ポケットモンスター-黒衣の先導者-   作:ウォセ

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実はこの話の途中までは失踪する直前の時期に執筆してました。

活動報告に本編未登場を含めたソラトのポケモンの一覧と、今後ゲットする予定のポケモンの一覧を纏めました。
ネタバレにもなりますのでOKという方のみ閲覧下さい。


アゲハントとドクケイル 進化の分岐点

ムロ島での修行を始めてしばらくが経ち、サトシのバトルの腕は以前とは見違えるほどに成長していた。

今日もバトルの腕を磨くために修行に明け暮れている。

対トウキのために、今日はクチートに指示を出すサトシとキモリ、スバメ、ピカチュウが相手をして修行を行っていいる。

 

「クチート、かみつく攻撃!」

 

「クーット!」

 

「ピーッカッ!」

 

クチートのかみつく攻撃とピカチュウのアイアンテールがぶつかり合い弾きあう。

その隙を狙うかのように上空からスバメが急降下してクチートにつつく攻撃を繰り出す。

 

「スバー!」

 

「防御だクチート! てっぺき!」

 

「クー!」

 

クチートは上手く顎を使い上空からの攻撃を防いでみせた。

だがそこへキモリが背後から奇襲をかけ、はたく攻撃を繰り出して追い討ちをかける!

 

 

「キャモー!」

 

「クッ!?」

 

「キモリが来るぞクチート! もう1度てっぺきだ!」

 

てっぺきと後頭部の口を使いクチートはキモリのはたくを受け止めて凌いだ。

その様子をハルカとマサトは脇で座って見ており、ソラトはポケモン達の様子をチェックするように監視していた。

 

「サトシ達、かなり力をつけてきたかも!」

 

「うん、この調子ならムロジムへの再挑戦ももうすぐだね」

 

ハルカとマサトがそう語る間にもサトシ達の息もつかせぬ修行は続き、技と技がぶつかり合う。

そしてある程度バトルに区切りがつくとソラトが声を張った。

 

「よし、そこまでっ!」

 

「…ふぅー、お疲れ様皆! イイ感じだったぜクチート! 皆もありがとな」

 

「クーッ!」

 

修行に付き合ってくれたポケモン達を労うサトシにも強くなっている自覚があるのだろう。気のせいか普段よりも余裕のある表情をしていた。

このソラト流の修行法を始めてからしばらく経つが、サトシもポケモン達も見違えるほど強くなっていた。

ムロジムへのリベンジマッチもそう遠くない内に果たされるだろう。

 

「サトシ、どんどん強くなってくね!」

 

「あぁ、まだまだ伸びしろはあるって事だな。さて、それじゃあ休憩も兼ねて昼飯にするか」

 

「おう! もうお腹ペコペコだぜ」

 

「今日はパンとベーコンサラダね! 美味しそう!」

 

事前に準備しておいた昼食のパンとサラダ等を並べて皆で食べる準備をする。

ポケモン達にもポケモンフーズを用意してやり皆でいただきますをしようとしたその時―

 

「ピカッ!? ピィカー!?」

 

「なっ!? ピカチュウ!」

 

突然草むらから投網が投げられてピカチュウを捕らえるとそのまま草むらへと引き込んでしまった。

ピカチュウを狙ってこんな事をする連中はいったい誰なのか、言うまでもない。

 

「なっ!? ピカチュウと言われたら」

 

「答えてあげるが世の情け」

 

「世界の破壊を防ぐため」

 

「世界の平和を守るため」

 

「愛と真実の悪を貫く!」

 

「ラブリーチャーミーな敵役!」

 

「ムサシ!」

 

「コジロウ!」

 

「銀河を駆けるロケット団の2人には」

 

「ホワイトホール白い明日が待ってるぜ!」

 

「なーんてニャ!」

 

「ソーナンス!」

 

当然、いつものロケット団である。

草むらから華麗に登場し、口上を述べるのだが、名乗るくらいなら早く逃げた方がいいのではないだろうか。

今日も今日とて懲りもせずピカチュウを狙って奇襲を仕掛けてきたのだ。

 

「ロケット団! ピカチュウを返せ!」

 

「お断りよ!」

 

