「―――っ、んん……」
鼻につく匂いの元が分からず、伸彦は寝返りをうった。
頬にこそばゆい感覚がふわふわと当たり、緩やかな風が全身を撫でているのが分かる。
まるで草原に寝転がっているような―――風?
伸彦の部屋のクーラーは動いていなかった。窓も開いていない。なのに風とはどういうことだ?
伸彦はようやく目を開けた。
眩しいほどに光が視界を包み、一刻目の前を遮ってしまう。
それが止むのを待って、伸彦は体を起こした。
「…………え」
そよそよと流れる風。
揺れる草花と木々の枝。
何処からか漂う花の香。
伸彦の目の前には、豊かな森が広がっていた。
「―――えええええええっ!?」
***
「どうなってるの…?」
伸彦の問いに答える声はない。
辺り一面草木ばかりで人影はおろか人の気配すらなく、ただ自分のみがそこにいた。
そもそそ、何故森などに寝ていたのだろうか?
「確か…部屋に戻って、ベッドに転がって…」
ぶつぶつと覚えている限りのことを呟く。
「それで、チューナーを繋いで、電源を入れて……」
伸彦の言葉はそこで途切れた。
どうしてもその先が思い出せないのだ。
あり得ない。
通常ならただチューナーを付けただけでは、何も起きずエラー表示されるだけだ。しかし、今目の前に広がる光景を見てこれが現実だと認めるしかない。
このあり得ないくらいに不自然な自然が、今伸彦の前にある
それが何を指すのかは簡単に連想できる。
《異世界》。
チューナーを正規に繋ぐことなく、異世界に渡ってきてしまったということなのだろうか。いや、現にそうなのだろう。
しかし、カードをセットしていないのにそんなことが起こりうるのか。
「それに、元の服のままなんて」
異世界に行く際に、渡った者はその世界に合った服装へ変換されるのだが、ここではそれがない。ベッドに倒れこんだときのワイシャツとズボン姿だった。勿論靴なんてない。
「……どうしよう」
どうしてこうなってしまったのか、どうやったらこの現実を何とか出来るのか考えて―――やめた。
伸彦にとって、今考えだしたことは元の世界に戻りたいと思っているということだ。
何故あんな世界に戻りたいと考えたのだろうか。
常日頃、世界に辟易して生きていたというのに。
あそこは、帰るべき場所なのか。
今のこの状況を何とかしてでも帰るべきなのか。
あの家に、帰るべきなのか。
誰のために?
「―――っ!?」
悶々と思考を巡らせていたとき、物音が耳に届いた。
思わずそちらを向き、慣れない様子で身構えた。
果たして現れたのは、
「ノブ?」
右側の髪を結い上げた少女に、癖の強い髪を持った少年。
「―――利香、渓也」
別れて半日も経っていない友達と再会し、伸彦は今の状況を整理し始めた。
「それじゃあ、二人ともどうしてここに来たのか分からないのか?」
「うん、気がついたら草の上に寝っ転がってて、周りは森で」
「歩いてたら利香と会ってな、叫び声が聞こえたから来てみりゃ、お前がいたってわけ」
叫び声については追及せず、二人ともどうやってここに来たのかはやはり覚えていないようだ。
「おまけに、わたしチューナー付けてないよ? マンガ読んでたもん」
謎だらけの上にさらに謎が増えた気がした。
「取り敢えず、ここはどっかの異世界ってことでいいんだよな?」
「うん、それは間違いないと思う。わたし色んな世界で遊んでるから見る目はあるよ? こんなケースは初めてだけど」
「…信用し切れない」
「どういう意味よ!?」
これ以上悩んでいても仕方がない。むしろここで二人に会えたことが奇跡だったと思えてきた。そんなところで、話はこれからどうするのかに変わった。
「やっぱり元の世界に戻る方法を探そうよ。主人公の定番」
「オレらが主人公とか…なんか信じらんねぇ」
「なっちゃったんだから仕方ない。ね、ノブ?」
利香が話の相手を伸彦に変える。しかし少し考え込んでいた伸彦は反応が遅れた。
「…へ、あ、ああ」
「どしたの? 何か悩み事でも?」
「この状況に悩まない方がおかしいだろ」
「渓也ちょっと静かに」
渓也を黙らせて利香が詰め寄る。何も言わず、ということにも出来ず、かと言って話す気にもなれなかった。
「まあ、ノブの考えそうなことは大体分かるんだけどね」
利香の言葉に思わず聞き返した。
「えっ」
「どーせ『僕は帰るべきなのかなー』とか何とか思ってんでしょ?」
「…………」
「………もう」
利香の呆れ半分のため息がやけに重く感じられた。決して責めているのではないが、その重圧が押しのけられないもののような気がした。
「――とにかく! 動かなきゃ何も出来ないんだ。取り敢えずどっかに行こうぜ」
