Gate/Grand Order   作:高木家三男

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クロス先はだいたいにおいて有名作品です。
主人公の元ネタ以外はアニメ化されています。
ハーメルン読者なら知っているものが多いかと思います。



空に穴が開いた

『……だれか、僕を助けて』

 

 二週間前に、突如異世界に連れ去られた少女は独房の中で涙を流している。

 高校の制服は既に薄汚く汚れきっており、彼女の心が折れるのに残り時間はそうかからないはずであった。

 

 自分の名前を失った少女は、元来、とある理由で信じていなかった神に祈った。

 

 それは、どこにも届かないはずの祈りであった。

 それは、ただ消えていくだけのつぶやきであった。

 それは、避けられない死の運命のはずであった。

 

 

 

 

 

 その日、すっかり歳を取った新田良造(にったりょうぞう)は、ベッドの上で自分の子がベトナム戦争で死んだことを聞いた。

 つい先月、愛する妻であるオレーナも病気で亡くしている。自分ももう、後少しの命だろう。

 

 思えば長かった。

 

 日露戦争の後、押しかけてきたオレーナとロシアに渡るはずだった。

 しかし途中で夜這いを受けて子供が出来てしまい、この地に根付いてから既に半世紀近くが経過している。

 

 身よりもないこの地で妻と二人、苦労して子供を育てた。

 そうこうしている内にロシア革命が起き、彼女は帰郷を諦めた。

 満州事変、日中戦争、太平洋戦争へと進み戦火に巻き込まれていく母国を遠くから眺めていたときは、無力さを感じるよりも、ただ悲しかった。

 

 そして今、自分が第二の母国としたベトナムも、泥沼の戦いに巻き込まれようとしている。

 もう自分に血族はいない――。

 

 結局、自分の人生に意味なんてなかったのかもしれないな。

 

 そんな風に自嘲する良造の元に、どこかから少女の祈るような声が聞こえた気がした。

 足元でトウゴウの孫の孫が、わんわんと吠える。

 

 そして、ハッと気づく。

 いや、もしかしたら日本に残してきた子がいるのかもしれない。

 

 オレーナとの子が歩けるようになってから暫くのあと、日本に残してきた藤子から手紙が来たことが一度だけあった。

 そこには自分との子供がおり、今は新田と書いてアラタと名乗っていると書かれていた。

 勘の鋭いオレーナに見つからぬよう、母国を捨てた身として、そのことは随分と長い間思い出すことはなかった。

 

 ああ、でもそういえば。

 自分の人生の終わりは締まらないが、オレーナや子供と過ごした時間は、間違いなく幸せだった。

 だとすれば、晩節を情けないロバのような気持ちで過ごすよりも、もう少しだけ格好をつけてみよう。

 

 死を淵に今、良造はもしかしたらまだ残っているかもしれない自分の子や孫のために祈ることにした。

 

 どうか、ベトナムと日本をつなぐ、この空のまもりとして、救いがありますように。

 

 

 

 

 

 その日、クロヴィス・ラ・ブリタニアの秘密実験ラボから抜け出した実験体ことC.C.は、悪態をつきながら身を隠すためゲットーに向かっていた。

 死ねない身体だが、研究と称した拷問は堪える。

 ため息をついていると、不思議な感覚。

 

「マリアンヌか? ……いや、なんだこれは? 集合無意識? それが世界の選択? 何を言っているんだ、こいつは」

 

 ふと、曇天の空を見上げると、今はエリア11と呼ばれる日本。

 その廃墟の一角で、C.C.は風が強く吹いていることに気づく。

 

 

 ――空に穴が開いた。

 

 

 

 

 

OVERS・OVERS・OVERS・OVERS・OVERS・OVERS・OVERS・OVERS・OVERS・ OVERS・OVERS・OVERS・OVERS

 

 

 

 

 

 その日、GATEが未だ開いていない世界にて。

 

 椎名まゆりと橋田至に連れられてコミックマーケットに参加していた岡部倫太郎は、西館から東館への移動中だった。

 建物の外に出られた瞬間、あまりの人苦しさのため思わず空を見上げる。

 日差しは強く、風も無かったが少しだけ楽になった気がする。

 

 視界が青く染まった。

 意識は反転し、世界が回転する。

 猛烈な、吐き気とめまいがした。

 

「……大丈夫? 岡部くん」

 