「だったら、10万ボルトだピカチュウ!」

 

「ピーカーチュゥウウウウウウ! ピカッ!?」

 

ピカチュウは逃げ出すために電撃を放つものの、投網の外へは全く電撃が通らずに無効化されてしまった。

 

「無駄無駄! この網は電気を内部に閉じ込める特殊金属の糸でできてんのよ!」

 

「目標を達成したからには即時退却ニャ!」

 

「あばよ!」

 

ワンテンポ遅れながらもその場から駆け出して逃走するロケット団だが、サトシ達も態々見逃してやるほどお人よしではない。

ハルカとソラトは素早くモンスターボールを投げて手持ちのポケモンを繰り出した。

 

「お願い、カラサリス!」

 

「クロガネ、バトルの時間だ!」

 

「ムー」

 

「ゴドッ!」

 

それぞれポケモンを繰り出し、逃げるロケット団を食い止めようと技を指示する。

 

「クロガネ、がんせきふうじで奴らの進路を塞げ!」

 

「ゴドォ!」

 

虚空より岩を生成したクロガネはがんせきふうじを放ち、ロケット団が逃げる先に岩を積み上げて進路を塞いだ。

道の左右は草木の生い茂った道とも呼べない森なので素早く逃げるのは不可能な地形である。

 

「「「げげっ!?」」」

 

「今よカラサリス! いとをはく!」

 

「ムー」

 

「うわっ!?」

 

退路を塞がれて動きが止まったロケット団の持つ、ピカチュウを捕らえた投網にカラサリスが糸を吐いた。

糸は見事に投網にくっつくとぐいっと引っ張りロケット団の魔の手からピカチュウを取り戻した。

 

「ピカチュウ、大丈夫か!?」

 

「ピカ! ピカピカチュウ!」

 

「よーし、よくもやってくれたなロケット団!」

 

すぐさまピカチュウを網から出してやり、無事を確認すると勿論怒りの感情の矛先はロケット団に向く。

だが退路を断たれ、ピカチュウを取り返されたロケット団も半ばヤケになっていた。

 

「それはこっちの台詞よ!」

 

「こうなったら、ポケモンバトルでピカチュウを奪い取ってやるぜ! 行けサボネア!」

 

「行くのよ、私の可愛いカラサリスちゃん!」

 

ムサシとコジロウもそれぞれマユルドとサボネアを繰り出してサトシ達に相対する。

それにしても未だにムサシは自分のマユルドをカラサリスだと勘違いしているらしい。

 

「サボネッ!」

 

「いでででで!? す、すなあらしだサボネア!」

 

「サーボネッ!」

 

いつもの如くサボネアに抱きつかれて棘が刺さるコジロウだがどうにか技を指示して繰り出させる。

サボネアは地面に降りると高速回転して砂を巻き起こした。

 

「引き裂け! アイアンテール!」

 

「ゴォドッ!」

 

だがすなあらしで繰り出した砂の竜巻はクロガネの力強いアイアンテールが振るわれると、半ばから両断されて掻き消えてしまった。

 

「カラサリスちゃん、いとをはくでピカチュウを捕まえるのよ!」

 

「かわせ!」

 

もう1度ピカチュウを狙ったムサシとマユルドだったが、ピカチュウは素早い身のこなしで糸を楽々と避けた。

その隙を狙ってハルカが攻撃を仕掛ける。

 

「カラサリス、たいあたり!」

 

「負けないでカラサリスちゃん! こっちもたいあたりよ!」

 

体格や成長性がほぼ同じのカラサリスとマユルドが正面からぶつかり合いつばぜり合う。

一進一退の互角のぶつかり合いかと思われたが、突如としてハルカのカラサリスの体が輝きだした。

 

「あれは…!」

 

「進化の光だ!」

 

そう、それは紛れも無く進化の光。

つい先日カラサリスに進化したばかりだというのにもう進化するハルカのカラサリスに対して驚く周囲だが、輝いたカラサリスはどんどん姿を変えていくと光が晴れた。

 

「ハァ~ン」

 

そこにいたのはカラフルで明るい羽を持つポケモン、アゲハントだった。

初めて見たときから憧れていたアゲハントが自らのポケモンとなったハルカは大興奮だった。

 

