今回は難産でした。伏線張るのも難しいものですね
それでは、どうぞ
同刻、ペルセウスの本拠地にて
「ぐ、ゥ……」
「ぎ、ぁ……」
「何、者だッ……お前ッ……!」
目に怒りを宿し、ルイオスは眼前の男を睨み付ける
「んー……教えるのはまた今度な」
眼前の男はと言うと、背に斬馬刀を背負い直し、友人に告げるような軽さでルイオスに返す
燃えるような赤髪、胴着にも似た服装からチラリと映る無数の傷痕
白亜の宮殿に傷一つ付けず、否。ペルセウスの騎士に対しても無傷で戦闘した男は、測るように地に伏したルイオスを見る
「よし。お前くらいなら……これかな」
ルイオスの胸元に向かって褐色の薬液の入った竹筒を投げた
「は……?」
訳も分からずその薬液を受け取ったルイオスは眼前の男の行動が理解できないと困惑に染まっている
元より、この戦いはペルセウスの侮辱より始まったはずなのだが……何故か薬を渡されたルイオス
「それをアルゴールだったか?アイツにぶちまけろ。以上だ」
そう淡々と告げると踵を返してその場から立ち去る男
「お、おい!待て、貴様!!」
ルイオスはそう叫んで立ち上がろうとする
しかし、体が限界を迎えているのか、意思に反して体は微塵も動かない
そうこうしている内に、先ほどまでいた男は霞のように消えてしまった
「なんだったんだ……アイツ……」
正しく嵐のような男だった
その本人はというと、白夜叉の元に身を寄せていた
男は疼きを抑えるように左手で右腕を握り締め、哄笑を必死に噛み殺す
「そんなに楽しみかの?」
対面している白夜叉はまるで自分のことのように笑っていた
「ああ」
できることなら、直ぐに戦いに行きたい
場所がわかっているだけに、己に歯止めをかけるのが辛い
「でも。まだ先だ…………まだ、
歯痒そうに、だが、楽しそうに笑みを浮かべる
「せめて……創造階位には達してもらわないと」
隣に置いた己の聖遺物に触れながら、男は告げる
「ふふ……その後は……必ず」
白夜叉は恋い焦がれた乙女の様な瞳を男に向ける
その恍惚とした表情を前に、男は心の底から待ち遠しそうな声で
「ああ、
幼き頃の約束のように、固い契約をする二人
この約束が偽りにならないように……
「早く、馴れてくれよ。
彼の最初で最後の弟子は、不敵な笑みを浮かべていた
閑話休題
後日、ペルセウスに挑戦することを伝えに行った黒ウサギは予想に反してとても早く帰ってきた
何でも、ペルセウス側は既に準備できているとの事だった
準備するようなものは元々無かったので、既にペルセウスの本拠地を目指して五人は歩みを進めている
その際に、今回の出来事についての感想と疑問がポロリと口から零れた
「不思議ですね」
「不思議だな」
摩訶不思議、その一言に尽きる
話を聞いた限りでは、ペルセウスは決闘に全く乗り気ではなかったはずなのに……
男性陣はジンを除いて、顎に手を当てて考えていた
「まあ、受けるのだからいいじゃない」
苦笑いとも微笑とも受け取れる笑みを浮かべ、久遠は歩みを進める
春日部は特に話すこともなく、耳だけを傾けながら淡々と歩いていた
と、黒ウサギが
「皆さん、見えてきましたよ!!」
気合い十分な声で到着を知らせてくれた
同時に、皆に緊張が走る
何故だろうか、上空からおぞましい気配を感じるのだ
場所は……大体……
(最上階…………)
白亜の宮殿、最上階
ペルセウスのリーダー、ルイオスなる人物がいる場所
「え、えっと。とりあえず……今回のギフトゲームの内容を確認しましょうか」
顔を強張らせながらジンが
『ギフトゲーム名 ゙FAIRYTALE in PERSEUS゙
プレイヤー一覧
逆巻 十六夜
久遠 飛鳥
春日部 耀
月盛 琥珀
゙ノーネーム゙ゲームマスター
ジン=ラッセル
