夕陽の美しさが海を茜色に染める、ある日の砂浜。数名の若者達が集まっていた。青春の一幕、と言ったところだろうか。各々が日頃の慌ただしさを忘れ、両手に花火を持ったりジュースを飲んだりしながら、穏やかな時間を過ごしていた。
そんな中、一組の男女が夕闇に紛れるように木陰へと移動する。良い雰囲気になった二人は、グループをこっそり抜け出し、二人だけの想い出に浸ろうとしていたのだ。女の方が木にもたれながら目を閉じ、静かにその時を待つ。
だが、いつまで経っても男からのアプローチは無かった。
痺れを切らした女が目を開く。
「ちょっと!」
抗議をしようと前を向いた、その瞬間だった。
男の顔には生気がなかった。
次の瞬間、糸が切れたように身体から力が抜け、女へと倒れ込む。何事かと男を抱えた女の手に付着する、ベットリとした赤い液体。
その生温かさに、女の思考が一瞬だけ止まった。
男は既に、こと切れていた。
「きゃあああっ!?」
悲鳴に気付き、仲間の男女達が集まって来る。目の前にある異常な光景を理解するにつれ、グループの間に恐怖と混乱が広がっていく。
やがて一人の男が、おどろおどろしいエンジン音に気づいた。
空を指差す。
「あっ! 何だあれ!」
かの大戦の時代へと遡ったかの様な錯覚。
空襲めいたエンジンを唸らせるその白い球体は、夕闇の空を旋回し、そして──若者達に向かい、掃討を開始した。
一方的な虐殺だった。
ある男は胸を撃たれ即死し、ある女は逃げようとした所を脚を狙われて転倒した。そのまま背中から蜂の巣にされる。悲鳴と銃声が入り乱れ、逃げ惑う足音が砂浜を駆け抜ける。
だが、それも長くは続かなかった。やがて、その場に動いている人間は一人も残らなかった。白い球体はこと切れた若者達へと急降下し、悍ましい口を開く。そして、一人また一人と骸を内部へと呑み込んでいく。
事を終えた球体は、奇声をあげながら闇の空へと飛び立っていった。後に残されたのは静寂と、海岸に点在する赤黒い血の跡だけだった。
*
その日、鎮守府の廊下にて、曙は向かい側から歩いてくる朧を発見した。朝から自主訓練をしていたのだろうか。彼女の黄色い髪が湯気に濡れている。普段から整っている髪も、今は僅かに乱れていた。
曙は一瞬、足を止めかけた。ここに配属されてから、日常を過ごす中で、彼女とはよく衝突を繰り返してきた。
原因は考えるまでもない。
余裕が持てず、独りで追い詰められていた曙と、全体の和を俯瞰的に考える朧。その考え方は、絶望的なまでに噛み合わなかった。
どちらかが一方的に悪かった、という話でもない。お互いに、譲れないものがあったのだ。だからこそ、曙はそんな自分に強い自己嫌悪を抱いていた。
いつも悪い結果を招いてしまう。
言葉を選べず、余計な一言を口にして、相手を傷つける。そして、後になってから自分の言動を思い返しては、どうしてあんな事を言ったのかと後悔する。そんな自分が、嫌だった。
「…………」
気不味さから声をかけることを躊躇う曙。すれ違ってしまえば、それで済む。いつものように、互いに何も言わず通り過ぎればいい。そう考える一方で、胸の奥には別の思いがあった。
――このままじゃ、また同じことになる。
