プロビデンス/神々の摂理   作:TAINZ

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負けたら承知しないぞー

ギの戦士達が山の麓に在る社へと戻っていた、誰の顔にも不満の色が(うかが)える、そんな空気の中、12軍隊の4番隊隊長であるマキラが言う。

 

「お客人、俺はめんどくせえのが嫌いだ、手っ取り早く立会(たちあ)っちゃーくれねえか?」

 

自分の身長ほどもある斧を軽々と担いだマキラは、隊列から離れトウキの元へと歩いて行く。

 

「下がりなさいマキラ、姫様の御前です」

 

サルメが独断で行動するマキラを(いさ)める、今のサルメは先程まで戦士達を鼓舞(こぶ)する為に舞っていた裸体に赤鬼を描いた姿ではなく、1番隊隊長としての戦仕度(したく)である。

 

仰々(ぎょうぎょう)しい物言いすんなって、ちょっとした余興(よきょう)だってえの」

 

マキラはサルメの制止などお構いなしというように、後ろ手に軽く手をひらつかせて答えた。

 

「隊長自らが手本と成らないで如何(どう)するのです…」

 

サルメは獣の(ごと)き速さでマキラを追い、二刀の刃を引き抜いた、

 

『ストーップーー』

 

ヒミコが叫ぶ……ヒミコの叫びには魔術が組み込まれているのか? 数秒であるが声の響く範囲(はんい)のすべてのモノの時間が止まった。

 

「申し訳ございません」

 

サルメはヒミコに向き直り片膝を着いて伏せた。

 

『あたしこそごめんね、ちゃんと皆に説明しなきゃなんだけどー、まだそのなんて言うかー、ネの国とも変な関係になっちゃててー、えーとだから…』

 

ヒミコは言葉に詰まり言い(よど)む、

 

「さきほど鬼姫より停戦の号令がかかりはしたが今現在も戦時下である、皆の心に不穏(ふおん)な想いがあることは理解している、まずはそれを解かねばなるまいよな」

 

ヒミコが詰まった言葉をツクヨミが引き継いで話をする、これが普段ツクヨミが担当する役目である。

 

「ツッキーさま、俺等は姫達に不満がある訳じゃないんすよ、この客人と、隣にいるオオカミの化けもんに対してだって文句なんか無いっす、ただ・これから味方に成るってんなら、どっちが強えか知りてえじゃねえっすか」

 

神妙(しんみょう)面持(おもも)ちで話すツクヨミとは打って変わって、マキラには何の(わだかま)りも無い、マキラにとっていま興味があるのはトウキが持つ力だけだった。

 

「ええな! にーちゃんみてーなサッパリしとんの、わいもすっきやでー」

 

これまで腕を組んだまま事の成り行きを傍観(ぼうかん)していたトウキが、初めて口を開く。

 

「あんた…ネの(なま)りみてえだけど…、まあいっかー、立合ってみりゃあ分かることだな」

 

トウキの方言に違和感(いわかん)を感じたマキラでいったが、それ以上の追及はせずに巨大な斧をクルリと回して構えた。

 

「お前ら~、人の話を最後まで聞け~」

 

皆の感情に1人で心配していたツクヨミにとって、野郎2人の無神経さは辛辣(しんらつ)であり、

 

『ツッキー地が出てるよー』

 

当事者である実姉は、野郎達よりも無神経だった、でも当の本人にはまったく害意がないので、ツクヨミとしても対応に困る。

 

「おね~ちゃん、いま突っ込むとこってそこじゃないでしょ~」

 

『えーと、ツッキー顔怖いよ…とかかな?』

 

ヒミコは(ほお)に人差し指を当てて小首を傾げる。

 

「もういい、おね~ちゃんは(だま)ってて」

 

ツクヨミは目を吊り上げてヒミコを睨み、殺気だった怒りを(あらわ)にしたが、それでもヒミコには伝わらない、

 

