ポケットモンスター-黒衣の先導者-   作:ウォセ

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大分遅れてすいません…ちょっとゲームに夢中になってしまったのとリアルが忙しくなってしまって…。

これも全部バトルフィールド1って奴とシャドウバースって奴が悪いんや!

のんびり更新になると思いますが末永くお付き合い頂ければ幸いです。


進化せよ ポチエナとグラエナ

ホウエンリーグ出場を目指し、旅を続けるサトシ達。

最初のジムのあるカナズミシティを目指し旅をしていたサトシ達は、森の中の道を進んでいた。

 

「はぁ~、歩いても歩いても森ばっかり。もう飽きちゃった」

 

そうぼやくハルカだったが無理も無いだろう。

トウカシティを出てからはひたすら森を歩いているだけなのだ。

それだけホウエン地方のこの辺りが緑豊かであるという証拠でもあるのだが、こうもずっと見続けていると逆に気が滅入りそうにもなるだろう。

 

「何言ってるんだよハルカ。こういう森でもポケモンを探しながら歩いてると楽しいぜ!」

 

「そうだねよお姉ちゃん! まだ見たことのないポケモンと出会えるかもしれないしワクワクするよし!」

 

「ピカピカピカチュウ!」

 

ハルカに対してサトシとマサトとピカチュウは男の子らしく冒険していることにワクワクしている様子で旅をバッチリ楽しんでいた。

それを見たハルカは余計にげんなりしてしまう。

気が滅入っている所で隣の人物が元気はつらつしていると更に疲れるものである。

 

「お兄ちゃ~ん…」

 

「色々と前向きに捉えてみろよ。ほら、あそこにポケモンがいるぞ」

 

「え?」

 

ソラトが指差した先の木の上には紫色の体にひょろりと長い尻尾が生えているポケモン、エイパムだった。

 

「オッオッオッ?」

 

「おお! エイパムだ!」

 

『エイパム おながポケモン

器用に動く尻尾の先を手のひらの使っていたら、反対に両手が不器用になってしまった。』

 

「あれがエイパム…初めて見たけど…ちょっと可愛いかも! よーし、ゲットしちゃお!」

 

エイパムを見つけたハルカはバトルを仕掛けようと空のモンスターボールを手に取るが、エイパムのいる木の下の茂みから茶色い体のタヌキのようなポケモン、オタチが現れた。

 

「あっ、見て見て! あそこにはオタチもいるよ!」

 

「オタチか、久しぶりに見たな」

 

『オタチ みはりポケモン

眠る時は交代で見張りをする。危険を察知すると仲間を起こす。群れから逸れると怖くて眠れなくなる。』

 

「オタチ! こっちも可愛いかも~!」

 

「目移りしてるな。ゲットするならどっちかに絞った方がいいぞ……ん? 何か看板倒れてるな」

 

ソラトはエイパムにオタチにと目移りしているハルカを苦笑しながら見守っていると、草むらの中で倒れている看板を見つける。

 

「えーと何々…この先ポケモン保護区。関係者以外立ち入り禁止。尚ポケモンのゲットは厳禁…ってマズイ! 待てハルカ!」

 

「行くのよモンスターボール!」

 

「デン! ボールにでんこうせっかだ!」

 

「マイ! マイーッ!」

 

「ええっ!? きゃあああっ!」

 

ソラトの制止が間に合わず、ハルカはエイパムに向かってモンスターボールを投げる。

仕方ないとソラトはデンを繰り出すと、でんこうせっかを放ってハルカの投げたモンスターボールを弾き飛ばす。

が、勢い余ってライはボールと一緒にハルカに突っ込んでしまい、でんこうせっかを決めてしまう。

 

「ハ、ハルカ! 悪い、大丈夫だったか?」

 

「いたたた…もう! お兄ちゃんいきなり過ぎるかも!」

 

「突然でんこうせっかだんて、どうしたのソラト?」

 

「ほら、この看板だよ」

 

ソラトはハルカに謝りつつ先ほど見つけた看板を3人に見せる。

 

「ポケモン保護区…って何だ?」

 

「んー、多分だけど文字通り―離れろッ!」

 

「どわっ!?」

 

「わあっ!?」

 

「きゃあ!?」

 

話の途中で突然ソラトは言葉を切ると、サトシを突き飛ばし、ハルカとマサトを両脇に抱えて飛び退いた。

すると先ほどまでソラト達がいた場所に黒い小さな影が飛び込んで鋭い牙を光らせた。

 

「チエーッ!」

 

「いでで…何なんだよいきなり!」

 

「チャァ~」

 

