side斉木
「では提督、私達も行って参ります」
『あぁ、気をつけろよ?絶対に沈むんじゃないぞ......。
「クスッ...沈まないわ、約束する」
『頼んだぞ......。
「はい!いくぞ!!(ザザアァァ...)」
やれやれ、ようやく行ったか。
如月の様子も気にはなるが、今は先に來月を連れてきておかないとな。
では、『瞬間移動』!
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ふう、着いたな。
「え?おにいちゃん?」
ん?この声はまさか......
「お帰りなさい、おにいちゃん♪」
『やはりお前だったか、來月......。
まあ、執務室に飛んだのだから居て当然と言えば当然なんだが......。
「ここに来たってことは、昨日のメッセージの件かしら?」
中々鋭いじゃないか。
『そうだな、昨日、メモに書いた通り、お前を迎えに来たんだ......。
「やっぱりそうよね、じゃあ少し待ってて(カキカキ)」
......何をするつもりなんだ?
「うん、これでいいかしらね、妖精さん、少し頼んでもいいかしら?」
「(ポンッ)はいです!なにすればいいですかなにすればいいのです?」
「この手紙を大鳳さんに届けてほしいの」
「りょうかいなのです!さっそくいってくるです!(ポンッ)」
大鳳に手紙?置手紙代わりか?
「ほら、私がまでここを離れちゃうと艦隊を指揮する人がいなくなっちゃうでしょ?だからその代理を大鳳さんに昨晩お願いしておいたの」
なるほど、そういうことか、確かに大鳳なら真面目だし戦況分析も良く出来る。アイツなら指揮もうまく取れるだろう。
『そうか、考えたじゃないか、來月......。
「ふふっこれでもおにいちゃんの妹なのよ?」
『元艦娘』が付くという事を忘れていないと良いが......
『そうだな、じゃあそろそろ行くぞ......。
「えぇ、それじゃあお願いねおにいちゃん♪」
何故そこで嬉しそうにするのか分からないが、まあいい。
『しっかりと掴んでいるんだぞ?『瞬間移動』......。
【斉木と來月は、ショートランド前進泊地へとテレポートしていくのであった】
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『(スタッ)ほら、着いたぞ......。
「相変わらず便利よね、おにいちゃんの『
鎮守府から
『そうだな、まあ、そういう能力だからな......。
と、のんびり話している訳にもいかないな。
取りあえずは如月の様子を見てみるとするか、『千里眼』
(ギョロンッ)
「きゃっ!?ち、ちょっとおにいちゃん?」
『気が散るから話しかけるな......。
「あ、ごめんなさい......」
やれやれ、まったく......。
さて、如月は何処に...ん?部屋には居ないか、じゃあどこにいる?
(キョロキョロ)
「.........(ザァァ)」
居た!だが何故海に出ているんだ?
艤装は...艦娘の時の物か。
(睦月ちゃん...待っていて)
なるほど、そういうことか。
『來月、僕も少し出てくる、お前は念のために指令室で待っていろ......。
「え?分かったわ、おにいちゃんも気を付けてね......」
『あぁ、分かってる、『瞬間移動』!
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さて、ソロモン海域まで来たはいいが、艦隊は大丈夫だろうか。
赤城達は...無事のようだな。善戦しているみたいだ......。
川内や神通の方は...まだ会敵はしていないようだな。
これなら少し様子を見つつ、飛びながら向かうとするか『
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大分飛んでるが...もう日も落ちたな......。
川内達の様子は(ギョロンッ)...交戦中か、比叡率いる主力部隊の方は(キョロ)...こちらも交戦中か。
どちらかに加勢するか?いや、今は様子見だな......。
すまない川内達...もう少しだけ耐えてくれ......。
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少し経ったが...如月の影は姿は見つからなかったな。
川内達は...(ギョロンッ)
「夜はいいよね...また、夜に逝くのも...悪くない(ジャキッ)」
なっ!?川内の奴、もうボロボロじゃないか!比叡や霧島もかなりの損傷具合だ......。
暁もよく見れば中破しているようだ。
これはマズイ!すぐに向かおう!
