〜休み時間〜
「ふぃ〜⋯⋯⋯⋯⋯」
一時限目が終わってつかの間の休憩を満喫するはずだった俺は突き刺さる視線にほとほと疲れていた。何故かって?考えてもみろ、これじゃあまるで水族館のペンギンか何かじゃないか。まったく⋯⋯⋯⋯。
「えっと⋯⋯⋯⋯金城⋯⋯⋯啓吾さん?」
「ん?」
声が聞こえて振り向いた先には、少し疲れたのであろうもう一人の男子生徒『織斑一夏』だった。
「お、たしか千冬先生の弟の⋯⋯⋯織斑一夏くん⋯⋯だったか?」
「あ、はい!織斑一夏です。なんだか女子ばっかで居心地悪くって⋯⋯⋯お邪魔でしたか?」
まぁ、分からなくはないな。俺だってこんなに視線を向けられたら気持ちの良いもんじゃない。
「別に構わんよ、それに俺のことは啓吾と呼んでくれ。そんなに畏まらなくても良いよ」
「あ、あぁ!分かったよ啓吾、それに俺のことも一夏って呼んでくれよ!」
「うん、これからよろしくな一夏」
「こちらこそよろしく!」
気がついたら俺も一夏も笑顔になっていた、どうやらお互いの緊張も解れたみたいだな 。
「そういえば啓吾、さっきはどうして遅れたんだ?」
「あぁ、少し釣りをしていたらすっかり時間が押してしまってな⋯⋯⋯⋯」
「つ、釣り??さっきも自分のことを『釣りバカ』っていってたけど⋯⋯⋯⋯⋯」
「ちょっと良いか?」
そこまで一夏が話した所で一人の女子生徒が声を掛けてきた。可愛い娘だけど緊張しているんだろうか?なんだか少し怖い顔をしているな。
「少し一夏を借りて行っても良いだろうか」
「凄いな一夏、入学初日から逆ナンを受けるなんて中々やるじゃないか!」
「バ!?⋯⋯⋯⋯そういう関係じゃない!!////」
おっと、逆ナンではなかったか⋯⋯⋯⋯申し訳ないことを言ったな
「紹介するよ、コイツは『篠ノ之箒』。俺の幼馴染みなんだ」
「そうだったのか⋯⋯⋯すまんな。俺は金城啓吾、今後ともよろしくな!」
「う、うむ!よろしくたのむ⋯⋯⋯⋯⋯それで一夏」
「あ、そうか。啓吾、また後でなー!」
「おう、久しぶりの再会なんだ、しっかり話してこい」
うんうん、仲良きことは美しきかな。
「ちょっとよろしくて?」
「む?どうした?」
「まぁ!何ですのその返事は!男の分際でわたくしに話し掛けられるだけでも光栄なのですよ!」
うわぁ、なんだか面倒くさいのに巻き込まれちゃった気がするぞ!ここは素直に謝っておいた方が良さそうだな⋯⋯⋯⋯。
「ん、すまんな。俺と君とは初対面だ。俺は金城啓吾、出来れば君の自己紹介を⋯⋯⋯⋯」
「貴方の名前なんて聞いてませんことよ!それよりもわたくしを知らない?この『セシリア・オルコット』を?イギリス代表候補生にして、入試首席のこのわたくしを!?」
前言撤回、謝ったら余計に悪化してしまった。
「⋯⋯⋯⋯ISに関する知識がてんで無くてな、不快な想いをさせたなら謝るよ」
「ふん!わたくしは心が広いですからね、特別に許して差し上げましょう。それよりも貴方、ISに乗った経験はどれぐらい御有りですの?」
「いや、それが一度も乗ったことが無いな」
「まぁ!そんな男がこのIS学園に居ることが信じられませんわ!⋯⋯⋯⋯しかし、貴方がどうしてもと言うのであればこのセシリア・オルコット、教えて差し上げてもよくってよ!」
⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯なるほど、おそらく根は良い娘なんだろう。しかしプライドや責任感が表に出てしまって感情表現が上手く出来ない、そういうタイプの娘だな。まぁ確かに俺にとって悪くない提案なんだろう⋯⋯⋯でも
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯いや、遠慮しておくよ」
「んな!?」
「あんまり此方の都合で君の時間を割くのも忍びないからな、またの機会でたのむよ」
「黙って聞いていれば!」
セシリアが何か言おうとしたときチャイムが鳴る。
「くっ、また来ますわよ!」
怒らせてしまったか。もう少しかまってあげれば良かったかな?