サトシは突き飛ばされたことで背中から転んでしまい、痛む背中を摩りながらポケモン図鑑を開いて小さな影の正体を確認する。

 

『ポチエナ かみつきポケモン

動くものを見つけるとすぐに噛み付く。獲物がヘトヘトになるまで追い掛け回すが反撃されると尻込みすることもある。』

 

「いきなり何するんだよ!」

 

「ピカピカッ!」

 

「エナッ! チエナッ!」

 

サトシとピカチュウは喧嘩腰で立ち上がると、ポチエナも威嚇をするように姿勢を低くしながら唸る。

どうやらバトルは避けられないようだ。

 

「やる気みたいだよ。サトシ! ポチエナはあくタイプだからね!」

 

「任せろ! ピカチュウ、10万ボルト!」

 

「ピーカーチュゥウウウウウウ!」

 

マサトのアドバイスを皮切りにピカチュウが10万ボルトを放つが、ポチエナは素早い動きで10万ボルトを回避するとピカチュウにたいあたりを仕掛けた。

 

「ピィカー!?」

 

「ピカチュウ! 大丈夫か!?」

 

「ピィカ!」

 

「チエ~」

 

たいあたりで吹き飛ばされてしまったものの、ピカチュウはすぐさま立ち上がって体勢を立て直す。

ポチエナも油断なくピカチュウに向かい合っていると、近くにあった岩場の上からポチエナよりも大きな影が飛び出し、サトシ達を取り囲むように陣形を敷いた。

 

「グラウッ!」

 

「エナッ!」

 

「今度はグラエナか…次から次へと面倒だな」

 

「きゃあっ! 私グラエナちょっと苦手かも!」

 

「わぁ~、ポチエナの進化系だよ! 仲間なのかな!?」

 

サトシ達を取り囲んできた大きな影はポチエナの進化系であるグラエナだった。

グラエナを見たハルカは怯えてソラトの体に強くしがみつく。

恐らく以前のマグマ団との騒動で苦手意識がついてしまったのだろう。

 

「ってか囲まれたな…強行突破するか。行くぞデン」

 

「マイマイ!」

 

「待ちなさい!」

 

ソラトとデンも、グラエナ達の包囲網を突破するために戦闘態勢に入ろうとするが、先ほどグラエナが飛び降りてきた岩場の方から聞こえた制止の声に動きを止めた。

岩場には1人の女性が立っており、厳しい目つきでソラト達を見つめていた。

 

「貴女は?」

 

「私はカクリ、ここのポケモン保護区の保護官よ。あなた達は密猟者ね!」

 

「「「えぇー!?」」」

 

年長者としてソラトが女性に問いかけると、カクリと名乗った保護官の女性はソラト達を密猟者と見て対応しているようだった。

思わぬ事態にソラト以外の3人は大声を出してしまう。

 

「違います! 俺達、ここが保護区だとは知らなくて!」

 

「もう! お姉ちゃんのせいだぞ! ポケモンをゲットしようとするから!」

 

「知らなかったんだから仕方ないでしょー!?」

 

サトシが否定し、ハルカとマサトが姉弟喧嘩を始めてしまいドタバタする様子に、カクリは呆気に取られてしまう。

バタバタしているその様子は、どう見繕っても密猟者には見えない。

 

「申し訳ない。看板が倒れてて気づかなかったんです。結果的にゲットもしなかったし、大目に見てもらえませんか?」

 

「…そうみたいね。ポチエナ、グラエナ!」

 

ソラトの弁明もあり、どうにか誤解は解けたようだった。

カクリが命令するとグラエナ達は警戒を解いてカクリの元へと戻る…が、ポチエナだけはまだサトシに対して唸っており、顔面目掛けてたいあたりを繰り出した!

 

「チエーッ!!」

 

「うわーっ!?」

 

ガツン☆

 

 

 

所変わってここはカクリの拠点であるログハウス。

サトシ達はカクリに招かれ、このログハウスで休憩する事にしたのだ。

 

「いててて…」

 

「はいはい動くなよ…これで良しと」

 

顔にたいあたりを受けてしまったサトシは額が赤く腫れているため、ソラトが湿布を張って軽く治療を済ませた。

 

「ごめんなさいね、密猟者と間違えてしまって。ポチエナ、あなたも謝りなさい」

 

「クゥーン…」

 

「大丈夫ですよ! な、ピカチュウ!」

 

「ピーカチュ」

 

ポチエナもションボリといった様子でサトシに謝るが、サトシはそんな事は気にしていないとばかりに元気をアピールした。

そしてハルカはログハウスの中にいる、所々に怪我をしたポケモン達に目を向けた。

 

