ポケットモンスター-黒衣の先導者-   作:ウォセ

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今回の投稿と同時期に活動報告にてリクエストを受け付ける欄を追加するのでリクエスト等は今後そちらの方でお願い致します。
では今回もお楽しみ下さい。


サメハダーの島 波動の絆

ホウエンリーグ出場を目指すサトシ達。

彼らは今朝方、ムロ島のムロタウンまで送ってくれるというハギ老人の船でカナズミシティを出航したのであった。

 

「うーん、潮風が気持ちいいかも」

 

「僕船旅なんて初めてだよ!」

 

ハギ老人の所有する高速船、ピーコちゃん号はキャモメの形をした船であり、高速船というだけあり快適なスピードで航行していた。

初めての船の旅にハルカとマサトはご機嫌であり潮の香りや波の動きを堪能していた。

 

「ハギさん、ムロ島にはいつ頃到着しますか?」

 

「この調子なら夕方には到着するじゃろう。それまでゆっくりしててくれ」

 

「はい! それなら明日にはジム戦ができるな、頑張ろうぜピカチュウ!」

 

「ピカ!」

 

サトシとピカチュウは船の上だと言うのにジム戦のためにやる気を高めていた。

 

「私たちは初めてだけど、お兄ちゃんはもう何度も船旅をしてるのよね?」

 

「……」

 

「お兄ちゃん?」

 

ソラトは船の隅に座ってカナズミシティでツワブキ社長から貰ったペンダントを握り締めて眺めていた。

何か考え事をしているのか、ハルカの声にも反応せずにペンダントを見続けていた。

 

「お兄ちゃん? お兄ちゃんってば!」

 

声をかけても反応しなかったソラトに対してハルカは今度は大きな声を掛けると、ようやくソラトはハッとした様子でハルカの方を見た。

 

「ん? どうかしたかハルカ?」

 

「どうかしたかじゃなくて、お兄ちゃんはもう何度も船旅をしてきたのかって聞いたの」

 

「あぁ…まぁそれなりにな」

 

ハルカの問いかけにぞんざいに答えるとソラトはまたペンダントを見つめなおした。

その反応を見て流石にハルカもムッとしてしまう。

いつもは面倒見のいいソラトが自分とのやり取りを投げやりな態度で済ませてしまい、他の事に夢中になっているのが面白くなかったのだ。

 

「むー…もういいかも! それよりせっかくの船旅なんだし皆を出してあげましょ! 出てきてアチャモ、ケムッソ!」

 

ソラトが相手をしてくれないと判断すると拗ねてしまったハルカはアチャモとケムッソをボールから出す。

 

「チャモー!」

 

「ケム」

 

「お、それなら俺も! 皆出て来い!」

 

ボールからポケモンを出してのびのびと休息を取らせるハルカを見てサトシもキモリとスバメを出して船の上で休息を取らせる。

 

「皆、ムロ島までゆっくり休んでくれよな」

 

そう言うとポケモン達はそれぞれのんびりと過ごし始めた。

ピカチュウとアチャモは船の上で寝転がり、スバメとピーコちゃんは空を思い切り飛び、キモリは船の縁に腰掛けて座り、ケムッソはポケモンフーズを食べて即座に寝てしまった。

 

「うーん、ホントにいい気持ちね!」

 

「なんだか僕泳ぎたくなっちゃったよ」

 

「私も!」

 

「海水浴なら最高の場所があるぞ」

 

「「えぇ!」」

 

ハルカとマサトは海の旅をする内に海で泳ぎたくなってしまったようだが、それに待ったをかける人物が1人。

 

「駄目だよ寄り道なんて! 早くムロタウンに行って次のジムに挑戦するんだから!」

 

待ったをかけたのはジム戦を楽しみにしているサトシである。

一刻も早くジム戦を行いたいサトシは寄り道を良しとはしなかった。

 

「ピカチュウもそうだろ? ってあれ?」

 

「ピ、カ…チャ…」

 

のんびりとしている内にピカチュウも含めて皆目を閉じて眠っていた。

 

「そんなピカチュウ~」

 

「ピカチュウだってたまには休みたいのよ。休ませてあげたほうがいいかも」

 

「そうだよサトシ。カナズミジムだって勝てたんだしもっと余裕を持っていこうよ」

 

「そ、そうか…まぁたまにはいいか」

 

「「やったー!」」

 

本当は少しでも早くムロ島に向かいたかったサトシだったが、ピカチュウ達にも休憩が必要かと思い仕方が無いといった風に許可を出した。

という訳でハギ老人はルートを変更し、海水浴に最適な場所へと向かう事にした。

 

そんなサトシ達を海中から見つめ、追いかける影があった。

 

「「「それ行けやれ行けロケット団。それ行けやれ行けロケット団」」」

 

コイキング型の潜水艦に乗り、人力動力のペダルを必死に漕ぐロケット団の3人組である。

経費削減のために自転車を漕ぐようにして動かす動力のため持続力は3人の持久力にかかっており、またスピードも出にくいが、何とかサトシ達の船に食らい付こうとしている。

 

「だぁー! 急がないとジャリボーイ達が行っちゃうわよ!」

 

人力と高速船ではスピードに差がありすぎるため、ピーコちゃん号はどんどん離れていってしまう。

3人は気合を入れなおし力強くペダルを漕ぐが、それでも距離は開いていく。

 