ここで一歩踏み出さなければ、きっと同じ事で堂々巡りとなってしまう。この鎮守府での生活の中で、ほんの少しだけ心に余裕が持てるようになった曙は、思い切って朧と一度話し合ってみようと思った。
喉の奥が僅かに緊張する。それでも曙は、足を止めた。
「あの、朧」
「っ!? な、何?」
突然話しかけられた事。そして、その相手が曙である事。二重の驚きを見せる朧を見て、曙の胸がズキリと痛んだ。
真面目で、誰とでも会話出来る彼女ですらこの反応――他の艦娘達には、もっと苦手意識を持たれていたのだろうか。そう考えると、自分で蒔いた種とは言え、嫌になった。
今更ながら、これまで自分が周囲に与えてきたものを思い知らされた気がする。
後悔を胸に、曙は言葉を続ける。
「その、あたしって普段から感じ悪いよね。だから、ごめん」
「……急にどうしたの?」
「最近余裕が出てきて考える時間が出来たからその、自分を見つめ直してさ」
朧はすぐには答えなかった。
先程まで見せていた警戒心が消えたわけではない。だが、曙の事情を聴き、何か思う所があったのか、やがて姿勢を改めて曙に向き直った。
「うん……確かに、曙の振る舞いには嫌な思いをする事もあったけれど、朧も少し踏み込み過ぎたかもしれない。だからおあいこ」
逡巡の後にそう答える朧。曙は、その言葉を聞いて僅かに肩の力が抜けるのを感じた。
責められても仕方がないと思っていた。むしろ、そうされる方が当然だと思っていた。それなのに、朧は自分のことまで振り返っている。
後に引き摺らず切り替えるのは、彼女の有難い所だと曙は思った。そして同時に、胸の奥から小さな感謝が湧き上がる。
「そう言ってくれると嬉しい」と応えた。
「でも、朧だけじゃなくて皆にも謝らないと駄目だよ? 潮にだって……」
朧がそこまで言ったと同時に、曙は苦虫を噛み潰した様な顔をした。胸の奥に、途端に重たいものが落ちてくる。
潮。
その名前を聞くだけで、先程まで僅かに軽くなった筈の心が、再び重くなっていく。少しの間のあと、曙は口を開く。
「うん、分かってる。ただ潮に関しては、もう少し待って欲しい。あいつとは、そう簡単に割り切れないの」
「潮と、何かあったの?」
朧のその問いに、曙はこくりと頷くだけだ。言葉にしようとすると、胸の中にある様々な感情が絡み合ってしまう。
怒り。
苛立ち。
申し訳なさ。
そして、もっと別の、簡単には名前を付けられない感情。今はまだ、それを整理して誰かに話せるほど、曙の心には余裕がなかった。
「そっか。深入りはしないけど、丸く収まると良いね」
「うん……」
朧の気遣いに、曙は小さく頷いた。曙としても、潮とのイザコザにはいい加減決着を付けたかった。
このままではいけない。頭では分かっている。だが、様々な感情が邪魔をして、それを困難にしていたのだ。
「……行こっか。もうすぐ朝礼の時間」
朧の言葉で、その場の会話は終了した。二人は並んで廊下を歩き出す。
完全にわだかまりが消えたわけではない。それでも曙には、今までとはほんの少しだけ違う朝に思えた。
*
「皆揃ったな」
横一列に並ぶ艦娘達を前に、可香谷提督はいつになく緊張した面持ちで言葉を続けた。
「ここ数日の間、当鎮守府の近海で失踪事件が相次いでいる。本来なら警察の管轄だが、事件と関係がありそうな目撃証言から深海棲艦が関与している可能性があり、俺達に調査依頼が来た」
「提督、目撃証言はどういうものなの?」
