side如月
沈んでいく......。
暗い...深い...寒い...海の底へ......。
いや!行きたくない!戻りたい!帰して!
だけど体は動かない...下に落ちていくとそこから夥しい数の白い腕が伸びてきて私を捕らえる。
いや!離して!怖い!沈みたくない!!
誰か...助...けて......
必死に水面の明かりに手を伸ばす......。すると...
【スッ...】
不意に伸ばした腕を掴まれる。
目の前には水面の光でよく見えないが私の腕を掴む人影......
だ...れ......?
__________
「ッッ!!......」(ガバッ!)
また、あの夢......。
眠るたびにいつも夢に出てくる。
暗くて深い海の底に沈んでいく恐怖......。
恐くて...戻りたい...でも、行かなきゃならないのかもという思いに囚われて何もできなくなる。
でも、最後のあの場面だけはどこか安心する......。
あの人影はいったい誰だったのだろう......?
そんなことをぼんやりと考えながら窓の外を見る。
外を眺めていると、ある少年が目に入ってきた。
その少年はピンクの髪にアンテナのような物を付け、眼鏡をして白い軍服を身に纏っている。
何かしら?どうしてこんなに懐かしく感じるの?
私はしばらくその少年を見つめてふと考える......。
気になるなら少し話をしてみてもいいのではないか...と。
私は部屋を出ると、その少年の所に向かい声をかける。
「あの...」
『ん?如月か。もう起きても平気なのか?
「はい...えっと、あなたは?」
『僕か?僕は斉木楠雄。アニメ鎮守府の提督でお前の元上司だ......。
「元...ですか?」
『あぁ、お前は艦娘じゃない、深海棲艦だからな」
「そう...ですか......」
何故だろう?自分が艦娘じゃないと言われて悲しいはずなのに。
この人に言われたらなぜかストンと納得できてる私がいる......。
「......私はどうしたらいいんでしょうか......」
『好きに生きればいい、深海棲艦として海に帰るでも、艦娘として睦月たちと一緒にいるでもな......。
「私の...好きなように...?」
『あぁ、お前の人生だ、お前が決めることだ。僕は何も言わない
私の好きなように...じゃあ......
「......あなたの側に居てもいいですか?」
『......どうして僕なんだ?
自分でもどうしてなのか分からない、けど、この人といるとなぜかとても安心する......。
『......好きにしてくれ
「......ありがとうございます...おにいちゃん」
無意識に呟いていた言葉が耳に入り、私は慌てて手で口を塞ぐ。
どうしよう...今の絶対聞かれてるわよね......?
『......なんでそう呼んだんだ?
「ごめんなさい!何故だかわからないけれど無意識で......」
『そうか......クツキノエイキョウガデテイルノカ?
「......?」
何を言っているのかしら?
『気にするな、こっちの話だ......。
「はい......」
この人なら信じてみてもいいかもしれない...。
信じてるわね......お兄ちゃん。
sideout
side來月
艦隊に指示を出し終えた私は部屋に戻って来ていた。
「ふぅ、ちょっと疲れたわね」
そんなことを呟きながら部屋に入る。
中に入ると私はある物が入れ替わっていることに気が付いた。
机の上に置いてあったはずの便箋が何かが書かれているメモ用紙へと変わっていたのだ。
「こんなこと出来るのはお兄ちゃんだけよね」
そう言ってメモ用紙を手に取り内容を確認する。
「そう.....そんなことが...え?...嘘......」
紙に書かれていたのは
現状報告だけならまだいい......。その後の推理が衝撃的だった。
内容はこんなものだ......。
今の如月は恐らく轟沈した時に離別した艦娘としての私が深海棲艦化したものらしい。
なので、私が艤装の装着が出来ないことや、
身体能力が人間並みにまで落ちたのは轟沈した時に
艦娘としての如月......。
人間としての斉木來月という風に分かれたものだろうとのことだった。
私はその内容を見て驚愕していた。
確かに艤装の装着などは出来なくなったけど。
それは体が小さくなってしまったからだと思っていたし、身体能力のについてはそこまで気にするようなものではなかったからだ。
まさか、艦娘としての力が失われていただなんて......。
でも妖精さんは見えていたという事は完全に消えているという訳ではないのかしら?
と、そんなことを考えながら裏面を見ると、そこには続きが書かれていた。
『もしかしたらお前の力が必要になるかもしれない。その為に準備だけはしておいてくれ』と......。
おにいちゃんが私に頼ってくるなんて......。
私は笑みをこぼしながらいつ迎えが来てもいいように準備を始めるのだった。
なんだか書いてて自分でよく分からなくなってしまった......。