「やったぁ! 私のカラサリスがアゲハントに進化したわ! よろしくね、アゲハント!」

 

「ハァン」

 

こうしてハルカは念願のアゲハントを手に入れる事ができた訳だが、それに対して納得できていない大人気ない人物が1人。

 

「ちょっとちょっと! 何でジャリガールのカラサリスはアゲハントに進化したのに私のカラサリスちゃんは進化しないわけ~!?」

 

唯我独尊という言葉が相応しいムサシからすれば、似たようなタイミングで捕まえ、ほぼ同時に進化したのにも関わらず自分のポケモンだけ進化が遅いのは納得がいかないらしく喚き散らしていた。

だがまずは1つ訂正しなければならない事がある。

 

「いやだから、お前のはカラサリスじゃなくてマユルドだって」

 

「はぁ!? だからどこがよ!? どっからどう見てもこれはカラサリス! ケチつけないでちょうだい!」

 

「いやムサシ…それはやっぱりマユルドなんじゃ…」

 

「ニャーもそう思うニャ…」

 

ソラトが訂正しようとするが、ムサシは一切聞き入れない。

どうやらロケット団内ではコジロウとニャースもマユルドだと思っているらしいが、基本ムサシに逆らう事ができない2人の発言をムサシは当然のように否定していた。

 

「こうなったらジャリガール達をケチョンケチョンにして、私のカラサリスちゃんを進化させんのよ! たいあたり!」

 

「ムー!」

 

「えっと、ア、アゲハントの使える技は…!?」

 

怒り心頭といった様子のムサシは問答無用で攻撃を仕掛けてくるが、進化したばかりのアゲハントに慣れていないハルカは何の技が使えるか分からずアタフタしてしまう。

そんなハルカを見かねてマサトが声を上げた。

 

「お姉ちゃん、アゲハントが使える技はたいあたりやかぜおこしだよ!」

 

「そ、そうなのね! アゲハント、かぜおこしよ!」

 

「ハァーン!」

 

マサトからアドバイスを貰ったハルカはすぐさまアゲハントへと指示を出すと、たいあたりを放とうと接近してきていたマユルドへかぜおこしで反撃して逆に吹き飛ばした。

ひこうタイプの技であるかぜおこしはむしタイプであるマユルドに対してこうかはばつぐんである。

 

「カ、カラサリスちゃん!?」

 

吹き飛ばされてしまったマユルドは戦闘不能になってしまう。

 

「いいわよアゲハント!」

 

「コ、コジロウなんとかしなさい!」

 

「お、おう! サボネア、ニードルアーム!」

 

「サーボサボサボネッ!」

 

アゲハントを狙いサボネアが攻撃を繰り出すが、その間にクロガネがその大きな体を割り込ませた。

 

「クロガネ、てっぺき!」

 

「ゴド!」

 

「サボッ!?」

 

サボネアのニードルアームはてっぺきを発動したクロガネの硬い鎧に弾かれてしまい、逆に体勢を崩す結果となってしまった。

その隙を見逃さず、今度はサトシが打って出た。

 

「ピカチュウ、アイアンテール!」

 

「ピーカ! ピカピッカ!」

 

「サボネーッ!?」

 

鋼鉄の如き尻尾を空中に弾かれて身動きの取れないサボネアに思い切り叩き付ける。

逃れる事もできずにサボネアは吹き飛ばされて戦闘不能となった。

 

「サ、サボネアー!?」

 

「何やってんのよコジロウ! こうなったらニャース、アンタが何とかしなさい!」

 

「ニャニャ!? そんなの無理ニャ!」

 

「今だピカチュウ! 10万ボルト!」

 

「ピーカーチュゥウウウウウウ!」

 

やいのやいのと内輪で揉めているロケット団に対してサトシは容赦なくトドメの10万ボルトで追い討ちをかけると黄色い閃光が奔りロケット団に直撃した。

ドカンと爆発してロケット団はいつも如く空高く吹き飛んでいった。

 

「「「ヤなカンジー!?」」」

 

吹き飛んだロケット団は星になって見えなくなってしまい、今回も無事撃退に成功した。

一段落すると、進化したハルカのアゲハントがハルカの頭の上に停まる。

 