「ね~マキラ、わたし今言ったよね~、ギは今も戦時下だって~、立会い~? そんなことして怪我(けが)でもしたらどうするのよ~、お前は一応隊長なんだからね~、バカばっか言ってると首にするわよ~」

 

そしてツクヨミの怒りの矛先(ほこさき)はマキラへと向けられた。

 

「おいおいツッキーさまよー、まさか俺が負けるとか思ってんじゃねえよなあ」

 

また、幼馴染みのマキラも鈍感(どんかん)である、

 

「そりゃ~ま~マキラは強いけど…、だからって怪我をしないとは限らないじゃない、てか~皆の前でツッキーって呼ぶな~」

 

マキラの実力に対してツクヨミは誰よりも信頼している、なので別のことで悪態(あくたい)を付いたけど、

 

「へーい、ツクヨミさまー了解いたしやしたー、ならばケガをしなきゃあ良いんすね」

 

マキラは片目を(つむ)ってツクヨミに合図を送る。

 

「ま・あ・そ~だけど…」

 

ツクヨミは自分の言った言葉を思い出しながら渋々と了承した、と言うよりは丸め込まれたが正解だろう。

 

「客人、興冷(きょうざ)めさしてすまねえな、うちの姫さん怒らすと(こえ)んだわ、素手喧嘩(ステゴロ)でも構わねえか?」

 

マキラは担いでいた斧を地面に突き立ててから、(こぶし)(にぎ)り軽いステップを踏む、それから左・右と突きを繰り出して見せた。

 

「わいは何でもかまへんけんどー、いちおーゆーとくがわいは忍者やでー、ステゴロやと勝負にならんとちゃうかー」

 

トウキは組んでいた腕をほどきニンマリと笑う、マキラの問いに応えながら自らの装備を脱ぎ捨て上半身裸に成った、そして(きた)え上げられた(はがね)の様な筋肉を見せびらかす。

 

「おいおいその体のどこが忍者だよ、まったく(しの)んでねえじゃんかあ、おもしれえ客人だなあ」

 

マキラもトウキと同じく、装備を外しながら上半身裸になる、マキラは海の男ならではの大きくて分厚い筋肉を披露(ひろう)した。

 

「くっくっくっく・興が乗ってきたわー、マキラはんゆーんやったか、あんさんほんまええ体しとんのー、ちと提案(ていあん)なんやが、社での余興ゆーんやったら奉納相撲(ほうのうすもう)にせーへんか? あんさんとはガチの力比べがしてみとーなったわ」

 

トウキは目を爛々(らんらん)と輝かせながら提案を持ちかけたが、トウキの提案にはギの戦士達から罵声(ばせい)が挙がる、そしてその罵声は至極(しごく)当然であった、相撲はギの国のいわば国技と言える格闘技であり、よそ者であるトウキの口から奉納相撲を持ちかけられることはギの国への侮辱(ぶじょく)を意味する、勿論トウキは知っていてあえて提案したのだが、それは反感を(あお)るかたちとなった。

 

「なめてる…ってえ訳じゃないみいだな」

 

飛び交う罵声に(さら)されているにも関わらず、顔色一つ変えずに四股を踏むトウキに、マキラが確認を取る。

 

「マキラはんこそ素人(シロウト)やとおもーて、なめたらあかんでー」

 

お互いの視線がぶつかり合い、マキラそしてトウキ両者の顔から笑みが消えた、マキラが一足先に土俵に上がりトウキがその後に続く、マキラが土俵に上がった時には騒然(そうぜん)としていた戦士達の罵声はすっかりと止み、社全体が静寂(せいじゃく)を取り戻す、そして奉納相撲を行う神聖な空間が出来上がった、土俵の中央に立つ2人の力士が向い合い(たたず)む、ひと呼吸した後に振り返り互いが気合いの入った四股を踏んだ。

 

『トウキー、あんたはあたしの家来に成ったんだからー、負けたら承知しないぞー』

 

静寂に包まれていた空気の中、まったく空気を読まないヒミコのこのひと言に戦士達がどよめいた、トウキはトウキでどよめきには目もくれず力瘤(ちからこぶ)を作ってヒミコに応える。