「カクリさん、ここにいるポケモンって怪我をしてるんですか?」

 

「えぇ、野生のポケモンで怪我をした子を保護するのも私の仕事なの」

 

「なるほど、ポケモンドクターとしての技術も持ってるんですね。そういえばカクリさん、先ほど密猟者と言ってましたが、出るんですか? ポケモンハンターが」

 

「ポケモンハンター? ソラト、それって何?」

 

聞き慣れない言葉にマサトがソラトに尋ねると、ソラトは苦虫を噛み潰したような表情をした。

その反応を見たマサトは、何か聞いてはいけない事を聞いてしまったのかと思い、思わず体の動きがピタリと止まる。

 

「ポケモンハンターっていうのは、野生や人のポケモンを無理矢理奪ってお金で取引する悪い人達の事よ」

 

「そんな悪い人がいるんだ…て事はロケット団もポケモンハンターなの?」

 

「いや、アイツ等はポケモンハンターって言えるほどポケモン捕まえれてないと思うぞ…」

 

ポケモンハンターの事を聞いたマサトはロケット団の事を思い出すが、サトシが即座に否定した。

確かに今までもサトシに邪魔をされてしまい、作戦が成功した試しはほとんど無いため、ロケット団をポケモンハンターと言っていいのかは悩みどころである。

 

「ポケモンハンターかは分からないけど、近頃この辺りでポケモンを捕まえる罠を見かけるの。だからポチエナ達とパトロールしてたのよ」

 

「そうだったんだ。でも、何でこいつだけポチエナなんだろう? 他の仲間は3匹ともグラエナに進化してるのに」

 

「無闇やたらとたいあたりしちゃう癖のせいでバトルの相手が中々見つからないせいかもね。でもこの子にも進化の時期があるだろうし、それにこの子がポチエナのままでいいと思っているなら無理に進化させなくてもいいと思ってるの」

 

「駄目だよ!」

 

カクリのポチエナの進化を無理にさせないという話を聞き、マサトは突然大声を上げた。

その声に皆驚きと共に疑問を浮かべた。

 

「何で駄目なんだ、マサト?」

 

「だって! 進化した方がパワーが上がってバトルも強くなるし良いことばっかりじゃないか! お前もそう思うだろポチエナ!?」

 

「チエ?」

 

マサトはポチエナを抱きかかえながらそう言うが、当のポチエナは首を傾げてよく分からないといった反応をしていた。

 

「マサトは進化が見たいだけでしょ。私もパパに教えてもらったけど、進化っていうのは沢山経験を積んでいかないといけないのよ?」

 

「だったらバトルで経験を積ませればいいじゃないか! それに進化の方法は他にもきっとあるよ!」

 

「そんなのあるの?」

 

「無いことも無いけどな」

 

「「え?」」

 

進化について話をしているハルカとマサトだが、進化の方法についての話になる。

その話になり、ソラトは背負ってる鞄からある物を取り出した。

 

「それはリーフのいしね」

 

ソラトが鞄から取り出したのはポケモンの為の進化の石の1つである緑色の石、リーフのいしだった。

 

「他には…これとこれとこれと…」

 

鞄からは次々と進化の石が出てくる。

やみのいし、ほのおのいし、つきのいし、みずのいし、合計で5個の進化の石がソラトの鞄から出てきて机の上に並んだ。

 

「進化の石がこんなにも…すっげぇな」

 

「ピィカ」

 

サトシも今までに進化の石を見たことはあるが、ここまで多くの進化の石を見た事はあまり無かった。

 

「これで全部だな。この進化の石を使えば、特定のポケモンはレベルを上げなくても進化する事はできるぜ」

 

「へぇー、そうなんだ。ポチエナにはどの石が使えるの?」

 

「いや、ポチエナは進化の石は使えないよ。ただ石を使った進化もあるって事を覚えておいた方がいいぞ。色々分岐進化もするからな」

 

「ふーん…でも何でお兄ちゃんはこんなに進化の石を持ってるの?」

 

「これは俺の飯の種だよ」

 

ソラトがハルカとマサトに石を使った進化を説明していると、素朴な疑問をハルカが聞く。

確かにこれだけの進化の石を持っているのも珍しく、何か目的でもあるように思えるが、ソラトの答えは全く違う物だった。

 

「飯の種? どういう事だ?」

 

「ピカピ?」

 

「俺の家オフクロはもう居ないし、ロクデナシのオヤジは行方不明だから旅をするためのお金を旅しながら自分で稼いでるんだよ。この進化の石でな」

 

