誕生会に参加するか。
「そうだね。うん、行こうか。特に用事もないしね」
「恭華ちゃんならそう言ってくれると思ってました!」
「でも、僕が行っていいか、そのリボーンって人に確認を取った方がいいかもね」
「――オレは構わないぞ」
アイエエエエ! ニンジャ!? ニンジャナンデ!?
何と、ショッピングモールの壁から忍装束のリボーンが現れたのだ。
両手に持つは、形状記憶カメレオンのレオンが変化したらしい、壁と同じ色の布。
いつからいたかはわからないが、全く気配が読めなかった。さすリボ案件だね。
「はひ、リボーンちゃん!」
「君がリボーンなんだね。僕は雲雀恭華。恭弥兄の妹だよ。よろしくね」
「そういう設定で行くんだな。わかったぞ」
「前々から考えてたんだ」
僕はその場にしゃがみ込んでリボーンと握手すると、早速リボーンが、『雲雀恭華=雲雀恭弥』だと見破ってきた。さすリボ案件その2だね。どこまで積み上がるのやら。
「ところでさ、リボーン。早速だけど、君に頼みがあるんだ」
「オレの誕生会に来たら聞いてやるぞ」
「りょーかい」
まだ内容を言ってないのに、当のリボーンは僕の頼みを予測し終えている模様。
さすリボ案件その3の確立はあっという間の出来事だったようだ。
そんなわけで。僕はリボーンの誕生日を祝うため、ツナくんの家へ向かうのだった。
◇◇◇
ツナこと沢田綱吉の現在の心境は果てしなく居たたまれないの一言に尽きた。
獄寺、山本、ハル、ビアンキ、ランボといった、リボーンが家庭教師となってから頻繁に関わるようになった面々が誕生日の準備をこっそり進めている。
その話を聞いて、家族以外に誕生日を祝ってもらえるなんて初めてだとルンルン気分で帰宅した所、皆が用意していたのがリボーンの誕生日だったと判明したからだ。
加えて、獄寺以外の全員がツナの誕生日のことを知らなかった、あるいは忘れていたのだ。
自分の誕生日を祝ってくれるものと勘違いしたツナの羞恥心と虚しさは推して計るべきだろう。
具体的にはベッドに飛び乗り布団を被って「うわああああ!」と叫びたい心境である。
そのような内心を抱えつつも、ツナの部屋でリボーンの誕生会が開かれた。
山本の父親が竹寿司を切り盛りする寿司職人である関係から、山本から豪華な寿司が振舞われる中。ツナはふと、鉄火巻きをパクパク食べる女の子の姿が目に留まった。ボサボサの黒髪にちょっとだけ目つきの鋭い女の子。ツナはこの子に見覚えがない。
「えっと。君って初対面だよね? 誰、かな?」
「ツナの知り合いじゃなかったの? てっきりツナから紹介が入るとばかり」
「恭華ちゃんはハルの友達です! 今日、バッタリ会ったので、連れてきちゃいました!」
「雲雀恭華だよ。場違いかもだけど、今日はよろしく」
ツナが問いかけると、ビアンキが中トロを頬張りながら小首を傾げる。
ハルが女の子の両肩をパシッと掴んで、その女の子が自己紹介をした時。
ツナ、獄寺、山本の3名は『雲雀』という名字に反応し、ビシリと硬直した。
「え、雲雀!?」
「雲雀ってまさか!?」
「んー。その反応を見るに、恭弥兄は派手にやってるみたいだね」
「……え、恭弥兄って……も、もしかして、あの雲雀さんの妹なの?」
「あの雲雀さんがどの雲雀さんかはわからないけど、僕は雲雀恭弥の妹だよ。改めてよろしく」
「えええええええええええええええ!?」
山本と獄寺が反射的に尋ねると、恭華はやれやれと頭をかく。
その言動から思い至った予想をツナが質問すると、あっさりと恭華は肯定した。
ツナは思わず驚愕の声を上げる。いとも簡単に獄寺と山本を倒し、ツナに恐怖を刻み込んだ雲雀恭弥に、大して危険性のなさそうな妹がいることがとにかく予想外だったのだ。
「あぁ、妹だったのか。ハハッ、そう言われて見てみたら確かに雲雀の面影があるな」
「アハハ、目がそっくりだってよく言われるよ」
「へぇ。貴女、あの雲雀恭弥の妹なのね。それにしては随分と普通そうね」
「雲雀家が全員アウトローと思われるのはちょっと。恭弥兄が全力で突き抜けてるだけだよ」
「はひ? 恭華ちゃんのお兄さんって有名なんですか?」
「気になるならネットで検索してみよう。ただし、心の準備は念入りにね」
大して雲雀恭弥に思う所のない山本は朗らかに笑いながら恭華の印象を口にする。
過去に雲雀恭弥に取引を強要されたビアンキは興味津々に恭華を見つめて感想を零す。
他校の生徒ゆえに雲雀恭弥を知らないハルはコテンと首を傾げる。
そのような各々の反応に随時返事をしながら、恭華はポンと胸に手を置く。
「とりあえず、僕のことは気軽に『恭華』とでも呼んでよ。その方がややこしくないでしょ?」
「おい、雲雀妹。テメェの家を教えろ!」
「え、どうして?」
「雲雀の奴にやられっぱなしは性に合わねぇんだよ! だから、殴り込む!」
「あぁ、なるほど。恭弥兄の友達なんだね。いいよ、教えてあげる。これからも仲良くしてやってよ。不器用を拗らせてるだけど、良いお兄ちゃんだからさ」
と、ここで。獄寺が恭華の両肩をガシッと掴んで、雲雀恭弥の住所を絞り出そうとする。
が、獄寺の粗暴な言動に恭華は全く動じない。眼前の獄寺が全身から表出させている『打倒・雲雀恭弥』な敵対心に気づいていないのか、ニコニコ笑顔で獄寺に対応する。
「はぁ!? なんで俺があの野郎と友達なんだよ!? お断りだ!」
「ふむふむ。これが男同士の友情って奴か。難しくて僕にはよくわからないな」
「だから! 勘違いすんじゃねぇええええええ!!」
結局、雲雀恭弥と友達だとの恭華の認識を変えられなかった獄寺は、恭華から住所を聞くことをやめた。妹に変に誤解されたまま、雲雀恭弥の家に行きたくなかったからだ。
(さ、さすがはハルの友達。ハルとは別方向の天然だ、この人……!)