 

「おね~ちゃん! なんてこと言うのよ~、マキラはギの隊長でしょ~、マキラの方を応援するのが(すじ)でしょうが~」

 

こちらもこちらで多少ずれた抗議(こうぎ)をしているが、

 

『だってー、トウキの味方って誰もいないからー、可哀想でしょー』

 

ヒミコに対しては合っていた。

 

「どうしておね~ちゃんはいっつも~、もう少し自分の立場を考えてよ~」

 

『ちゃんと考えてるじゃーん、不公平にならない様に考えたよー』

 

「だから~、不公平になるのが当然なの~、トウキはよそ者なんだからそれでいいの~」

 

『えーあたしはそーゆーの嫌いだなー、同じ土俵(そひょう)で力比べするならー、対等に勝負して欲しいけどなー』

 

「うぅ…ずるい…、こんな時に正論を言うなんて…」

 

姉妹喧嘩の軍配は、どうやらヒミコに上がった。

 

「ほんまにわっからん姫さんやなー、あないな地獄を見続けとんのに…、どないしたらあんな性格になるっちゅーねん…」

 

トウキは目を細めてヒミコを見詰め、口元だけ笑った。

 

「あんた…、ヒーさまの秘密を知ってるのか?」

 

マキラはトウキにだけ聞こえるように質問する。

 

「わいはもー姫さんに命差し出してんねん、わいが言えるんはそれだけや」

 

マキラはそう言うトウキの目を永らく見続け、

 

「水を差したな、忘れてくれ」

 

「のーぷろぐれむや」

 

お互いがひと言づつ言い終えると阿吽(あうん)の呼吸で自身の前に足で線を引いた、それから1歩下がり両手をちから。

 

僭越(せんえつ)ながら、この一番の行司(ぎょうじ)は私が務めさせてもらおう」

 

睨み合う2人の間に現れたのはサルメだった、そしてサルメの手には軍配(ぐんばい)の代わりに(さや)に納まったままの刀が握られている。

 

「わいは構へんよ」

 

「なら頼む」

 

両雄(りょうゆう)承諾(しょうだく)し場が整った。

 

「両者・かまえてー、見合うてー」

 

サルメが刀を右手に立てて持ち、腰を落としながら右足を引く、

 

「時間です、手を付いて、腰を下ろしてー」

 

サルメの掛け声にマキラ、そしてトウキもタイミングを合わせてゆく、

 

「待ったなし!」

 

お互いに寸分ずれることなく右拳を地面に叩き付けた。

 

「はっきよい!」

 

マキラ、トウキ、共に一直線に突進してお互いの額同士が激しくぶつかった、

 

「ようはっけよい、はっけよい!」

 

サルメの掛け声が響く中、マキラとトウキは激しい張り手の応酬(おうしゅ)を繰り返す、マキラが下から首元へ突き上げるのに対して、トウキは右から左へ左から右への引っ叩きである。

 

「のーこった、残ったー」

 

マキラは激しく顔面を叩かれながらも、下から上へと持ち上げるようにトウキを土俵際まで追い詰めてゆく、

 

「はっきよい、はっきよい」

 

完全に押し込まれているトウキは、マキラの下から繰り出す張り手を両手で掴み一本背負いを打つ、

 

「残った、残ったー」

 

完全に宙に舞うマキラだったが、空中で反転して投げを打ったトウキの眼前に着地した、

 

「ようはっけよい、はっけよい」

 

今度は2人ともお互いの腰に手を回しガップリ四つの形に成る、(たい)が入れ替わった時点で土俵際に居るのはマキラである、

 

「さあ残った、のこーったー」

 

普段は冷静なサルメも、この大一番に力が入る、

 

『そこだー、トウキー寄りきれー!』

 

「マキラ~、頑張れ~」

 

トップである姫達の応援合戦はそのまま戦士達に連動した、ギの国が()れんばかりの声援が沸き上がった。

 