どうやらソラトは旅をしながら進化の石を集め、それを売って旅の資金にしているらしい。

サトシやハルカは両親からお小遣いの仕送りをもらっているのだが、ソラトの旅の厳しさを感じて乾いた笑みを浮かべた。

 

「あはは…ねぇ、このポチエナが進化するまでここにいちゃダメかな?」

 

「え? でも進化なんて何時になるか分からないぞ?」

 

「でも仲間は全員グラエナになってるし、コイツももうすぐ進化できると思うよ! ねぇカクリさん、お願い!」

 

「マサト、俺は早くカナズミシティに行ってジム戦がしたいんだけど…」

 

少しでも早くジムバトルをしたいサトシはここに留まることに対して渋っているが、そんなサトシの肩にソラトは手を置いて制した。

 

「ま、多少はのんびりしてもいいだろ。その間に特訓で色々仕込んでやるよ」

 

「んー…それならいっか」

 

「部屋に空きはあるから、ゆっくりしていってね」

 

こうしてサトシ達はカクリの所でしばしの休息を取る事になった。

マサトは四六時中ポチエナにつきっきりで世話をしており、サトシとソラトはログハウスの近くの広場でポケモンバトルの特訓に励んでいた。

 

「ポチエナ、お前もバトルをしてグラエナに進化しようよ~」

 

「チエ?」

 

マサトの要望に反してポチエナは良くわからない様子で首を傾げていた。

 

「ピカチュウ、でんこうせっか!」

 

「キノコ、マッハパンチ!」

 

「ピカピカピカピカピッカ!」

 

「ガーッサ!」

 

バトルの特訓をしていたピカチュウのでんこうせっかと、キノコのマッハパンチがぶつかり合い周囲の空気を振るわせる。

互いに弾き合い、ピカチュウとキノコは再び向き合った。

 

「いいぞピカチュウ!」

 

「ピッカ!」

 

「うーん……」

 

サトシとピカチュウは絶好調の様だが、逆にソラトは2人の様子を見てなにやら考え事をしている。

 

「ん? どうしたんだソラト?」

 

「いや、実は5年前に俺がカナズミジムに挑んだ時はいわタイプのジムだったんだ。基本的にジムの専門タイプは変わらないからいわタイプと戦う事になると思うんだ」

 

「へぇ、カナズミジムはいわタイプのジムなのか」

 

「ピカチュウにも、何かいわタイプに有効な技を覚えた方がいいんじゃないかと思ったんだが…ピカチュウが覚えられる技は何だったかな。ちょっと調べてくるから待っててくれ」

 

「分かった! それじゃそれまで休憩しよう」

 

「ピカチュ」

 

「ねぇサトシ、お願いがあるんだけど」

 

ソラトはピカチュウに覚えさせられる新しい技を調べにログハウスへ戻り、その間にサトシとピカチュウは休憩する事になった。

そこへマサトがやって来る。

どうやら何かサトシに頼みがあるようだ。

 

「どうしたマサト?」

 

「ポチエナとサトシのポケモンをバトルさせるんだよ。進化するためにね」

 

「そっか、ピカチュウはさっきの特訓で疲れてるから…出てこいキモリ!」

 

「キャモ」

 

サトシはキモリを出し、マサトとポチエナと練習バトルを行う事になった。

ハンデとしてキモリはトレーナーの指示は無しである。

 

「よーし、いくぞポチエナ!」

 

「グァウ!」

 

「キャモ」

 

「ポチエナ、かみつくだ!」

 

「チエー!」

 

マサトの指示を受けたポチエナは鋭い牙をむき出しに…はせず、キモリに飛びつくようにたいあたりを繰り出した。

だが真正面からの攻撃をキモリは軽く回避する。

 

「ポチエナ! たいあたりじゃなくてかみつくだよ! その方が威力が高いんだ!」

 

「チエ?」

 

「キャーモーッ!」

 

指示をうまく実行せず混乱しているところにキモリは両手にエネルギーを溜めてエナジーボールを放つ準備をする。

 

「あーっ! 駄目だよ!!」

 

「キャモ?」

 

突然マサトに大声で言われキモリはエナジーボールの発射を中止してしまう。

 

「え? 何が駄目なんだマサト?」

 

「だって勝たなきゃ経験値にならないじゃないか! キモリはエナジーボール禁止だよ! あと、素早く動かれると攻撃が当たらないからでんこうせっかも禁止ね。後は―」

 

「キャモ…キャーモッ!」

 

「チエーッ!?」

 

あれこれとバトルに注文をつけてくるマサトにイライラしたキモリはそんな事等お構いなしとばかりにエナジーボールを放ってポチエナを吹き飛ばした。

その余波を受けてマサトもボロボロになってしまう。

 