「あー、駄目駄目! 全然スピードが足りない!」

 

「こうなったら!」

 

「全速力で追跡だニャ!」

 

「ソーナンス!」

 

「もう! アンタも漕ぎなさい!」

 

ソーナンスにも手伝わせ、勢い良くペダルを漕いでいくロケット団。

はたして彼らはサトシ達に追いつくことができるのだろうか…。

 

 

 

そしてしばらく経った頃、サトシ達は上から見ると三日月のような形をした島に到着した。

ここがハギ老人の言う海水浴に最適な場所なのだろう。

船は三日月型の島の内部へと入り止まった。

 

「本当に秘密の場所って感じだな!」

 

「海賊の宝物とか隠されてそうな場所だよね」

 

「ピィカ!」

 

最初は反対気味だったサトシも実際に綺麗な秘密のリゾート地のような場所を見て楽しそうにしていた。

マサトとピカチュウも島の持つ独特な雰囲気を感じて待ちきれないといった感じだ。

ソラトは相変わらず隅っこでペンダントを眺め続けているが…。

 

「ハギさん、ここはなんて島なの?」

 

「地図にも載っておらん小さな名も無い島じゃ。時々ここへ来てはのんびり時間をすごしておったんじゃが…海を離れている間はここの事などすっかり忘れておったわ。不思議なもんじゃ」

 

「キャー」

 

ハギ老人も昔を懐かしむように島を見渡していた。

若かりし頃の記憶が次々に呼び起こされているのだろう。

と、そこで船内に続く扉が開かれてピンクの水着を着たハルカが出てきた。どうやら中で着替えていたようだ。

 

「ジャンジャジャーン!」

 

「あっ、お姉ちゃん何時の間にそんな水着を!」

 

「えへへ、こんな事もあろうかとカナズミシティでゲットしておいたのよ。どうお兄ちゃん? 似合う?」

 

「……」

 

ピンクの可愛らしい水着に身を包んだハルカは好意を寄せるソラトに感想を聞くために声をかけるが、やはりソラトはペンダントを見続けるだけで返事を返さなかった。

その様子にハルカはまたしてもムッとしてしまい、今度は抑えられなかったのかソラトに近寄って声をかける。

 

「ちょっとお兄ちゃん! 私が声をかけてるのに何で無視しちゃうの!?」

 

「え? あっとスマン、どうかしたか?」

 

「どうもこうもないかも! 声をかけてもそのペンダントに夢中で何も返してくれないし! もう知らない!」

 

イライラが頂点に達したハルカはソラトに怒ってしまい、最終的には好きにすればいいといったばかりに海に飛び込んでいってしまった。

 

「え? あれ、何だ? 何かあったのか?」

 

「…えい」

 

「あだだっ!? 何するんだマサト!? 俺何かしたか!? あだだだ!」

 

状況を把握できていないソラトだが、何故かマサトも機嫌を悪くしてしまいソラトの耳を引っ張った。

痛がって暴れるソラトと耳を引っ張るマサトをサトシはよく分かっていないような表情で見つめ、ハギ老人は微笑ましいものを見るような目で見守っていた。

 

「よし、それじゃ俺達も泳ぐとするか。皆も一緒に泳ごうぜ」

 

「ピカー!」

 

「チャモ!? チャモチャモー!」

 

サトシはポケモン達にも声をかけると、アチャモ以外は喜んで泳ぐ気満々のようである。

アチャモは首を勢い良く横に振るって嫌がっていた。

 

「あ、そっか」

 

「アチャモはほのおタイプだから水が苦手なんだよね」

 

「それじゃあ俺達も着替えるか」

 

「キャー!?」

 

サトシとマサトが水着に着替えようとした時、先に海に飛び込んでいたハルカが悲鳴を上げる。

 

「お姉ちゃん!?」

 

「どうしたハルカ!」

 

流石のソラトもハルカの悲鳴に反応してすぐに船の外を見ると、ハルカはサメハダーの群れに囲まれていた。

 

「サ、サメハダー!? どうしてこんな所に!?」

 

「た、助けてー!」

 

「ハルカ! サジン、ハルカを助けるんだ!」

 

「フラ、フラッ!」

 

ソラトはすぐさまサジンを繰り出すとハルカを助けるように指示を出す。

サジンも状況を見て何時ものようにソラトに甘えるような事はせずにすぐさまハルカへ向かって飛んでいきハルカを掴んで海面から離れる。

 

「サメ、サッメー!」

 

「サメ!」

 

空中ではサメハダーも手出しできないと思いきや、大きな体のサメハダーが声を張ると群れの内の1匹が海に深く潜ると勢いをつけて海面から飛び出した!