曙の隣で朧が言う。わざわざ艦娘に話を持ってくるのだ。理由も相応のものに違いなかった。
失踪事件。
その言葉だけでも穏やかではない。しかも、提督の表情を見る限り、単なる行方不明者の捜索では済まないらしい。
「夕方頃に現場付近を歩いていた何名かの方から、空を飛ぶ怪物が人間を捕食し飛び去っていったと言う証言を得られている。空母級深海棲艦の艦載機かもしれない」
その答えに、艦娘達がざわついた。
曙も思わず息を呑みかける。
空母級。
その言葉を聞いた瞬間、曙は一度だけ、険しい表情を浮かべた。だが、それに気づく者はいなかった。
「失踪事件は全て夕暮れ時に発生している。この時間帯を中心に、三班に分かれて巡回を行おうと思うんだが」
そこで提督は一呼吸置き、潮と曙を交互に見た。その視線の意味を、曙はすぐに理解した。
潮と自分。やはり、その組み合わせになるのか。
目線が合った事に気付いた潮が体をビクリと震わせ、曙にしがみつこうとする。その様子を見て、曙の胸の奥に複雑な感情が湧いた。
提督はそんな二人を見て、困った顔をしながら言葉を続けた。
「……曙、頼めるか」
「どうせあたし以外の奴と組ませても、隊列乱すだけでしょ」
軽い舌打ちと共に答える。言葉こそ辛辣だが、了承と言う事の様だ。
本当は、もっと別の言い方も出来た筈だ。だが、曙にとってはこれが精一杯だった。提督はそんな彼女にすまないと感謝を述べつつ、姿勢を正す。
「一斑は決まった。残りの二班は──」
提督がそう言葉を続けようとした、その時だった。
「はいはーい! ご主人様、漣は響とが良いでっす!」
あまりにも場違いな漣の声に驚いたのは提督だけではない。名指しされた響も普段のクールさを剥がされ、驚愕の表情を浮かべていた。
「そ、そうか。なら漣は響とで行ってくれ」
「待ってくれ司令官! 私はまだ何も」
「ほいさっさ! と言うわけで響! さっさと朝練行きましょう!!」
「あっ、おい漣、待っ……」
何か言いたげな響を強引に押し出す漣。二人の姿が廊下へと消えていく。後には、何とも言えない空気だけが残った。
曙は思わず二人が消えていった方向を見る。
……何なのよ、あれ。そう思ったが、口には出さなかった。
「……良かったのかな、これで」
「大事な話をしている時にふざけるのは頂けないけれど、アイツにも色々と思う所があるみたいだし、良いんじゃない?」
霞の言葉に、掃除をしている枕崎がうんうんと首を縦に振る。半ば強引な流れではあるが、班決め問題は一先ず纏った様だ。
余りとなった霞と朧は、特に異議立てする事もなくすんなり受け入れた。真面目な者同士、案外気が合うのかも知れない。そんな様子を眺めながら、曙は僅かに息を吐いた。
いつも通りに過ぎると思われたその日は、どこか慌ただしい始まりとなった。
*
砂浜に比較的近い茜色の海岸線。可香谷鎮守府所属の二人の艦娘が、ゆっくりと海上を航行していた。
漣と響。
曙とはまた違った方向で何やら訳ありの二人は、気不味い空気を漂わせながら海を駆ける。
──響は、漣と同じ班になるのを避けていた。
それがこの有様だ。
事前に曙の事を気に掛けていた朧は勿論、霞までそれに異議を唱えなかった為、響は反論するタイミングすら失ってしまい、今に至る。