『瞬間移動』!
sideout
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side川内
「グギャアァァァァァッッ!!!」
「チッ...あぐっ...」
「川内!」
「大丈夫だよ!まだまだいけるって」
はぁ...折角の夜戦だってのに...この傷じゃうまく戦えないよ......。
「川内さん!後ろぉッッ!」
「え...?」
「グギャアァァァァァッッ!!(ドゴンッ!!)」
暁の叫びに振り向くがもう遅い。
私に距離を詰めていた敵駆逐艦が主砲を撃ち放っていた。
もう目の前まで迫っている怨念のように真っ赤な砲弾。
あぁ...これで終わりかな...神通、那珂、後の事は任せたよ......。
私は次に来るだろう痛みと衝撃に備えて目を固く閉じる
でも...出来れば最後に、提督に撫でてもらいたかったな......
そう考えながら、私の脳裏には走馬灯のように今までの思い出が思い起こされる。
だが、そうしている間、痛みや衝撃は全くと言って良いほど来ない。
『なら、生きて帰ったらいくらでもやってやる......。
「......え?(パチッ)」
その声に恐る恐る目を開けてみる...すると視界に映ったのは......。
『全く...危ない所だったな、川内......。
そう言って私の前に立ちながら、砲弾を受け止めている提督の姿だった。
「え...て、提督!?どうしてここに?」
『部下の危機に何も思わない上司なんていないだろ......。
(ガガガガガガガガッッ!!)
提督、そんなこと言われたら...クラっと来ちゃうじゃん......
でも、そういうのは敵を蹂躙吹き飛ばしながら言うものでもないと私は思うんだよね......。
そんな感じで、周りの敵を一掃した提督は一息つくと私の方を見て言う。
『ほら、動くなよ?『一日戻し』......。
提督が軽く私に手を翳す、するとどうだろう、見る見るうちに傷が消えていくじゃないか。
「ッ!?傷が消えてく...?」
『一応の応急処置だ、お前の身体と艤装の状態を一日前に戻した。
だが、この手はもう使えないから今度は気を付けてやってくれ......。
「あぁ!サンキュー!提督!」
『まったく...ほら、お前たちもやってやるから動くなよ?
そう言って提督は、私と同じように他の皆の傷を戻していく。
「おぉ!体が軽くなった!」
「十分以上かと!流石は司令!データ以上の方ですね!」
「魚雷も戻ったし、これならまだまだ戦えそうだね~」
「えぇ、そうね北上さん!」
「レディの実力見せつけてやるんだから!!」
比叡達も動けるようになって楽しそうに喜んでいる。
『僕に出来るのはここまでだ、そういえば吹雪たちは何処に行ったんだ?
「特型駆逐艦?あの子達なら、先に進んだよ比較的損傷が少ない子達だったからね」
『そうか、なら後を追ってみるか、じゃあ僕は吹雪たちの後を追う、お前達も沈むんじゃないぞ?『瞬間移動』!(シュンッ)
そう言うと提督は姿を消した。
それを見送って私は皆に声を掛ける。
「さあ、戦えるようになったし夜戦だよ夜戦!!」
ここまでしてもらったんだ、簡単には沈んでなんかやらないよ!
sideout
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side斉木
さて、吹雪は...ん?あれは...吹雪か?
...いや違う、あれは...大和!?
どういうことだ!?ボロボロじゃないか!
『大和!大丈夫か!?今治してやる...『一日戻し』!
(キュイィィンッ)
「てい...とく...?...どうして...ここに......」
「提督!?」
「おにいちゃん!?」
『聞きたいことは色々あるだろうが今は後だ。はあぁぁぁぁぁああ!!
(ズガガガガガガガガガッッ)
「「「「「グギャアァァァァァッッ...!!(ドゴゴーンッッ)」」」」」
よし、大和に傷も治ったし、後は...ん?吹雪の姿がない?
『大和、吹雪の姿がないじゃないか......。
「提督、それはですね......」
「おにいちゃん、吹雪ちゃんなら...あそこ」
あそこ?...なっ!?
『なんだ...あの趣味の悪い光の柱は...あの中に吹雪がいるのか?
「「えぇ...」」
「うん...」
『そうか......。
しかし、あれには近づけそうにないな......。
ッ!生身で近づけないのなら、霊体で行けばいい......。
『大和、少しの間僕の身体を頼む。
(バタッ...スウ)
「っ!?提督!?」
よし、上手く幽体離脱出来たな
《いやっ...!そんなのっ...!》
ん?今の声は...吹雪だな。
どうやらあまり時間はなさそうだ、急ぐとしよう。
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ふむ、なんとか辿り着いたが......
「............」
完全に水底に沈んでしまっているんだが、大丈夫なのか?
仕方ないアレをやるか......。
『精神統合』
あまり自信はないが、今はこれに賭けてみるしかないな。
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「消エテシマエオ前モ!