場の空気を変えるように、あるいは壊すように渓也が声を上げた。
ずっと悩んでいるのは確かだが、渓也の言うことも一理ある。
「…なら、まず街を目指そう。情報も必要だし、お金とか服とか色々考えないといけない」
「そうだね! じゃあ行こう!」
意気揚々と利香が拳を突き上げ、自ら先頭に立って森を歩き始めた。
利香の切り替えの早さに呆れつつ、二人顔を見合わせて笑ってからその後を追い始めた。
「ところで、名前どうしようか?」
そんな言葉が利香から漏れたのは僅か数分後のことである。
伸彦たちが取り敢えず目指していた街の名は《バートリー》と言うらしい。
その世界についての予備知識が全くないのだから、街の名だって、どこにあるかだって分からない。
それなのに伸彦たちがそれを知り得たのには理由がある。
ずばり、人と出会ったから。
「こんな森の中で何してんだ?」
そんなふうに話しかけられた。
体格のいいおじさんで、袖の短い上着から見える腕はかなり逞しいと思えた。
「えと、道に迷ってしまって…」
他人に繕った形で笑顔を作り、利香が応対する。
この手の対人は伸彦や渓也は得意ではない。率先してやってくれる辺りも、こういうことに対して利香は頼もしいと思えた。
ましてや利香の人当たりの良さが裏目に出るはずもなく。
「そんな恰好でか。無防備すぎるぞ」
「それは…えと…」
こういう返しには滅法弱いみたいだが。
「…まあ、色々あったんだな。俺みたいのに会えたのはお前らラッキーだったな」
おじさんはふっと笑って言った。
その真意が分からず、三人揃って首を傾げた。
「俺はガウストだ。お前らは?」
「あ、わたしたちは…」
名を尋ねられ、少し戸惑ってかちらりと伸彦を見た。
その行動をすると読んでいた伸彦は一歩前へ出て、ガウストと名乗った男性に言う。
「僕は…《クロウタス》。《クロウ》と呼んでください」
《クロウタス》。
ここに来るまでに考えた伸彦の偽名だ。
黒川という苗字と、伸彦の一番好きな蓮の花を掛け合わせただけの簡易的なもの。
そこに微かな羨望が混じっていることは伸彦だけにしか分からない。
(蓮―――どんな澱んだ水の中でも咲き誇れる強さを持った花。僕の一番、憧れる花)
どんな人に対しても抱かなかった気持ちを花に抱いているのはおかしいと思った。
でも、どうしてもその考えを捨てることは出来なかった。
偽名を考える際にふと出てきたのはそのせいかもしれない。異世界でなら、違う自分になれると思ったのかもしれない。
「オレは《ティムト》っす。《ティム》でいいっすよ」
「わたしは《リルカ》です! よろしく、ガウストさん!」
伸彦の自己紹介に続いて二人も偽りの名を名乗った。
そこに違和感を感じなかったらしく、ガウストは追及してこなかった。
「おう、クロウにティムにリルカか。いい名前じゃないか、よろしくな」
ガウストは片手をあげて返した。
その手をくいっと自身に向けてまげ、伸彦たちを促した。
「困ってんだろ? ついてきな」
…信用してもいいのだろうか。
ふと伸彦はそんなことを思った。
だがこの状況だ、手を貸してくれるのなら断る理由もない。ガウストの誘いに甘え、三人は森を更に進んでいった。
***
「俺の工房はバートリーの外れにあるんだ。と言っても森と街の間にあるんだがな」
そう言いながら伸彦たちが連れてこられたのは、レンガ造りの小さな家だった。工房、というのだからもう少し大きいものをイメージしていたのだが、素朴という言葉が似合いそうなそんな建物だった。
「ほれ」
ガウストに促されるままに中に入る。
すると、
「うわぁ………!」
「凄い……!」
外の見た目とは裏腹に、至るところにたくさんのものが飾られ、一部はキラキラ光っている。
「あれって宝石なのかな!?」
すっかりはしゃぎ気味の利香をたしなめようかとも思うが、自信も同じことを思っていたのでその機にもなれず。
赤、青、黄色…何色もの輝きから目を離せなくなっていた。
「どうだ、凄いだろ?」
一度奥に入っていったらしいガウストが出てきた。
「はい! これみんなすっごい綺麗!」
「ははは! そうだろう? どれもいいもんばっかりなんだ」
利香の率直なコメントに嬉しそうに返事をした。工房、なのだから自分で作ったものなのだろう。誇らしげに胸を張る姿が伸彦の目に映った。
「ところで、ここは工房なんですよね。でもそこにあるのって」
「ん? ああ、ここで販売もしてんのさ。工房は奥、ここは店だ」
伸彦の差した先にあるのはカウンター。ものを作るところには見えなかったのだが、どうやら当たりらしい。