「響、見て下さい。夕日が沈みますヨ! 夕日、キレイ……」
「そうか」
「もーう響! そこは『おまきれ』って返すのがお約束ですぞ?」
「興味無い」
「うっ……」
周囲の温度が1°C程下がったかの様な錯覚。出撃してからずっとこの調子である。
そんなやり取りが何度か続いた後、はぁ、と漣は何かを観念したかのように一度息を吐いた。
「単刀直入に言います。響、どうして暁の事を避けるのですか?」
──暁。その名を聴いた瞬間、響の体が一瞬硬直した。胸の奥を、不意に冷たいものが撫でたような感覚。それを悟られまいとするより早く、身体が反応してしまった。
驚きとも困惑とも取れる表情を浮かべたまま、響は漣を見る。どこまで踏み込んでくるつもりなのか。それを考えるだけで、心の奥がざわついた。
「……何度も言った筈だ。君には関係無い」
「ところがどっこい、大有りです。暁は私の友人なのです。友人が悩んでいるなら、何とかしてあげたいでしょ?」
「しつこいな! そういうのを余計なお世話だと言うんだ!!」
ピシャリと、普段のクールさからは考えられない激昂した声を響が上げた。自分でも、声を荒らげたことに驚いた。
世界が止まったかのような錯覚。そんな静寂が一瞬、場を支配する。海を滑る音すら、遠くへ消えたように感じられた。
響はハッと我に返った。胸の奥に残る熱が、急速に冷えていく。
言ってしまった。
漣に怒鳴るつもりなどなかった。まして、彼女が悪いわけではない。だが、暁の名前を聞いた瞬間、自分でも抑えきれないものが込み上げてきた。響は気不味そうに、小さく「すまない」と零した。
「……せめて、理由だけでも教えてくれませんか?」
少し控えめに、しかし完全には引かずに漣は恐る恐る言葉を告げた。
響は答えない。それは拒絶の表れだった。理由を話せば、きっと何かが変わってしまう。
その変化が怖い。
だからこそ、響は口を閉ざした。これ以上の詮索には答えてくれないだろう。そう理解した漣は会話を止め、巡回を再開しようとした。
「……?」
ふと、漣が何かに気付いた。
海は穏やかだった。夕陽に染められた水面が、ゆっくりと揺れている。敵の姿もない。
だが、何かがおかしい。
「あの、響」
「今度は何だい!?」
「あ、いやそうじゃなくて……何か聴こえません?」
怪訝な顔をしながら漣の目線を追う響。向けられたのは遥か上空だった。照りつける太陽と入道雲に隠れ、ブゥーンと言う戦闘機のエンジン音の様な音が微かに聴こえてくる。
響は反射的に空を見上げた。音が近づいてくる。
小さかったはずの唸り声が、次第に明確なものへと変わっていく。やがて音はハッキリしたものへと変わり、そして──飛翔する異形が姿を見せた。
「居た、敵艦載機!」
漣が叫ぶ。
深海棲艦特有の怪物じみた姿をした白い球体が、徐々にその姿を正確なものとして見せてくる。
そして、次の瞬間──掃射が始まった。
「ッ!」
響は考えるより先に横へ跳んでいた。水面を蹴り、漣と共に銃撃を回避する。身体を捻りながら手の平に主砲を出現させ、敵艦載機へと構えた。
突然の襲撃。それでも響の頭は冷静だった。
敵。ならば、撃つ。
それだけだ。
響は通信機を起動する。
「司令官、響だ。現在敵艦載機に遭遇、漣と共に交戦中。恐らくコイツが失踪事件の元凶だ」
"やはり現れたか……敵の詳細は分かるか!"