「あぁ~! やったやったー! とうとうアゲハントに進化したわ!」

 

「おめでとう、ハルカ」

 

「流石の進化速度だな」

 

「コンテストに向けて、これからは技の方もしっかり磨かなくっちゃね、お姉ちゃん!」

 

美しく進化を遂げたアゲハントならばコンテストでも十分通用するだろうが、それだけではコンテスト優勝はできない。

技を磨き上げる事も重要である。

 

「そうね。こうしちゃいられないわ! コンテストでのアピールやコンテストバトルを前提にした特訓をしないと!」

 

やる気満々のハルカであるが、その前にくぅ~と腹の虫が鳴る。

ロケット団に邪魔されてしまっていたため忘れていたが元々は食事にしようと思っていた所である。

 

「あ…」

 

「その前に腹ごしらえだな。それが終わってからサトシとハルカの特訓にするか!」

 

「「「さんせ~い!」」」

 

こうしてサトシ達はキャンプをしていた場所まで戻り改めて食事にする事にした。

 

 

 

一方、吹き飛ばされたロケット団はムロ島の隅にある林に落下してボロボロになっていた。

 

「いたたた…結局今回もダメだったニャ…」

 

「くぅ~! 何でジャリガールのカラサリスが進化してアタシのカラサリスちゃんが進化しないのよ~!」

 

「だからカラサリスじゃなくてマユルド…」

 

「こうなったらアタシ達も特訓すんのよ! そんでもって、アタシのカラサリスちゃんを進化させんのよ!」

 

自分のマユルドが進化しなくて躍起になるムサシ。珍しく燃え上がっており正々堂々とした特訓で進化を目指す事を決めたようである。

しかしながらコジロウやニャースの意見はガン無視である。

だが決めたら曲げない頑固なムサシ。吹き飛ばされた痛みも忘れてマユルドを抱えて立ち上がると闘志を燃やしていた。

 

「コジロウ! あんた相手しなさい!」

 

「ええっ!? 俺が!?」

 

「当たり前でしょうが! ほら、さっさとやる!」

 

こうしてムサシはマユルドで、コジロウはサボネアで特訓のための模擬バトルを行う事になったのだが…

 

「サボネア、ミサイルばりだ!」

 

「カラサリスちゃん、かたくなるからのたいあたり!」

 

「サーボネッ!」

 

「ムムッ! ムーッ!」

 

「サボーッ!?」

 

マユルドがかたくなり防御力を高めてミサイルばりを弾き返すと、隙だらけのサボネアに向けてマユルドが接近する。

勢いの乗ったマユルドのたいあたりが炸裂するとサボネアは大きく吹き飛ばされてしまい地面に倒れた。

戦闘不能。マユルドの勝ちである。

 

「サボネア戦闘不能! マユルドの勝―」

 

「はぁ…? マユルド…?」

 

「ニャニャ!? カ、カラサリスの勝ちニャ!」

 

審判であるニャースがマユルドの勝ちを宣言しようとしたが、黒い笑みを浮かべるムサシの低い声に背筋を寒くしたニャースは慌てて訂正した。

この後もニャースとサボネアで交代しながらムサシの特訓に付き合ったが気合を入れて燃えているムサシに手も足も出ずマユルドは連戦連勝だった。

 

「ったく、だらしないわねぇアンタ達は」

 

「ぜぇ、ぜぇ…でも結構な経験値になったんじゃないか…?」

 

「そうだニャ…これならもうすぐドクケイルに進化できるニャ…」

 

「アゲハントだって言ってるでしょうが!」

 

意地でもそこは曲げないムサシだが、最早コジロウもニャースも突っ込む体力すら残っていない。

しかし確かにバトルによる経験値はかなり得たであろう。進化が近いのも間違いなかった。

 

「でもやっぱり最後の一押しが必要よね…進化するためには強いポケモンとのバトルが1番。そして強いポケモンと言えば…ジャリボーイ達のポケモンよね」

 

 

 

 

 

そしてキャンプに戻ったサトシ達は昼食を済ませてキャンプにてそれぞれの特訓を行っていた。

サトシはバトルの、ハルカはコンテストのためにそれぞれソラトからアドバイスを貰っている。

 

