I S-釣りバカ日誌-   作:ソーダガツオ

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ちょっとお人好しが良い、口説かれ上手な方が良い(´・ω・`)


第6話 襲来!中華姑娘〜メバル編〜

  〜1年1組〜

 

この日、クラスではある噂で持ちきりだった。

 

「ねえ、織斑くんに金城くん、知ってる?今日、二組に新しい転校生が来るんだって!」

 

「転校生?こんな時期にか?」

 

「たしか⋯⋯⋯中国からだったかな」

 

 俺たちは釣りの雑誌を一旦置き、クラスメイトの話に耳を傾けた。

 

「二人はどんな子が来ると思う?」

 

「「さぁ⋯⋯⋯⋯⋯分からないな」」

 

 聞く所によると、今度のクラス対抗戦、一位のクラスには優勝商品として学食デザートの半年フリーパスが配られるらしい。甘いもの大好きの女子にはたまらないんだろうな。

 

「でも今のところ専用機を持ってるクラス代表って織斑くんと四組の子だけだから、余裕だよ!」

 

「織斑くん、絶対勝つんだよ!」

 

「おりむー、がんばってねー」

 

「フリーパスのためにもね!」

 

 そう言って女性陣が息巻いてると、突然クラスのドアが開けられた。

 

 

 

「――その情報、古いよ!」

 

 皆が声のする方へ振り向くと、ツインテールの活発そうな女子生徒が声を上げる。

 

「二組も専用機持ちがクラス代表になったの。そう簡単には優勝できないから」

 

「鈴⋯⋯⋯⋯⋯?お前、鈴なのか?」

 

「?⋯⋯⋯⋯⋯⋯一夏、お前の友達か?」

 

 そう俺は一夏に尋ねる。

 

「あ、あぁ。コイツは凰鈴音、俺の幼馴染みだ」

 

 

「そういうこと。中国代表候補生、凰鈴音。今日は宣戦布告に来たってわけ」

 

 そう言って鈴音と名乗った少女は得意げに鼻を鳴らした⋯⋯⋯⋯⋯だけど。

 

「⋯⋯⋯⋯⋯何でも良いが鈴音⋯⋯⋯だったか。後ろに気をつけた方が良いぜ」

 

「⋯⋯⋯⋯?一体どういうこt⋯⋯⋯フギャッ!?」

 

「もうSHRの時間だ。教室に戻れ」

 

 そう、後ろに待ち構えて居たのは我らが織斑千冬先生であった。

 

「⋯⋯⋯⋯ち、千冬さん⋯⋯⋯⋯」

 

「織斑先生と呼べ。さっさと戻れ、もう一度頭を叩かれたいなら別だがな」

 

「す⋯⋯⋯⋯⋯すいませんでした〜!?」

 

 そう言って転校生はスタコラとクラスに走って行った。

 

「ハハ、随分と面白い友人が居たもんだな一夏」

 

「そ、そうだな⋯⋯⋯⋯」

 

 

 

 

 

 

   〜I S学園食堂〜

 

 

 学食を食べににやって来た俺たちを出迎えたのは、トレーを持って仁王立ちする鈴だった。

 

「待ってたわよ、一夏!」

 

「一夏を待つのは構わないが鈴、後ろがつっかえてる。通行の邪魔になるから退いてくれると嬉しいな」

 

「わ、分かってるわよ!一夏、席を取ってるから必ず来てよね!」

 

 鈴は慌てた様子でパタパタと席の確保に向かった。

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、やっぱり学食はアジのひらき定食に限りますわ!」

 

「お、セシリアも日本食が分かる様になって来たか!」

 

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯ちょっと待って、なんでアンタ達4人ともアジのひらき定食なのよ⋯⋯⋯⋯」

 

 ずらりと並んだアジのひらきを見てドン引きした様子の鈴が尋ねて来た。まぁ確かに皆が同じ物食べてたら変だよな。

 

「そうか、鈴は知らなかったな。実はこのアジは一夏と啓吾が釣って来たヤツなんだ」

 

「え⋯⋯?アンタ達二人が?ていうか一夏、釣りなんて始めてたの?」

 

「今まで趣味が無かったからさ、始めて見たんだ。俺も釣りがこんなに面白いと思わなかったよ」

 

 一夏が楽しそうに話すと、鈴が興味深そうにこっちを見て来た。

 

「一夏が釣りを始めるなんてね、そう⋯⋯⋯⋯アンタが」

 

「俺がどうしたんだ?」

 

「千冬さんがI Sの事で忙しかった間、ずっと『千冬姉に迷惑かけられない!』って言いながら勉強は勿論、家事や近所の人の手伝いなんかで趣味を持たなかった一夏が随分変わったんだなって思って⋯⋯⋯」

 

「り、鈴⋯⋯⋯」

 

(そうか、私と離れてから一夏も苦労していたのか⋯⋯⋯)

 

 そこし、しんみりとしたムードになってしまったので俺は話を切り替える。

 

 

「そういや一夏と鈴はどういう関係なんだ?」

 

