OVER LORD外伝~ワニの大冒険~   作:豚煮込みうどん

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ここまでテンプレ。そしてここからもテンプレ。だがそれで良い!!


悲報『ジャングルの王者ターちゃん、打ち切り!!』


誰じゃっ!?→俺だ!!→馬鹿なっ!!!?→『獣王クロコダイン!!!!!!』

事態は風雲急を告げた…

 

あの奇跡的な勝利を勝ち取ったリザードマン達を、まさに嘲笑うかの様にナザリックの軍勢が遂にその姿を現したのだ。

 

 

湿地帯を完全に、囲う様に配備されたスケルトン達は先日の様な雑魚では無い。

無数に、そして規律正しく並ぶその全てが魔法の武器と鎧を纏った強力な兵であり、たった一匹でももしやすればリザードマン達を殺し尽くせるのではないかと感じさせる程の危険性を見せていた。

 

それだけでも半ば混乱し、現実味がなさ過ぎるその戦力を、幻や幻覚の類いであろうと判断した族長達の前に更に信じられない様な光景が広がった。

 

一際異様な気配を放つ一団が現れたかと思うと、その中心に位置するアンデッドのマジックキャスターが産み出した巨大な魔方陣が光を放ち、その光が消滅すると見渡す限り視界の全てが氷に包まれる。

次々に体温を奪われ、倒れ伏す仲間達を見ればそれ等全てが幻でも幻覚でも無く、恐ろしい現実なのだと突きつけられるには十分だった。

悲鳴と混乱の絶叫の中、僅かにでも心を強く保てた者達が互いを支え合い、凍り付いた水面から逃げ出す…

 

 

それを成した、死の具現とも言える存在が、今度は神話の軍勢を唯の足場として突如、天から落下してきた大岩の上に姿を現した。

 

その姿を目にしてリザードマン達の誰もが思った…

 

終わりだ…と

 

 

そして、再びあの怨念の集合体と言えるアンデッドのメッセンジャーがリザードマンの集落に現れる。

 

『偉大なる御方の言葉を伝える、偉大なる御方は対話を望まれておられる。

代表となる者は即座に歩みでよ。無駄な時間の経過は偉大なる御方の不興を買うだけだと知れ。』

 

あの時と同じだ…一方的に言いたい事だけを言って去って行ったアンデッド。しかしあの時と今回で決定的に違うのはリザードマン達の心境であった。

あの時にはまだどうやって勝つか等を考える事が出来た。だが今回は違う、何がどう転ぼうとどうにもならない事は幼子でも解る。

 

「ザリュース!!」

 

「応っ!!」

 

その最中、一番に飛び出したのはザリュースとシャースーリューだった。このリザードマンの大同盟、代表をあげよと言われればこの二人であろう事は間違いなく、事実それに異を唱えるリザードマンの声は決して上がらなかった。

 

「ザリュースよ…俺も共に行こうか?」

 

そんな二人の背にクロコダインが声をかける。返って来るであろう答えは解ってはいたが聞かずには居られなかった。

 

「いや、大丈夫だ…クロコダイン、我が友よ。もし…万が一!対話とやらが上手く行かなかった時は我々の事は見捨て…お前はこの地を去れ、お前ならばそれも可能だろう。」

 

それだけ言い残すと、二人の兄弟は覚悟を決めた表情で凍れる湿地帯を歩いて行く…

それを見送りながらクロコダインはその視線を大岩の上に立つ一団へと向ける。

 

見れば分かる…そこに立ち並ぶ数名は間違いなく自分と同等かそれ以上の強さを誇るだろう…

 

 

闘えば間違いなく負ける。

 

 

それを理解してクロコダインは……

 

 

 

 

 

 

_____________________

 

 

 

暫くして、ザリュース達とナザリックの対話は終わり、ナザリックの一団がゲートによってその姿を消すとザリュース達が集落へと戻ってきた…

彼等を迎えた4人の族長達から見ても、その体と心は強烈な冷気と凄まじいプレッシャーによって最早ボロボロだった。

 

「よぉ、どうなったよ…」

 

出来れば聞きたくは無い、しかし聞かねばならない問い。

そんな彼等に対話の結果を問い掛けたのはゼンベルだったがそのゼンベルの声ですら掠れた、無理矢理にでも絞り出したかの様な声色であった。

 

「……結論から言えば、俺達の降伏は認められず4時間後、見せしめとしての闘いを要求された。我等が敗北すれば我々リザードマンは彼等の支配下に入る事となり、万に一つでも勝てれば賠償を行ったうえでこの地の一切から手を引くそうだ……勝てればな。」

 

ザリュースのその言葉にその場の全員に深い絶望が襲いかかる…

当たり前だ。先の闘いですらギリギリの勝利だったというのに…万に一つも勝ち目など無いのは誰もが理解していた。

そして敗北の結果が支配下に入ると言う事だが…生者を憎むアンデッドの軍勢の支配下等…それがどんな恐ろしい事なのかはもはや想像すら出来ない。

 

「そして相手は一人、あの死の支配者の側近、コキュートスという怪物らしい。…つまりはそういう事だ。」

 

