I S-釣りバカ日誌-   作:ソーダガツオ

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生ビールがあるじゃないか(´・ω・`)


第14話 釣りバカの初デート

「はぁ⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」

 

 皆様ごきげんよう、イギリス代表候補生セシリアですわ。今わたくしには大きな悩みがありますの。それはーー

 

「啓吾さん⋯⋯⋯⋯」

 

 そう、かつてクラス代表を決定する模擬戦でわたくしの事を救ってくださった時から、あの方の事が好きになってしまったのです。

もちろんこの歳で恋慕の情を自らが患うとは思ってもいませんでしたわ。しかし、当の啓吾さんは⋯⋯⋯⋯

 

「相変わらず釣りばっかりですわね⋯⋯⋯」

 

 それが悪い事とは申しません。ですが、もう少し此方にも関心を持っていただけたら良いのですが。

 

「せめて啓吾さんと一緒にお買い物でも行けたらーー」

 

「俺がどうしたんだ?」

 

「ひ、ひゃい!?」

 

 け、啓吾さん!いつのまに!?まずいですわ⋯⋯⋯今の独り言を聞かれていたら⋯⋯⋯

 

「いやさ、さっきから難しい顔して何か言ってるから」

 

「啓吾さん!?い、何時から聞いてたのですか⋯⋯?」

 

「俺と買い物がどうたらだとか⋯⋯⋯」

 

 終わった⋯⋯⋯⋯⋯⋯完全に終わった⋯⋯⋯⋯⋯⋯

 

「い、いえ別になんでも「買い物くらい付き合うぞ?」⋯⋯⋯⋯⋯⋯え?」

 

「だから別に買い物くらい全然オッケーだぜ?」

 

「ほ⋯⋯⋯⋯本当に?」

 

「あぁ、でも今から一夏達と釣りだから日時は後で教えてくれよ。じゃぁまた!」

 

「え、ちょ、ちょっとー!啓吾さ〜ん!」

 

 かくして予想だにもしてない形でわたくしは啓吾さんとショッピングに行く事となったのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     〜学園前〜

 

「少し早く来すぎたかな⋯⋯⋯⋯」

 

 

 斯くして約束の日、おれはセシリアが来るのを待っていた。別に買い物の付き合いくらい普通に頼めば良いのに⋯⋯⋯。

 

「啓吾さ〜ん」

 

「おぉ、セシリア」

 

「ひょっとして、待ちましたか⋯⋯⋯?」

 

 セシリアが不安そうに尋ねてくる。

 

「いや、俺も今来たところだ。大丈夫だよ」

 

「良かったですわ!それでは参りましょうか!」

 

 

 

 

 

 

   〜都内某ショッピングモール〜

 

「そういえば何を買いに行くんだ?」

 

「もうすぐ臨海学校でしょう?その時の為の水着を選びたいんですの」

 

「水着なら学校指定の物があるだろう。別に今更買わなくたって」

 

「真の淑女なら水着だってオシャレな物じゃないと⋯⋯⋯⋯て、啓吾さんは水着を持参されないのですか?」

 

「あぁ、宿泊先の近くの磯が中々有名な釣りスポットだからな。水着はもっていかないよ」

 

「そ⋯⋯⋯そうでした⋯⋯⋯か⋯⋯」

 

 おや、何か悪い事を言ったかな?セシリアが落ち込んでしまった。

 

「えと⋯⋯⋯⋯⋯ドンマイ?」

 

「⋯⋯⋯⋯⋯ドンマイじゃないですわ!」

 

 今度は怒りだしてしまった。あぁしまった、やっぱり何か悪い事をしたのだろうか⋯⋯⋯。

 

「ほら、行きますわよ!」

 

「あぁ⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯おう⋯⋯」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「啓吾さん、これなんてどうでしょう?」

 

「あー⋯⋯⋯⋯⋯うん良いと思うぞ」

 

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯もう、ちゃんと答えて下さいまし!」

 

 し、しまった!またボーッとして空返事を⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯これはそうとう怒ってるぞ。

 

「い、いやさセシリア、俺はオシャレには疎い人間だ。だから何が良いかとか俺にはわからんよ」

 

「むぅ〜⋯⋯⋯⋯⋯⋯」

 

「なぁ、如何して俺を連れてきたんだ?オシャレならシャルや鈴に聞けば良いだろう」

 

「え、あの⋯⋯それは⋯⋯⋯⋯////」

 

 今度は顔が赤くなった。ううむ、女心は分からないな。すると突然セシリアが突拍子もない事を言ってくる。

 

「その⋯⋯⋯じゃあ啓吾さんが選んでください」

 

「え!?い⋯⋯⋯いやほら、さっきも言った様に俺はオシャレに疎くてーー」

 

「それでも構いませんわ。是非啓吾さんが選んでくださいまし」

 

「お、おぉ⋯⋯⋯」

 

 結局その一言で俺がセシリアの水着を選ぶ事となってしまった。それから数分後⋯⋯⋯

 