「遠巻きにしか見えないが、全体的に白く──」
「たこ焼きみたいです!」
「響、ちょっと黙っていてくれ! ……白い球体に、眼と口がある様に見える」
"既存の艦載機と一致しない……新型か!?"*1
通信機越しの声が強張るのが分かった。
無理もない。
少なくとも響の知る限り、あのような敵艦載機は存在しない。未知の脅威。その言葉が頭を過った。
響は砲撃を続ける。砲弾が海面を抉り、白い球体の周囲へと水柱を巻き上げる。だが、敵艦載機は不規則な動きを繰り返し、中々当たらない。狙いを定めたと思えば突然高度を変え、こちらの射線から逃れる。
響は苛立ちを募らせながらも、冷静さだけは失わないよう努めた。
その時だった。ふと、前方の浜辺に目が行く。
そこには、戦場にあってはいけない光景があった。
「なっ──!?」
響の目線の先。幸せそうな顔で浜辺を散歩中の母子が一組。あまりにも平和な光景だった。
だからこそ、響の背筋が凍った。
彼女達は艦載機に気付いていない。敵艦載機が、こちらを狙っている。
そして。
やがて敵艦載機がそれに気付き、獲物に狙いを定めた。その動きが、響には分かった。まるで獲物を見つけた獣のようだった。
「逃げろ!!」
精一杯の声で叫ぶ。浜辺の親子はこちらに目を向ける。だが、状況を理解しておらず、首を傾げている。
届かない。響の胸に、焦りが走った。敵艦載機はこれ幸いと、口から砲口を展開し狙いを定めた。響の顔に、絶望が走る──間に合わない。そう思った。連続する掃射音。響は思わず息を呑んだ。
だが、親子が骸と化す事は無かった──。漣が、間一髪接近し、親子を片腕ずつ抱えてジャンプ。掃射を免れた。
響は安堵する暇もなく、漣の姿を目で追った。だが。
「っ痛う」
自身の脚を見る漣。どうやら完全に回避しきれなかった様だ。
「っ……!」
響の胸に、別の焦りが込み上げる。無傷ではなかった。
「あ、あの! 大丈夫ですか!?」
「漣は大丈夫! それより、すぐにここから逃げて下さい、早く!!」
状況を把握した母親は、漣に一礼すると、泣きじゃくる我が子を護るように抱えながらその場を後にする。その小さな背中を、響はじっと見送った。
逃げている。
まだ生きている。
それだけで、胸の奥に張り詰めていたものが僅かに緩んだ。だが敵艦載機は逃がすものかと巨悪な意志を向ける。
「させません!」
漣の威嚇射撃。敵艦載機は大きく体勢を崩した。不利を悟ったのか、その場から撤退する。
「待て!」
響が砲を構えるも、既に敵の影は小さくなっている。追うべきか。一瞬そう考えた。だが、負傷した漣を置いていくわけにもいかない。
響は軽く舌打ちした後、漣へと駆け寄った。
「漣、大丈夫かい!?」
「へっ。空が目に沁みやがる。綺麗な空だ……」
「……冗談が言えるなら大丈夫だね」
「あぁ〜ん、響ってば薄情ですぅ」
漣の冗句を後ろに、響は通信機を起動する。今はふざけている場合ではない。
敵艦載機の正体。襲撃された親子。そして、漣の負傷。伝えるべきことは多い。響は事態の報告に入った。
"そうか……! よくやってくれた、二人とも! 響は漣を航行し、一時帰還してくれ"
「了解した」
「すいませんねぇ、響さんや」
「漣、頼むから少し黙っていてくれ……」
やれやれと頭を抱えながらも、響は漣に肩を貸す。いつもの漣なら、この程度では止まらない。だが、負傷している以上、無理をさせるわけにはいかなかった。そのまま艤装のエンジンを吹かし、航行を開始する。
"響、敵艦載機はどの方角に逃げたか分かるか"
「南南西、丁度曙と潮が巡回している辺りだと思う」
"ありがとう……聴いたな? 二人とも。上空に十分警戒をしろ。霞と朧も可能な限り二人に合流してくれ"
通信機越しに提督が各々に指示を飛ばすのを聴きながら、響は海域を後にした。
南南西。その先には、曙と潮がいる。あの二人が、今の敵と遭遇するかもしれない。
響の胸に、嫌な予感が残った。
「あの親子、大丈夫ですかね」
「……君が体を張って護ったんだ。大丈夫さ」
「うん……あの、響」
「……なんだい?」
「……いや、やっぱり今は良いです」
漣が何を言おうとしたのか、響には分からなかった。いや、分かっていたのかもしれない。
先程の暁の話。漣はまだ、それを諦めてはいないのだろう。だが、響からすれば、今はそれを考える余裕がなかった。
漣にも聞きたいことがある。
そして漣にも、響へ聞きたいことがある。
それでも、今は互いに言葉を飲み込んだ。航行中で身動きの取れない彼女にそれをするのは、ルール違反な気がしたのだ。
漣はひとまず、大人しく航行されるのだった。