 思わず倒れそうになる彼を支えていたのは、豊満な身体を持つ、眼鏡をかけた、根暗そうな女であった。

 

 

 世界線が、変動する。

 

 

 

 

 

-this Omnipotent Vicarious Enlist a Recruit Silent System-

 

 

 

 

 

 その日、篠ノ之束(10歳)は独り歩きを始めた妹の箒(1歳)の面倒を見ながら留守番をしていた。

 

「まったく、世の中はアホばっかりで困っちゃうよ。本当に」

 

 彼女にとって、世界はあまりにも狭かった。

 それは、この年頃の子供がごく当たり前に持つ、世の中に対する態度とは別のものだ。

 彼女は、就学前に測定された知能指数で、計測不能の数値をごく当たり前に叩き出した本物の天才である。

 

 人並み外れた知能を持った存在は、異端。

 

 既にこの時点で、彼女は小学校の担任を遥かに超える知能を持っていた。

 一方で、その情緒は未だ幼いものである。

 学校の担任も、クラスメイトも、あるいは親戚でさえ、彼女にとっては鬱陶しい。

 

 そんな中、夏休みは彼女にとって数少ない癒やしであった。

 

 今日も、中国の産業スパイが集めた日本企業の製品情報のデータベースをハッキングしている。

 夏休みの課題である自由研究に、大気圏を突破するロケットをお年玉の残りで作ろうと考えていたのだった。

 

「目に見える結果があったら、周りも少しは静かになるはずだもんね」

 

 語尾に8分音符をつけたようにつぶやいて、キーボードを軽快に叩く。

 足がつかないよう接続元を偽装して、本日幾つ目かの防壁を突破しようと試みたときだった。

 

 

OVERS・OVERS・OVERS・OVERS・OVERS・OVERS・OVERS・OVERS・OVERS・ OVERS・OVERS・OVERS・OVERS

 

 

 

このプログラムは世界の尊厳を守る最後の剣として世界の総意により建造された。

 

OVERS・System Ver1.00

 

 

 

OVERS・OVERS・OVERS・OVERS・OVERS・OVERS・OVERS・OVERS・OVERS・ OVERS・OVERS・OVERS・OVERS

 

 

「なんだよ、なんだよこれ! 束さんはこんなの知らない!」

 

 

 突如大声を上げた姉に、びっくりした箒が泣き出す。

 慌てた束は、箒を抱き上げながらディスプレイを注視する。

 

 そこには、戦火の熊本を、独立戦争中の火星の海を、青森を、広島を、小笠原諸島を無尽に駆ける士翼号の姿があった。

 

 夢物語でしかない、人型兵器が自在に戦場を蹂躙する。

 それが作られた映像ではないことはひと目見て理解できた。

 

 こんな技術は、今現在、この世界のどこにもない。

 

「……すごい! なんだこれ!」

 

 

 興奮した束は、モニターを食い入るように見つめた。

 

 

『世界線変動まで、残り180秒を切りました。その後はこの世界郡は切り離され、当データも含めて永遠にアクセスすることは不可能になります』

 

 慌てた束は、可能な限り今自分が手に入れられるデータのバックアップを取り始める。

 

 

 

 

 

 数週間前までただの中学生だった長谷川千雨は、麻帆良学園から離れた古い木造アパートの一室で監視カメラの映像を確認し、問題のある情報を精査してから元先生やクラスメイトに送っていた。

 

「はあ、なんでこんなことになっちまったんだか」

 

 ディスプレイの端に、メールの受信を知らせる通知が鳴った。

 

「なんだこれ? タイムマシンの作り方? ……超からか?」

 

 警戒したが、特にセキュリティソフトなどの反応はない。

 まあ、バレるときはバレる、しょうがない。開けてみるか。

 

 千雨がメールを開こうとすると、背後から突如声が聞こえた。

 

 

「はじめまして、長谷川千雨。僕の名前はキュウべえ。今、この世界は大変な混乱の中にあるみたいだね。僕はなんでも君の願いをひとつだけ叶えてあげることができる。僕と契約して、魔法少女になってよ!」

 

 

 直後、自分とそう歳の変わらない黒い服を来て悪魔のような羽を生やした少女が現れ、その胡散臭いナマモノをどこからともなく取り出した銃で撃ち殺した。

 

 

「こんなところにいたのね、キュウべえ。駄目じゃない。急にいなくなったら。さあ、早くまどかのところに帰りましょう?」

 

