〜I S学園前〜
「よ、ようやく⋯⋯⋯⋯⋯ようやく着きましたわ⋯⋯⋯⋯」
校門の前に立つ一人の少女、スーツケースに収まりきらなかった沢山の手荷物をぶら下げ、肩で息を切らしている。
「I S学園⋯⋯⋯私セシリアオルコットは帰ってきましたわ!」
そう、我らがヒロイン、セシリアオルコットの姿がそこにはあった。
「とにかく荷物を置いてシャワーを浴びて⋯⋯⋯⋯少し休憩を⋯⋯⋯」
早く休みたい、その気持ちは山々なのだが、どうにも足が棒になって動かない。
「ぜぇ⋯⋯⋯はぁ⋯⋯⋯⋯こ、公共の交通機関を使う事がこんなにも辛い事だなんて⋯⋯⋯」
ブルジョアなセシリアにとって、シャトルバスのシートはあまりにも固かったみたいである。
「も⋯⋯⋯もう⋯⋯足が⋯⋯⋯」
「あれ、セシリア?」
そこに救世主が現れた。
「あ⋯⋯⋯⋯!貴方は!」
*
「長旅お疲れさまだな。イギリスから日本まで遠かっただろ?」
「えぇ、啓吾さんが居てくれたお陰で助かりましたわ」
「空港につく時間言ってくれたら荷物持ち位したのに」
「そんな!申し訳無いです⋯⋯⋯」
どうも、俺でした。たまたまセシリアを見かけたから良かったモノの、出会った頃には顔面蒼白で踞っていた。
「今日は釣りには行かれなかったのですか?」
「セシリアがイギリスに居る間、色々とあってな。今日はお休みだ」
「まぁ、それなら後でお部屋の方へお邪魔しても?」
「お茶位しかだせないけど⋯⋯⋯⋯良いか?」
「はい、お気遣いなく」
バツの悪い俺の言葉にセシリアは笑顔で返してくれた。
「汗を流したいのですこし時間を下さいませ」
「分かった。なら都合が良ければ部屋に来てくれ」
こうしてセシリアが来るのを小1時間程待っていた。
〜自室〜
「お待たせしましたか?」
「いや、大丈夫だよ。そういえば何の用事なんだ?随分と沢山の荷物だけど⋯⋯⋯⋯」
俺は首を傾げる。なぜならセシリアが持ってきたのは両手いっぱいの大きな紙袋だったからだ。
「実は啓吾さんが喜ぶと思って、イギリスの釣具専門店に行ってきたんですの」
「なんとまぁ⋯⋯⋯⋯大変だったろう?」
「いえ、初めて行ったのですが、中々楽しかったですわ!そこでお店の人からお土産はルアーが良いと言われたんですが⋯⋯⋯」
「俺としてもルアーは確かに嬉しいな!」
嬉々として喜ぶ俺を観て、セシリアは苦笑する。
「その⋯⋯⋯ルアーが良いと言われたんですが⋯⋯⋯どれが良いか分からなくて⋯⋯⋯」
「セシリアがくれるんだったら何だって嬉しいさ」
「あ、ありがとうございます///」
「それで、ミノー?それともポッパーか?ひょっとしてメタルジグ?」
「それが⋯⋯⋯その⋯⋯⋯」
「⋯⋯⋯⋯?」
何が恥ずかしいのか、セシリアはモジモジと身体を動かしている⋯⋯⋯⋯。
「その⋯⋯⋯⋯⋯どれが良いのか私には分からなかったので⋯⋯⋯」
「お、おお⋯⋯⋯」
「お店に有った物を一通り買ってしまいました////」
「!?!?」
セシリアが紙袋から取り出したルアーは悠に100や200は超えているであろう。無数のルアーが床の上に散乱した。
「うわぁ⋯⋯⋯⋯」
「め、迷惑だったでしょうか⋯⋯⋯⋯⋯?」
「い、いやそんな事ないさ!とてもうれしーーー」
「お兄ちゃん!遊びにき⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯うわぁ」
「ちょっとラウラ、あんまりノックぐらい⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯うわぁ⋯⋯⋯⋯」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯グスン⋯⋯⋯⋯///」
「ちょ、なんでセシリアは泣いている!?お兄ちゃんまさか⋯⋯⋯⋯」
「待つんだラウラ。何を勘違いしてるか知らないが、お兄ちゃんはそんな事してない」
「お兄ちゃん⋯⋯⋯⋯⋯」
「シャルもそんな目でみるな⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
〜数分後〜
「なるほどお土産を⋯⋯⋯⋯」
「だからと言って、これは買い過ぎじゃないかな〜⋯⋯⋯」
やはりそこが兄妹が兄妹たるところで有ろう、俺達の意見は一致していた。ていうか誰が観たってこれは買い過ぎである。
「うう⋯⋯⋯やっぱりご迷惑でしたか⋯⋯⋯?」
セシリアが上目遣いで俺の顔を覗き込んでくる。
「い、いや!そんなことはない!とても嬉しいよ!」
正直に言うと俺はこの表情に弱い。この顔を見てると何でも許してしまいそうな気がする。