「エ、エナジーボールは禁止って言ったのに…」

 

「キャモ!」

 

付き合っていられないとでも言うようにキモリは木に登って枝の上に座ってバトルを放棄してしまった。

 

「マサト…相手がわざと負けるようなバトルじゃ本当の経験にはならないよ」

 

「でも、やっぱりバトルには勝たないと…」

 

「それはそうだけど…相手がわざと負けるような方法で進化しても、ポチエナは喜ばないんじゃないかな」

 

「…ズルして勝たなきゃいいんでしょ! 分かったよ! 来いポチエナ!」

 

マサトは自分のやり方を否定され、拗ねてしまったのかポチエナを連れて森の中へと走っていってしまった。

 

「まいったな…」

 

「あれサトシ、お兄ちゃんとマサトは?」

 

森の見回りに出ていたカクリと、その手伝いに一緒に行っていたハルカが戻ってきた。

ハルカが周囲を見渡してもマサトもソラトも見当たらなかった。

 

「ソラトは家の中だよ。マサトはちょっと森の中へ…」

 

「森へ!? 大変だわ!」

 

「何が大変なんですか?」

 

「森でポケモン用の罠を見つけたの。ポケモンハンターがここに来てるかもしれないわ。もし鉢合わせたりしたら…!」

 

サトシの言葉に、カクリが突然大声を上げる。

カクリが持っていたのはポケモンを捕まえるためと思われるネットの一部だった。

万が一これを仕掛けた悪人がマサトとポチエナと出くわしてしまったら…

ハルカの脳裏に悪人に連れ去られてしまうマサトとポチエナの姿が浮かび上がる…。

 

「た、大変! マサトー! 戻ってきなさーい!」

 

姉として弟を守るという意識のためか、ハルカは急いでマサトを追いかけて森の中へ走っていってしまう。

 

「あ、ハルカ!」

 

「私達も行きましょう!」

 

「はい!」

 

ハルカの後を追い、サトシとカクリも森の中へ向かって走っていった。

 

「待たせたなサト…あれ、誰も居ない…?」

 

「ガッサ?」

 

ソラト達がログハウスから出てきた時には誰もおらず、しばらく立ち往生していたのは割と余談だろう。

 

 

 

森へ入ったマサトはポチエナと一緒にバトルで勝てそうな野生のポケモンを探していた。

 

「いいかポチエナ、お前のたいあたりが生かせるようなポケモンとバトルするんだぞ」

 

「チエー」

 

森を進みながらパラスやヤミカラスといったポケモンを見つけるが、ポチエナでは厳しいと判断したマサトはそれらのポケモンをスルーして勝てそうなポケモンを探す。

 

「うーん、いいポケモンが見つからないな。これじゃいつまで経ってもポチエナをグラエナに進化させれないや」

 

「そこの坊ちゃん、今進化って言ったかな?」

 

「え?」

 

悩むマサトとポチエナの前に現れたのは、スーツを着こなした男性と同じくスーツを着た女性と、ニャースの3人組だった。

 

「貴方達は?」

 

「フ、私達こそ進化の達人、進化の石マスターのコジンロウと」

 

「ムサンシンよ」

 

「ニャー」

 

なんだか怪しい名前の3人組だが、進化と聞いてマサトは思わず興味を持ってしまう。

何かポチエナの進化のヒントになればと思ったのだ。

 

「進化の石マスター? それって何!?」

 

「フフフ、教えて欲しいかね? 仕方が無い、君にだけ特別だよ」

 

「今世間で流行っている進化の石はもう古い! 私たちが発明したこのスーパー進化の石があればポケモンなんてすぐに進化させれるのよ!」

 

「スーパー進化の石? なにそれ?」

 

「このスーパー進化の石の1つ、ニャースのいしを使えば…それ!」

 

ムサンシンが取り出した、普通の石にしか見えない石をニャースの体に当てるとニャースから眩い後光が差し込みマサトとポチエナの目を照らす。

 

「うわっ、眩しい!」

 

「チエー!」

 

後光に怯んで思わず目を背けてしまうマサトとポチエナだが、後光が収まるとそこに居たのは…

 

「ペルニャーン」

 

「え? 凄い、ペルシアンに進化した!」

 

ニャースの進化系であるペルシアンだった。

額に赤い宝玉があり、先ほどよりどことなく体が大きくなっている…多少の違和感はあったが初めて進化を見たマサトは興奮してそれどころではないようだ。

 

「ねぇねぇ! ポチエナのいしもある!?」

 