「サトシ、トウキさんの攻撃を受け流す戦法を攻略するには相手の体勢を崩すのが1番だ。フィールドを利用したり牽制して相手の動きを封じたりするのが良い」

 

「オッケー!」

 

「ハルカは、アゲハントの技をしっかり確認しないとな。ポケモン図鑑で確認してみろ」

 

「うん! えっと、使える技は…たいあたり、かぜおこし、いとをはくと、ぎんいろのかぜね!」

 

「小道具を使えばたいあたりやかぜおこしも十分アピールになる。いとをはく、ぎんいろのかぜは単体でも十分なアピールになる筈だ」

 

「よーし、やるわよアゲハント!」

 

「ハァン」

 

砂浜でサトシはキモリと共に対トウキを想定したバトルをするため、攻撃を受け流す動きのできるピカチュウを相手に向かい合う。

ハルカはハルカで少し離れた場所でアゲハントと共に技を繰り出そうとしていた。

 

「行くぜキモリ! まずはエナジーボール!」

 

「キャモッ! キャーモッ!」

 

「ピカッ! ピカピカピカ…!」

 

エネルギーを収束してからエナジーボールを発射する。だが本気で当てようとしている訳ではなく牽制の一撃に過ぎない。

ピカチュウはエナジーボールを受けつつもコロコロ転がってダメージを最小限にする。

 

「そこだ! でんこうせっか!」

 

「キャーモ!」

 

「ピッ!? ピカーッ!?」

 

コロコロ転がるピカチュウが体勢を戻す前に素早い動きででんこうせっかを決める。

今度は攻撃を受け流す事ができず、まともに攻撃を受けてしまったピカチュウは大きく吹き飛ばされた。

 

「いいぞキモリ!」

 

「キャモ…!」

 

距離を取ってサトシの傍まで下がったキモリだったが、ほんの僅かにだが体がうっすらと輝いた。

バトルに夢中のサトシは気がつかなかったが、傍から見ていたソラトはそれを見逃さなかった。

それは紛れも無く―

 

「今の光は…」

 

「アゲハント、ぎんいろのかぜ!」

 

「ハハァーン!」

 

「えっ!? うわぁああああああっ!?」

 

「キャモー!?」

 

砂浜にゴウッと強い風は吹き荒れる。

アゲハントの放ったぎんいろのかぜは砂浜の砂を大きく巻き上げた。それはまるで大いなる砂の波である。

吹き荒れる砂の波はサトシとキモリの元へ向かうとあっさりと2人を呑み込んだ。

 

「あわわわっ!? サ、サトシごめーん!」

 

「ハハァン!?」

 

「もう、何やってるのさお姉ちゃん!」

 

「た、試しにぎんいろのかぜを使っただけなのよー! そしたらこんな事に…」

 

「ぷはっ…びっくりした…」

 

「キャモ…」

 

どうやら技の練習をしていたらしいが思った以上に強力で砂を巻き上げてしまったらしい。

ハルカとマサトは砂に呑まれたサトシとキモリを救出しようと砂の山へ駆け寄るが、その前にサトシとキモリが砂の山の中から出てきた。

そんな一連の出来事を少し離れてみていたソラトはキモリに視線を向ける。

先ほどの体の光は消えてしまっているが、ソラトの見立てが間違いでなければあれは…。

 

「ごめんねサトシ…」

 

「あはは、まぁ特に怪我もないし大丈夫だよ。な、キモリ」

 

「キャモキャーモ」

 

怪我もなく無事のためサトシとキモリは砂の中から出てきて体についた砂を払う。

そしていざ修行を再開しようと思った矢先、フヨフヨと動く大きな影がサトシ達の前に現れた。

 

「ん? 何だ!?」

 

影の正体を見るために空を見上げれば、そこには見慣れたニャースの気球が飛んでいた!