「おうよー」

 

マキラが上下に大きくがぶりを入れグイグイと押し戻す、トウキはあっとうい間に土俵の中央まで戻された、

 

「ずおりゃー」

 

トウキはマキラのがぶりのタイミングに合わせて内股(うちまた)()り上げる、トウキの右足がマキラの左足を大きく持上げるが投げ切れない、

 

「のーこったー、残ったー」

 

両者が片足立ちのまま土俵際へと流れていく、2人を追うサルメも土俵際へと()り足で回り込み決着を見定める、

 

『いっけー! トウキー』

 

「残して~! マキラ~」

 

トウキが左手を引いて(あび)びせ(たお)しの体を取る、

 

「うおりゃー」

 

マキラに(おお)(かぶ)さったトウキは、マキラの胴体をそのまま羽交(はが)()めにした、

 

「負けるな~、バカ~マキラ~」

 

土俵際で()()りながらも必死で残すマキラにツクヨミの渾身(こんしん)の声援が届く、羽交い絞めしているトウキの身体を高く持ち上げた…、

 

・・・・・

 

「そこまでーーー」

 

最後にうっちゃりを放ったマキラは、キレイなブリッジをした姿勢で土俵を割っていた。

 

・・・

 

「わいの敗けや…」

 

土俵の中央で胡座(あぐら)をかいて座るトウキは、心底(くや)しげに言った。

 

「よっと…」

 

ブリッジの姿勢から軽く上体を起こして立ったマキラが、自分の両手を見詰めそれから両脇腹(わきばら)に出来た2つの穴を(なが)めた。

 

「わいは…なにをやっとんのやーー!」

 

ドガーーンっと、トウキが地面を力一杯に殴りつけると土俵にヒビが入った、そしてトウキはゆっくりと立ち上がりマキラへ向かって頭を下げた。

 

(けが)してしもうた…すまん…」

 

その成り行きを見ていたヒミコが、小走りに土俵へ上がると軽やかにジャンプした、そのまま前方宙返りすると頭を下げているトウキの後頭部に(かかと)落としを決める。

 

「ぐぎぇー」

 

顔面から土俵へ叩き付けられたトウキには何が起こったのか見当もつかない。

 

『試合に勝った方がそんな顔をしてたらさー、負けた相手に失礼じゃないか、シャンとしないとダメだぞー』

 

鼻血を出しながら呆然(ぼうぜん)と見上げるトウキに対して、ヒミコは人差し指を突き付けて叱責(しっせき)した。

 

「せやかて…わいは…、力比べしよーゆーたんに…、わいの身体は逃げてしもーたんや、神聖な奉納相撲を…穢してしもーた、わいは自分が情けなーて悔しゅーて…」

 

マキラがうっちゃりを仕掛けた瞬間のこと、羽交い絞めが()がされると感じたトウキは自分から両手を離した、そして(にぎ)られている下半身の装束(しょうぞく)からマキラの手を(はが)すために、マキラの両脇腹にある秘孔(ひこう)を親指で突き刺す、マキラの両腕の力が一瞬(ゆる)むその(すき)を付いてトウキはうっちゃりから逃げ出していた、トウキが行ったのは相撲では無く忍者としての体術である、そのことにトウキは悔やんでいた。

 

「ヒーさまの言う通りだぜトウキー、試合に勝ったのはお前だ、でも力比べに勝ったのは俺だぜ、それで良いよなー」

 

マキラは歯を見せながらトウキの元へ歩み寄り、トウキの手を取って引き起した。

 

「ええんか…」

 

「お前こそいいのかー、力自慢(じまん)だったんだろー」

 

「完敗やー」

 

「試合はお前の勝ちだ、胸を張れよ」

 

マキラがトウキの胸をドンッと叩いて笑った。

 

「おおきに」

 

トウキの顔にも笑顔が戻った。

 

「見ての通りだー、この試合は俺の負けだー、物言いのある奴は土俵に上がりな、もう一番相手に成るぜー」

 