 

 まどかまどかまどかまどかまどかまどかまどかまどかまどかまどかまどかまどか。

 すぐに帰るからね。

 

 

 この世の全ての不吉を孕んだような暗黒のオーラ。

 千雨は息もできずにその光景を見守ることしかできなかった。

 

 

「……なんだったんだ、今の?」

 

 

 ふとパソコンに目を向けると、開いたメールの添付ファイルが勝手に展開されていた。

 ウィルスか? とも思ったが、どうやら違うらしい。

 PCはフリーズすることもなく正常に動いている。

 世界線の変動にともない、実行ファイル名がOvers.exeから書き換えられていく。

 

 Treediagram.exeか。樹形図? いったい何のソフトだ、これ。

 実行と同時に、メールの着信音が鳴った。

 

『ラプラスメールを受信しました。英霊を従えるマスターを探し、因果を改変することでこの世界の崩壊を防いでください』

 

 

 

 

 

 母の死からしばらく経ったその日、赤木リツコはある意味で遺品として残されたマギの調整に勤しんでいた。

 寝不足で隈の出来た目を擦りながら、バグを少しずつ直していく。

 ふと、気づくと、メールが届いている。

 

「母さんから? ……何かしらこれ。随分と趣味の悪いイタズラね」

 

 ゲンドウのバカヤロー。

 

 開いた瞬間、音声つきで再生されたそれに思わず吹き出してしまった。

 

 早く帰って寝なさい。あなたは私みたいに変な男に引っかかったら駄目よ。

 

 次いで流れた、その優しげな声色に、リツコは放心する。

 そして、ああ、これはきっと悪い夢なのだと思い、今日は帰って寝ることにした。

 

『碇ゲンドウによる、赤木リツコへの陵辱行為を回避しました』

 

 消えていくOversのテロップに、アプリケーション、アマデウスを使いマギの中に電霊として残った赤木ナオコは、ざまあみろと高笑いしたという。

 

 

 

 この瞬間、運命は変えられることが証明された。

 

 

 

 

 

 OVERS・System Ver1.00は、生きた人間に干渉することは出来ません。世界決戦存在候補、田中良大への介入に失敗しました。

 

 別の方法を再構築します。

 岡部倫太郎と篠ノ之束、長谷川千雨、赤木リツコへの介入により経路の形成に成功しました。

 

 50年前の新田良造が、死の運命にあることをこれから建造されることが確定したタイムマシンによって確認。

 彼の血に介入することで、間接的に良大へ影響力を行使します。

 

 良大がマスターとして覚醒したとき、存在しないカルデアに変わって人理継続のグランドオーダーに挑む運命が定められました。

 

 世界線の変化に伴い、Oversは消滅。これより無名世界観より、人理の危機が確認された世界郡が隔離されます。

 これにより、以降互いの世界郡は影響力の一切を行使することが出来ません。

 

 子供使いになる可能性だったものよ、どうかご武運を。

 

 

 

 

 

 11:55

 

『なるべく身バレは避けたい。緊急事態のときは、呼び名を変えよう』

『分かりました。私のことは、セイバーでよいでしょう。リョウタのことは、なんと呼べばよいでしょうか?』

 

『そうだね。母の旧姓が新田と書いてアラタと読むんだ。曽祖父は日露戦争で活躍した軍人で、訳あって妻子を置いて海外に脱出したらしい。聖杯戦争で生き残れるようにその血にあやかってアラタというのはどうだろう』

 

 

 祖父の代で新田の血は二つに分かれたが、もう一つの血筋でも婿養子に入ったこともあってアラタの名は既に消えている。

 

 少女の祈りを受けて起動したOvers最後の介入により、生まれた曽祖父の祈りは加護という神秘となった。

 

 今、永い時といくつもの世界を越えて、英雄の資質が目を覚ます。

 

 

『なるほど、確かにタナカよりもアラタの方が響きも良いですね。では、何かあったときはアラタと呼ばせて頂きます』

 

 

 それが、二週間の内に決めたセイバーとの約束事の一つ。

 バックパックから取り出したレインコートを、二人は身を隠すための偽装として身にまとう。

 セイバーは打ち倒したオークから鉄製の剣を回収し、二つに折れたカーボン製の警棒の代わりとする。

 

「行こうか、セイバー」

「ええ、では行きましょう。アラタ」

 

 

 

 以降、田中のことをアラタと記述する。

 

 

 

 

 

 マスターレベル 1→2  26/20/11

 専用マスター技能を取得! 

