今回も捏造スキル、オリジナル設定の嵐です。苦手な人はごめんなさい、戦闘描写が難しすぎて嫌になりそう。書きたかった物が半分も表現出来てないよ。
次辺りで一度クロコダインのステータスと設定を書き出すつもりです。
未だに続く、2人の戦闘は苛烈を極めた…
カイザーフェニックスに対して、真っ向からぶつかったコキュートスだったが、その身に宿した上位魔法無効化のスキルをもってしてもその熱量を前にしては流石に無傷とはいかなかった。
甲殻を焼く痛みを堪え、押し出す様に構えた断頭牙でもって炎の鳳凰を強引に貫いたコキュートスは、大上段から大閻魔反命を振り下ろす。
わざわざダメージを覚悟して炎に飛び込んだのは、今クロコダインは両手でグレイトアックスを振り抜いた姿勢…偏に其処にしかつけ込める程の僅かな隙が無かったからだ。
「ぐ…ぬぅ!」
疾風怒濤の攻め。
鎧の左手甲でギチリギチリと音を鳴らす漆黒の刃を受け止めたクロコダインの口から苦悶が漏れる。
ユグドラシルからのショーテル系統の特徴である防御に対しての高い貫通ダメージは防御に重きを置いたクロコダインにとっては非常に驚異と言えた。
そして、コキュートスの腕はまだ残っている。二つの斬撃と一つの剛撃が駆け抜けざまに振るわれる。
「見事…」
それら全てを、腕で、斧で、尾で、弾き逸らし、驚異的な戦闘センスでもってダメージを最小限に抑えたクロコダインにコキュートスは本心から称賛の声を漏らす。
「貴様こそ、と言わせてもらおう。やはり模倣の鳳凰のような半端な技では通用せんか…」
次の瞬間、再び攻勢に出たのはクロコダインだった。
その巨体からは考えられない様な速度で接近したクロコダインの豪腕によって、横薙ぎに振るわれたグレイトアックスがコキュートスを捉える。
辛うじて全ての武具を盾に塞いだものの、その一閃によって弾き飛ばされたコキュートスの身体が砲弾の様に吹き飛ぶ。その最中、コキュートスは吹き飛ばされながらも、尾と四腕を振るい体勢を整えると同時に魔法の発動を行った。
『マキシマイズ・ピアーシング・アイシクル』
その本数こそ21程度だが、作り出されたのは愛刀である斬神刀皇を始めとした己の主より引き継いだ21武器の再現。
「爆ぜろ!『爆裂』!!」
コキュートスの読み通り、クロコダインの咆哮が響く。共に闘いに誠実な戦士だからこそ分かる事もあった。コキュートスが逆の立場でもここは追撃を入れていただろう。
中空に作り上げられた刃の結界が、コキュートスへの追撃にとグレイトアックスから無数に放たれた爆裂球を次々に刺し貫き、迎撃した。
空気を振るわす爆発の轟音に、光を反射しながら砕け舞い散る氷の刃。それはこの戦場にあって尚、美しい氷の花火の様であった…
((ここで決めるっ!!))
そしてここに来て互いが必殺の一撃を放つ体勢へと移行した。
コキュートスは四つの武器を交差させる様に構え、自らの闘気をその一点へと集中させる。
その際、コキュートスの背中から廃熱の蒸気の如く吹き出した強烈な冷気は、それはまるでコキュートスの背中に巨大な氷の羽根を作り出したかの様に見えた。
対するクロコダインは全開にした自分の闘気を右腕一本に集中させる。
唯でさえごついクロコダインの腕が、凝縮された闘気によってパンプアップした事により、まるで拘束具だったのではと錯覚を産み出すかの様に、鎧の肩部と腕甲部の留め具がはじけ飛ぶ。後で修復する必要があるだろう。だがそんな事はこの技の前には些細な事である。
「むうううんっ!!!!この獣王会心撃に、砕けぬ物は…無いっ!!」
「我ガ闘争ハ今、満タサレル!!三毒ヲ斬リ払エ…アチャラナータ!!」
獣王と蟲王、その闘いの熱は冷める事を未だ知らない…
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2人の闘いを見守っていたザリュース達、リザードマンは一様に言葉を失っていた。
最早、目の前で行われているのは神同士の闘いだと言われた方が納得が出来るであろう等と益体も無いことをザリュースは思考する。
「ザリュース…前に言ったよな?俺の知っている最強はフロストドラゴンだってよ…訂正するぜ。コレに比べればアレなんざカミツキガメみたいなもんだ。」
ゼンベルの言うカミツキガメとはリザードマン達の食料の一つである亀の一種だ。そこそこに鋭い口で噛みついてくる為、迂闊に手を出せば痛い目を見る事になる…が、しょせんその程度だ。噛みつかれたならそのまま何かに叩き付けるなり爪で首を切り落とすなり、どうとでも出来る。むしろ自分の尾を囮に使って食いつかせる事で捕まえるなんてことすらある。
「俺はこれでもまだ、フロストドラゴンの方が強いなどと言われたら…二度とあの山の方には近づかん…一歩たりともだ。」
雄大なアゼルシア山脈をどこか遠い目で見ながら、ザリュースはしみじみと言った。ゼンベルも同感だと言わんばかりに山に視線を向ける…