勢いよく海から飛び出したサメハダーは上昇しきっていなかったサジンの尻尾に噛み付いた。

 

「フラ~!?」

 

「まずい! スバメ、つばさでうつで援護するんだ!」

 

「スバー!」

 

サトシのスバメがつばさでうつを使いサジンに噛み付いているサメハダーを打ち払いサジンを助ける。

だがつばさでうつを使ったスバメの翼に傷がつき、スバメが体勢を崩してしまう。

 

「スバ~…!」

 

「スバメ! 攻撃は受けてないのにどうして…」

 

「サメハダーにはさめはだという特性があるんじゃ! 直接攻撃をするとダメージを受けてしまうぞ! ピーコちゃん、みずでっぽうじゃ!」

 

「キャー!」

 

次々にサジンに襲いかかろうとするサメハダー達をピーコちゃんがみずでっぽうで撃ち落していく。

しかしサメハダーはまだまだ沢山いるためこのままではキリがない。

 

「ピカチュウ、10万ボルトだ!」

 

「ピカ、チュ~!」

 

「「「「サメ~!?」」」」

 

ピカチュウが10万ボルトを海面に放つと、海水により広範囲のサメハダー達へダメージを与える事ができ、サメハダー達の動きが止まった。

その隙にサジンはハルカを連れて船の上へ戻ることができた。

 

「はぁ、助かったかも…」

 

「ハルカ、大丈夫か!?」

 

「お兄ちゃん、何とか大丈―あぁっ!?」

 

ソラトがハルカの無事を確認するが、ハルカは自分の着ていた水着を見てショックを受ける。

買ったばかりのお気に入り水着が所々破れてしまっていたのだ。恐らく今のドタバタでサメハダーのさめはだで破られてしまったのだろう。

これにはハルカもサメハダーに文句を言わずにはいられず、海にいるサメハダー達に向かって怒る―

 

「ちょっと! この水着すっごく気に入ってたのよ! 絶対許さないからね!」

 

「サメー!」

 

「あわわわわっ!?」

 

―ったのだが大きな口をあけてサメハダーの1体が海面から飛び出してきたので、ビックリして近くにいたソラトに情けなく抱きつく事になってしまった。

 

「サメハダーか、どんなヤツなんだ?」

 

サトシはポケモン図鑑を取り出してサメハダーを検索する。

 

『サメハダー きょうぼうポケモン

キバニアの進化系。海のギャングと呼ばれ恐れられている。折れてもすぐ生えるキバを持ち、大型タンカーも1匹でバラバラにする。』

 

「凄く気性の荒いポケモンなんだな」

 

「サメハダーがいると分かった以上、すぐにこの島を離れ―うわっ!?」

 

ハギ老人が島を離れるために船を操舵しようとするが、大きな揺れが船を襲った。

サメハダーの何匹かが船に対して体当たりをしているのだ。

 

「サッメー!」

 

「「「サメッ!」」」

 

大きなサメハダーが指示を出すように動くと他のサメハダーが続々と船に攻撃を仕掛けていく。

このままでは船が沈むのも時間の問題だろう。

 

「なんてパワーだ…! サトシ!」

 

「ああ! ピカチュウ、もう1度10万ボルトだ!」

 

「ピカ! ピカ、チュ~!」

 

ソラトがサトシに声をかけると、サトシも意図を理解したのかすぐにピカチュウに指示を出す。

再びピカチュウの10万ボルトが海面を奔りサメハダー達を痺れさせる。

サメハダー達は動きを止め、その隙を見逃さずハギ老人はすぐさま船を動かした。

 

「よし、今じゃ!」

 

ピカチュウの活躍とハギ老人の素早い判断でサメハダー達の包囲網から抜け出して島の浅瀬にたどり着いたサトシ達だったが、まだまだピンチからは抜け出せずにいたのだった…。

 

 

 

夜。

島の海岸で夕食のためにキャンプをしているサトシ達。

焚き火を囲んでソラトお手製のシチューや島で採れた果物を食べてお腹を満たしていた。

 

「うむ、美味いな。こんな所でこんなご馳走にありつけるとは思わなかったわい」

 

「沢山あるんでお代わりもどうぞ。皆もたんと食えよ」

 

「このフルーツもとっても美味しいわ!」

 

「そりゃそうさ、だって僕が採ってきたんだもん!」

 

「こういう無人島でのキャンプもいいものですね」

 

「そうじゃな、アレさえ無ければな」

 

思い思いに無人島でのキャンプを満喫するサトシ達。

サトシがハギ老人にそう言うと、ハギ老人は厳しい眼差しを海に向けた。

より正確には海にいるサメハダー達にだ。

昼間のような大群ではなく数匹程度だが海を巡回するように泳ぎ回っていた。

 

「でも昼間よりサメハダーの数が減ってきてない?」

 

「いや、今残っておるのは恐らく見張りじゃろう。他の連中はどこかで休んでおるんじゃろう」

 

夜になればサメハダー達もどこかで眠っているのだろうが、サトシ達が逃げ出そうとすれば見張り役がすぐさま仲間を起こしに行くのだろう。

そうなればまたサメハダーの大群に囲まれることになるのは避けられない。

 

「へぇー、サメハダーって頭いいんだな」

 

「確かにそうだが、あのサメハダー達はかなり特殊な例だな」

 

「特殊な例?」

 

「ああ、サメハダーは通常単独で行動する。ああやって群れは作らない筈なんだ」

 

「「「ええっ!?」」」

 

ソラトがサメハダーの生態について説明するとサトシ達は驚きの声を上げた。

そう、通常サメハダーは群れを作らずにいるため襲われた際にはサメハダーの生態を知るソラトとハギ老人は非常に驚いていたのだ。

 

「それについてはワシも驚いておる。それに昼間の様子を見る限りだとヤツ等の結束は相当堅いみたいじゃからな」

 

「だとしたら私達もうこの島から出られないの!?」

 

