〜????〜
「う〜ん⋯⋯⋯⋯やっぱりリールは新調した方が良いわね」
ここは某国の研究企業。その休憩室で一人の女性が寝転びながら雑誌をみて何やら呟いている⋯⋯⋯⋯。
「あぁん、でもやっぱり新しいミノーとポッパーも欲しいわ⋯⋯⋯⋯⋯あら?」
みっともない所みせちゃったわね⋯⋯⋯。ハロー皆!
私はスコール・ミューゼル、しがない釣り人よ。今日は仕事もオフだからこうして寛いでるの。今読んでる雑誌を見て思うんだけど、昔と比べて釣具も進歩したと思わない?あ、別に私が年寄りって言うつもりは無いわよ。
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯お前はさっきから誰と話してるんだ?」
「あら、オータム!どうかしたの?」
「どうしたの⋯⋯⋯じゃない!全くもう⋯⋯⋯!お前はどうしてそう呑気なんだ!?」
「貴女みたいに癇癪持ちなのも疲れるだけよ」
紹介するわ、この娘はオータム。まぁ、私の同僚兼親友?といった所かしら。口は悪いけど悪い娘じゃないのよ?
「お前がこうしてサボってるからI S学園襲撃の作戦も進んでないんだぞ!少しはシャキッとしろよな!」
「あら、私はサボってる訳じゃないわよ?適度な息抜きを取ってるだけで」
「それを世間ではサボってるっていうんだ!」
「まー良いじゃない。あ、そうそう、今日は○○まで釣りに行ってくるから」
「んな⋯⋯⋯!?お前はまた性懲りもなく⋯⋯⋯!」
「そんなに青筋たてないの⋯⋯⋯⋯夕方までには帰ってくるわ!それじゃあまたね!」
「あ、チョットおい!待ちやがれーーー!」
「聞く耳持たないわよー♪」
そう言ってスコールは研究所を後にした。
〜日本の何処か〜
「ふぅ〜⋯⋯⋯やっぱり日本の夏は暑いわねぇ⋯⋯⋯」
場所は明かさないけど、別に何処か辺境の国に行く訳でもなく日本に居るわ。ここでとある魚を狙っているの。
「やっぱり夕方に来て正解ね、水温が下がってるわ⋯⋯⋯⋯さてと」
少し広い川沿いに腰を下ろす。そこには環境破壊が問題になっているのが嘘の様な美しい風景が広がっていた。
時は夕マヅメ、私は少し景色を堪能した後、今回の釣りの仕掛けを広げた。
「やって行きましょうか⋯⋯⋯⋯夏のニジマス釣り」
〜ニジマスのミャク釣り〜
釣りは海だけのモノじゃない、もちろん川でだって釣りはできるわよ。今回はある意味川釣りの代表格とも言えるニジマス釣りを紹介して行こうかしら。
ニジマス、エラから尾びれにかけての赤紫色の模様が綺麗な魚ね。基本はウキ釣りで釣り易い魚なんだけど今回は自分の感覚で釣る、すなわちミャク釣りをやっていくわ。
ミャク釣りはウキを使わない代わりに、道糸に付けた目印と己の感覚で釣る釣法よ。もちろんウキ釣りより難易度は高いけど、ウキ下の調整が必要なく餌を流す柔軟性が魅力的ね。今回はブドウ虫を使うけど虫が苦手な人にはイクラがおすすめよ!
「⋯⋯⋯!来たわね!」
竿を投入してから数分程でアタリが来た。
「ワォ!流石にワイルドな引きね!釣り堀では味わえないわ!」
それから一瞬とも永遠とも感じられる格闘が終了した後ーーー
「うん、アベレージサイズね。中々悪くないんじゃないかしら⋯⋯⋯⋯⋯釣り堀も悪くはないんだけどこういった野性味溢れるファイトは体験出来ないのよねぇ」
もちろん今やってるミャク釣り以外にもさっき紹介したウキ釣りや、ルアー釣り、フライフィッシングでもニジマスを釣る事は可能よ。自分に合った釣り方を模索してみるのも良いかもね。
「⋯⋯⋯⋯⋯お前は釣りの事となると独り言が増えるよな」
「あら、オータム!どうして来たの?」
「迎えにきたんだよ!お前、呼びに来ないと遅くまでやり込んでるだろ」
「といってもまだ日は傾いてないわよ?」
「見張りにきた。あんまりウロチョロされるのは仕事に支障がでる。それにーーー」
「それに?」
「お前ばっかり楽しい事をやってるのはズルい!だから私も釣り竿を持ってきた!