 

「ん? 何だ!?と言われたら」

 

「答えてあげるが世の情け」

 

「世界の破壊を防ぐため」

 

「世界の平和を守るため」

 

「愛と真実の悪を貫く!」

 

「ラブリーチャーミーな敵役!」

 

「ムサシ!」

 

「コジロウ!」

 

「銀河を駆けるロケット団の2人には」

 

「ホワイトホール白い明日が待ってるぜ!」

 

「なーんてニャ!」

 

「ソーナンス!」

 

本日2度目のロケット団の登場である。

気球を地上へ降ろすとムサシ、コジロウ、ニャースは気球から降りてニヤリと笑ってサトシ達を指差す。

 

「またお前達か!」

 

「今日はしつこいかも!」

 

「フフ、ジャリガール! アタシのカラサリスちゃんと勝負しなさい!」

 

珍しく策も罠も無く正々堂々真正面から勝負を挑むムサシに驚くサトシ達だったが同時に呆れていた。

その理由は言うまでも無い。

 

「いやだから、お前のはマユルドだって」

 

「体色や目つきが違うって何度も言ってるのに…」

 

「はぁー!? どっからどう見てもカラサリスだって何度も言ってるでしょうが!」

 

ソラトとマサトがそう指摘するもムサシは聞く耳を持たない。

 

「とにかく! アタシのカラサリスちゃんが進化するために、バトルを挑みに来たのよ!」

 

「…いいわ! 受けてたつかも! お願いアゲハント!」

 

「ハァン!」

 

「行くのよカラサリスちゃん!」

 

唐突かつ突拍子もないバトルの申し込みだったが、ハルカは受ける事にしたらしくアゲハントを前に出す。

それに合わせてムサシもマユルドを前に出した。

 

「カラサリスちゃん、たいあたり!」

 

「ムー!」

 

「アゲハント、かぜおこし!」

 

「ハァン!」

 

たいあたりが決まる前にかぜおこしによってマユルドは吹き飛ばされてしまう。

パワー、技の多用さ、飛行の有無など進化後のアゲハントと進化前のマユルドでは能力にかなりの差があった。

だがそんな事では諦めないのはムサシである。

 

「ムー…!」

 

「負けちゃだめよカラサリスちゃん! 綺麗なアゲハントになるためよ! たいあたり!」

 

「ムッ!」

 

ガッツを見せて再びたいあたりを繰り出したマユルド。今度は狙いを外さず素早い動きのためアゲハントに回避や反撃の隙を与えなかった。

たいあたりを受けたアゲハントは大きく後退してしまう。

 

「ハァーン…!?」

 

「しっかり、アゲハント! ぎんいろのかぜ!」

 

「ハハーン!」

 

むしタイプの力のある、自身の鱗粉を乗せた風を繰り出したアゲハントの強力な一撃。

狙いを逸らさず、吸い込まれるようにマユルドに命中した。

 

「ムーッ!?」

 

「ああっ! カラサリスちゃん!?」

 

「ムム…ムーッ!」

 

「あの光は…!」

 

「進化が始まったのニャ!?」

 

攻撃を受けたマユルドだったが、その衝撃に触発されたのか体が輝き姿を変えていく。

いよいよ進化が始まったのである。

コジロウやニャースも見守る中、光が晴れていく。

 

「あぁ…ついにやったのね! さぁ、その姿を見せて頂戴アゲハントちゃん!」

 

進化の輝きがバッと晴れると、進化したポケモンは大きな翼を広げて大空に羽ばたいた。

空の彼方まで飛んでいきそうな勢いと共に上昇し、急降下する。

そして成長した自分の姿を自慢するようにムサシの前へとその全容を現した。

 

「アゲハント…ちゃ…ん…?」

 

「ケーイル!」

 

そう、立派な立派なドクケイルである。

ムサシは最後までカラサリスと信じていたが実際は周囲の言うとおりマユルドであるためこうなってしまうのは仕方の無い事である。

現実を直視したムサシはドクケイルを見て呆然としていた。

 

「あのポケモンは…」

 

『ドクケイル どくがポケモン

灯りに引き寄せられる習性を持つ。街灯りに誘われたドクケイルが街路樹の葉っぱを食べ散らかしてしまう』

 

「ドクケイル…」

 

「そ、お前のはケムッソからマユルドに進化したからドクケイルに進化したんだよ」

 

「ジャリガールと同じようにケムッソを捕まえて、同じように進化させたのに…ジャリガールのはアゲハントになって、アタシのはドクケイルになったっていうの…?」

 