マキラは戦士達に向かって叫ぶ、皆が納得した訳ではないだろうが異論の声は出なかった、ただ1人を除いて、

 

「バカマキラ~、負けるなって言ったのに~」

 

ツクヨミだけは目を(うる)ませて悔しがっていた。

 

「わるかったってー、そー怒んなよー」

 

マキラは両手を合わせてツクヨミに謝るが、ツクヨミはそっぽを向いてしまった。

 

「これにてー奉納相撲は打ち止めー」

 

サルメが試合終了を告げて余興の幕が下りた、それから軍配の代わりに持っていた刀をトウキに差し出す。

 

「わいにくれるんか?」

 

「姫様を護るための刀だ、常に帯刀(たいとう)していなさい」

 

「信じてくれるんか?」

 

「今のところはね」

 

「姫さんが変わり者やと、下に着く者も変わり者になるんか?」

 

そう言いながらトウキは蹲踞(そんきょ)の姿勢を取り、手刀を3回切ってから刀を手に取った。

 

『あたしのー、どこが変人だってゆーのよー!』

 

頬を(ふく)らましたヒミコがトウキの顔面に右ストレートを炸裂(さくれつ)させた。

 

「ぐはっ…、…まったく手のはえー姫さんやなー」

 

トウキは頬を(さす)りながら苦笑いを浮かべる。

 

「なートウキ、何で()けねーんだ?」

 

マキラは首を傾げる。

 

「なんやそんなんも分からんのかー、男の器量についてはまだわいに部がありそーやな、あっはっはっはっはー」

 

トウキの言葉の意味が理解できないマキラに、

 

「そうかもな、お前はいまだ()ねたままのツクヨミ様へ何もフォローしてないしな」

 

そうサルメが(ささや)いた。

 

「やべ、忘れてたー」

 

マキラはツクヨミの元へ駆けて行き、トウキはシャレットのところで装備を身に付ける、サルメは8名の隊長を(ともな)い軍事会議を開いた、少し遅れてヒミコ・ツクヨミ・トウキ・マキラが会議に加わった、その議題はネの国との緊張(きんちょう)関係、そしてトウキの正体についてである。

 

「気付いてるかも知れんが、わいはネの国の人間やない」

 

開口一番にトウキが言う。

 

「当てようか、お前はアピの子孫だろ」

 

マキラが間髪(かんぱつ)入れずに返した。

 

「わいも感じたで、ギの国にも残っとったんやなー、アピの血統みたいんがなー」

 

トウキとマキラがお互いを見ながら笑う。

 

「俺の曾婆(ひいばあ)ちゃんは純粋(じゅんすい)なアピだったぜ、今では国の1割位になっちまったけどアピは残ってる」

 

「ほんまか…、わいは…わいの一族は…、なんも知らんと憎み続けとったんか…」

 

『トウキ、憎むことは間違いじゃないでしょ、キミ達のご先祖方は土地と家族と神々を奪われたんだから、生きていく為にも憎しみ続けなければならなかったんだよ、だからそれを否定しちゃだめだ』

 

ヒミコが下を向くトウキの顔を両手で(はさ)んで、無理やり顔を上げさせた。

 

『あたしは自分の罪から目を()らさない、キミはあたしを(にく)み続けて良いんだよ、だから下を向くな』

 

ヒミコはトウキの目をしっかりと見続けた、

 

「姉様、その辺で…」

 

ツクヨミがヒミコの肩に手を()えて言う。

 

此度(こたび)の戦はアピの私怨(しえん)によるモノであったが、見ての通り首謀者(しゅぼうしゃ)のトウキは姉様の従者(じゅうしゃ)となった、しかし問題が解決した訳ではない、我が国がネに攻め入ろうとしたことは連合にも伝わっているだろうし、穢土(エド)にしても(あきら)めたとは考えにくい、これよりは二面への対応が必要となる、皆の意見を聞かせて欲しい」

 

そして軍議は明け方まで続けられる・・・

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