そう言ってオータムはドヤ顔で釣り竿を見せてくる。
「アラアラ、でも貴女釣りってヘタクソじゃない」
「な⋯⋯⋯!?い、今にみてろ!お前より多く釣り上げてやるからな!」
「はいはい♪」
あ、そうそう言い忘れてたわ。私たちは今夏にニジマスを釣ってるけど7、8月はあまりニジマス釣りには適さない時期ね。だから皆はもう少し涼しくなる秋頃からスタートする事をオススメするわ。
*
「それで、名人オータムさんは何匹釣れたのかしら〜?」
「グ⋯⋯⋯⋯⋯その⋯⋯⋯⋯1匹だ」
「フフフ、だから言ったじゃない」
あれから私たちは釣りを終えて施設まで戻って来てるわ。
「今度こそ⋯⋯⋯⋯⋯今度こそは⋯⋯⋯」
「はいはい、それじゃ夕飯にするから少し待ってなさいな」
「うん⋯⋯⋯⋯⋯」
さてと、何を作って行こうかしらねぇ⋯⋯⋯⋯⋯今日は買い出しにも行かなかったし⋯⋯⋯秘密結社も楽じゃないわ。
「それじゃあホイル焼きにしましょうか」
〜森の栄養満点!ニジマスのホイル焼き〜
まずはニジマスの鱗と内蔵を取る。その後、分量外の塩をまぶし30分程度置き、ぬめりを取るの。この時、オーブンの中を250℃に予熱しとくと良いわ。次にニジマスを水洗いし、塩とぬめりを落とす。そして身に醤油、料理酒を合わせ揉み込んでね。エリンギを厚くスライスし、ネギは斜め切りに切り分ける。アルミホイルにニジマス、ネギ、エリンギを並べて包むの。最後は250℃に予熱したオーブンで20分程度焼き、中まで火が通っていることを確認したら完成よ。旨味が凝縮した山の幸、お酒にも合うんじゃないかしら!
「お〜!相変わらず旨そうだな!」
「ほら行儀悪いわよ。はい、ビール」
オータムに缶をわたす。カシュッといった音がなり蓋から小麦色の液体が見え隠れしている。
「まったく⋯⋯⋯金がない訳じゃないんだからもっと高級なワインとか買えば良いのに」
「バカねぇ、こうやって安い酒を飲みながら素晴らしい仲間と心を通わせるのが良いんじゃないの♪」
「そういうもんかね⋯⋯⋯⋯それで、
オータムが少し呆れた表情で話を変えてきた。
「あの子なら今日も部屋で籠ってるわ⋯⋯⋯⋯ここも長いんだから少しは慣れてくれたら良いのにねぇ⋯⋯」
「別に厳しくしてきた積もりはないんだけどな⋯⋯⋯⋯⋯しかしいい加減慣れて欲しいぜ。これからの計画のためにも⋯⋯」
「そう、この腐った世界を変える為にもあの子の力が⋯⋯⋯でも⋯⋯」
「どうしたんだ?」
「貴女には話したでしょ?私が出会った男の子達の事」
「あぁ、あの時はお前が嬉しそうに話してたな」
「彼等はまだ若い⋯⋯⋯⋯今後大きな革命が有ったとして⋯⋯⋯⋯その時あの子達を危険に巻き込まないか⋯⋯⋯と思っただけ⋯⋯⋯それに」
「それに?」
「あの子達とはまだまだ一緒に釣りがしたいからね!」
私は目一杯の笑顔で答えた。
「結局釣りか⋯⋯⋯まぁ、そんなことだろうと思ったよ⋯⋯⋯ほら冷めちまうからさっさと食べようぜ」
「そうね。フフフ、啓吾くん。今度は何時会えるかしらね〜♪」
(⋯⋯⋯⋯ん?啓吾?たしか何処かで聞いた様な⋯⋯⋯?)
バタンッ
オータムが考え事をしていたらドアが開き一人の少女が入ってきた。
「あらエム!珍しいわね貴女が自ら来るなんて」
「別に⋯⋯⋯美味しそうな薫りがしたからここまで来ただけです⋯⋯⋯」
エムと呼ばれた少女はぶっきらぼうに答えた。
「おいエム、スコールに向かってお前ーー!」
「まあまあ良いじゃない!貴女も食べて行くかしら?」
「⋯⋯⋯⋯⋯」コクっ
「そう、ならこっちに座りなさいな。食事は人が多い方が楽しいわ」
エム、無愛想な少女ではあるが、この時は本当に嬉しそうな顔をしながら食事をとったという。
そしてスコール・ミューゼルと金城啓吾、この二人の釣りバカがお互いの正体を知るのはまだ先の話である。
「川釣り第1弾は私、スーさんことスコールが勤めさせてもらったわ♪」
「ファーストヒットは俺がしたかったのに・・・」
「お、お兄ちゃんは海釣りやってるから良いじゃない!」
「うむ、その通りだぞお兄ちゃん。後本編では書かなかったがイワナやアマゴ、ニジマスなど釣れる川は大半が漁協の管理下だ。そういった場所では遊漁券 日釣り券の購入を怠らないように!」
「それじゃ、次回もお楽しみに!」