目の前でバサバサと羽ばたくドクケイルと、ソラトの解説を受けて少しずつだがムサシが現実を認識していく。

 

「んぐぐ…! ぬぐぐぐぐぐぐぐ~っ!!」

 

「あ、あれは…!?」

 

「ムサシの怒りが爆発するニャ!?」

 

「ソーナンス!?」

 

完全に現実を認識したのだろう、ムサシが何かを堪えるように歯を食いしばり両手を握り締める。

アゲハントを手に入れられなかった怒りだろうと思ったコジロウとニャースとソーナンスは身を寄せ合ってそれから逃れようとする。

ムサシが怒りを爆発させてしまえば仲間だと言っても飛び火する事は免れられないだろう。

そしてムサシは感情を爆発させた。

 

「チョーカワイイー!!」

 

「「ガクッ!?」」

 

「だってそうじゃない!? お尻のところにあるギザギザとか、ウィンクするのも一苦労しそうな大きなお目々とか、フットボールのようにもりっとした触覚とか! あ~! もうとってもゴージャスじゃない!? あんなジャリガールのアゲハントよりもずっとキュートじゃない!? ラブリーチャーミーじゃない!?」

 

どうやらドクケイルの事をいたく気に入った様子である。

しかしあれだけ欲しがっていたアゲハントではなくドクケイルになったというのにこの手のひらの返しようにサトシ達だけではなくコジロウとニャースも呆れてズッコケていた。

 

「ムサシの趣味はさっぱり分からんニャ…」

 

「まぁ、気に入ってもらえたようだし良いんじゃないか」

 

「ジャリガールのアゲハントなんか、アタシのドクケイルで捻り潰してやるわ! コジロウ、ドクケイルの技は何が使えるの!?」

 

ムサシに問われたコジロウはお菓子のオマケでついてくるポケモンのカードを見て使える技を確認する。

 

「えーっと…たいあたりにとくばり、サイケこうせんとかかな…」

 

「技も多種多様って事ね。ドクケイル、たいあたり!」

 

「ケーイル!」

 

「ハァン!?」

 

マユルドの時よりもパワーもスピードも遥かに増している。

素早いドクケイルの攻撃を避け切れなかったアゲハントは攻撃をまともに受けてしまった。

 

「ああっ! アゲハント!?」

 

「いいねいいね! アタシのドクケイルは技もキレるねー!」

 

「よくもやったわね! 私のアゲハントはドクケイルなんかには負けないわ!」

 

「フン、アタシのドクケイルの方が強いわよ」

 

「なら正々堂々と勝負しましょう!」

 

「望む所よ! ドクケイル、どくばり!」

 

「ケケーイル!」

 

同じようにケムッソを育ててきて進化させてきたプライドか、ハルカもムサシも互いにライバル心がむき出しである。

結局真正面からのバトルで決着をつける事になったためドクケイルが口からどくばりを発射する。

 

「かぜおこしよ!」

 

「ハハァーン!」

 

だがアゲハントの放つかぜおこしによってどくばりはあらぬ方向へと吹き飛ばされてしまう。

どくばりが飛んでいった先にいたコジロウとニャースはその場から這うように慌てて逃げる。

 

「わたたたたた!? くそ、よくもやったな! 行け、サボネア!」

 

「サーボネッ!」

 

「ドクケイル、セイケこうせん!」

 

「サボネア、ミサイルばりだ!」

 

攻撃のとばっちりを受けたのが癪に障ったのか、コジロウもサボネアを繰り出して同時に攻撃を加える。

 

「2対1なんて卑怯だぞ!」

 

「卑怯はアタシ達のトレードマークよ! やっちゃいなさい!」

 

ドクケイルとサボネアの同時攻撃がアゲハントを襲うが、その間にキモリが割り込んだ。

 

「キャモッ! キャモーッ!?」

 

「キモリ! クッ、戻れキモリ!」

 

体を張って同時攻撃からアゲハントを守ったキモリだったが、こうかはばつぐんを含む同時攻撃を受けてしまい戦闘不能になってしまう。

やむを得ずサトシはキモリをモンスターボールに戻した。

 

「ドクケイルちゃんつよーい!」

 