「勿論あるとも! これがポチエナのいしだよ」

 

コジンロウが取り出したのはやはり先ほどとそう大して変わらないただの石に見えるが、マサトは目を輝かせていた。

 

「お願い! ポチエナを進化させてよ!」

 

「うーん、どうしようかな。スーパー進化の石はとても貴重なんだよ」

 

「お願い! 僕どうしてもポチエナの進化を見たいんだ!」

 

「仕方ないわね。それじゃポチエナ、こっちにおいで」

 

「チエ」

 

ポチエナはムサンシンの所へ行くとポチエナのいしを体に当てられる。

すると先ほどのニャースの時のように眩い後光が放たれ、マサトの目に差し込む。

再び強い後光によって目を閉じてしまうマサトだが、今度は最初から最後まで進化の瞬間を見ようとどうにか頑張って目を開ける。

 

「うぅ…絶対に進化の瞬間を見るんだ! ポチエナー!」

 

「チエ?」

 

「しぶといわね…ソーナンス、もっと光強くすんのよ」

 

「ソーナンス」

 

「うわっ! 光が強く…やっぱり駄目だ!」

 

ムサンシンが小さな声でポチエナの後ろの茂みに声をかけると更に後光が強くなり、マサトは目を覆ってしまった。

そのまま10秒、20秒と待ち続けるが、一向に後光が収まる気配は無かった。

 

「ポチエナの進化って凄く時間がかかるんだね! まだ終わらないの!?」

 

あまりの時間の長さにマサトはまだ終わらないのか聞くが、返事はなくただ時間だけが過ぎていく。

 

「あれ? ねぇ、まだなの?」

 

そうしてポチエナの進化を待ち続けるマサトの所へと後を追ってきたサトシ達がやって来る。

サトシ達の位置からは後光が差さないためマサトのいる所の様子が見えていた。

 

「あ、居たわ! マサトー!」

 

「あれ、あそこの茂みから光が出てるわ」

 

「何なんだアレ? とりあえずピカチュウ、あの茂みに10万ボルトだ!」

 

「ピーカーチュゥウウウウウウウ!」

 

サトシ達から見るとマサトの前にある茂みから光がマサトに向けられており、その周りには誰も居なかった。

一先ずピカチュウの10万ボルトが茂みの奥へ奔ると、茂みの奥に置いてあった設置型ライトに直撃してショート、爆発した。

 

「マサト、一体何してるの?」

 

「あれ、光が…あれポチエナがいない!?」

 

「ポチエナがどうしたの!?」

 

「さっきここで進化の石マスターって人がいてポチエナを進化させてくれるって…」

 

「進化の石マスター? なにそれ胡散臭いかも」

 

「でも、さっきニャースがペルシアンに進化したんだよ!」

 

「「「なーっはっはっはっは!」」」

 

「何だ!?」

 

追いついたサトシ達とマサトが何があったのか話し合っていると、そこへ突然響き渡る笑い声。

声の方を見ると、そこには見慣れたニャース型の気球が飛んでいた。

 

「何だ!? と聞かれたら」

 

「答えてあげるが世の情け」

 

「世界の破壊を防ぐため」

 

「世界の平和を守るため」

 

「愛と真実の悪を貫く!」

 

「ラブリーチャーミーな敵役!」

 

「ムサシ!」

 

「コジロウ!」

 

「銀河を駆けるロケット団の2人には」

 

「ホワイトホール、白い明日が待ってるぜ」

 

「ニャーんてニャ!」

 

「ソーナンス!」

 

何時も通りの3人組、ロケット団だった。

ニャース型気球には下から網がぶら下げられており、網の中にはオタチやオオタチ、エイパムにウソッキーといったこの保護区内に住んでいる野生のポケモンが入れられていた。

そしてそのポケモン達の中にはポチエナも混ざっていた。

 

「ロケット団!」

 

「チエー!」

 

「ああっ、ポチエナ!?」

 

「「「なーっはっはっはっは!」」」

 

今頃ポチエナに気がついたマサトをロケット団は嘲笑うような笑みを浮かべると声高らかに笑った。

 

「まんまと引っかかったわね小ジャリボーイ」

 

「さっきのペルシアンはニャーの変装なのニャ」

 

「進化の光に見せかけたライトで目を塞いでその間にポチエナをゲットする作戦だったのさ!」

 

「今日はヒーローボーイも居ないっぽいし…」

 

「今の内に」

 

「「「帰る!」」」

 

ご丁寧に作戦の解説をするロケット団は気球を操作して既に逃走の体制に入っていた。

だがむざむざそれを許すサトシではなかった。

 

