Re:ゼロから始める素晴らしいオーバーロード!   作:梶本 楓

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今回は『このすば』メインの話です。

冒険者になろう!

―追記―2016.9.22
地の文等の改稿を致しました。







第一章 交差する物語
1話 冒険者になろう


平凡な少年カズマと、水を司る女神アクアが向かった先、それは冒険者ギルドだった。

 

本来ならばアクセルの街という場所にいる筈の彼らだが、カズマの持ち前の適応力を活かし、何とか無事にここまで来た女神とニート。

 

アクアは、目の前のギルドを見て首を捻った。

 

「んー、やっぱり違うのよねぇ...言語とか、雰囲気とか...。こんなにピリピリしていた覚えは無いのよ」

 

その言葉に、カズマは疑問を感じた。

 

「何でだよ?確か俺って、この異世界を侵略する魔王を倒すために来たんだよな?なのにその魔王を倒すギルドがピリピリしてない筈が無いだろ」

 

 

 

カズマは、トラックに轢かれそうになった少女を助けて――――――いたつもりだったのだが、実際は走ってたトラクターをトラックと見間違え、轢かれたと思い込んでショック死したのだった。

 

そして死んだカズマは、天界に住まう女神アクアにより、魔王が人の命を奪うこの世界に『チート』を1つ貰って異世界に転生する手筈だったのだ。

 

他の世界の女神に頼み込んで、魂に干渉して異世界に送り込む程の逼迫した状況で、ピリピリしていないのは変だと思ったカズマだったが、残念ながらカズマの予想は少し食い違っているのだ。

 

アクアが口を開く。

 

 

 

「いい?アクセルの街は、始まりの街。つまり魔王から一番遠い街なの。そこには強い冒険者は居ないけど、強いモンスターも居ないのよ。

魔王軍には手も足も出ないけど、それ以外の雑魚なら何とか勝てる―――それくらいの街なの」

 

「お、おう」

 

「はぁ...。つまり、平和な街って事よ。だから、そこが殺気立つ様な事は殆ど無いハズ...」

 

「するとあれか、ここが本来のアクセルの街より殺気立ってるって言いたいのか?」

 

「そう言う事よ。取り敢えず中に入りましょう。あの冒険者達が首に提げてるプレートが何かも気になるしね」

 

カズマは、ちらりと近くの冒険者に目をやる。

 

何処か野性味のある軽い鎧を纏った短剣の青年は、首から銀色の首飾りを提げていた。

 

その隣には銅色の首飾りをした少女が、念入りに腕に包帯を巻いていた。

 

見渡した所、一番多いのは銀色の鉄製と思わしき首飾りを着けた者達。次が銅色、その次に光輝く銀。そして金だ。

 

もしかしたら、まだいるのかもしれないが、今見える範囲ではそのような姿がチラホラと見えるくらいだった。

 

周囲の確認を既に終わらせていたアクアは、ドアを開ける為に手をドアノブにかける。

西部劇に出てくるようなウェスタンドアに手を置くアクアに続いて、慌ててギルドの中に入ったカズマは、その光景に驚愕する。

 

 

 

何やら掲示板のような紙の貼り付けられた場所に群がる鎧を纏った者達。そして、そんな男達のすぐ隣のカウンターには大量の人間が並んでいた。

 

「これが冒険者ギルドかよ...予想以上にヘビーな職場だな、おい...」

 

 

人混みが苦手なカズマには苦行のような行列に、思わず気分が悪くなってしまう。

アクアは一切気にしていないようで、ずんずんとカウンターに向かって歩いていく。

 

そして並ぶ冒険者を無視して横入りしたアクアは、強めにカウンターを叩くと、受付嬢に叫んだ。

 

「私の名はアクア!今すぐ私と...そこの男を冒険者にしなさい!」

 

「えちょっ!?」

 

アクアの宣言と非常識な行動に、ギルドに居た冒険者達は、アクアとカズマに不快な目を向けた。

 

横入りされた挙げ句、ひょろひょろの男と良く分からない女が冒険者になるだなんて言えば、不快に思っても仕方ないだろう。

 

しかし、アクアの姿を見た一部の冒険者は、すぐにその口元を歪めてアクアの元へと寄っていった。

 

「まぁまぁ良いじゃねえか、こんな可愛い女が横入りしたくらい、何ともねえよなぁ?」

 

そう言いながら、アクアの肩に手を掛けようとした冒険者の手を、アクアは全力で叩き落とした。

 

 

 

「貴方、汚らわしい手で触らないでくれる?」

 

 

 

そう言われ、手を叩かれた男は、呆然として固まってしまう。

 

そしてカズマはその隙に逃げようとしたが上手く逃げるルートが見つけられなかった。

 