「なーに、あんなやつ等ポケモンバトルで…」

 

「相手は物凄い数だよ。こっちのポケモンは12体しかいないし、強引に突破するのは無理があるんじゃないかな?」

 

「そっか…」

 

サトシがバトルで道を切り開こうと考えたが、その案はマサトにすぐさま否定されてしまう。

目測でだがサメハダーは50体以上の大群だったため、今の手持ちのポケモン達だけで強引に突破するのは確実ではない。

だがソラトは昼間のサメハダー達の様子を思い出し、何かを思いつく。

 

「……いや、そうとも限らないぞ。サメハダーの群れの中に1体凄く大きいヤツがいた。恐らくそいつが群れのボスだろうから、ソイツをバトルで倒せば群れに言うことを聞かせることができるかもしれない」

 

確かに大きなサメハダーは号令を出して群れに攻撃の指示を行っていた事を皆は思い出す。

この作戦ならば無闇に突破を図るよりは良いだろう。

 

「なるほど! 確かにそれは試してみる価値はありそうじゃな」

 

「それにはまず、群れとボスを分断しないといけないね」

 

「ああ。その上で作戦を話すから、皆聞いててくれ」

 

こうしてソラトが考案した作戦の会議が開かれ、明日の脱出作戦への準備が進められる事となった。

そしてその島から少し離れた場所で…海面に浮かび上がる巨大な影があった。

 

「それ行けやれ行けもう限界…」

 

「やれやれジャリボーイも見失い…」

 

「迷いに迷って…いったいここはどこニャんだ?」

 

コイキング型の潜水艦にてずーっとペダルを漕ぎ続けていたロケット団3人組であった。

結局ピーコちゃん号には追いつけずに見失い、海を彷徨っていた様子である。

と、そこでムサシが目の前に島に気がついた。

 

「あ! 前方に島発見!」

 

「島があると言う事は…!」

 

「きっと水や食べ物があるに違いないニャ!」

 

「サッメー!」

 

希望が胸に膨らんだロケット団だったがそれは許さんと言わんばかりに先ほどサトシ達を襲ったサメハダーの群れのボスが海面から現れてコイキング型潜水艦に食らい付く。

 

「「「ギャー!?」」」

 

「は、早く何とかしなさいよー!?」

 

「何やってるニャコジロウ!?」

 

何やら呆然としているコジロウに気がつき声をかけるムサシとニャースだったが、後ろを振り向いた瞬間にその理由を理解して顔を青くする。

昼間のサトシ達のように周囲をサメハダーの大群に完全に包囲されていた。

 

「こ、これは…」

 

「どうやらすっかり囲まれてしまってるようで…」

 

「サメハダーの大群ニャ!」

 

「えーいこうなったら! 行くのよハブネーク!」

 

「ハッププー!」

 

ムサシはやぶれかぶれといった様子でハブネークを繰り出すと攻撃の指示を出す。

それを迎え撃つようにサメハダーのボスも海面から飛び出してかみつく体勢に入る。

 

「ハブネーク、ポイズンテールよ!」

 

「ハッブブ!」

 

ポイズンテールが決まりサメハダーのボスにダメージを与えるものの、それに怯まずサメハダーのボスはハブネークの胴体にかみつく攻撃を仕掛けてきた。

 

「ハプッ!?」

 

「負けるなハブネーク、もう1度ポイズンテールよ!」

 

「ハプッ!」

 

「サッメー!?」

 

連続でポイズンテールが決まり、大きく吹き飛ばされて海面にボチャンと落ちてしまうサメハダーのボス。

それを見てロケット団は一時撃退できたと大はしゃぎだった。

 

「「やったやったー!」」

 

「ザマミロニャ!」

 

が、この程度でサメハダー達も終わる訳もなく再び海面に出てきたサメハダーのボスが群れに指示を出す。

 

「サッメー!」

 

「「「サメ!」」」

 

「「「え?」」」

 

サメハダー達はとてつもない勢いでロケット団目掛けて頭突きの体勢に入っていた。

これはもしかしなくても…

 

「サメハダーの集団ロケットずつきニャー!?」

 

ドカーン!とぶつかり今日も今日とて夜空を飛ぶロケットの如く飛んでいくロケット団達。名前に偽り無しである。

そして飛んでいっている途中に島の上を通り過ぎ、ピーコちゃん号を発見する。

 

「あ、あの島にジャリボーイ達の船発見」

 

「ムサシ、目良いな」

 

「凄いニャ!」

 

「5.0よ!」

 

「「ウッソだ~」」

 

「ハプップ!」

 

キラリン☆

そのまま夜空の星となって消えていったのでしたとさ。

 

 

 

そして翌朝となり、サトシ達はサメハダーのボスとバトルをするための準備に入っていた。

サトシは金ダライとロープを用意してピカチュウとスバメ、ピーコちゃんと一緒に岩場へと移動しており、ハルカ、マサト、ハギ老人逆サイドの岩場で待機していた。

そしてソラトは海岸でモンスターボールを構えてバトルに備えていた。

今回の作戦はサトシとピカチュウが囮役、ハルカとマサトとハギ老人が足止め役、ソラトがバトル役である。

 

「これで良しと。こっちは準備OKです! そっちの方はどうですか!?」

 

「こっちも準備OKじゃ!」

 