〜次の授業〜
次の授業は千冬先生がIS各種の武装について説明する授業⋯⋯⋯⋯⋯なのだが。
「授業に入る前にまずクラス代表を決める。」
千冬先生の言葉に生徒全員が注目する。
「クラス代表は普通に言えば学級委員みたいなものだ。学校行事のまとめ役をしたり、クラスを代表して試合をしたり⋯⋯⋯⋯⋯まあ、簡単に言えばクラスの顔だな。他薦、自薦どちらでも構わん、誰かいないか?」
「はーい!私は織斑君を推薦しまーす!」
「私も!」
「ちょっと待ってくれよ!?俺は別に⋯⋯⋯」
あちこちの席から一夏への推薦の声が上がる。うん、このまま一夏に決定だな。
「ご愁傷さまだな一夏www」
「おい啓吾!」
「じゃあ私は金城くんを推薦します!」
「あ、私も!
「私もー!」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯織斑先生、拒否権は?」
「ない、潔く受け入れろ」
「「oh⋯⋯⋯⋯」」
釣りに行く時間を割いてまでやりたくないなぁクラス代表⋯⋯⋯⋯⋯。俺がそう思った矢先、突如オルコットが横槍を入れて来た。
「ちょっと待ってください!納得いきませんわ!」
「どうしたオルコット」
「このような選出は認められませんわ!下等な男がクラス代表なんて、このIS学園での良い恥じさらしですわ。私はにそんな屈辱を一年間味わえとおっしゃるのですか!?」
え、何それは⋯⋯⋯⋯⋯
「実力からすればこのわたくしがなるのが必然!それを物珍しいからという理由で極東の猿にされては困ります! わたくしはこのような島国までIS技術の修練に来ているのであって、サーカスをする気は毛頭ございませんわ!大体! 文化として後進的な国で暮らさなければ行けないこと自体、わたくしにとっては耐え難い苦痛で⋯⋯⋯⋯⋯」
「イギリスだって大してお国自慢ないだろ。世界一まずい料理で何年覇者だよ」
おい一夏くん!?何言っちゃってくれてんの!?
「あっ、あっ、あなたは!わたくしの祖国を侮辱しますの!?」
(そろそろ止めてくれよ千冬先生⋯⋯⋯⋯)
そんな事を思ってアイコンタクトを送ってみるも『気の済むまでやらせておけ』といった表情で返された。いや、アンタ教師なんだから止めてくれよ!
「決闘ですわ!」
バンッと机を叩いて叫ぶオルコット。
「いいぜ。やってやるよ」
なんで一夏もそんなに乗り気なんだ⋯⋯⋯⋯
「はいストップ!それまで!」
「んな!?啓吾!?」「また貴方は!?」
「二人とも落ち着け、お互いの国を罵り合っても良い事ないだろ。一夏、目には目をでは溝が深まっていくばかりだ。オルコット、君も英国淑女なら他の国に対して暴言なんて吐かないはずだろ?だから二人とも、ここは一旦怒りをおさめて⋯⋯⋯」
「あ、あぁ⋯⋯⋯⋯」
どうやら一夏の頭も冷えたようだ。これでオルコットも落ち着いてくれr
「それでも納得がいきませんわ!こんな魚を生で食す様な下品な国で過すなんて私をどこまで侮辱する気ですか!」
⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯は?
ピキィ!!