ソノ為ニオ前ハ、帰ッテキタンダロウ!
何度デモ何度デモココニ戻ッテ来テ沈メ!
光ナド無イ望ミナド無イコノ水底デ!!
ソウシテ誰カラモ忘レ去ラレテ...消エテユケ!」
「いや...だっ!うぅっ...!!」
何だこれは...吹雪が吹雪らしき深海棲艦に襲われている...?
周りには以前軍艦だった者たちの無念の声......。
よく分からないが、あのままではマズイだろうな。
この姿では大したことは出来ないが手助けをしてやろう。
何故吹雪に似ているのか知らないが、アイツに見せてやろう。
超能力者の力をな!
sideout
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side吹雪
ぐっ...うぅ...いやだっ...ここで終わりなんて...!
でも、もう力が......
嫌な感覚が私の体を蝕んでいく。
駄目だ...もう抵抗する力が......。
司令官だったらこんな時、あっさりと跳ね退けちゃうんだろうな......。
司令官、司令かン、司令カン、司れイカン、シレイカン......。
「し...れい...かん...ごめん...なさい
...」
私が諦めかけたその時でした。
『やれやれ、まったく、僕はそんな軟弱に育てた覚えはないぞ?吹雪......。
そんな声が頭の中に響いて来たんです。
え?この声まさか司令官!?どうやって......。
『今お前の身体に入り込んで精神を一体化させている。だからこうしてここに来ることが出来たんだ......。
そんなことが...やっぱり人間じゃないよね、司令官って......。
『そんなことより、お前はこんなところで諦めるのか?お前達は希望なんだろ?その希望の一人であるお前が、こんなところで諦めてどうする!立ち上がれ!そして最後まで抵抗してみろ!少なくとも僕はそうあってほしいという願いを込めてお前達を育てていたぞてい......。
「っ!」
そうか、そうだったんだ、司令官は、いや、皆にとって私は、希望なんだ......。
皆の、想いが創り出した...希望なんだ......
この戦いを越えて、先に進むための......!
こんなところで!諦めてなんていられない!!
(ギュウッ)
そうですよね、司令官!
私、諦めません!きっと帰ってこの海を取り戻すんだから!!!
もう、逃げだしたりするのは止めよう...ね?もう一人の私......。
sideout
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side斉木
ふう、なんとか戻ってこられたな。
あのまま入っていたら僕は吹雪の精神に取り込まれるところだった......。
あの後吹雪がどうしたかは僕にはわからない...だが、大丈夫だ。
そう信じよう......。
さて、僕も自分の身体に戻らないとな。
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『ん......(パチリ)
「ッ!提督!!良かったぁ...」
なんだ?大和のさっきの死人を見たような反応は......。
「提督、先程まで心臓が止まっていたんですよ?急に倒れて動かなくなってしまうものですから死んでしまったと思っていたのに......」
あぁ、それでさっきの表情だったという訳か。
『心配かけて悪かった、先程のは『幽体離脱』、と言って、僕は任意で自身の魂を身体を離れて行動することが出来るんだ......。
「そ、そうだったんですか...?もう!そんなことが出来るなら早めに教えておいてください!オ、オカゲデアンナコトシチャッタジャナイデスカ…」
ん?最後の方、何て言っているんだ?小さすぎてよく聞き取れなかったな。
と、それより......。
『これは...いったいどういう状況なんだ?
何故こんなに辺りが光に包まれている?
(バシャッ)
「如月ちゃん!!」
ん?どうし...ッ!?
深海棲艦が...消えていっている...?
これは不味い......。
『大和、少しだけこの場を離れる。すぐに戻る『瞬間移動』!
(シュンッ)
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『來月!いるか!
「どうしたのおにいちゃん?私ならここに......」
『お前の力が必要になった!すぐに飛ぶ!掴まっていろ。
急がなければ手遅れになってしまう!それだけは避けたい......!
「...何が何だか分からないけど、分かったわ(ギュッ)
これでいいの?」
『あぁ、じゃあ行くぞ、『瞬間移動』!
(シュンッ)
sideout
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side三人称
「睦月ちゃん...私...今度は...ちゃんと...お別れ...言いたかったの...」
消えゆく光の中で、如月がそう口にする。
睦月の腕の中で、幸せそうに......。
「ずっと...ずっと一緒だよ......。
絶対に...また会おうね...私、如月ちゃんの事見つけるから...!