「いつでもいいぞ!」

 

ハギ老人達も、ソラトも準備が完了したのを確認するとサトシおピカチュウはロープを持ったまま金ダライに乗り、スバメとピーコちゃんはロープを足で持って飛び上がった。

 

「よーし、2人とも頼んだぜ」

 

「キャー!」

 

「スバ!」

 

飛び上がったスバメとピーコちゃんにより金ダライが引っ張られて動き出し、海面を滑るように移動していた。

 

「ほーらサメハダー! こっちへおいでー! ほらほら!」

 

「ピカピカ!」

 

「サッメー!」

 

「「「サメ!」」」

 

挑発するようにあちこちに移動するサトシを見てサメハダーのボスが支持を出す。

動き回るサトシに狙いを定め、ボスを除いた群れの全員がサトシを追いかけ始めた。

 

「サメハダー達が動き出したよ!」

 

「うまくいきそうかも!」

 

そしてサトシとピカチュウ達によりサメハダーの群れを島の外側までおびき寄せてサメハダーのボスを孤立させる事に成功した。

その隙にハルカ達が行動を開始する。

 

「今じゃ、ロープを引っ張るんじゃ!」

 

「はい! せーのっ!」

 

ハルカ達は海の中に続くロープを引っ張ると、対岸から木でくみ上げられた柵が島の進入口を封鎖してしまう。

これが昨日ソラトが考案したサメハダーのボスと群れを引き離す作戦である。

作戦は見事成功し島を封鎖することができたが、サメハダーのボスも黙って捕まっているわけにはいかなかった。

 

「サッメー!」

 

勢いをつけて柵を突き破らんと体当たりを行うサメハダーのボス。

ハルカ達も逃がすまいとロープを引っ張る力を強めるが…。

 

「ぐうっ!?」

 

「うわぁ!」

 

「キャー!?」

 

勢いのついた体当たりによりロープが引っ張られ、1番前で引っ張っていたハルカが海に転落してしまった!

それに気がついたサメハダーは標的をハルカへ変更する。

 

「サメー!」

 

「いかん!」

 

「お姉ちゃん!」

 

「キャアアアッ!」

 

あと少しの所でサメハダーのボスに噛み付かれそうになったハルカだったが、ハルカは海に転落しそうになった時点で危険を察知し駆け出したソラトが海に飛び込んだ。

 

「ハルカーッ!」

 

「キャッ!」

 

ハルカを抱きしめるようにしてサメハダーのボスの狙いから逃れたソラトにより、何とかハルカは無事だった。

サメハダーのボスは狙いを外したからなのか大きく体を動かし暴れまわっている。

 

「大丈夫かハルカ!?」

 

「う、うん。ありがとうお兄ちゃん」

 

「早く岸に上が―うお!?」

 

「お兄ちゃんっ!?」

 

すぐにハルカを岸に上げようとしたソラトだったが、何かに引っ張られるようにして海の底へと沈んでいってしまう。

周囲をよく見て見れば先ほどは海面に暴れまわっていたサメハダーのボスがいなくなっていた。

海中では、1度潜ったサメハダーのボスがその鋭い牙でソラトの足に噛み付き海中を引きずり回していた。

 

(ヤベ、息が…! それにスイゲツのモンスターボール、手放しちまった…!)

 

バトルのためにスイゲツのモンスターボールを構えていたソラトだが、さきほど海中に引きずりまれた際に手放してしまったのだ。

更に高速で海中を引きずり回されているために抵抗もできなかった。

一方、海面では自分のせいでソラトがサメハダーに捕まってしまったと理解したハルカは青い顔でパニック状態になっていた。

 

「お姉ちゃん、早く上がってきて!」

 

「でもこのままじゃお兄ちゃんが!」

 

早く海から上がらなければサメハダーのボスがまた攻撃を仕掛けてくるかもしれないが、それよりも海に引きずり込まれてしまったソラトが心配でハルカの思考能力は低下していた。

 

「ハルカ、大丈夫か!?」

 

「サトシどうしよう! お兄ちゃんがサメハダーに噛み付かれて海に引き込まれちゃったの!」

 

「えぇっ!?」

 

ハルカ達がどうすればいいのか分からなくなっている所に、群れを引き付けていたサトシが戻ってくると、サトシは海面にプカプカと浮かんでいるモンスターボールに気がついた。

 

「ハルカ、そのボールは?」

 

「これは…スイゲツのボール! お願いスイゲツ、お兄ちゃんを助けて!」

 

「ラグ! ラーグ!」

 

ハルカはソラトが手放してしまったスイゲツのボールに気がつきボールを投げた。

スイゲツはボールから出るとすぐさま海中に潜りソラトとサメハダーのボスを追いかける。

そして海中でソラトを既に数十秒近く水中を引きずり回しているサメハダーのボスだが、その様子がおかしいことにソラトは気がついていた。

 

(何でさっきから無闇に暴れるような事を…!? 昨日とは明らかに様子が違う…!)

 

昨日襲われた時は縄張りに侵入した自分たちを撃退しようとする明らかな敵意を感じていたが、今は違った。

今ソラトが感じたように目的もなく無闇に暴れているように感じられたのだ。

 

(もっと集中しろ! サメハダーの意図を感じろ…! は、どう、を…!)

