プロビデンス/神々の摂理   作:TAINZ

2 / 5
ゲスの勘繰りは命取りだぜー

リン・リン・リン・リン・リン・リン/////////////

 

ツクヨミが杖の先でトンっと床を叩く、すると社全体に警戒(けいかい)音が鳴り響いた。

 

「お呼びで御座いますか」

 

長い赤髪を左上で1つに束ね、白い薄絹(うすぎぬ)単衣(ひとえ)を赤い腰紐(こしひも)だけで留めた、見るからに(なま)めかしい女が物音ひとつ立てずに現れた。

 

「サルメ、輝矢を放て!」

 

「お色は」

 

「赤と黄」

 

「鬼で御座いますか…、(ただ)ちに」

 

『ま・待ってよー、あたしはまだ宣託(せんたく)をしてないよー』

 

(きびす)を返したサルメをヒミコが呼び止める。

 

「おね~ちゃん、ギの国が(ほろ)ぼされてもいいの」

 

ツクヨミは語気を荒げてヒミコに言い放つ、

 

『よくない…、でも・そーじゃなくって、…鬼は戦争じゃん、戦争になったら人も・動物も・植物も・大地も…海だって死んじゃう…』

 

「ヒミコ様、戦わねば真っ先に死ぬのはギの民に御座います、どうかご高配ください」

 

(うつむ)くヒミコに対してサルメはゆっくりと話しかけた、家臣としてというよりは姉の様ないたわりが感じられる。

 

「おね~ちゃん、もう打たれてるんだよ! 迷っている時間はないの、お願い…わたし達を…守って~」

 

必死に(うった)えるツクヨミと、包み込むような眼差しを向けるサルメの顔を交互に(なが)め、

 

『でも…、戦争になったら、超絶魔法の打ち合いになったら、もし七竜天蒸発なんて打ったらネの大地はほとんど死んじゃう、大地が死んだら樹木が枯れて、樹木が枯れれば獣もいなくなって、樹木が無くなれば大地は海に流される、土砂で海が(にご)れば魚が住めなくなる、魚が取れなければ人も生きられない、土地が枯れ食物が()られなければ、人は別の土地を求めるよ、そーしたらこの戦争は他国を巻き込んで終わらなくなっちゃう…』

 

ヒミコは呪文のようにブツブツと今後の展開(てんかい)思案(しあん)していたが、

 

「先のことなんてど~でもいいの! 今は攻撃されてんだからそれをどうにかしなきゃじゃん、サルメ・舞って~」

 

『あーこらー、勝手に決めるなー』

 

「ヒミコ様、先のことは生き()びてから考えましょう、ふふふっ」

 

不敵(ふてき)な笑みを浮かべたサルメに対して、ヒミコは苦悩の表情を向ける、

 

「おね~ちゃんごめんね・(ばく)! わたしはサニワ…本来ならおね~ちゃんの宣託を伝えるのが役目、でもそれは平時の時であって戦に成った時は別だよ」

 

ツクヨミはヒミコに対して呪縛魔法を掛けた、そしてヒミコの動きが封じられる、

 

『だ…め……』

 

サルメは薄絹をスルリと脱ぎ捨て全裸となると自らの人差し指を噛み血を流す、指から流れる血で目の周りを縁取った、そのまま乳房のふくらみに沿って円を描きその中に陰陽(おんみょう)の図柄を、腹から股にかけて牙の生えた大きな口を、そして胸から肩にかけて曲がった角を描いた、サルメの裸体に赤い血染めの鬼が描き終わった、その姿のまま聖櫃をあとにする。

 

美しくも恐ろしい赤鬼(サルメ)は両手と両足に巻いた鈴の音を響かせながら、社の舞台で激しさの中に甘美を、妖艶さの中に荒々しさをまじえ舞った。

 

武装した男達は太鼓を叩き四股(しこ)を踏む、赤と黄の輝矢が次々に放たれさらに舞台を盛り上げた、男達の顔に彫られた刺青(いれずみ)が赤色に変わっていく、戦士達の闘志(とうし)が刺青の色と共に燃え上がりたぎってゆく、

 

そして、ギの国の戦準備が整った。

 

ツクヨミはヒミコに懸けた呪縛魔法を解き、すぐさま別の魔法を発動させる、

 

「…たいき(大氣)あやつ()りしかぜ()せい()だいち(大地)うご()かしつち()せい()………土巌流障壁(どがんりゅうしょうへき)~」

 

ツクヨミが呪文を唱えると社を中心に竜巻が発生した、竜巻は社の外側にある土や石だけを上空へと巻き上げる、そして上空には巻き上げられた土石が回転しながら固まり分厚く巨大な岩盤を作りだした。

 

「おね~ちゃん、も~後には戻れないよ、今はこの危機だけに集中して~」

 

ツクヨミは杖を持った右手を(かか)げながら叫ぶ、

 

『…ごめん…なさい…すべての命たち……』

 

ヒミコは両手を合わせてつぶやいた。

 

「あーはっはっはっはっはー、ひーはっはっはっはっはっはー、だーっはっはっはっはっはー、あー笑ーた、あー笑たったわー、なんやねん…ごめんなさいすべての命たちってー、腸がよじれてまうわー」

 

聖櫃の入り口に立つ人影が大声で笑う、

 

『ダ・ダレだい君はー、失礼じゃないかー立ち聞きなんてー』

 

「なかなか良かったでー嬢ちゃん、こんな状況でよー言われん台詞やでー、くっくっくっくっく、腹いてー」

 

