ゼロの使い魔~スラップアップパーティー~   作:あららどろ

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序章ーテラー

 かつて、アラドとは別の次元にテラという惑星があった。超高度の文明を持っていた彼らであったが、彼らは欲望の暴走の末、自らの星を滅ぼしてしまう。

 ヒルダーの魔力により崩壊を免れたテラの一部は、異空間を彷徨うこととなる。

 

 長い年月が過ぎた。

 かつてテラと呼ばれていた星は、今は魔界と呼ばれていた。

 

 魔界はあちこちの次元につながり、そこから様々な生命体が移り住んでいた。

 ヒルダーはその中でも特に強力な因子を持った、世界に影響を与えるほどの存在を「使徒」と呼んだ。

 

 

 ヒルダーは気の遠くなるような時を生き続けてきたが、美しい故郷と家族のことを忘れたことは1度も無い。

 いつからか、ヒルダーはあの美しかったテラの再興を望むようになっていた。

 

 そしてヒルダーは、惑星テラに古くから伝わる聖書へたどり着く。

 その名は『創神世紀』。

 

 ――消滅即ち創造なり

 我らの安息の地 我らの栄光となる者達

 消滅より創造されんと示されり

 

 

 12人の神の命と引き替えに――新たな世界が創造される。

 

 神――。神の如き力を持つ者――すなわち使徒。

 

 

 ヒルダーは使徒を生け贄に己の故郷を復活させようと計画を進めた。

 

 問題となるのは使徒を縛るおきて。使徒には同じ使徒を殺せないという制約だった。

 いかなる手を持ってしても、使徒が使徒に直接手を下すことはできないのだ。

 それはいかに強力な魔力を持つヒルダーだろうと例外では無かった。

 

 そこでヒルダーは、魔界と繋がった別の次元に使徒たちを転移させそこに住む人々に使徒を討伐させようと考えた。

 

 とはいえ、使徒たちは強力な力を持つとは言え皆が皆好戦的な性格なわけではない。争いを好まず、ただ静かに暮らしたいだけの使徒も少なからずいた。

 

 そんな時はそこに住む人々に使徒は悪魔だと嘘を吹き込んだ。

 またある時は、そこに住む人々が使徒を殺さざるを得ない状況を作り上げた。

 

 たとえば、エネルギーを食う巨大な亀、火食いのアントンを天界のエネルギー施設へ転移させる。アントンにエネルギーを食われた天界は深刻な電力不足に陥った。

 高い技術力を持ち、機械に頼り切っていた天界にとって電力を奪われることは致命的であった。首都の防衛能力は著しく低下し、荒くれ者の集団「カルテル」に首都への侵攻を許してしまった。

 

 アントンをこのままにしておけば天界はいずれ滅びる。こうして天界は「ただ食事をしているだけ」のアントンの討伐へ踏み切った。

 

 

 そしてロータス。冬眠中だった彼は空飛ぶ鯨、ベヒーモスの背に転移させられた。ベヒーモスの背から降りることができないロータスはそこで生活することを余儀なくされた。

 その結果、ベヒーモスの背で活動をしていたGBL教団は壊滅的な被害を受けることとなる。

 そのロータスも、GBL教団の生き残りに助けを求められたとあるパーティーによって倒されることになるのだが、冒険者如きが使徒ロータスを倒せたのもヒルダーが裏で力を貸していたからなのである。

 

 

 ヒルダーの策略に飲まれ、使徒たちは次々と命を落としていった。

 

 人々は使徒の驚異が去るたびに手を取り合って喜んだ。

 

 

 だが、それが破滅への1歩だという真実に気づくものがわずかにいた。

 

 

 ――ヒルダーの目的はテラの再興。彼女にとって、テラ以外の世界などどうでもよい。

 

 予言では、新たなテラの世界に残るのは1組の男女。

 ヒルダーはその1組を自分と魔界の王、使徒カインだと決めていた。

 

 使徒を倒した暁には、その他の世界をテラの触媒にし自分とカインがアダムとイヴになるつもりだった。

 媒介となったその他の世界が滅びることなど、彼女にとってはどうでもいいことだ。

 

 

 

 使徒を倒せば世界が滅びる。

 だが、使徒を倒さねば人が滅びる。

 

 

「全ては彼女の手の内」

 

 自らの死の直前、ヒルダーの狙いを悟った使徒たちは、自らを倒した者に必ずそう言い残す。

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