目の前の闘いをリザードマン達は固唾を飲んで見守っているがその実、殆どの者には一体どんな闘いが行われているのか皆目検討もつかなかった…
どちらかの気合いの咆哮が響いたと思えばどちらかが吹き飛び、地形が変わる様な大爆発が起きたかと思えば世界は凍り付いては砕け散るを繰り返す…
それ等が目まぐるしいと表するのが憚られる程の速度で行われるのだから最早彼等には理解が出来ない世界だった。
『倶利伽羅剣!!』
『獣王会心撃!!』
そして、リザードマン達が見守る中で両雄の烈昂の叫びと共に放たれた超威力の技の応酬の余波が凄まじい閃光と衝撃波となって集落へと襲いかかる。
「皆、伏せろぉ!!」
「きゃあっ!」
シャースーリューの叫びに咄嗟にザリュースはクルシュを抱きしめて地に伏せる。
見れば、ほぼ全てのリザードマンが伏せっている中で木材で作られた家々が吹き飛ばされ、倒壊している…
「…無事か、クルシュ?」
「えぇ…それにしても、もう無茶苦茶ね…」
自分の理解を完全に超えた世界に頭痛を覚えながらクルシュも頭を左右に振るう…
「全くだ…」
それに同意しながらも、ザリュースは立ち上がると頭を一度大きく振るってから息を吸い込むと喉が張り裂けるのではと言う程に叫んだ…もはや自分達には出来る事など何も無いのだから。
「頑張ってくれっ!!クロコダイン!!!!」
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「ぐわあぁぁぁ!!!」
クロコダインの放った獣王会心撃とコキュートスのアチャラナータのぶつかり合い。それを制したのはコキュートスであった。
荒れ狂う闘気の渦を突破した不動明王の斬撃がクロコダインを吹き飛ばす。
それでも、かつてザイトルクワエを消滅させたあの日、スキルを発動させてまで守りに入ったアルベドの片腕を一撃で使い物にならなくさせたコキュートスの奥義もその勢いを確かに大きく減退させられていた。
その証拠によろりと…幽鬼の如く、されど力強く、全身から夥しい血を垂れ流しながらもクロコダインは再び立ち上がる。
「あれを受けてまだ立ち上がりますか…」
デミウルゴスの口調は冷静な物ではあったがその中には確かな困惑が確かにあった…彼らしくも無く、固く結ばれた口元には力が籠もっていた。
「確かにあのリザードマン、驚くべき耐久力でありんすが、それでも、コキュートスの方が優勢の様でありんす。」
シャルティアの言う通り、尚立ち上がり、何とか再び構えを取ったクロコダインへと追撃の為に四腕を振りかざし、特攻するコキュートス、どちらが優勢かは単純に考えれば一目両全だ。
「でも、コキュートスにももう余裕は無いわ。」
アルベドの見立ては冷静で、そして正しかった…
もうしばらくは再びクールタイムの関係でアチャラナータを放つ事は出来ない上、五体満足ではあるもののコキュートスの身体に刻まれた多くのダメージは楽観視出来る物では無いはずだ。それこそ平時であれば倒れ込んでいるのが普通のダメージだろう。
五月雨の如く、身を削る様に繰り出されるコキュートスの斬撃…その一つ一つが必殺の威力を誇っているだろうに、先程からそれをクロコダインは一歩も引く事無く、真正面から受け止め続けている。
それは端から見ていて少々、異様な光景であった…
まるで攻めている筈のコキュートスが、クロコダインに傷を与える度に追い詰められているかの様な奇妙な感覚がナザリックの面々に感じられてきたのだ。
「オオオォォォッ!!」
そして、遂に断頭牙の一撃がクロコダインの左目に深々と刃を食い込ませる…
「やった!!」
「頑張れ、コキュートス!!」
アウラの歓声が、マーレの声援が…
“ボキリッ…”
大閻魔反命を握っていたコキュートスの腕の一つがへし折られる音に掻き消された…
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(何ヲサレタッ!?)
コキュートスの思考を疑問が埋め尽くす。感覚で言えばクロコダインに強烈な一撃を見舞った瞬間、捨て身で向かって来たクロコダインに腕を捕られ、次の瞬間には強固の極みである筈の己の腕が曲がってはいけない方向に曲がっていた。
(有リ得ヌ…)
へし折れた関節からは、強酸性の液体窒素のような性質を持った己の体液が腕を滴っているのが分かる。
(我ガ腕ガ…)
それはユグドラシルの理を骨子として持つコキュートスには不可解な技だった…
元来ユグドラシルの世界は“痛み”の無い疑似世界。そして相対するは人知を超えたモンスター達だ。
そんな世界において先程クロコダインが放った技は全く持って存在理由を持たず、それ故にコキュートスにとってはそれが全くの未知の技に思えたのだ…
それは関節を破壊する為の人の業『関節技/サブミッション』…それは、王者の技だとある者は呼んでいた。
その一瞬…であった……!