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯これなんてどうだ?」

 

「青の水着に⋯⋯⋯⋯これは、パレオ?」

 

「あぁ、タヒチの民族衣装だな」

 

 そう、俺が選んだのは青の水着と、ソレと共に着こなす布、パレオだった。

ちなみに元々の語源では『パレウ』と呼ぶぞ。

 

「セシリアって青のイメージがあるからさ。結局この色を選んじゃった」

 

「でも、このパレオはどうして⋯⋯⋯⋯?」

 

「あ〜⋯⋯⋯⋯いやさ、それはその⋯⋯」

 

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯?」

 

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯俺の趣味だ」

 

「け、啓吾さんの⋯⋯⋯ご趣味?」

 

「これ以上言わせんな恥ずかしい///」

 

 そう言って俺は思わず赤面してしまう。

 

「ごめんなさい//」

 

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」

 

「その⋯⋯⋯⋯試着してきます!」

 

「え⋯⋯⋯!?お、ちょっと!セシリア!」

 

 セシリアは有無を言わさず試着室に入ってしまった。

 

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯いったい何なのさ」

 

 彼女が試着室に入ってから数分後⋯⋯⋯⋯

 

「け、啓吾さん。もう良いですわ」

 

「あぁあ⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」

 

 セシリアが試着室のカーテンを開けた瞬間、俺は言葉を失ってしまった。

 

「ど⋯⋯⋯どうでしょう⋯⋯?///」

 

(この娘は天女か誰かか⋯⋯⋯⋯)

 

 あまりにも美しい、それ以外の感想が俺の頭によぎらなかった。

 

「その、あんまりマジマジと見つめないで下さいまし///」

 

「あ、あぁすまん!あ〜その⋯⋯⋯⋯⋯⋯似合ってるぞ?」

 

「ほ、本当ですの⋯⋯⋯?」

 

「うん、とても似合ってるよ」

 

「そうですか⋯⋯⋯⋯⋯⋯良かった⋯⋯⋯」

 

「ほら、早く着替えてくれ!」

 

「あ、あぁ、そうですわね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「〜〜♪」

 

「ご機嫌だなセシリア」

 

「勿論ですわ!啓吾さんが選んで下さったんですもの!」

 

 結局あの後、セシリアは水着を買って昼過ぎにさしかかっていた。

 

「セシリアの買い物はこれで終わり?」

 

「わたくしの買い物はこれでお仕舞ですわ。啓吾さんも折角来たのですから何か買っていけばよろしいのに」

 

「いや、俺は別に行きたい所があるからな。今日は何も買っていかないよ」

 

「別の場所⋯⋯⋯⋯ですか?」

 

「こっちまで来たからな。今から水族館に行こうと思う」

 

 

 

「まぁ!ご一緒しても宜しいですか?」

 

「そうだな、折角一緒に来たんだ」

 

 

 

 

 

 

 

    〜某水族館〜

 

 

 都内某水族館。名前は伏せておくが、「癒し」「安らぎ」「くつろぎ」、そして「ココロ動かす、発見」を提供するのがモットーの水族館だ。

 

「わぁ〜、とっても綺麗ですわ!」

 

 普通の水族館に比べて規模は狭いが、水生生物だけでなく陸生生物なども展示するといった趣向を凝らしているのが何よりの強みといえるだろう。

 

「まぁ、綺麗な魚ですね!」

 

 セシリアはと言うと水槽の前で黄色い魚を見ながらはしゃいでいる。

 

「でもソイツ毒があるぞ」

 

「え”っ」

 

「その魚は『ヒフキアイゴ』っていってな。背びれに毒があって刺されると痛いぞ」

 

「は、はあ⋯⋯⋯じゃああの魚は?」

 

「あれは『ムラサメモンガラ』。毒は無いけど繁殖期になると見境無く噛み付いてくる厄介なヤツだ」

 

「じゃあじゃあ、あの魚はなんですの?」

 

「ソイツは『ネムリブカ』だな。結構おとなしいサメだ」

 

「ならこの魚はーーー」

 

 

 

 

 

 

 

    〜1時間後〜

 

「とっても楽しかったですわ!」

 

「あぁ、そうだな。こっちの水族館も中々悪くないな」

 

「啓吾さんは本当に物知りなんですのね」

 

「まぁジャンルに偏りはあるけどな」

 

 小さい水族館だったので小1時間程で見て回る事が出来た俺達が水族館を出たのは夕方5時半頃、俺達は少し早めの夕食を取る事にした。

 

「そうだな⋯⋯⋯⋯回転寿司でも行くか?」

 

「カイテン⋯⋯⋯ズシ?お寿司が回ってるんですの?」

 

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯?回転寿司行った事ない?」

 

「えぇ、恥ずかしながら一度も⋯⋯⋯」

 

(そうか⋯⋯⋯⋯⋯セシリアはお嬢様だったか)