「そうですわ!一夏さん、こちらの方と付き合ってらっしゃるの?」

 

 

「べ、べべ、別に私は付き合ってる訳じゃ……」

 

「そうだぞ。なんでそんな話になるんだ。ただの幼なじみだよ。ちなみに箒がファースト幼馴染みで、鈴がセカンド幼馴染みだ!」

 

 そう言って一夏は自慢げに胸を張った。

 

(ファース幼馴染み⋯⋯⋯フフン♪)

 

(ぐぬぬ⋯⋯⋯⋯⋯)

 

 どうやら振った話が悪かったらしい。ピリピリとした空気が周りに漂っていた。

 

 

「なんだよ、どうして俺を睨んでるんだ?」

 

「なんでもないわよっ!」

 

 君の事だよ一夏くん。

 

「はぁ⋯⋯⋯まあいいや。今日の放課後って時間ある?積もる話もあるでしょ?」

 

「いや、それが⋯⋯⋯⋯⋯」

 

「どうしたのさ?勿体ぶらないで話しなさいよ」

 

「あぁすまないな鈴。実は放課後、一夏と釣りの約束をしているんだ」

 

「へ?今日の放課後?そうなんだ⋯⋯⋯⋯」

 

 ううむ、どうやら悪い事をしたかな。落ち込む様子をみて俺が思っていると突如、鈴が顔を上げ口を開いた。

 

「それじゃあさ⋯⋯⋯私も見にって良いかな!」

 

「え!?鈴も来るのか?」

 

「うん、一夏がどんな事してるか見たくってさ。良いでしょ?」

 

「俺は別に構わないが⋯⋯⋯⋯⋯啓吾は大丈夫か?」

 

「構わないよ、箒とセシリアはどうする?」

 

「私は遠慮しておこう。一夏も積もる話があるだろうからな」

 

「そうですわね、わたくしも今日は遠慮させて頂きますわ」

 

 どうやら話は決まったようだ。もうすぐ授業が始まるので俺たちは急いでクラスに戻った。

 

 

 

 

 

  〜午後の授業〜

 

 

 

(⋯⋯⋯⋯⋯はぁ、金城くんだけならともかく織斑くんまで釣りを始めるなんてなぁ⋯⋯⋯)

 

 私、山田真耶は憂鬱で仕様がなかった。I S学園の教師になる上で決心した事、それは大好きな釣りを封印する事だった。だってそうじゃないですか、IS学園で教師をやる上で趣味に惚けてるなんて生徒に示しが付きません。それに今時女の子が魚釣りだなんて全然モテないし⋯⋯⋯⋯⋯なのにあの少年の登場で、決心が揺らぎ始めてしまいました。

 

(うぅ⋯⋯⋯⋯今になって隠し続けて来た筈の『釣りバカ』の本能がここに来て燻るなんて!)

 

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯はぁ〜」

 

「あの、山田先生?⋯⋯⋯⋯山田先生!」

 

「⋯⋯⋯⋯へ!?あ、ひゃい!?」

 

「大丈夫ですの?体調が優れないなら保健室に行かれては⋯⋯⋯?」

 

「い、いえ!大丈夫です!ほら、授業の続きをしましょう」

 

 いけませんね、こんな事では先輩に怒られてしまいます。授業に集中しなくては⋯⋯⋯⋯。

 

(⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯山田先生、やっぱり貴女は)

 

 

 

 

 

    〜放課後学園埠頭前〜

 

 

 はぁ、結局先輩から今日は休めと言われてしまいました⋯⋯⋯⋯⋯。私、何やってるんだろ。せっかくIS学園の教師になって頑張ろうと思ってたのに⋯⋯⋯ここまで気持ちが揺らぐなんて。

 

「本当に⋯⋯⋯⋯⋯私ってば、ダメな先生だな⋯⋯⋯」

 

                       

 

 

                   「よし、この辺でやるか!」

 

 

(あれ、今の声って金城くんに織斑くん?)

 

 私が声のした方に顔を向けると金城くんと織斑くん、そして今日入学してきた2組の新しい女子生徒が居た。

 

 

 

 

 

 

 

    〜埠頭前ゴロタ場〜

 

「そういえば今日は何を釣る予定なの?」

 

「あぁ、今日釣る魚は高級魚のメバルだよ!」

 

「一夏の言う通りだ。最近ではルアーフィッシングの釣魚としても人気な魚だな。今回はメバルの釣り方を初心者にも分かりやすく紹介しよう」

 

 

 

 

 

    〜メバルのルアー釣り〜

 

 メバルは年中通して釣りが楽しめる魚だ、春から夏が一番美味しい時期だな。前回紹介したサヨリ同様、『春告魚』と呼ばれている魚だぞ!基本的には暗い場所から明るい場所にいる餌を狙っている。そのため岸壁や障害物の影の部分に潜んでいることが多いな。ほかにも、海辺の建物から漏れる灯りなども探して狙ってみると良いだろう。

基本的なのは、2インチ前後のピンテールワームを使ったジグヘッドリグ。カラーはホワイト系が無難な感じだ。ジグヘッドのウェイトは1~2gほど。重いほうが飛距離が生まれ投げやすいが、軽いものでないと反応しないこともあるから気をつけてくれ。なお、ワームはフックへまっすぐに刺すことが大事だ。曲がっていると泳ぎが乱れて食いが悪くなるぞ。他にも専用のミノーまたはメタルジグがあるぞ、是非挑戦してみてくれ!