「だったら次は…クチート、キミに決めた!」

 

「クーッ!」

 

キモリに代わってサトシが繰り出したのはクチートだ。

ボールの中から外の事情を把握していたのだろう。卑怯な手段で恋するキモリを戦闘不能にしたロケット団に対して怒りを燃やすクチートはいつもより迫力がある。

 

「サボネア、もう1度ミサイルばり!」

 

「よけろクチート!」

 

「サボネッ!」

 

「ククーッ!」

 

再び繰り出されたミサイルばりをクチートは素早い身のこなしで回避する。

 

「ドクケイル、どくばりよ!」

 

「避けて!」

 

「ケケーイル!」

 

「ハァン!」

 

一方でムサシもアゲハントに対して更なる攻撃を行うが、ハルカとアゲハントも冷静に対処して回避する。

攻撃を繰り出したせいで隙のできたロケット団のポケモン達に対し、サトシ達は反撃を開始する!

 

「アゲハント、たいあたり!」

 

「ハンッ!」

 

「ケケッ!?」

 

「ぶへらっ!?」

 

アゲハントのたいあたりが見事に決まり、吹き飛ばされるドクケイルに巻き込まれてムサシも一緒に気球の元まで吹き飛んでしまう。

 

「クチート、ようせいのかぜ!」

 

「クーッ!」

 

「サボネーッ!?」

 

「ぐへっ!?」

 

同じくサボネアもクチートの攻撃を受けて吹き飛ばされてしまいコジロウと、しがみ付いていたニャースを巻き込んで気球の元まで吹き飛ばされてしまった。

 

「トドメだピカチュウ! 10万ボルト!」

 

「ピーカチュゥウウウウウウウウ!」

 

「「「ぎゃああああああああああっ!?」」」

 

気球を巻き込んで電撃が奔り、ドカンと爆発してロケット団は空を飛ぶ。

コジロウとニャースはうんざりした表情だったが、ムサシはいい笑顔を浮かべていた。

 

「よく頑張ったわね、アタシの可愛いドクケイルちゃん」

 

「ケケイル」

 

「やれやれ、喜んで貰えて一安心だ…」

 

「でも…」

 

「「ヤなカンジー!」」

 

「ちょっとイイカンジ…!」

 

それぞれにテンションの違いはありつつも、ロケット団は本日2度目の星となり空へ消えていったのだった。

 

 

 

 

 

ロケット団を撃退したサトシ達はポケモン達を休めてそれぞれの時間を過ごしていた。

サトシはピカチュウ、クチートと共にキモリの治療を、ハルカはアゲハントと共にコンテストへのイメージトレーニングを行っている。

その様子を離れて見ていたマサトは夕飯の準備をしているソラトへと問いかける。

 

「ねぇソラト、アゲハントやドクケイルみたいに…ポケモンにはどっちに進化するか分からないポケモンが沢山いるんだよね」

 

「ん? あぁ、そうだな。条件があったりするものが多いが…ケムッソから進化する時の条件は分かっていないんだ」

 

「ポケモンって不思議だよね。ボクも早くポケモンをゲットしたいなぁ」

 

「フフ、そうだな」

 

ポケモンの不思議を目の当たりにして目を輝かせているマサトが微笑ましく、ソラトは頬を緩めてサトシとハルカを遠目に見る。

 

「ポケモンだけじゃない。トレーナーだって似たような道を歩んできてもそれぞれの道を進む…」

 

そう、サトシがバトルの道に進み、ハルカがコンテストの道に進んだように。

それぞれがそれぞれの意思を持ち自らの道を進んでいく。

ソラトはサトシ達が治療するキモリへと目を向ける。

 

「仕上がってきてるな…そろそろリベンジの時か」

 

カラサリスがアゲハントへと進化し、ポケモンコンテストへの意欲を燃やすハルカ。

そしてソラトがキモリに感じた異変。

ムロジムへのリベンジマッチは…もうすぐである!

 

 

 

to be continued...




今回ほとんど原作添いで何か特別な事できませんでした。申しわけありません。

ムロ島編も終盤に差し掛かってきました。

名探偵ピカチュウ見てきました。
凄い良かったです。
ポケモンバトルとか迫力あって感動。
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