Re:ゼロから始める素晴らしいオーバーロード!   作:梶本 楓

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このすばメインの話となります。

最近、私用で書けていませんでした。すみません。










3話 さ迷いの女神

「それで?お前に言われるがまま来てみた結果が」

 

「うぅ...」

 

「これかぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

 

 

太陽が傾いて来た頃。

 

冒険者として薬草採取のクエストをする為に街の外壁を目指していたカズマとアクアだったが、気付けば寂れて静かな所へと来てしまっていた。

 

痩せた子供達がたまに近くを通り過ぎたり、力無く道端に座り込む大人達が居たりする場所。

 

そんな所に来たカズマ達は、途方に暮れていた。

 

 

 

「おいおいどうすんだ?完全に迷子だぞ俺たち...!それに、このままじゃ薬草採取に行く前に暗くなって今日のクエストクリアは無理になるぞ!」

 

「わぁーっ!うるさいわよー!仕方ないじゃ無いの!だって分かんないんだもん!うわぁーっ!」

 

「何が“だもん”だ!この駄女神が!!」

 

「何よこのクソニート!アンタだって『俺は美しく知性に溢れる最高の女神アクア様の犬です』って付いてきたクセに!」

 

「言ってないですけど!?何捏造してんだ!?」

 

 

 

カズマ達は、周囲の視線など全く気にもしないで、わいのわいの叫び暴れていた。

 

カズマもアクアも異世界一日目だと言うのに飯無し野宿になる事を恐れているのだった。

 

騒いだ所で事態が改善される訳でもなく、途方に暮れたままの二人であったが、やがて夕方も遅くなっていき、本格的に危機感を持ち始めた。

 

「おいおいおいおい...せ、せめて寝かせてくれる所を探そうぜ!馬小屋でも何でも良いから!」

 

カズマはヤケクソ気味に提案する。だが、そうでもしないと本当に野外で寝なければならないので、カズマとしてはヤケクソの妥協策だった。

 

しかし、日本育ちの引きこもりであるカズマ以上に緩く甘い環境で育ったアクアが耐えられる筈もなく。

 

「何をバカな事言ってんのよ!何が何でも宿に泊まる!それくらいの意気込みで行くわよ!」

 

無理難題を押し付ける結果になるのは当然だった。

 

「ほんっとーにお前はバカだな!?金が無いやつに誰が宿に泊めるんだよ!」

 

「ふっふっふ!考えてみなさい!義理人情の旅、すなわち『異世界に泊まろう!』をするのよ!」

 

「ノープランさが滲み出る無計画押し掛け要素は要らねえんだよ!芸能人でもないのに、誰がやるかそんなもん!」

 

「ひ、人はお互いを支え合って生きていくのよ!」

 

「お前は駄女神だから人じゃねえけどな!」

 

「なんなのよ!もぉぉぉぉぉ!!」

 

そう言い争いながら歩いていくと、ある一軒の家の前に来ていた。

 

そこは木製の簡素なログハウスに似た家屋であった。

 

 

 

建物の大きさはカズマの知識でいうと、おおよそコンビニの面積にあたるだろうか。ちなみに建物でなく、駐車場まで含めてのコンビニの面積だ。

 

平屋ではあるものの、ゆうに車が二十台は止められそうな広さだ。周囲にはこれまでの通りに並んでいた民家は見当たらず、高い防壁を背中にして、街の最奥地に居を構えている。

 

 

 

その広い家の前に辿り着いた二人は、顔を見合わせる。

 

「なぁ、アクア」

 

「何よ、カズマ」

 

「こんだけ広い家だ。きっと何かある。今までの廃れた民家っぽいのに比べたら、月とスッポンだ」

 

「そうね。カズマにしては上出来な分析よ」

 

「何でお前は一々俺の評価が低いのか分からんが...まぁ良い。それよりも、だ」

 

アクアは、カズマの真剣な声に唾を飲み込む。

 

「野宿は嫌だよな?」

 

「絶対に嫌よ」

 

「だが金の無い奴に宿をやる奴なんて居ない...」

 

「そうだわ。私だったらお断りするわよ」

 

「そこでだ。俺に考えがあるんだが...」

 

カズマは、厭らしい不気味な笑顔で一言。

 

 

 

「悪魔と相乗りする勇気...お前には有るか?」

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「ビビんな、ビビんなよ、俺...。目の前にチャンスがあんのに野宿だなんて、そんなこと出来るかよ」

 

そもそも、寝る場所なんて他に無いのだから。

 

指定の位置にアクアが居ることを確認したカズマは、意を決してまぁまぁ大きな扉に拳を叩く。

 

「誰か、いますか...」

 

意外と鈍い音が中にも外にも響いたはずだ。が、返ってくるのは居た堪れなくなるほどの無音と無言。

 

ここまでは手筈通り。

 