「俺の店は魔法具を扱ってんだ。そんじょそこらの店とは品ぞろえは違うぜ」
魔法具、という耳慣れない単語が混ざった説明を聞き、やはりここが異世界であると痛感させられる。
二人は物足りないのかショーウィンドウに顔を近づけなら見回っている。伸彦は近くにあった腰掛に座り一息ついていた。
「ところでよ、隠さなくていいんだが」
隣に座ったガウストが不意に言った。
「お前ら、俺らとは違う人間なんだろ?」
唐突にそう聞かれ、伸彦は息が詰まった。
利香と渓也にもそれが聞こえたらしく、ショーウィンドウから顔を上げている。
「俺らとは違うってすぐに分かった。その服の生地、この世界のどこにだってありゃしない」
つまり、出会ったときに気付かれていたということか。
ならばどうして伸彦たちを助けてくれたのだろうか。
「どうしてって顔してんな」
「!」
ガウストににやりとされ、伸彦は慌てて顔を逸らした。
「困ってるやつを放っておけなかった…そんだけじゃ理由にならねぇか?」
ガウストの真っ直ぐな心。善良な優しさ。
それは伸彦が久方受けたことのない優しさだった。
「ガウストさん…」
利香が両手を握りしめる。こちらを見つめているのが感じられた。
渓也もどうするかは決まっているらしい。何も言わず、伸彦の言葉を待っている。
とても長く感じられた沈黙を破り、伸彦が口を開いた。
「……僕の本当の名前は、クロウなんかじゃない。二人も、違う名前です。あなたの言った通り、僕らは違う世界からやってきました。どうしてここに来たのか、それは僕らにも分かりません」
でも、と伸彦は言葉を区切る。
「あなたみたいな人に会えてよかったと、僕は思っています。それだけは確かだ」
誰かに会えてよかったなんて、言ったこともない言葉。
利香たちにすら言ったことのない言葉が、感情が、伸彦の口からこぼれた。
それが伸彦の本心だと理解することは、ガウストでも簡単だった。
「……そうか、それならよかった。俺も本気でお前らを助けようと思える」
そして気持ちを返すガウストの言葉も、本心だと理解できた。
「お前ら、名前はなんてんだ」
ガウストが再び名前を聞いた。
偽らなくていい、初めての大人に。
「………僕は、伸彦、です」
伸彦の中で、微かに何かが変わった音がした。
魔法具というのは、この世界にいる魔法使いたちが魔法を使う際に用いる媒体らしい。
かつて魔法を操る者―――《魔法士》だったガウストは、伸彦たちにも魔力が宿っていることを教えてくれた。
「それなら、オレたちにも魔法が使えるってことか!?」
「そうだ。使う魔法はそれぞれが持つ魔法具によって変わる。どうするか、慎重に選べ」
ガウストは店にある道具から好きなものを選んでいいと言った。タダでいいと言われたときは、そこまでしてくれていいのかと焦ったが、
「困ってんだろ?」
その一言であっさり片付けられた。
ただ一つ、例外がある。
「……何で、わたしには魔力がないの!?」
利香に魔力が宿っていないということ。
「それは俺には分からん。だが、何かしらの要因があるとは思うが…」
「ううう…、魔法少女になってバンバン辺りを吹き飛ばしてみたかったのに…」
「物騒なこと考えんな」
「何か、得意なことはないか? こういう動きなら出来るとか」
ガウストからの提案に、利香はすかさず答えた。
「わたし空手が得意だよ!」
「カラ、テ…?」
「空手で通じるわけねぇだろ。要はあれだ、素手で殴ったり蹴ったり…蹴るっけ?」
「それなら…」
渓也のざっくりした説明に何かを思い出し、ガウストが隅っこの戸棚を開けた。
暫くごそごそしていたが、やがて戻ってくるとその手には、金属のプレートがあった。
「それは?」
利香が興味津々に覗き込みながら尋ねる。
「こいつも魔法具さ。ただし、超レアな《生魔具》ってやつさ」
「せいまぐ?」
「こいつ自体が生きていて魔力を持っているんだ。だから魔力を持たないものでも、魔法のようなことが起こせる」
ガウストの説明に利香が目を輝かせた。
「じゃあ魔法使えるんだ!」
「いや、こいつには無理だ」
すっぱり切り捨てられ、途端に気を落とす利香。本当に浮き沈みが激しいと思う。
「言っただろ、魔法具によって魔法は変わる。こいつはお前が思ってたみたいなことは出来ないが、パンチやキックの威力を高めることは出来る。つまり―――」
ガウストの言葉につられ伸彦たちは想像する。
利香がこれを身に着け、巨大な岩を砕いている様を。大地を砕いている様を。
「~~~っ! カッコいい!!」
文字通り飛び上がって喜んだ利香は、その生魔具を両手で大事に受け取った。