己の腕をへし折られる…それも素手で…等というよもやの事態にコキュートスが意識を逸らした、この瞬間まで…!!
それは時間にしても…一秒にも満たない時間だった…!!
だが…
その瞬間に…
クロコダインは次の行動を起こしていた…!!!!
「ぬうおぉぉぉ…!!獣王…爆裂拳!!」
「グワァァァ~~!!!!」
烈昂の気合いと共にクロコダインが打ち出したのは闘気を纏わせた拳の乱打!!爆裂の名を冠するに相応しい、超速で繰り出された四つの剛撃を受けて、コキュートスの身体が吹き飛んだ。
その破壊力は先程までの拳とは一線を隔すものであった…
2人の距離が再び開いた…
先程とは逆の光景、戦闘体勢で構えをとったクロコダインと、立ち上がろうとするコキュートス…目まぐるしく変わる戦況はそれだけ両者の実力は伯仲しているからだ。
よろりとコキュートスが立ち上がったのを確認して、クロコダインは何とグレイトアックスを大地に突き立てるとまるで挑発するかの如くコキュートスに手の平を向ける。
「コキュートスよ…『アチャラナータ』で来い!!」
否、実際それは挑発であった。
『アチャラナータ』…それは又の名を不動明王剣。クロコダインの知る限り、種族アスラの放つ事が出来る最強の奥義の一つであり、先程自身の必殺技『獣王会心撃』を真正面から打ち破った技だった。
「………」
無言でコキュートスはアチャラナータの構えに入る…コキュートスのその呼吸は荒い。
都合良く、先程の攻防でクールタイムも終わっている。折れた腕は、関節に氷を纏わせる事で強引に固め、十全には振るえないまでも、多少はマシになった。
何より、クロコダインは一度は自分が敗れた技を撃ってこいと言っているのだ…ここで退いては武人の名が廃るという物だ。
「オオォォォォ!!!!!」
コキュートスがアチャラナータを放つ為の構えをとったと同時、クロコダインも魂を燃え上がらせる様に己の内の闘気を増幅、循環させると炎の様な赤いオーラを全身に纏う。
それは、クロコダインの習得している日に二発まで使用可能なスキル『闘魂/ヒートソウル』の発動だった。
効果は至って単純。次に放つ物理属性攻撃の最終ダメージに3倍の補正を加えるという物だ。
そして、漲る闘気は再び腕部へと収束する…それも今度は先程と違い、両腕にである。
「デハ行クゾ、獣王!!」
「来い、コキュートス!!」
一筋の閃光となったコキュートスを、巨大な闘気の渦が迎え撃つ…その威力は、一度目の獣王会心撃を大きく上回っていた。
それでも其処までは先程までと同じだった…
もう一つの逆回転の闘気の渦がコキュートスを飲み込むまでは!!
「コ…コレハッ!?」
もう一つの獣王会心撃がコキュートスに襲いかかった瞬間、遂にコキュートスの前進が止められた…最早、完全な防御体勢に移らねばこの攻撃は耐え凌げる物では無い!!ギシリギシリと最早、体中が悲鳴を上げている様だ!
「これで…!!」
凄まじい闘気流の中を耐え凌ごうとするコキュートスに対し、既に満身創痍であるクロコダインもついに最後の一手を打つ…
「これこそが…!!」
左右それぞれの手の平から放たれる獣王会心撃、それがクロコダインの両手の平が組み合わさる事によって遂に一つの巨大な闘気流へと変貌する!!
「俺の『獣王激烈掌』だぁっ!!!!」
そして、組み合わさったクロコダインの手の平が、まるで咆哮を上げる竜の顎の様な形へと至った瞬間“ギャン”と…空間そのものが捩れ千切れる様な奇妙な音が周囲に轟く…
「バ、バカナァッ!!?」
同時、螺旋を描く莫大な破壊エネルギーの奔流となった闘気の渦が、遂にコキュートスを飲み込む…
それがこの闘いの幕引きの一撃となった…
次回予告
やめて!クロコダインの特殊能力で獣王激烈掌をコキュートスが受けたりしたら、熱い忠義で繋がってるアインズ様の精神まで燃え尽きちゃう!
お願い、死なないでコキュートス!あんたが今ここで倒れたら、アインズ様やリザードマンとの約束はどうなっちゃうの?
ライフはまだ残ってる。これを耐えれば、クロコダインに勝てるんだから!
次回、「コキュートス、死す。」デュエルスタンバイ!
次話、ハロウィンが終わったら…