だからっ...睦月のことっ...忘れないでねっ!」
『その必要はないぞ、睦月、如月......。
涙でグチャグチャの睦月と今にも消えそうな如月に駆けられる声があった。
何を隠そう、斉木楠雄だ。
斉木の背中には十代前半くらいの黒髪の少女が背負われている。
そう、この少女こそ、斉木を兄として慕い、鎮守府の副提督を務めている。斉木來月その人なのだ。
「おにい...ちゃん...?それ...って?」
如月が消え入りそうな声で問いかける。
しかし、それに答えたのは斉木ではなく、背中の少女の方だった。
少女は斉木に念
「それについては私から話すわね、でも、その前に一言謝らせて...ごめんなさい」
「「え?」」
突然の謝罪に困惑する二人。
「おにいちゃん、アレ、解いて...」
來月の指示に斉木がなにやら來月に手を向ける。
すると來月の姿がブレ、その中から如月に瓜二つの少女が姿を現した。
「ッ!?!?」
「え...如月ちゃん...なの?」
睦月の言葉に來月であった少女は小さく頷いて話し出す。
「えぇ、私は如月、あの作戦の時、轟沈したはずの艦娘よ」
「で、でも...如月ちゃんはここに......」
「それについては今から話すわ...実は私達は元々一つだったの。でも、あの時、私達は
分かれてしまった...提督の手によって...」
「え?提督?いったいどういうことなの?」
「如月、あなたなら分かるでしょう?あの日、沈んだあの時の事を...
沈んで、暗くて深く寒い水底に落ちていく...けど、その中で一つだけ希望があった...あなたにも覚えがあるでしょう?」
「え...えぇ...」
「あなたはそれが何なのか分からないかもしれない、あの正体はおにいちゃんなの」
「え!?」
慌てて斉木を見る如月。
「驚くのも無理はないと思う、あの時、私は確かに沈んだ......。
だけど、私は深海棲艦にはならなかった。それはおにいちゃんが助け出してくれたから...」
「え?て、提督が?」
今まで黙って聞いていた睦月が口を開く。
「えぇ、睦月ちゃん、あの時、おにいちゃんは私が沈んだ場所のすぐ近くにいたらしいの、それで助けてもらえたのよ...」
でも、と
「助からなかった私もいた...それは艦娘としての私...。
そう、あなたの事よ如月...」
「あなたが...私...」
「えぇ、一度は分離してしまったあなたと私...でも、今一度一つになる時...」
そう言って消えかかっている如月に近づいていき、その手を握る。
その瞬間、二人を眩い光が包み込む。
その光はやがて一つになっていき、一人の人型のシルエットへと変わった。
光は斉木の方を見て話す。
『お兄ちゃん、私、先に鎮守府に戻っているわね』
『あぁ、僕もすぐに帰る......。
「待っているわね...」
そう言うと人型の光は、一筋の光となって鎮守府方面へと飛んでいき、消えた。
斉木はそれを見届けてから口を開く。
『さぁ、僕達も戻るぞ......。
「「はい!」」
大和と睦月の元気のいい返事で斉木達は泊地へと戻っていくのだった。
sideout
____________________
side斉木
ソロモン海域の一件から数日......。
僕はいつもと変わらない日常を過ごしていた。
『というより、お前は何故ここにいる?如月......。
「何を言っているのよお兄ちゃん、私は如月であり、お兄ちゃんの妹、斉木來月なんだから♪」
そもそも艦娘に戻っただけじゃないのか?
『じゃあお前は一体何なんだ......。
「ようやく聞いてくれたわね、私は睦月型駆逐艦二番艦であり、斉木楠雄の妹、如月來月よ♪おにいちゃん」
それはもはや艦娘なのか妹なのか分からないな......。
『全く意味が理解できないが、とりあえず...
『よく帰ってきたな如月......。
「はい!如月、ただいまお兄ちゃんのもとに帰投しました!(ビシッ)」
と、いうわけで鎮守府提督のΨ難はこれにて完結となります!
思えば思い付きから始まったこのシリーズ、最初はアニメシリーズにするつもりは毛頭なかったんですよね......。
だってそもそも一話目がアニメ関係ないんですもん。
でも、なんだかんだこうして話を書いてきて、完結させることが出来てよかったなと思います。
最後の方はかなり駆け足になってしまった感もありますが、そこの辺りはご了承ください......。
では、長々と今までお付き合いいただき本当にありがとうございました!
よろしければ別作品も読んでいただけると嬉しいです。
ではでは~