自分の中で何かがキレる音がした。
「ただでさえ遅れを取っているのにこれ以上の「おい」ッ!何ですの!?まだ話しは終わってな⋯⋯⋯⋯ヒィ!?」
「お前⋯⋯⋯⋯⋯今なんつった?」
「で⋯⋯⋯ですから⋯⋯⋯⋯魚を生で食す様な下品な国と「あ?」⋯⋯⋯⋯⋯ヒィ!?」
「オルコット⋯⋯⋯⋯⋯お前は俺を⋯⋯⋯⋯この国で生きている人達を⋯⋯⋯⋯⋯⋯侮辱する気⋯⋯⋯⋯か?」
「そ⋯⋯⋯⋯それは⋯⋯「答えろオルコット!!!!」⋯⋯⋯⋯⋯うぅ!?」
「お、おい啓吾⋯⋯⋯⋯⋯」
クラスの空気が急激に下がったなかで、一夏がなにか言ってるが俺は無視して続ける。
「教えてやる⋯⋯⋯お前が下品と言った日本の食文化はな⋯⋯⋯⋯俺も含めた料理に携わって来た人達にとって宝であり魂だ。その魂を侮辱するのであれば⋯⋯⋯⋯⋯たとえ代表候補生と言えども容赦はしない!!!」
「「「「「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」」」」」」
「お、おい金城、そこまでだ」
⋯⋯⋯⋯⋯⋯しまった!どうやら一番頭に血が上っていたのは自分⋯⋯⋯⋯だったか⋯⋯⋯⋯あちゃ〜。
「⋯⋯⋯⋯すみません先生、授業を中断してしまって」
「⋯⋯い、いや大丈夫だ。なら一週間後の月曜。放課後、第三アリーナで模擬戦を行う。織斑と金城、オルコットで総当たり戦をして、勝利回数が多かった者をクラス代表とする。三人とも、異論はあるまいな?」
「あ、あぁ⋯⋯⋯」
「ふ、ふん!わたくしはそれでかまいませんわ!金城啓吾、貴方が負けたら私の下僕⋯⋯⋯⋯いや、奴隷にして差し上げますわ!」
「いいだろう⋯⋯⋯⋯では俺が勝ったら俺の命令を一つ、必ず聞いてもらうぞ」
〜放課後〜
授業が終わった後、俺と一夏は教室に残って喋っていた。
「スマン!一夏、変な空気にさせちゃって」
「いや、正直スカッとしたぜ。言いたい事全部、啓吾が言ってくれたからな」
「うんうん、さっきのケイケイ、ちょっぴり怖かったけどとっても格好良かったよ〜」
「「!?」」
wow!この子いつの間に俺たちのとなりに?
「あ、ありがとう。⋯⋯⋯って君は?ケイケイって俺の事?」
「うん!『ケイケイ』と『オリムー』だよ。それと私は布仏本音だよ〜、よろしくねぇ」
「ケイケイ⋯⋯⋯」
「オリムー⋯⋯⋯⋯?」
ははは、なんだか不思議ちゃんに出会ったらしいな。
「えっと⋯⋯⋯じゃあ君はなんとなくのほほんとしてるから、『のほほんさん』だな」
「お!上手いな一夏、たしかに名前との語呂もいいな」
「えへへ〜、さっそくあだ名がついちゃったね〜」
う⋯⋯⋯⋯何なんだこののほほん空間⋯⋯⋯でも嫌いじゃないな。
そんな雰囲気に包まれていると教室のドアが開かれた。
「ああ!織斑君、金城君。まだ教室にいたんですね。よかったです!」
「山田先生?どうしたんですか?」
「実は二人の寮の部屋の事なんですが⋯⋯⋯込み入った事情がありまして、はい」
「あれ?俺は暫くホテルから通うと聞いていたんだが⋯⋯⋯⋯」
「それでは危険だと此方で判断させてもらった」
「千冬姉!?」
スパァン!
「学校では織斑先生と呼べ」
「は⋯⋯⋯⋯はい先生」
「まったく⋯⋯⋯話しを戻すが実の所、どの部屋も満室でな。唯一、一つだけ女子との相部屋を確保した次第だ。もう一つの寝床も一応急ごしらえで造ったが⋯⋯⋯⋯⋯ここから先は実際に見た方が早いだろう」
「「?」」
千冬先生の言葉でここまで連れてこられたけどこれは⋯⋯⋯⋯⋯
「あのー⋯⋯⋯⋯織斑先生」
「どうした金城?」
「これって⋯⋯⋯⋯プレハブ小屋じゃ⋯⋯⋯」
「そうだが?」
いや、それがどうしたみたいな顔されても⋯⋯⋯⋯
「安心しろ、ちゃんとテレビも付いて冷暖房も完備されてる。取り合えずどっちに住むか今二人できめろ」
「え⋯⋯⋯⋯⋯じゃあ俺はプレハブで」
「おい!ずるいぞ啓吾!オレも1人部屋が良い!」
「待てよ一夏くん、ここは年功序列で俺に譲るべきだ」
「一つしか変わらないだろうに⋯⋯⋯」
俺たちが問答を続けていると山田先生が策を講じてくれた
「あの〜ジャンケンで決めてはどうでしょう?」
「「妙案です」」
「ならさっさと済ませてしまえ⋯⋯⋯」
「「いざ、勝負!」」
「「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」」
「「最初はグー!またまたグー!」」
「いか○や長介!」
「頭はパー!」
「正義が勝つとは♪」
「限らない!!⋯⋯⋯⋯⋯て何をやらせてるんだ!?」
お〜、千冬先生、見事なノリツッコミ⋯⋯⋯⋯
「ハハハ、よし一夏!もう一回だぞ!」
「この勝負必ず勝つ!⋯⋯⋯⋯⋯ジャンケンポン」グー
「ほい」パー
フッ、決まったな
「そ⋯⋯⋯そんな⋯⋯⋯」
がっくりと項垂れる一夏を尻目に千冬先生が鍵を渡して来た。随分とお待たせしました。
「合鍵は私が預かっておこう、決して失くすんじゃないぞ。⋯⋯⋯⋯それと啓吾」
「金城じゃないんですか?」
「だれも見てはおるまい。ホテルからの預かり物だ⋯⋯⋯まったく手間を掛けさせてくれたな」
そういっておもむろにクーラーボックスを取り出して来た。
「あ!そういやすっかり忘れてたな⋯⋯⋯」
「?⋯⋯⋯⋯そういえば啓吾が朝話してたのってひょっとして⋯⋯⋯?」
「ま、とりあえず御覧じろって」
不適な笑みを浮かべて俺はクーラーボックスを開いた。勿論中からは溢れんばかりのサヨリが入っている
「まぁ⋯⋯⋯⋯⋯サヨリですか!」
「えぇ、今朝釣ったサヨリです。ホテルの人達、内蔵まで取ってくれたんだ⋯⋯⋯⋯⋯」
「へ〜!中々美味そうだな!」
どうやら一夏はサヨリに興味を示したようだな。もうすぐ日も落ちる頃だし⋯⋯⋯⋯いっちょやってみるか!