カズマが手こずっている間に、完全にキレた男がアクアに向かって拳を振り上げた。

 

「てめぇ!嘗めやがってこのアマ!」

 

勢い良く向かう拳に、誰も対応出来ない―――と思われたその時。

 

 

 

「激昂してすぐに手を出すな。その行動は、いずれ戦場で死を招くぞ」

 

 

 

深紅と純白の鎧。そして、その勇ましい顔付き。

 

ここに住む者ならば誰もが知っている英雄。

 

 

 

ガゼフ・ストロノーフが男の手を掴んでいた。

 

 

 

「うっ、うわぁぁぁ!!ガ、ガゼフ様!あのガゼフ様なのか!!?」

 

「ガゼフ様!?何でこんなところに!?」

 

ギルド内に居た冒険者達は、声を揃えて驚いたり喜んだり、様々な表情を見せていた。

 

しかし、手を掴まれた男は顔面蒼白だった。

 

「ちちっ、違う!お、俺は悪く無い!」

 

「分かっている。お前の言い分も。だから俺はこれ以上何もしない。後はお前達だけで解決しろ」

 

必死に弁明する男に、ガゼフは少しだけ同情の顔を見せた。

 

そして手を離したガゼフは、アクアを見てから何も言わずにギルドを去っていったのだった。

 

 

 

「かっ、かっけー...!」

 

 

 

一方、見ていただけのカズマは感激の声を上げていた。

 

何やら見知らぬオッサンが凄い速度で走ってくるから何事かと思ったら、とんでもない速さで事件を解決して去っていった。カズマとしては何とも言えない話に聞こえるが、それでもアクアを助けたのは事実。クールガイなその生きざまに、カズマは惚れ惚れしたのだ。

 

 

 

ガゼフ・ストロノーフ。

 

彼は、周辺国家最強クラスの戦士(・・)だ。騎士には、規格外の強さを誇る『剣聖』や『最優の騎士』等が居るため、純粋に最強とは言えないが、それでも間違いなく五本の指には入る強さの持ち主だ。

 

平民から成り上がった彼を英雄視する少年達は数多くおり、その勇ましい顔付きは、他の英雄達とは違った印象を与えてくれるものだった。

 

 

 

そんな英雄に助けて貰ったアクアは、当然女冒険者の羨望の対象となる訳で。

 

「ねえねえ、あなた何者なの!?」

 

「ガゼフ様とはどういう関係!?」

 

「今の気持ちを教えて!今すぐ!」

 

鎧の金属音を鳴らしながら興奮ぎみに近寄ってくる彼女達に辟易とするアクア。しかし気付けば包囲され抜け出せなくなっていた。

 

「もぉー!何なのよここー!冒険者になりたいだけなのにー!!」

 

それから暫く怒鳴るアクアの声と、感嘆のカズマの声がギルド内に響き渡っていたのだった。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

それから数時間経って冒険者になったアクアとカズマ。

 

助けなかった事をクドクドと説教されたカズマだったが、一切気にせず逆にアクアを泣かせるという珍事件もあったが、その話は置いておこう。

 

 

 

冒険者とは、一般的にはクエストをこなして生計を立てる者の事を指す。

 

採取や討伐やら、あらゆる仕事をこなす『何でも屋』の様な事をして生計を立てる彼らには、階級が存在している。

 

下から『(カッパー)』『(アイアン)』『(シルバー)』『(ゴールド)』『白金(プラチナ)』『ミスリル』『オリハルコン』『アダマンタイト』となっている。

 

冒険者たちが首から提げていたプレートは、この冒険者のランクを指していたのだった。

 

ちなみに、アダマンタイトの冒険者は殆ど居らず、故にアダマンタイト級冒険者は、誰からも英雄として扱われる人間の切り札なのだ。

 

カズマもアクアも(カッパー)のプレートを提げて町を歩いていく。

 

「なぁ、取り敢えず今日は『薬草採取』のクエストをこなしてから帰るんだよな?」

 

「あったりまえよ!このまま野宿したら、このアクア様の魅惑のボディに群がった男達に滅茶苦茶にされてしまうもの!」

 

「あっそ...。ちゃっちゃと回収して帰ろうぜ。腹減っちまってよ」

 

「無視!?ちょっ、ちょっと!」

 

無視しながら歩くカズマを追い掛けるアクア。

 

 

 

空は黄金色に輝いており、とても綺麗な夕焼けが浮かんでいた。

 

緩やかに流れる空気を感じながら、カズマ達は歩を進める。

 

その先にあるモノを知りもしないままに。

 

 

 

 

 

 

 

 




次の話は『リゼロ』かなぁ...。『オーバーロード』は少し待っててくださいね。
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