ザリュースの言葉を補足したシャースーリューの声にもやはり諦めが見て取れる。まだ数で押してくるのならばそれは先の闘いの延長だ。そこには付け入る隙もあっただろう…だがたった1人の側近を派遣すると言う事はそれこそそのままナザリックの自信を現している。

 

「つまり、闘いは避けられん訳だな?何もせずに膝を屈すれば、それこそ皆殺しに会いかねん…」

 

「あぁ、取り敢えず、闘いに赴くのは戦士級のリザードマン全員とここに居る…」

 

「…クルシュを除いた5人だな…」

 

「だな。」

 

「向こうの狙いは圧倒的な力で我々の心を折る事だと思う。だからこそ俺達の奮闘次第では皆殺しにはならない筈だ…ならばリザードマンの生き残りを纏めるのには残酷な話だが唯一族長達の中で戦士では無いクルシュが最適だ。」

 

「ちょっと、待って!!私も闘うわ!!」

 

「くるしゅ、みんなのいけん…ただしい。」

 

「シャースーリューの意見に異論は無い。」

 

6人のリザードマンの代表達の間で議論が白熱する。

 

「いいんじゃねぇか?俺も賛成だ。」

 

これから彼等が向かおうとするのは闘いでは無い!生け贄の儀式なのだ、そんな所に愛するオスが向かおうとしている。それ自体を止める事が最早叶わないのなら、せめて最後まで一緒に闘いたいというクルシュの訴えをオス達が押しとどめる形だ。

 

「ザリュース、後はお前が説得しろ…俺達は部族の全員に話を伝えてくる。4時間後に又、会おう。」

 

そう言い残し、シャースーリューが他の3人を連れ、クルシュとザリュースをその場に残し、去ろうとする。

 

 

しかし…

 

 

 

「いや…!残るのは…お前達全員と、全てのリザードマンだ。」

 

「お前は…」『クロコダイン!?』

 

 

それは陽光を背に纏い、いつの間にかシャースーリューの前に立ちふさがったクロコダインによって阻まれる事になった。

 

「相手は一人で来るんだったな?ならば今度こそ俺の出番だろう。」

 

 

そして、四時間という時間が経過した…

 

 

 

 

__________________

 

「さて、リザードマン達には時間を与えた訳だが…何をしているか見させてもらうとしよう。」

 

 

アウラの用意した仮拠点にゲートで転移したアインズ達は、階層守護者達を中心に今後ナザリックがこの世界でどの様に動いていくかなどの話合いを行った後、退屈しのぎの意味も込めて、遠隔視の鏡にてリザードマンの集落を観察し始めた。

 

村を俯瞰する様な光景の中を、大勢のリザードマン達がせわしなく動いている。それは闘いの準備であったり逃げ出す為に荷物を纏めたり、様々だ。

 

「無駄な努力ですね。」

 

その光景を滑稽だと笑いながら愉悦に口元を緩めるデミウルゴス。その口調は優しげですらあった。

 

「あの氷の剣と、風の斧を持った奴、それに白色のリザードマンは何処だ?」

 

アインズが取り敢えず興味を持って探しているのはイグヴァを打倒した3人だった。理由は無論レアアイテムを所持していた事と体色の珍しさからだ。

 

「確か、1人はザリュースって名前でしたかね?」

 

アインズの隣に立つアウラが何とかザリュースの名前を絞り出す。名前を聞いたのはつい先程にも関わらず中々出てこない名前。所詮、その程度の情報だ。

 

「……ん?」

 

と、そこでアインズは偶然にも気になる存在を発見した。

それは村の中をズンズンと歩いて行く、巨躯のリザードマンである。アインズの目に止まったのはそのリザードマンの肌が非常に目立つピンク色だったからだけでは無く、他のリザードマンと違い重厚な鎧で身を包んでいたからという事もあった。

 

「アウラ、あの赤い肌のリザードマンは何だ?私が知る限り報告には一切挙がっていなかった筈だが。」

 

「いえ、私の所にも報告は挙がっていません!!でも、おかしいですね…あんなに目立つ奴なら報告に挙がらないはず無いのに…申し訳ありませんアインズ様!!」

 

アインズの問い掛けに、アウラは慌てて答えると深く頭を下げる。

 

「まぁ、丁度タイミング良く調査範囲外にでも出ていたのかもしれん。そういう事もある、責めはせんよ。それよりもあの3人だ、特にあの風の斧は是が非でも欲しい。外には居ないとなると室内か?」

 

 

その後、ザリュースとクルシュの行為を遠隔視の鏡に映し出してしまった事でアインズの周囲で一悶着があり、リザードマンの集落に対する偵察は気まずい空気のまま打ち切られる事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、四時間があっという間に経過する…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遂にこの時が訪れた…

 

 

 

 

アインズ・ウール・ゴウンが戦場を見守る中、コキュートスの前に満を持して現れたのは、『獣王クロコダイン』たった1人!!

 

 

運命は遂に両雄を並び立たせた!!

 




『昨日の夜、友と酒に濡れていた。
今日の昼、命を賭ける場所を追っていた。
明日の朝、、ちゃちな信義と、ちっぽけな良心が蜥蜴の村に光を射す。

『此処』は数多の原作が作ったパンドラの箱。質を問わなきゃ何でもある。
次回、『決戦』。

明後日?そんな先の事は分からない。』



次回、PSVRを諦める決心がついたら。


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