「なぁお兄ちゃんよ、散乱したままではマズい。とりあえず片付けないか?」
「うん、そうだね。散らかったままだと部屋に誰も呼べなくなっちゃうよ」
「あ、ああそうだな。それじゃあルアーごとに小分けにしようか。二人とも手伝ってくれ」
「分かった!」
これにて兄妹+αで片付けが始まった。
「⋯⋯⋯と言っても観た事の無いルアーが沢山有るな。これは一体なんだ」
ラウラが一つのルアーを取り出す。
「なんだか口が開いているみたいだね」
「あぁ、それはポッパーだな」
「ポッパー?不思議な名前だね」
「それに何故こうも形が違うのだ?さっぱり分からん」
「ハハハ、じゃあそこから説明して行くか」
〜そもそもルアーとは?〜
ルアー、日本では「疑似餌」と呼ばれている。木やプラスチック、はたまた合成樹脂やラバーなどを魚や虫、甲殻類に似せ、針を付けて泳がせる道具で、動きや色、匂い、味などで、直接魚を誘う物のことを言う。
ちなみにルアーという単語は、元々は鷹狩りの調教に使う道具のことを意味する。タカやハヤブサなどの猛禽類の調教に使われる、鳥の羽や動物の毛皮で作られたもので、それを獲物に見立てて振り回し、猛禽類に掴ませることで狩りを教えるのに使う。
「ここまでは分かるよな」
「もちろんだ!」
「ええ、釣りをやった事が無い私でもわかりますわ」
「よし、次はルアーの種類についてだな。ルアーは大まかに分けて2種類ある」
「2種類⋯⋯⋯⋯なの?」
「そう、ハードルアーとソフトルアーだ」
〜ハードルアー〜
ハードベイトとも呼ばれるな。プラスチックや木、金属など硬質の素材を様々な形に加工し、針を取り付けたルアーの総称だ。最近では独創的なハードルアーも多くなってきて、必ずしも小魚や昆虫類といったものの形をしているわけではなく、対象魚の好奇心を煽って捕食させるものもあるぞ。
「以前、私たちが使ったメタルジグやスピンテールジグもハードルアーか」
「ああ、基本固そうなのはハードルアーと覚えておけば良いだろう。ラウラが持っているポッパーの他にミノーやペンシルベイト、バイブレーション、スピナーベイトこれら全てがハードルアーだ」
「じゃあ、ソフトルアーは?」
〜ソフトルアー〜
基本的にはワーム と呼ばれる物だ。合成樹脂やラバーでできた柔らかいルアーの総称で、専用の針に絡め、リグと呼ばれる仕掛けを作って使用する。 魚がハードルアーに比べ違和感を覚えにくいため、ルアーに慣れてしまっている(いわゆるスレた)状態には良いとされるぞ。
「ワームと言っても沢山種類があるんだろう?」
「そうだな⋯⋯⋯⋯ざっと代表的な物を挙げるとストレートワームにクラブ、パドルテールにクローワームなんかもそうだ」
「ルアーの種類は分かりましたが、それがどう違うのですか?」
「いろいろな訳はあるけど、基本はねらうタナの違いだな」
「タナ?クローゼットのことですの?」
「いやいや、そういう事じゃないよ。タナというのは水深の事だ。その水深に住む魚に適応したルアーを使う事、これが大事だ」
〜ルアーの使い分け〜
表層 トップウォーター(ペンシル、バスベイト、ポッパー)
ワーム(ノーシンカー)
中層 サスペンド(ミノー、シャッド)
ワーム(ライトテキサス、スプリット)
スピナーベイト類
低層 シンキング(バイブレーション、クランクベイト)
ワーム(ジグヘッド、キャロライナ、テキサス)
「まぁこの例はあまりにも極端だから、読者の諸兄方には怒られるかもしれないな」
「読者?何の事です?」
「ああいや、何でも無い」
「でもこれでルアーに詳しくなった気分だ!」
「わたくしも一つ賢くなった気分ですわ!」
「でも全然片付いてないよね⋯⋯⋯⋯」
「「あ⋯⋯⋯⋯」」
そう、シャルの言う様に全く片付いていない現状が有った。
「まぁ良いじゃないか。片付けは夕方やるとして、休憩だ。セシリアも帰ってきたばかりなんだしさ」
「まぁ⋯⋯⋯⋯それもそっか」
「なら麦茶とわらび餅でもだそう。冷えてて美味しいぞ?」
「まぁ!わたくしの大好物ですわ!」
「お兄ちゃん早く出してくれ!」
「はいはい」
勿論、えさ釣り一辺倒の釣りも良いがそれでは味気ない。たまには皆さんもルアー釣りのスリルを味わってみては?
「言え!なぜ1週間も投稿がなかった!」
「ご免なさい、素直にアイデアが思いつきませんでした・・・それに」
「それに?」
「新しいssも考えてまして」
「貴様の事だからどうせろくな事考えてないだろ」
「はい・・・釣りよりもニッチになってしまいました・・・」
「全く・・・今後は遅れる事の無い様言い聞かせておくので、これからも応援よろしく頼む!」