カズマは、敢えて無駄だと知りつつ扉を激しく叩く。

 

「誰か…誰かいるだろ!頼むよ、返事してくれ…頼む」

 

ここで野宿だなんて、屈辱的な結果は見たくない。

 

確かで、純粋な下心満載でカズマは戸が軋むほどに拳をぶつけながら叫ぶ。

 

カズマの連打を受け止めきれず、徐々に戸の角度が傾ぎ、古い蝶つがいが変形し始めた。

――そんな頃になってだ。

 

 

 

「――やっかましいわぁ!!合図と合言葉も知らんで、扉をぶっ壊す気か!!」

 

 

 

目の前の扉が勢いよく開いて、体重を掛けてノックをしていたカズマが吹っ飛ぶ。

 

民宿予定地の入口から五メートル近く後ろに飛ばされ、地面を無様に転がったカズマは確かな手応えを感じながら、その顔を上げた。

 

計算尽くしの瞳の中に、入口で顔を真っ赤にさせた老人がカズマを睨んでいる。

 

大柄で、禿頭の老人だ。

元は白かったのかもしれない上着は、埃と長年の汗やらなにやらで茶色く変色し、見るからに不衛生な有様だ。ほんのり漂う香ばしい異臭は、アレが原因かもしれない。

 その衣服の下には筋肉質な肉体が詰まっていて、その年齢を感じさせる見た目に反して弱々しさの一切を思わせない強靭さが見え隠れする。

 つまるところ、体のでかいハゲの超元気そうなジジイが立っていた。

 

「ぶふぅーっ!」

 

「あぁん!?誰か、ワシの事を笑ったかぁ!?」

 

(バッカ何やってんだあの駄女神ぃぃぃ!!)

 

それを見て盛大に吹き出したアクアの声を、中々の聴力なのか聞き取ったジジイは、その丸太の様な腕を振り回しながら喚き散らす。

 

思った以上に中々凄い宿主が出てきたショックがあったが、それを越えるピンチにカズマの脳は軌道修正の方向へと進みだした。

 

「おっとアクア!大丈夫かー!病気が悪化して噎せちゃったよなー!」

 

即座にアクアの元に着いたカズマは、馴れ馴れしく肩を叩いては弁明を始める。

 

今回のカズマの作戦。それこそ『病弱な妹アクアを助けて~作戦』である。

 

概要は簡単。あらゆる手で誘きだした宿主に、病弱な設定のアクアをぶつける。

 

怒りで高まっていた気分を、一気に冷めさせるような暗い空気を与える事によって、いつもより寛大な心になったであろう宿主にお邪魔になる作戦なのだ。

 

今回の作戦の要は、どれだけアクアが病弱になりきり宿主の庇護欲を高めるかだ。仮にも美少女であるアクア。その可能性に掛けたカズマの無計画作戦が始まっていた。

 

「こほんこほん!うぅ、もうダメお兄ちゃオェェ...」

 

「吐く程!?そこまで嫌か!演技しろよバカ!」

 

早速計画の破綻が始まってしまった。

 

カズマ達が予想外に言い争いをしている間にも、ジジイのこめかみには血管が浮かび上がって来ていた。

 

 

 

「なんじゃお前ら!見ない顔じゃがどこで此処を知った!誰の紹介じゃ!何者じゃ!!」

 

 

 

作戦失敗。そんな言葉がちらつく。

 

ただジジイのヘイトを集めただけだったカズマは、ぐんぐん近付きつつ質問攻めを始めるジジイを目の前にして、灰色の脳細胞を活性化させて行く。

 

(何か無いのか、異世界、頑固ジジイ、筋肉ダルマ...うぉぉぉぉぉ!こんな時に日本の食い物でもあればぁぁぁぁぁぁぁ!!)

 

後悔の念が着実に強くなっていく、カズマの元に一人の影が現れてきた。

 

 

 

「殴るなら...私を殴ってからだ!」

 

 

 

流れるような金髪。

 

麗しくも艶かしい四肢。

 

それらを、包み隠す純白の鎧の腰辺りには、一振りの剣が掛けられていた。

 

余りにも美しい美少女。だが、そんな彼女の顔は欲望と色欲に塗り染められていた。

 

 

 

「我が名はダクネス!さぁ巨人族のご老人よ!ここを通りたいならば私を倒して――――――飢えた野獣のように、厭らしく辱しめを受けさせる瞳で見つめながら倒してみせろ!!」

 

 

 

夕焼けの下、廃れた街の中で腕を広げて誰かを守る姿は騎士のそれ。だが、その表情が全てを台無しにする。

 

彼女はダクネス。誇り高きクルセイダーである。

 

 

 

 

 

 




敢えて『リゼロ』をパロったシーンを入れてあります。あっちはシリアスなシーンだったんですけど、『このすば』だとギャグみたいになってしまいますね。

次はお待ちかねの『オーバーロード』メインです。
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