想像したその通りのことを、利香ならしかねないと思うと、少し寒気がした。
「オレ、利香に喧嘩売らねぇ」
渓也がぼそっと呟いた。全くその通りだ。
利香には気付かれないようにしなければ。
「こいつは《
「《逆鱗》…! なんかドラゴンっぽい! 大事にします!」
深く理解をせず、利香はそれを握りしめた。
「さて、残りはお前らだ。どうする?」
「オレは…元々素手の喧嘩しかしてこなかったし…」
「僕は戦うなんて…考えたことなかったし」
利香のようにすんなりと決められることなく、店を見て回っているが、ピンとくるものがなかった。
渓也は少し違うようだが、それでも決めあぐねているのは変わらない。
と、渓也の目にとあるものが止まった。
「なあ、こいつは?」
指を差した先には少し太めの棒のようなもの。先端には宝石が填められ、その横はメープルの葉のように広がっている。
「そいつは《魔法剣》さ」
「《魔法剣》…、魔力を持った剣ってことか?」
「そうだ、そいつは《
渓也の視線が剣に戻る。
不思議と引かれ合っている、そんな気がした。
こいつとならやっていけると思えた。
「ガウスト…さん、これをくれ」
「ガウストでいいぞ。ああ、持ってけ」
笑いながら剣の一部、恐らく柄を差し出した。受け取った渓也はその重さに思わず落としかけるが、その重みを噛みしめるかのように強く握った。
「残りはお前だけだ」
ガウストが伸彦に向き直る。
「と言っても、ピンとくるものがないんだ」
「どんなふうにしたいってのもないんじゃ、俺からも勧めることは出来ないしな。ま、もうちょっと考えてみろ」
利香は渓也のものは決まったのに自分が決まっていないという状況で、段々と焦りを感じてきた。
足早に店内を歩き回り、一つひとつ見ていくがやはりピンとくるものはなかった。
ふと利香たちの方に顔を向ける。
既にものが決まって喜んでいる二人を見て、羨ましいと感じた。
そして同時に何かを感じた。
感じた先は、二人の奥から。
「ガウストさん、店の奥に何かありませんか」
その言葉にガウストはピクリと反応した。
「どうしてそう思った」
今までと違った声色で聞き返す。
伸彦も顔を逸らさず答えた。
「直感です」
我ながら漠然とした返答である。
しかし、それでも他のものに感じなかったものを感じたのだ。
「…ああ、ちょっと待ってろ」
やがて、少し重たい雰囲気を漂わせながらガウストが奥へと入っていった。
三人で顔を見合わせていると、‘それ’を持ってすぐに出てきた。
‘それ’は、紅い宝石が填め込まれ、ツルが渦を巻いたかのような小さなブローチ。
「こいつは元々、俺が使ってたんだ。でもこいつから何か感じたってんなら、きっとお前は…」
そう言いながら伸彦にそれを差し出す。
ゆっくりと手を伸ばしてそれを掴むと、不思議な感覚が体の中を駆け巡っていったような気がした。温かく、それでいて力強い流れ。
それに気付いたときにはすでに、ブローチはその形をしていなかった。
植物のツタが伸びるかのようにその渦を伸ばしていった。その先から葉を付け、蕾を付け、小さく花びらを開かせた。
その花は、まさしく《蓮の花》。
「その魔法具の名は《
《木蓮の杖》。
先端に咲いた小さな花が、伸彦の目から離れなかった。
「そいつは主と認めたものにしか花を咲かせない。お前は、認めれられたんだな」
ガウストが呟く。
かつて自分が認めてもらったことを思い出しているのだろうか。
「そいつを、お前に託す……大切にしてやってくれ」
木蓮の花と共に、ガウストの想いを託された気がした。
何かを託されることなんて初めてだったが、自然とそれを受け入れることが出来た。
「―――はい」
こうして、三人の異世界魔法士が生まれた。
一人は、魔力を持たないが強力な攻撃力を身に着けた《
ワイシャツとショートパンツにプレートのついたブーツを履き、右側の髪を赤いリボンで結い上げた。
―――リルカ。
一人は、三種の魔力を操る魔法剣を携えた《
黒のハーフジャケットに黒味のある赤いパンツにブーツを履き、頭に新しくバンダナを巻いた。
―――ティムト。
一人は、木蓮に愛された清き水の魔法を操る《
青いジャケットに黒いパンツ、黒いブーツに身を固めた。
―――クロウタス。
彼らの冒険は今、始まったばかり―――。
はい、かなり時間が開いてしまいました。
ようやく物語が進むよ…!
嬉しすぎます。
クロウ可愛いですね。可愛いよ。
【挿絵表示】
衣装チェンジがやっと起きたのでようやく出せます。
クロウを描いてくださった星野伊吹さんに多大なる感謝を!!