『念話』

 近距離(100m以内)にいるサーヴァントと声を出さずに意思疎通が可能。

 

 マスターレベル 2→3  27/22/11

 専用マスター技能を取得! 

 『気配感知』

 隠蔽されていない魔力や霊体の存在を感知できる(範囲は対象の魔力量次第)。方角は分かるが詳しい距離は不明。

 

 マスターレベル 3→4  28/24/12

 専用マスター技能を取得! 

 『応急手当』

 即死には効果がない。魔術ではなく技術。魔力を使って対象が持っている治癒能力を高める。

 肉体をサーチして入り込んだ銃弾などを摘出することなどもこのスキル効果に含まれる(レベル1の効果は医療行為としては医学生並)。

 令呪使用で効果を上昇可能。

 

 

 

 

 

12:10

 

「お、お願いだっ。助けてくれ! 王子の命令だったんだ! 逆らえなかったんだ!」

 

 亜人を倒しながら道を辿る内に、セイバーは切りかかってきた兵士の剣を、ただの一合で吹き飛ばした。

 とどめを刺そうともしたが、言葉が翻訳できていることに気付いたアラタが念話でそれを止める。

 

 

「この事件の原因を知っているのか?」

 

 アラタの落ち着いた声色に、兵士は狼狽しながらも返答をする。

 

「ああ。異世界との門を開いたんだ。そこを通して亜人だの兵士だのを送り込んでこの国の進んだ技術を取り込むのが目的だと言っていた」

 

「その門を破壊すればこの騒ぎは収まるのですか?」

 

 セイバーのピリピリとした強者のオーラに、怯えたように言葉が繋げられる。

 

「俺は兵士だから魔法の詳しいことは分からない。もしかしたら、別の場所とかに再び門を開くことができるかもしれない」

 

「軍の規模は?」

 

「亜人、翼竜も含めた10万人からの軍隊だ。進んだ技術に対抗するために1年前から準備して、新しい魔法の運用を試しているとも聞いている」

 

 

 ふと、バラバラとローターの回る音が聞こえ、空を見上げると上空にはテレビ局のヘリが飛んでいるようだった。

 巨大な質量がビルに衝突するのが見え、兵士は身を震わせた。

 上空を警戒していたワイバーンによって撃墜されたのだ。

 

 

「気球で空を飛ぶ乗り物があると知っていたが、技術が進むとあんなふうになるのだな……」

 

 セイバーが、気球が生まれたのは18世紀だったとこの前調べた中にありました、と念話でアラタに知らせる。

 目の前の兵士の装備は、控えめに言っても中世のものにしか見えない。

 何らかの介入があったのではないかと思えた。

 

「お前たちに何か助言をした人間がいるということか?」

 

「詳しいことは知らないが、1年前、こちらの世界で拉致した人間が王子の腹心として色々と糸を引いているらしいということは噂になっていた」

 

 

 どうやら、本当に末端の兵に過ぎないらしく、それ以上の情報は得られないようだった。

 三十秒ほど考えた後、アラタはセイバーに向き直って告げる。

 

 

「なるほど……。セイバー、まずは門を見に行こう。とりあえず破壊できそうなら破壊して、一度この騒ぎを収める。無理そうなら警察と協力して、民間人の避難を手伝う。今までの感じなら自衛隊が出てくればこちらの勝ちだ」

 

「門の向こう側に攻め入るというのはどうでしょうか?」

 

「いや、情報が足りなすぎる。破壊が無理なら、最低でもドローンで向こうの偵察とか準備をしっかりするか、必要なら国と協力して事に当たったほうがいい」

 

「……そうですね。最悪、帰ってこられないという可能性もある。分かりました。その案で行きましょう」

 

 

 二人が自分を無視していることからホッと安堵の息をついた兵士の、両手が切り飛ばされた。

 アラタが念話でセイバーに命じたのだ。

 手が残っていれば、それで剣を握りまた殺戮に加担するかもしれない相手をそのまま見逃すほど、アラタは甘い男ではない。

 そして、まあ殺すほどではないが、と出血死を防ぐためと効果の確認のためにアラタはスキルを使用する。

 

 『応急処置』を発動します!

