兄貴と師匠に勝てない…………
えっと…………お久しぶりです。
「久しいな小僧よ!そういえばお主の名を聞いておらんかったわ。教えてくれんか?」
あ、
「よいよい、それよりもそこの二人は誰なのだ?透よ」
あ、そうだった。じゃあ二人共、自己紹介を。
「マシュ・キリエライトです。先輩がご迷惑をお掛けしました」
「初めまして、私はメアリー・スーと申します。この度はこちらのせいで混乱させてしまい申し訳ありません。お詫びと言ってはなんですが、私の貯蔵している酒がございます。宜しければぜひ…」
「何!?酒とな!!?これは楽しみだのう」
「お前は酒に釣られ過ぎだ!!」
すかさずウェイバーがツッコミを入れる。
まぁ流石に俺も警戒心緩くね?とか思っているが、イスカンダルならたとえ罠だろうと普通に飲みそうなイメージがある。
ていうかメアリーいつの間に酒なんか用意していたんだ……
「透が寝ている間にね、たまにマシュと飲んでいるのよ。貴方お酒飲めないでしょ?」
うっ……確かにそうだ。つうかマシュ酒飲めんのかよ!
「まぁ興味があったら飲ませてあげるわね」
そう話していると、英雄王が沈黙を破り口を開いた。
「おい、女。確かメアリーとか言ったか………せめてこの俺を唸らせる程度の酒でなければ、タダでは済まんと思え」
おいおい、大丈夫なのか?嫌な予感しかしないぞ。
「大丈夫よ。では、こちらがその品でございます。
おい!?それトリコの世界に出てくる酒と食材じゃねぇか!!
何故メアリーが!?
「何故って……わざわざ取ってきたに決まってるじゃない。たまに調達に行ってるのよ?勿論、私の擬似宇宙空間に保管してあるけどね」
まさか俺の知らないところでそんな事をしていたとは……
ていうかちゃっかりギルさんが酒に興味もってね?なんか問答無用で串刺しにされるかと思ったけど。
「おお!こりゃあ美味い酒だ!!このチーズ白菜とやらによく合う!さっき飲んだ酒も格別だったが、これもまた最高の一品だ!!」
「確かに………かなり刺激が強い酒だが、味わい深く美味です。太陽酒か…………ガウェイン卿にも飲ませてあげたいですね」
最初はこちらを睨んで警戒していたセイバーだが、酒を飲んだ途端にハマったのか、少し表情が柔らかくなっている。どうやら二人は満足してくれているようだ。
さて…………問題は我様だが…………
「ふむ……太陽と称しているだけはあるが、まだまだ我を唸らせるにわ足りんな。だが、多少の及第点はくれてやろう」
「お口に合って何よりです。では次にデザートの虹の実をどうぞ。こちらはそのままスプーンで召し上がってください。マスターの皆さんには太陽酒は刺激が強すぎるので、水晶コーラをどうぞ」
「まあ、ご丁寧にどうも…………まぁ!美味しい!」
いつの間にか場に溶け込んでいたアイリスフィールが普通に楽しんでいた。
「くそぉ………………う、美味い……」
半場ヤケクソで飲んだウェイバーも何だかんだで馴染んでるし、中々好評のようだ。
「……透といいましたか、貴方達は一体何者なんです?まるで何処からか転移したように見えたのですが」
ええっと…………旅行先のロンドンから帰ろうとしたら俺のせいで此処に来てしまったんです……はい。
「この透が楽して帰りたくて私に一瞬で帰る方法がないか頼んだのだけど、転移する際に使う指輪に透が触っちゃって……座標がズレちゃったのよ」
「 「 「 「 は? 」 」 」 」 「ほう?」
ギル以外のサーヴァントやマスターが、そんな馬鹿なみたいな顔をしている。まぁ無理もないけどね。
「はぁ!?ロンドンからここまで一瞬で転移なんて出来るわけないだろ!」
まあまあ落ち着きたまえ。メアリー、証拠になりそうなこと出来る?
「そうねぇ、やってもいいけれど…………その前にコソコソ隠れているネズミが邪魔ね。消し飛ばしていいかしら」
「えっ………………な、何を言っているんだ?」
「…………ほう、お主も気づいたか」
え?………ネズミか何かいるの?そんなに不衛生なのかこの城は……
「先輩、アサシンの事ですよ。念のために私の後に」
ちょ!?マジかよ!
そうしている間に周囲がアサシンに囲まれていた。
マシュも警戒していつでも斬れるように臨戦態勢だ。
するとライダーがアサシンに声をかける。
「お、おい!まさかこいつらも誘うなんて言うんじゃ……」
「さあ遠慮はいらぬ!共に語り合いたい者はこの杯を取るがいい!!この杯は!貴様等の血と共にある!!!」
そう言ってメアリーの太陽酒を掲げながらアサシン達に呼びかける。
だが、アサシンから返ってきたのは一本の短剣だった。アサシンによって落とされた酒はライダーの着ているTシャツにシミを作り、それをアサシン達が嘲笑っているように見えた。
そして、その瞬間に空気は一変した………………メアリーの殺意によって。
ズン!!!!!!!!!!!
まるで重力が何倍にもなったように、空気が重くなった。
その殺意にサーヴァント達も思わず息を呑む。
「誰だ………………私の酒を粗末にした愚かな屑は………正直に出てこい…今なら即死で許してやる。いや、やっぱり駄目だな。皆殺しにしよう……」
め、メアリー……さん?
「ああ………透は安心していいわよ………すぐ終わるから……ね?マシュの側にいなさい」
は、はい…………(あるぇ?メアリーってこんなだったっけ?)ガクブル
「先輩、大人しくしていましょう。ほら、そんな小鹿みたいに震えてないで……よしよし、怖くなーい怖くなーい。アイスキャンデーありますよ~」
今だけは素直に従っておこう。本人の好きにやらせてあげようじゃないか(思考放棄)
「く!!この威圧感は!なんという!!」
「こりゃあ、ちと不味いかのぅ……」
「…………………………」
各々が反応を示した瞬間に、メアリーが動いた。
グワン!!!!!!
空間が一瞬歪んだと思うと、辺り一面が真っ赤に染まった空間に変わる。赤く染まった空に雲、そして足元には空を反射したかのように赤い水面が地平線の彼方まで続いていた。俺達はいつの間にか巨大な人の手のようなものに乗せられていた。アサシン達を見下ろすような形で。
わかりやすく言うとうちはイタチの月詠の幻術空間とかベルセルクの蝕みたいな光景。
俗に言うあれかな?フリーザ様の
『絶対にゆるさんぞ虫ケラども!!ジワジワとなぶり殺しにしてくれる!!!!!!』
的な感じか。ていうか皆なんで黙ってるの?確かに赤すぎて目に悪そうだけどさぁ。
「こ、これはまさか!固有結界!?!!そんな!サーヴァントでもないのにそんな事が!?」
「う、嘘だろ!?」
「只者とは思っていませんでしたが、これ程とは……」
「うむ!決めたぞ!!あ奴を余の軍門に加え「そんなこと言ってる場合か!!?!?!!」
一人を除いて皆さん驚いたり興奮したりと。
「お前達の処刑方法は……そうねぇ…………単純に生贄にしましょうか。ただし、餌としてね」パチン
メアリーが指を鳴らすと、下の水面から何かが大量に溢れ出てくる。
「取り敢えず、1万の
蹂躙が、始まうとしていた。
酒こぼしたくらいでやり過ぎだ!!