 

ゴホッ!と息が続かずに口から残っていた酸素を全て出してしまうソラト。

既に意識は朦朧としており、噛み付かれており痛い筈の足も気にならなくなっていた。

 

(く…そ……)

 

意識を手放そうとしたその時、閉じかけた瞳の奥から長年の相棒の姿が見え、目を見開いた。

 

(スイゲツ!)

 

たきのぼりにより、水を纏いサメハダーのボスに一気に突撃するスイゲツは見る見るうちにサメハダーのボスに追いつき、下から突き上げるように攻撃した。

 

「ラグァ!」

 

「サッメー!?」

 

スイゲツはそのままサメハダーのボスを海面から飛び上がらせるように突き上げると、その衝撃で噛んでいたソラトの足を離させた。

 

「がはっ! ゲホッゲホッ! はぁー、助かった…!」

 

「お兄ちゃん!」

 

「うわっと、大丈夫だよハルカ。足をちょっと怪我したけど他は無事だよ。スイゲツもありがとな」

 

「ラグ」

 

文字通り息も絶え絶えだったソラトだったが、どうにか砂浜に上がり息を整える。

そこにハルカが駆け寄りソラトに飛びついて抱きしめた。自分のせいでソラトが危険な目にあったのが余程心配だったのだろう。

ソラトがスイゲツに礼を言うとスイゲツはサメハダーに向き合いつつ頷いた。

 

「ソラト君、大丈夫かね?」

 

「ハギさん、皆…足以外は何とか大丈夫だ」

 

「良かった。それじゃバトルはどうするんだ? 俺とピカチュウがやるか?」

 

「いや…サメハダーがあんなに暴れてた理由は俺達に敵意を向けていたからじゃないんだ」

 

状況も整いこれからがバトルの本番だと思っていたサトシは代わりに自分たちがバトルをしようかと提案したがソラトは首を横に振った。

ソラト以外の皆は頭の上に疑問符を浮かべる。

海ではスイゲツの攻撃を受けたサメハダーが逆さまにひっくり返りながら浮かんできた。

 

「ええっ!? もう戦闘不能にしたのか!?」

 

「いや、スイゲツはたきのぼり1発しか当ててない」

 

「そんな! いくらスイゲツが強いからってみずタイプの技1発でサメハダーを戦闘不能にするなんて無理だよ!」

 

「ああ、サメハダーは毒にやられてるんだ。それで苦しんで暴れていたんだ」

 

「毒!? 海にいるどくタイプ…ドククラゲなんかとバトルしたのかな?」

 

「かもな…とにかくこのままじゃ危険な状態だ。とにかく治療をしよう」

 

「ちょっとお兄ちゃん! まずはお兄ちゃんの足の怪我の手当てをしないと…!」

 

「いや、このままじゃサメハダーは本当にマズい。この場でできる手当ては限られてるがやれるだけやる」

 

毒を受けておりどんどん体力を奪われているサメハダーを見てソラトは普段の雰囲気とは違うピリっとした雰囲気を纏っていた。

ソラトを心配する皆だったが、その気配に押されて何も言えなくなってしまった。

 

「まずはどくけしと、きずぐすりと…後はアレで代用するか。始めるぞ」

 

ソラトは荷物の中から必要な物を用意しサメハダーの傍に近寄るとまずはどくけしで毒を打ち消し、スプレー型のきずぐすりを吹きかけて傷を消毒していく。

これでひとまず応急手当は完了したが、サメハダーはまだ体力を消耗している。

未だに苦しそうにしているサメハダーにソラトは手をかざして瞳を閉じた。

するとソラトの掌に青いぼうっとしたような光が現れ、その光がサメハダーの体へと移っていく。

横から見ていたサトシ達は驚きに目を見開いていた。

 

「ソラト、それは何なんだ? 何をしてるんだ?」

 

「これは波動だ」

 

「波動…?」

 

「波動…聞いた事がある。この世に存在する生き物や物全てが持つ力の流れのような物じゃな。気やオーラとも呼ぶ物じゃ」

 

ソラトが波動をサメハダーに移している間に長い経験の間にどこかで聞いた事があったのかハギ老人が波動について説明をする。

ハギ老人の言うとおり、この世に存在する物が持つ力や生命の流れを波動と呼ぶ。

そしてそれを操る者は波動使いと呼ばれていた。

かつてトウカシティでポケモンをゲットする前にソラトはミツルに波動を与えて体調を整えたのである。

 

「今は俺の波動をサメハダーに与えているんだ。これならしばらくすれば体力を取り戻せる筈だ」

 

「そんな事ができるんだな…やっぱりソラトは凄いぜ!」

 

「…よし、ひとまずはこれで大丈夫、だな」

 

「ああっ、お兄ちゃん!」

 

サメハダーに波動を与え終わったソラトは力が抜けたようにその場に膝を着いた。

 

「大丈夫、波動を渡したから少し眩暈がしただけだ。いつつ…」

 

「ソラト! 足の怪我もちゃんと手当てしなきゃダメだよ! ハギさん、救急箱ある!?」

 

「船の中にあるからそれを使おう。ついてきてくれマサト君」

 

マサトとハギ老人はピーコちゃん号にある救急箱を取りに行き船の中に入ってき、その間にサトシとハルカはソラトを砂浜に上げて足の怪我の具合を見た。

怪我そのものはそれほど酷くなく、適切な手当てをすればすぐに治るだろうと見て取れた。

 