「とりあえず百聞は一見に如かずだ。行ってみようぜ」

 

「は、はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   〜某回転寿司店〜

 

 

「ここが回転寿司⋯⋯⋯⋯ですの?」

 

 俺達が来たのは日本人なら誰もが知ってるであろう。カッパのマークでおなじみの大型チェーン店だった。

 

「待ち時間がなくて良かったな。さて、セシリアは何を食べたい?」

 

「わたくしは初めてですから⋯⋯⋯啓吾さんにおまかせしますわ」

 

「それじゃあ選んでいくか、タコにハマチ⋯⋯⋯後はオーソドックスにマグロ、イカ、エンガワ⋯⋯⋯⋯⋯」

 

 

 

 

  *

 

 

 

 

 

 

「とっても美味しいですわ。相変わらず日本料理のクオリティは相変わらず高いですわねぇ」

 

「そうか?この位なら全然作るけどな」

 

「本当ですか!是非つくって下さいまし!」

 

 随分と高く評価されてるなぁ。悪い事ではないから素直に受け止めておこうか。

 

「それと気になったのですが⋯⋯⋯啓吾さんが食べてる⋯⋯その、プリン?の様な料理は何ですの?」

 

 そう言ってセシリアは俺の持ってる器を覗き込む。

 

「あぁ、茶碗蒸しと言ってな。溶き卵に薄い出汁を合わせて蒸した日本料理だ。これは椎茸に百合根、カニカマが入ってるな」

 

「ほ〜、不思議な料理ですのねぇ」

 

「良かったらセシリアの分も頼もうか?」

 

「お願いします|」

 

 

 

 

 

 

 

    

 

 

 

 

 

 

 

    〜学園前〜

 

 

 あの後セシリアが茶碗蒸しをいたく気に入って、5つ程平らげたら良い時間になっている。

 

「茶碗蒸し⋯⋯⋯⋯⋯恐るべしですわ!」

 

「ハハハ、気に入ってもらえたようでなによりだ。それより大丈夫だったのか?」

 

「⋯⋯?何がですの?」

 

「ほら、セシリアの買い物の筈なのに結構俺に付き合って貰ったじゃないか」

 

 そう、今回セシリアの買い物は小1時間、その後は全部俺の要望だった。

 

「そんなことありません!今回、啓吾さんと御一緒できてとても充実したました。こちらが感謝しないといけない程ですわ」

 

(そういわれると少し照れるな)

 

「あ、そうだ。なぁセシリア」

 

「どうしたんですの?」

 

「これさ、一応プレゼントとして取っといてくれ」

 

「え、これを⋯⋯⋯私に?」

 

 俺がセシリアに渡したもの、それはイルカを模したレリーフのペンダントだった。

 

「セシリアに似合うと思ったからさ。水族館で買ったんだ」

 

「啓吾さんがわたくしに⋯⋯⋯⋯⋯絶対、絶対大切にしますわ!////」

 

「ありがとう、そう言ってくれたら嬉しいな」

 

「でも⋯⋯⋯⋯何もお返し出来てませんわ⋯⋯⋯⋯」

 

 彼女はそう言って少し悲しそうな顔をする。

 

「そんな、お返しだなんていいよ」

 

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯そうですわ!啓吾さん、少し目を瞑って下さい」

 

「⋯⋯⋯?お、おう⋯⋯⋯」

 

 そう言って俺が目を瞑った瞬間⋯⋯⋯

 

   チュッ

 

「!?」

 

 俺の頬に柔らかい感触が触れたのを感じた。

 

「な⋯⋯⋯ななな⋯⋯セシリア⋯⋯今、何を⋯⋯」

 

「ウフフ⋯⋯⋯⋯内緒ですわ!///」

 

 セシリアは呟くとそそくさと学園の寮へ戻ってしまう。俺は言葉を失いしばらく立ち尽くしていた。

 

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯//////」

 

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯不純異性交遊か?」

 

「いや、そう言う訳じゃ⋯⋯⋯⋯⋯千冬先生?」

 

 振り向くと人の弱みを握ったであろう、悪い笑みを浮かべた千冬先生がいる。

 

「さぁて詳しく話を聞こうじゃないか。なぁ二人とも?」

 

「はい!さてお兄ちゃん、説明してくれ」

 

「セシリアと何があったのかな〜?」

 

「ちょ、ラウラ、シャルまで⋯⋯⋯⋯」

 

「まあまあ詳しい話はお前の部屋で聞こうじゃないか!」

 

「え⋯⋯⋯⋯⋯あの⋯⋯はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

         

   結局俺の部屋に戻ってから夜が空けるまで酔った千冬先生と妹達に質問攻めにあったとさ。

 

 

 

 

 

 

 




「随分と雑なラブコメだな」

「それと・・・・臨海学校は?」

「そ、それは〜・・・その〜・・」

「はぁ・・・とりあえず次回はちゃんと釣りをするぞ」

「「次回もお楽しみに!」」
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