「逃がすか! ピカチュウ、10万ボルトで気球を落とすんだ!」

 

「ピッカ! ピーカー…!」

 

「駄目だよ! 待ってサトシ!」

 

「ピカ!?」

 

電撃を放つ体勢に入ったピカチュウだったが、突然目の前に出てきたマサトに気づき電撃のチャージを中止してしまう。

 

「マサト!? 急がないと逃げられちゃうぞ!」

 

「でもこのまま10万ボルトを撃ったら捕まってるポケモンもダメージを受けちゃうよ!」

 

「そ、そっか…でもこのままじゃ逃げられる…!」

 

既にロケット団は空を飛んでかなり距離を離されてしまった。

まだ遠距離攻撃なら届くだろうが急がなければサトシの言うとおり逃げられてしまうのは間違いなかった。

 

「それなら私に任せて! 行くのよアチャモ!」

 

「チャモチャモー!」

 

「ひのこ!」

 

「チャモー!」

 

何か思いついたのかハルカはアチャモボールから出すとすぐさまひのこを指示した。

アチャモの口から放たれたひのこは網の上部に当たると熱で網を焼き切った。

網は落下し、地面に着地したポケモン達は無事に脱出に成功した。

 

「やったわ!」

 

「お姉ちゃん凄いや!」

 

「ありがとうハルカちゃん! 皆こっちに来るのよ!」

 

カクリの声に応えてポケモン達はすぐさまサトシ達の方へと逃げてくる。

 

「ああっ、苦労して捕まえたポケモン達が!」

 

「こらー! 返すニャー!」

 

「こうなったら力ずくで捕まえるのよ! 行くのよハブネーク!」

 

「サボネア、お前もだ!」

 

ポケモン達を取り返された事に気がついたロケット団はすぐさまUターンして気球を降り、ポケモンを繰り出してきた!

 

 

「ハッブネーク!」

 

「サーボ…ネッ!」

 

「いだだだだだだだ! だからこっちじゃなくてあっちだって!」

 

相変わらずサボネアはコジロウに抱きついて棘を突き刺していた…最早突っ込むのも野暮と言う物だろう。

 

「ピカチュウ、君に決めた!」

 

「行くわよアチャモ!」

 

「ピッカ!」

 

「チャモチャモ!」

 

対するサトシ達はピカチュウとアチャモで迎え撃つ。

そうしている内にマサトの元へポチエナが帰ってきた。

 

「ポチエナ! 良かった、無事だったんだね!」

 

「チエチエー」

 

「ポチエナを逃がすんじゃないわよ! ハブネーク、かみつく攻撃!」

 

「サボネア、ミサイルばり!」

 

ポチエナを逃がすまいとハブネークとサボネアの攻撃がマサトとポチエナを狙って放たれる。

サトシ達も自分たちに攻撃が来ると思っていたようで不意を突かれる形となり防御反応が遅れてしまった。

 

「しまった! マサト!」

 

「マサト、危ないわ!」

 

「え? うわーっ!?」

 

「キノコ、ばくれつパンチ!」

 

後一歩でマサトとポチエナにかみつくとミサイルばりが当たるという所でキノコが間に割り込み強烈なパンチを放ち、ハブネークとミサイルばりを吹き飛ばした。

当然キノコと共に姿を現したのはソラトである。

 

「「「げげっ、ヒーローボーイ!?」」」

 

「ソラト、ありがとう!」

 

「気にすんなよマサト。さて、人数も逆転したがまだやるか?」

 

不敵な笑みを浮かべてロケット団を威嚇するソラトにロケット団は一瞬怯むが、顔を振って気合を入れなおした。

 

「えーい、怯むんじゃないわよ! ハブネーク、ポイズンテール!」

 

「サボネア、ニードルアーム!」

 

「ハッブネー!」

 

「サーボサボサボ!」

 

気合を入れなおしたロケット団は再びポチエナを狙おうとソラトとキノコに向かって攻撃を仕掛けるが、今度は見逃すサトシとハルカでなかった。

素早く指示を出して反撃に出る!