 

 魔力をいくばくか消費して、兵士の腕を光が包む。

 みるみるうちに断面は肉で覆われ、焼いて塞がれたようになっている。

 

 泣き叫ぶ兵士を残し、二人は門へと再び移動を始めた。

 

 

 

 

 

 マスターレベル 4→5  29/26/12

 汎用マスター技能を取得! 

『フレンド契約』

 グランドオーダー完遂のための協力者に恩恵を与える契約が可能になる(念話対象となる。万能言語の習得ブーストを与える。令呪での強化対象となる。AP回復速度を上昇させるなど)。

 

 マスターレベル 5→6  30/28/13

 個人技能のレベルアップ! 

 『情報抹消lv4→5』

 lv4→日本の情報を扱う機関ではソーシャルハッキング以外で足取りを掴むことは難しいレベルのハッカー。クラッカーと異なり覗き見専門で、悪意のある攻撃などは行わない。

 lv5→技術的レベルは変わっていないが、直接見た顔を覚えられにくいというパッシブ効果を得た。一緒に行動するサーヴァントにも影響し、例えばセイバーなら金髪の少女が剣を振るうということまでは覚えているがモンタージュ写真などの作成は不可能。カメラなど電子機器などには効果がないので注意。

 

 

 

 

 

 門の周りは数多くの兵士と亜人によって守られており、アラタを守りながら近寄ることは難しい。

 セイバーはアラタを背負い、重力に逆らうようにしてビルの壁面を駆け上った。

 そして、アラタを無人の屋上に下ろすと、道路の車線いっぱいに広がる門に向かって剣を構えた。

 

 

 令呪一画を使用し、『瞬間強化』を発動します!

 

 

 開放されたストライクエアの衝撃が門を包み、兵士たちを薙ぎ払う。

 

 しかし、風と衝撃波が止んだ時、門には傷一つつけることはできていないことが確認された。

 

 

 

 

 

 敵の注目を集めた二人は直ちにその場を離脱し、次なる目標である警察との連携に向かう。

 幸い、マスターレベルの上昇により、自分たちの身柄を隠すことも容易になった。

 銀座四丁目交差点近く、そこで目にしたのは暴走するパトカー。

 

 

 

 やがて中から出てきた男が弓で撃ち抜かれた。

 セイバーが巨大なオークを倒したのを見計らって、アラタが彼を抱く女に声をかける。

 すると、その男が自衛官であることが判明した。

 

「センパイを、彼を、助けてください! お願いします!」

 

 半狂乱で女は顔をぐしゃぐしゃにしながらそう泣き叫んだ。

 

 

 この状況を収めるには、警察より自衛隊との繋がりがあった方がいいな。

 

 

 そう判断したアラタは、二画目の令呪とそれによって強化されたスキルで伊丹の傷を癒やす。

 

 

 『応急処置』を発動します!

 令呪1画の使用により、スキル効果が強化されます!

 

 

 そして、アラタが煽るようにして目を覚ました伊丹に声をかけると、意図した意味であったが思いもしていなかった引用で返事が返ってきたことに驚く。

 

 

「ついて来れるか、じゃねえ。てめえの方こそ、ついてきやがれ――!」

 

 

 これが、後に二重橋の英雄と呼ばれた男と、世界を救うことになる男の出会いであった。

 




用語解説


専用マスター技能 
 個人の資質とマスターとしての資格が結びついて与えられるスキル。
 例:念話(サポート魔術)・瞬間強化(令呪の使い方)
 取得時のスキルレベルは1で、資質次第で上限が決まり、レベルアップ以外に訓練や実践で成長することがある。
 純粋な個人技能に比べて特にCランク以上の英霊に伍する才能限界を得ることは少ない。


サーヴァント 
 グランドオーダーを果たすためのパートナー。
 マスターとの相性を最優先に、生前の逸話を元にクラスを割り振られてFGO基準で星5相当の強力な英霊として召喚される。
 レベルは1で呼ばれ、すぐに完全な力を振るうことはできない。
 基本的には英霊化したことに加えて、特殊な事情から本来の日本での知名度よりも上の補正が加えられたことで生前よりも強くなる。
 一方、それと引き換えに一部スキルや宝具にペナルティが付く場合がある。
 システム的には、例えばクー・フーリン(槍)が召喚されたらスキルや宝具は星3そのままでステータスのみ星5として召喚。という形。
 ヒロインであり、嫁。
 いちゃいちゃするとマスターとサーヴァント双方に恩恵がある。
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