男のツボに(はま)ったみたいで、涙を流しながら腹を抱えていた。

 

「キサマ・何者だ~!」

 

魔法を発動させているツクヨミは、男に顔だけ向けて威嚇(いかく)した、

 

「よそ見しとったら壁ぶち抜かれてまうぞー」

 

男は悠然(ゆうぜん)と聖櫃の中央へと歩いた。

 

『部外者は立ち入り禁止だよー』

 

ツクヨミを(かば)う格好で立つヒミコが、男を(にら)んだ。

 

「やめときー、お譲ちゃんみたいんが出る幕やないでー」

 

男は片目を(つむ)り両手は腰に当てたまま応える、

 

『これでも喰らえー』

 

ベコッ!…ドッガン…

 

ヒミコは見た目に似合わないキレのある動きで大笑いした男に飛び蹴りを入れた、たぶん笑われた事への復讐(ふくしゅう)も有るのだろう。

 

「じゃじゃ馬ー、やってくれたのー」

 

ヒミコの飛び蹴りは見事に男の顔面を(とら)えた、壁まで吹っ飛ばされた男は鼻血を()らしながらも余裕をもって立ち上がる、

 

『あまりバカにしないでくれるかなー、あたし格闘術にはけっこう自信あるんだからねー』

 

「ふーん…」

 

『きゃーっ!』

 

男はもの凄い速さでヒミコの背後に回り込むと、ヒミコを軽々と回転させて床に押し倒した。

 

「おね~ちゃん!」

 

「心配すな、気絶しただけやー」

 

ヒミコは背中から床に落とされ気を失った、それを見届けた男はツクヨミに振り返り(たず)ねた、

 

「ところでヒミコはどっちやー? かっさらいに来たったわー、がーはっはっはっはー」

 

「何・だと~…」

 

「しっかしお前らえげついのー、外のヤロウ共に()けた魔法なーありゃー(むご)いで、狂戦士やな…やつらピーおっ立てたまんま暴れまわってくんやぞー、そんなんに倒された国の女ーどんな目にあう思ーとんのやー、自分らも経験するかー」

 

「ふざけるな! 先に仕掛けた方が被害者を語るな~」

 

「はっはっはっはーそりょそうやなー、戦争に良いも悪いもないわなー、勝った方がかっさらってくだけやー、国も財産も女も自尊心も…んで神すらもなー」

 

「キサマ…ネの民じゃない…」

 

「感がええなー嬢ちゃん、嫌いじゃねーぜー、そーれにー太ももプルプル震わせちってよー、誘ってんのかーあーん、ヒーミーコーちゃーんよー」

 

ツクヨミの身体は小刻みに震えていた、

 

「グゥ……オモ……」

 

ツクヨミの防御魔法とネの国から打たれた攻撃魔法が衝突(しょうとつ)し、その反動でツクヨミの足が床にめり込む。

 

「ほれほれーもーっと集中せなー、魔法破られたらみーんなオダブツやでー、がっはっはっはー」

 

すっかり表情を(ゆる)ませ今にも(よだれ)を垂らさんばかりの男は、ツクヨミの(はかま)()まみゆっくりとめくってゆく、

 

「や…めろ…」

 

魔法の重圧に耐え動くことの出来ないツクヨミは必死に膝を閉じようとするが、その度に障壁魔法が弱まり足が床に沈んだ。

 

「ほーらー見えちゃうぞー、がっはっはっはっはー」

 

「たす…けて~、おね~ちゃん!」

 

バリーン///////

 

『ゲスがー!! オレ様の女にさわんじゃねーー!!』

 

バリバリバリバリバリ////////

 

「ぐっうおおおおーーー」

 

「きゃあぁぁぁーーー」

 

聖櫃である室内に雷光が駆け巡る、ツクヨミの袴をめくっていた男をその雷光が弾き飛ばした。

 

・・・

 

『テンメーー生きて帰れると思うなよーー』

 

白銀の長い髪を逆立てた人物が怒りを(あらわ)にして叫ぶ、その人物の周囲には視覚出来るほどのオーラが立ち昇り、両目は金色に輝いていた。

 

「おね~ちゃん…シキ(四鬼)になったの…」

 

ドッッッゴオオオーーーンンンーーー!!!!!

 

上空に張られたツクヨミの防御魔法が破れた、破壊音と共に空から崩れた岩盤と一緒に炎の(かたまり)が降り注ぐ、

 

『うっっるせーーーぞーーー!!! 超弩級オレ様の怒り爆発拳(ファイナルボルテージグラッシュパーンチ)ーー!!!』

 

銀髪金眼の人物から繰り出されたパンチは、凝縮された雷光が竜の像を成して天に駆け登り、頭上から降り注ぐ燃える岩盤を粉砕し空の彼方へと消えた。

 

「なんやーこのでたらめな魔法はー、おどれは…ほんまにさっきの嬢ちゃんかー、とんでもねー殺気を出しとんでー」

 

『ふん・ゲスが、テメーみてーな下等生物が、オレ様のような高貴で高等で超絶美しい存在に興味津々(きょうみしんしん)なのはしかたねーが、下衆(げす)勘繰(かんぐ)りは命取りだぜー、とは言えテメーはどっちみちぶっ殺すがなー』

 

ヒミコの(つや)のある黒髪は天辺から半分くらいまで白銀へと変わり、バサついた剛毛となっていた、体つきは小柄なままであるが殺気だったオーラと、それに伴う態度が一回り大きく見せる、そして何よりも金色の眼光がヒミコとは別物だと訴えた。

 

 




キャラが定まらないな~

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。