 

「させるか! ピカチュウ、10万ボルト!」

 

「アチャモ、ひのこよ!」

 

「ピカチュー!」

 

「チャモモー!」

 

ピカチュウの電撃がハブネークに、アチャモの炎がサボネアに当たりそれぞれ吹き飛ばすが、持ち前のしぶとさでハブネークとサボネアは立ち上がった。

そうしてバトルするサトシとハルカの姿を見たポチエナは、何かに感化されたのか戦闘態勢に入り前に出た。

 

「チエッ!」

 

「え? ポチエナ、お前バトルするの!?」

 

「チエエー!」

 

「よーし! ポチエナ、たいあたり!」

 

マサトが指示を出すと、ポチエナはハブネーク目掛けて駆け出した。

だがそんな攻撃を易々と受けるハブネークではない。

 

「ハブネーク、ポイズンテールよ!」

 

「ハッブブ!」

 

「チエ!? チエー!」

 

「ああっ、ポチエナー!」

 

ハブネークのポイズンテールの反撃を受けてしまったポチエナは大きく吹き飛ばされてしまい、マサトの近くに倒れてしまった。

やはりハブネークとはパワーが違いすぎるようだ。

 

「やっぱりポチエナじゃ無理なのかな…」

 

「そう決め付けるのはまだ早いぜマサト」

 

諦めかけているマサトにソラトが肩に手を置いて諭す。

何も心配はいらないといったような表情で不敵に笑っており、何故かマサトに勇気をくれた。

 

「何があっても俺達がフォローする! もう1度、思いっきり行って来い!」

 

「う、うん! ポチエナ、もう1度たいあたりだ!」

 

「チエー!」

 

「フン、また返り討ちにしてやるわ! ハブネーク、ポイズンテール!」

 

「ハッブネーク!」

 

再びポチエナのたいあたりVSハブネークのポズンテールの対決になるが、パワーとリーチの差からハブネークが有利なのは誰から見ても明らかだった。

だがポチエナに気をとられたハブネークの上をキノコが取った。

 

「キノコ、しびれごな!」

 

「ガッサ!」

 

キノコの頭の大きな茸帽子が震えると、そこからオレンジ色の輝く粉がハブネークに向かって散布される。

吸い込むと体が痺れてまひ状態になってしまう粉をばら撒く技だ。

ポチエナに気をとられていたハブネークはしびれごなを吸い込んでまひ状態になり、体が痺れて動けなくなってしまう。

その隙を突いてたいあたりが決まった!

 

「ハッププ!?」

 

「やった! たいあたりがクリーンヒットだ!」

 

「チエー!」

 

たいあたりが決まった事が切っ掛けなのか、ポチエナの全身が眩く、それでいて優しく輝いた。

先ほどのライトとはまるで違う、神秘的な光だった。

 

「こ、これは…!?」

 

「進化が始まったんだわ!」

 

「これが進化…!」

 

輝く体を大きく、そして少しずつ変化させていき、光が収まった時そこにいたのは―

 

「エナ!」

 

―立派な黒い毛並みに灰色の体、鋭い牙にポチエナより遥かに大きな体格をしたポケモン、グラエナが居た。

 

「す、凄い…これが進化…」

 

「進化がなんニャ! 一斉攻撃で仕留めるニャー!」

 

「よっしゃ! サボネア、ニードルアーム!」

 

「ハブネーク、かみつくよ!」

 

ロケット団は進化の勢いに押されまいと一斉攻撃で勝負をつけようとしてくる。

だがサトシ、ハルカ、マサト、ソラトはそれぞれにアイコンタクトを送って深く頷いた。

 

「ピカチュウ、でんこうせっか!」

 

「アチャモ、つつく!」

 

「キノコ、ばくれつパンチ!」

 

「グラエナ、たいあたり!」

 

一斉攻撃がぶつかり合うが、人数的にも実力的にもサトシ達の圧勝である。

技のぶつかり合いに負けたハブネークとサボネアはムサシ、コジロウ、ニャースの3人にぶつかっていつも通り空高く吹き飛んでいく。

 

「あニャー…今回もやっぱしこんな感じニャ…」

 

「キィー! 今回こそポケモン保護区で大量ゲットの筈だったのに!」

 

「まぁとりあえずいつも通り…」

 

「「「ヤなカンジー!!」」」

 

キラーン☆と空の向こうまで吹き飛んだロケット団を見送った後、サトシ達は進化したグラエナに注目した。

 

「進化できて良かったねポチエナ…じゃなかった、グラエナ!」

 

「私も進化初めて見れて感激かも!」

 

「しっかしすげぇパワーだったなグラエナ!」

 

「グラゥ!」

 

マサトを筆頭にハルカとサトシもテンションが上がっていた。

それを一歩退いたところからソラトとカクリが見守っており、しばらくの間グラエナの進化を祝って話し合っていた。

 

進化を間近で見て、ポケモンの神秘に触れたマサト。

一歩ずつ成長していく彼らの冒険は、まだまだ続く!

 

 

 

to be continued...




そういえばペリッパーの回とかは飛ばしてしまいました。
全部再構成したりすると流石に大変なので…ボチボチ飛ばしたりしようと思います。

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