「ま、誕生日の主役がいるんだから僕の話はここまでにしよう。とにかく、おめでとう。リボーン。……あと、ついでに沢田くん?」
「ついでにって言わないで! 悲しくなるから!」
恭華はリボーンを祝福した後、おずおずと明日に控えるツナの誕生日も祝う。
そんな恭華の善意な気遣いの影響で、ツナは再び居たたまれない心境に追いやられる。
少し天然だけど、気遣いのできる落ち着いた人。これがツナの恭華への第一印象だった。
◇◇◇
余談だが、この後リボーンの誕生会は平穏に執り行われる、なんてことはなかった。
ボンゴリアン・バースデーパーティーという、誕生日を迎える主役が参加者のプレゼントや出し物に100点満点の点数をつける企画が始まったからだ。
最上位の参加者は主役から豪華プレゼントをもらえるが、最下位の参加者は殺されるという物騒な企画にて、参加者がそれぞれ個性的なプレゼントや出し物を披露する中。
誕生会へ飛び入り参加な恭華は、所持している仕込みトンファー(お遊び用)から水鉄砲やシャボン玉、各国の旗などを繰り出す、お手軽パフォーマンスで60点を確保した。
そして、ボンゴリアン・バースデーパーティーは最終的にツナ&獄寺の、人が入った箱に剣を刺す手品(種なし)で幕を下ろした。
誕生会の終了後、リボーンと恭華がコソコソと話をしていたのだが、死ぬ気の手品の影響で体を痛めて病院行きとなったツナには知る由もないのだった。
雲雀恭弥→本作の主人公。本名は雲雀恭華。今は凡人が憑依している。恭華さんモードの時はツナたちと普通に群れる方針にしたらしい。また、純粋な戦闘用な仕込みトンファーとは別に、お遊び用の仕込みトンファーも作っていたらしい。
沢田綱吉→原作の主人公。リボーンと誕生日が1日違いなせいで、リボーンの誕生会が自分のために開催されるものと勘違いしてしまった。ドンマイ。
リボーン→ツナを立派なボンゴレ10代目にするために、イタリアから派遣された凄腕の殺し屋。現状、雲雀さんの真の性別を知る貴重な立場となっている。
獄寺隼人→スモーキン・ボムとか人間爆撃機とかいった異名を持つマフィア関係者。雲雀恭弥の家を恭華から聞きたかったが、恭華の誤解(わざと)の影響で、聞き出す気が失せてしまった。
山本武→並盛中の1-Aに所属する人気者なクラスメイト。雲雀恭弥にぶちのめされたことをいつまでも気にする性格ではないため、ごく自然に恭華と話をした。
三浦ハル→原作のヒロインの1人。コミュ力が素晴らしく高い彼女らしく、独特の思考回路を経て、恭華をリボーンの誕生会に誘うことにした。
ビアンキ→リボーンをこよなく愛するフリーの殺し屋。雲雀恭弥への第一印象が最悪クラスだったため、雲雀恭弥のような凶悪性をまるで持っていなさそうな恭華のことを不思議に思っている。
ランボ「ねぇねぇ。ランボさんの登場は? ランボさん、リボーンの誕生会にいたよね?」
ふぁもにか「あんまりキャラが多すぎると描写がきついんだよね。それで、ね? うん、ごめん」
ランボ「……ラ、ランボさんは大人だから、出番が先送りにされても平気だもんね(震え声)」
というわけで、8話は終了です。執筆していてつくづく思うのですが、獄寺くんってどう動くのかが凄く想像しやすいキャラですよね。彼のおかげで中々書けなかった8話の後半部分の展開を発想できたので、ありがたい限りです。