 

「よし、ルアーを投げるぞ⋯⋯⋯⋯⋯ほ!」

 

メバル釣りで派手なアクションなどは必要ないが、重要なのはルアーを通す水深。その時メバルがいる深さの少し上を通すのがベストなので、何度もキャストしながら深さを工夫しよう。

 

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯よし、のってきたぞ!」

 

「す、スゴいスゴい!結構良いサイズじゃない!?」

 

「さすがは啓吾だ!一発でHITするなんて!」

 

(本当にスゴい⋯⋯⋯金城くんの腕は本物ね⋯⋯⋯⋯⋯)

 

「ははは!ほれ、一夏も感心してないで竿を投げろ!」

 

 そう言って俺は一夏を促す。

 

「よし!⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯それ!」

 

 一夏も仕掛けをキャストする。前よりも格段に正確になっていた。

 

 

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯きた!⋯⋯⋯て、あれ?」

 

(あぁ!?そんなに大きくアワセちゃダメです!)

 

「どうしたの一夏?」

 

「いや⋯⋯⋯⋯⋯今確かに食いついて来た筈なんだけど⋯⋯⋯」

 

(うぅ⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯あぁもう!)

 

「織斑くんのアワセが大きすぎるんですよ!それで魚が針から外れてます!」

 

「なるほどアワセが⋯⋯⋯⋯⋯⋯って山田先生!?」

 

「貸してみて下さい!」

 

 そう言って山田先生は一夏の竿でキャストする。とても正確なキャスティングだ。下手したら俺よりも正確だな⋯⋯⋯⋯。

 

「メバルのルアーでのアワセは、ルアーをキャストしてただ巻きしているスピードのまま、もしくは少し遅くするくらいの巻きアワセで大丈夫なんです⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯よし!」

 

 水面に大きな魚影がみえる。山田先生は見事な型のメバルを釣り上げた!

 

「「す、すごい⋯⋯⋯⋯⋯⋯」」

 

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯山田先生、やっぱり貴女は」

 

「フフッ、流石は金城くんですね。バレてましたか⋯⋯⋯⋯。そう、私もI S学園の教師として就任するまでは大の釣りバカとして、魚釣りに想いを馳せてました。でも⋯⋯⋯⋯⋯でも今では過去の話です。私は皆を立派に卒業させるという使命が有ります。だからもう釣りはしないと決めたんです!⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯御免なさい、つい熱くなってしまいました。二人とも本当にありがとう!久しぶりに釣りバカだった頃を思い出しました」

 

 

 そう寂しそうに山田先生が言うと一夏が口を開く。

 

「そうだったのか⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯でも山田先生、先生の言ってる事は一つ間違ってるぜ!」

 

「⋯⋯⋯⋯⋯え?」

 

「先生は今でも『釣りバカ』だよ!」

 

「そんな⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯どうして⋯⋯⋯?」

 

「俺も一夏の意見に賛成だな。だってさ、さっきメバルを釣ってたときの先生の顔、とっても楽しそうだった。まさしく釣りバカの顔だったぜ!好きじゃないならあんな顔できないよ。だからさ、そんな釣りを捨てたみたいな事言わないでくれよ」

 

 そう俺たちが言う。すると山田先生は涙を流しながら笑い出した。

 

「釣りバカの⋯⋯⋯⋯顔⋯⋯⋯⋯フフ、アハハハハ!」

 

「や、山田先生?」

 

(そっか⋯⋯⋯⋯⋯私まだ⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯釣りバカで良いんだ⋯⋯⋯⋯)

 

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯ねぇ、二人とも」

 

「?」

 

「もし⋯⋯⋯⋯もし良かったら、私も釣りに誘ってもらえませんか?久しぶりに竿の調子をみたいです」

 

「山田先生⋯⋯⋯⋯⋯勿論さ!」

 

「そうだな!山田先生も一緒に釣りをしてくれるともっと楽しいぜ!」

 

「二人とも⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯本当に、本当にありがとうございます!」

 

 

 こうして魂を失いかけた一人の釣りバカが、ここに完全復活をとげる。これから更に面白くなるぞ!

 

「も〜〜〜〜〜!三人だけで楽しんでるんじゃないわよ〜〜〜〜〜!?」

 

 

      あ、鈴のことを忘れたままだった。

 

 

 




「今回、料理は作らないのか?」

「いや、そこまで書いてる暇がなかったんだよ・・」

「もう!ダメな作者ですわ!」

「・・・・・・・・(´・ω・`)」

「次回はクラス対抗戦でアタシと一夏が大激突!?そしてメバルを使って美味しい中華を作っていくわよ!」

「お楽しみに!」
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