「怪我はそんなに酷くないみたいだな」

 

「良かったかも…」

 

「サメハダーも本気で噛み付いてはなかったんだよ。ただ必死に毒の事を伝えようとしてたんだ」

 

「サメ…」

 

怪我を診ていると、サメハダーが落ち着きを取り戻した様子で起き上がっていた。

どうやら毒はもう治り、体力が戻ったようだ。

怪我をさせたのを申し訳なく思っているのかどことなく消沈気味である。

そんなサメハダーを見てフッと優しく笑ったソラトはサメハダーに近寄り頭を撫でてやる。

 

「もう気にするなって、お前だって苦しかったんだもんな」

 

サメハダーはソラトに頭を撫でられると黙ってそれを受け入れていた。

サトシとハルカもそんなソラトとサメハダーを見てなんだか安心したのかやれやれといった様子ながらも笑顔を浮かべていた。

 

「ソラトー! ほら怪我見せてー!」

 

「ソラト君、怪我は海水に浸けん方がいいぞ」

 

「ああ、悪いなマサト。今そっちに―」

 

救急箱を持ってマサトがソラトの方へ駆け寄ってくると、ソラトも再び海から上がろうと振り返る。

だがそこで海中から巨大な影が浮かび上がり姿を現した。

それはとても巨大な、ギャラドスにすら匹敵しそうな大きさのコイキングだった!

サトシ達が反応するよりも早く、その巨大なコイキングは頭部のハッチが開いてそこからネットを発射した。

 

「ピカッ!?」

 

「サメッ!?」

 

「うわっ、何だこりゃ!?」

 

発射されたネットはピカチュウとサメハダー、そして近くにいたソラトを捕らえるとそのまま引き寄せて吊り上げた。

 

「ソラト! くそっ、いったい何なんだ!?」

 

巨大コイキングの背びれのハッチが開くと、中からどこかで見たことのあるシルエットが2人と1匹分現れる。

 

「くそっ、いったい何なんだ!? と聞かれたら」

 

「答えてあげるが世の情け」

 

「世界の破壊を防ぐため」

 

「世界の平和を守るため」

 

「愛と真実の悪を貫く!」

 

「ラブリーチャーミーな敵役!」

 

「ムサシ!」

 

「コジロウ!」

 

「銀河を駆けるロケット団の2人には」

 

「ホワイトホール白い明日が待ってるぜ!」

 

「なーんてニャ!」

 

「ソーナンス!」

 

何時もの如くロケット団である。

巨大なコイキングはサトシには馴染みのある、ロケット団お手製の海での移動手段であるオンボロ潜水艦である。

 

「ピカチュウと、ついでにサメハダーは頂いたわよ」

 

「またロケット団か!」

 

「ちょっと! お兄ちゃん達を放しなさい!」

 

「へ? あれ、なんだかヒーローボーイも捕まえちゃったっぽいぞ」

 

「まぁこれならいつものように邪魔できなくて丁度いいニャ」

 

どうやらソラトを捕まえたのは偶然のようであったが、結果としてソラトを封じ込めておけるとポジティブに捉えたようである。

そんなソラトはネットで捕まっているからか体を震わせて俯いていた。

 

「お、お前ら…」

 

「ん? どうしたってのよ?」

 

「お前ら、その潜水艦は…!」

 

「「「へ?」」」

 

「超イカしてるじゃねぇかぁああああああああ!!」

 

「「「「「「「だぁああああああっ!?」」」」」」」

 

俯いていたと思ったらガバッと顔を上げて水平線の彼方まで聞こえるような大声でそう言った。

どうやらこのオンボロコイキング型潜水艦はソラトの何かに触れたようで、状況も忘れてソラトは少年のように目を輝かせていた。

これには敵味方問わず全員がズッこけてしまった。

 

「そんな事言ってる場合じゃないだろー! ソラトのバカーッ!」

 

「あ、いやすまんついな…にしてもイカしてるな。機会があれば俺も乗ってみたいぜ」

 

手が届かない所だから耳を引っ張れないがマサトはきっちりツッコミを入れていった。

 

「そんな事よりロケット団、皆を返せ!」

 

「そーよ! そのサメハダーも毒にやられてて弱ってたんだから!」

 

「あーら! じゃああん時のハブネークのポイズンテールがガッツリ効いちゃったってワケね」

 

「なんだと!? じゃあアレはお前たちがやったのか!」

 

サメハダーの毒の事が話題に上がるとムサシがしてやったり顔で返してきた。

その内容からサメハダーの毒はムサシのハブネークにあった事を察したサトシは怒りに顔を染める。

だがロケット団にはロケット団なりの言い分があり、3人は青筋を浮かべて反論する。

 

「それがどうしたってのよ!」

 

「こっちはこっちで! サメハダーの大群に囲まれて大変だったんだぞ!」

 

「そうだニャ!」

 

そうこうロケット団がしている内にソラトはチャプリと何かが海中で動く気配を波動で感じ取った。

何時もの不敵な笑みがソラトの顔に浮かぶ。

 

「よし、スイゲツ! グロウパンチで網を下げてる竿を叩き折れ!」

 

「ラグラッ!」

 