「なぁ一夏、夕飯ここで食って行かないか?」
「え?⋯⋯⋯⋯良いのか?」
「勿論、食事は大人数の方が楽しいぜ!先生方も良かったらご一緒しませんか?
「ほんとに良いんですか!?とっても楽しみです!」
「ふむ⋯⋯⋯⋯⋯今日は特に仕事は無いから馳走になるとしようか」
〜簡単美味!サヨリの唐揚げ⋯骨せんべい〜
まずサヨリを三枚におろし、身に薄くなじむ程度の日本酒を塗るぞ。パラッと塩で下味をつけて片栗粉を全体にまぶし、手ではたいて余分な粉を落とそう。170℃に熱した油にサヨリの身の部分を入れ、約2~3分、焼き色がつくまで揚げ、バットに上げておく。途中、投入してから浮き上がってきたらひっくり返し、動きを入れるようにするんだ。次に、油を160℃まで下げてから腹骨を投入、じっくりときつね色になってくるまで揚げる。こちらもバットに上げておくように。最後に皿に盛りつけて、すだちを傍に添え完成だ!もちろん、そのままいただいても美味しい一品だけど、大根おろしに一味⋯もみじおろし⋯抹茶塩、ポン酢など自分の好みに合う食べ方も見つけてみよう!
「さぁ、召し上がれ!」
そう言うと皆食いつく様に箸を伸ばした。
「うむ、実に美味そうだ!」
「本当!とっても美味しそうです!」
「じゃあ、いただきます!」
サクッと小気味良い音が鳴った瞬間三人が一斉に言った。
「「「美味しい!!」」」
「凄いな啓吾!この唐揚げ、メチャクチャに美味いぜ!」
「この骨せんべいも最高です〜!」
「いやいや、一夏も山田先生も凄く上手な包丁さばきだったよ。何処で習ったんだ?」
「まぁ俺は千冬姉が家を空ける事が多かったからな。自然に身に付いたんだ」
「あ!⋯⋯⋯⋯えっと⋯⋯⋯⋯私もそんな感じです⋯⋯⋯アハハハ⋯⋯⋯」
「?」
山田先生の様子がおかしいけど、どうかしたんだろうか?
「ふむ⋯⋯⋯⋯山田先生」
「どうしましたか?織斑先生?」
「私が許可する。私の部屋の冷蔵庫から適当な酒を取って来てくれ。どうやら私も今夜は我慢出来そうにないみたいだ」
ワーオ、ここに来て担任が爆弾発言だな
「へ!?良いのか千冬姉?⋯⋯⋯明日も授業だけど⋯⋯⋯」
「少しくらい羽目を外しても罰はあたらんだろ?なぁ
「
無論、フラグにしか聞こえない台詞を吐いた二人は次の日二日酔いで動けなくなった。皆もお酒の飲み過ぎには注意しような。
「皆さんこんにちは!作者のソーダガツオです!」
「おい待て、次回予告にでていた黒いヤツは何処だ!?」
「わたくしの扱いも酷過ぎますわ!」
「ちょ、ちょっと待って!黒いヤツは次回の投稿で必ず出す!それまで待って下さい!」
「計画性がなさすぎますわ!」
「とりあえず、次回もお楽しみに!」