バレないようにこっそりと海中に身を隠していたスイゲツは指示があった瞬間海中から飛び出してグロウパンチで竿を粉砕する。

そしてネットが開いてソラト達はすぐさま自由を取り戻した。

 

「「「え!?」」」

 

ピカチュウとサメハダーは自力で泳いで岸まで戻り、ソラトはスイゲツの背に乗ってサトシ達の元へと戻った。

 

「「「あーっ!?」」」

 

「ピカピ!」

 

「よーしピカチュウ、10万ボル―」

 

いつもの通りにロケット団をやっつけようとピカチュウに10万ボルトの指示を出そうとするサトシだったが、何かに気がついたように言葉を途中で切る。

そしてピカチュウと顔を合わせて笑顔を浮かべた。

 

「どうやら今回、俺達の出る幕は無さそうだな」

 

「ピカチュウ」

 

「「「へ?」」」

 

「いったいどういう事ニャ?」

 

「ロケット団、後ろを見てみろ!」

 

「「「え、後ろ? ゲーッ!?」」」

 

サトシに言われた通りに後ろを振り向くと、そこには昨日襲われたサメハダーの大群が。

今日も今日とて囲まれてしまっていた。

それにこの群れのボスのサメハダーに手を出したのだから群れのサメハダー達も黙ってはいないだろう。

 

「またサメハダーの大群に囲まれてるー!」

 

「し、しまったニャ! 他のサメハダー達の事をすっかり忘れてたニャ!」

 

「なんですって!?」

 

「じゃあ、何の対策も考えてないワケ…?」

 

ロケット団は全員顔を青くして現状を認識していく。

何かしら考えてこの状況を切り抜けようとするニャースだが、時すでに遅し。

 

「サメー!」

 

「「「シャー!!」」」

 

サメハダーのボスが大きく声をあげると群れのサメハダー達も呼応するように声をあげる。

これは威嚇のような、気合を入れているようなそんな声である。

 

「これは…」

 

「もしかして…」

 

「もしかすると…」

 

「「「「「サッメーッ!!!」」」」」

 

「「「集団ロケットずつきー!?」」」

 

「ソ-ナンス!」

 

「「「ヤなカンジーッ!」」」

 

どかーん! きらん☆

サメハダーの群れ全員による集団ロケットずつきをまともに受けてしまい、ロケット団は潜水艦ごと空の彼方へと吹き飛ばされてしまった。

 

「「「やったぁ!」」」

 

「サンキューなスイゲツ。助かったよ」

 

「ラグ」

 

スイゲツが陸に上がってくると、サメハダーのボスも海岸沿いまで泳いでやってくる。

それを見たソラトはさきほどと同じようにサメハダーの頭を撫でてやる。

 

「サメハダーもロケット団をぶっ飛ばしてくれてありがとな。もう体も大丈夫みたいで安心した」

 

そんなソラトとサメハダーの様子を見ていたマサトがある疑問を思い浮かべる。

 

「あれ、そういえばソラト、サメハダーを撫でてて痛くないの? さめはだなんでしょ?」

 

「さめはだが効かなくなったんじゃろう。ポケモンの特性は仲良くなった相手には効かなくなる事もあるんじゃ」

 

ハギ老人がそう解説するとサメハダーの群れが海岸沿いまでやって来る。

試しにマサトもサメハダーの1匹に触ってみると確かに痛みはなく、湿った肌触りのいいサメハダーの肌が触れた。

 

「あ…ホントだ痛くないや!」

 

「うん、なんだか不思議かも」

 

「ポケモンってこういう所が面白いんだよな」

 

「ピィカ」

 

サトシもハルカもマサトもそれぞれサメハダーとの触れ合いを楽しんでいた。

 

「ありがとうサメハダー。俺達はもう友達だな」

 

「サメッ、サメッ」

 

ソラトが笑顔を浮かべてサメハダーのボスにそう言うと、サメハダーのボスもそれを肯定するように力強く頷いたのだった。

 

 

 

そして時刻は夕刻。

サトシ達はサメハダーの群れを引き連れ、ついにムロ島に到着した。

 

「さぁ、ここがムロ島のムロタウンじゃ」

 

「ありがとうございます、ハギさん」

 

「ワシはこれからカイナシティへ行って船旅の準備をするつもりじゃ。いつかまた、どこかで会おう!」

 

「キャーキャー!」

 

「「「「はい!」」」」

 

別れの挨拶を済ませると、ハギ老人とピーコちゃんは船を出して海を進んでいく。

それに合わせたようなタイミングでサメハダーの群れもムロ島を背にして大海原へと帰っていく。

 

「サッメー!」

 

「「「サメ!」」」

 

「お前たちも元気でな!」

 

「ピカピカー!」

 

サトシ達は大きく手を振り、サメハダー達は背びれを左右に振って別れの挨拶とする。

 

こうしてハギ老人やサメハダーと分かれたサトシ達。

まだ見ぬ人やポケモンとの更なる出会いを求め、彼らの旅はまだまだ続く!

 

「よーし、明日はいよいよムロジムに挑戦だ。頑張ろうぜピカチュウ!」

 

「ピッカ!」

 

 

 

to be continued...




この話は何故か昔から記憶に残っていてスラスラ書けました。
次回はムロジム編になります。
ムロ島編では暫く修行期間があるので何かリクエストあったら活動報告の方までお願いします。
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