゙ペルセウズゲームマスター
ルイオス=ペルセウス
・クリア条件
ホスト側のゲームマスターを打倒
・敗北条件
プレイヤー側のゲームマスターの降伏
プレイヤー側ゲームマスターの失格
プレイヤー側が上記の勝利条件を満たせなくなった場合
・舞台詳細・ルール
*ホスト側のゲームマスターは本拠・白亜の宮殿から出てはならない
*ホスト側の参加者は最奥に入ってはいけない
*プレイヤー達はホスト側の(ゲームマスターを除く)人間に姿を見られてはいけない
*姿を見られたプレイヤー達は失格となり、ゲームマスターへの挑戦資格を失う
*失格となったプレイヤーは挑戦資格を失うだけでゲームを続行することはできる
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、"ノーネーム"はギフトゲームに参加します。
"ペルセウス"印』
今回のギフトゲームの難所は、見たところどれだけ戦力を残して上にいけるかが鍵になってきそうだと彼は即座に判断した
「姿を見られれば失格、か。つまりペルセウスを暗殺しろってことか?」
初めての本格的なギフトゲームに、楽しそうな笑みを浮かべる逆廻
「それならルイオスも伝説に倣って睡眠中だという事になりますよ。流石にそこまで甘くはないと思いますが」
気難しそうな表情で契約書類とにらめっこをしているジン
「yes。そのルイオスは最奥で待ち構えているはずデス。
それにまずは宮殿の攻略が先でございます。
伝説のペルセウスとは違いら黒ウサギ達はハデスのギフトを持っておりません。
不可視のギフトを持たない黒ウサギ達には綿密な作戦が……」
「その事なんですが、気にしなくて構いませんよ」
ジンと同じく気難しそうな顔でさも深刻そうに状況を整理する黒ウサギに、赤子の手を捻るようだと言わんばかりに彼は告げる
「え!?な、なら……どうやって……」
唐突な突拍子もない彼の発言に、黒ウサギは驚いている
「アート、お願いできますか?」
ついこの間、彼は本拠地への帰路についているときに彼は、アートについて軽く尋ねたのだ
彼女の恩恵は、彼の恩恵とは比べ物にならないほど応用が可能であり、火力面、利便性、揃ってトップクラスのものだった
「わかった、の」
その力の一端を、ここに顕彰する
彼女が琥珀の手を握ると、二人は一瞬にして見えなくなった。消えたと言っても、過言ではない
音もなく、匂いもない、完全に無となった
「これでどうですか?」
また一瞬で現れた彼を前に、逆廻を除く三人はポカンとしていた
春日部と久遠は事の凄さにだが、黒ウサギだけは違った
「す、すごいわ!!」
「……うん。全然わからなかった」
アートに対して、尊敬の目で見ている春日部と久遠を横目に、彼は薄く笑った
「これで突破はできます。ただ……一つだけ難点が」
そう言葉を続けながら、彼は苦笑いを浮かべる
「四人、しか、無理、なの」
世の中便利ではないと言うか、都合のよいことばかりではないと言うか、虚しいものである
「何でもサンプル不足らしくて……それ以上は隠しきれないと、アートが」
未だに彼の手を握って離さない彼女にちらりと目を向けて、悲しそうに笑う
「いいや、十分だ。というか、ここまで来ると只のヌルゲーだぞ」
呆れているような、自信しかないような様子で、口角を上げる逆廻
「ま、まあ。確実なゲームメイクは大切なことです」
奇想天外で予測不可能な雰囲気を一線するように、黒ウサギは場の雰囲気を変える
「それでは……作戦会議といきましょうか」
時間は後三十分もある
彼等は早速、作戦を考え始めた
新成ノーネームとペルセウスとの戦いが、始まろうとしていた
「…………どうか、相手のコミュニティの中に、あの人がいませんように」
彼女の祈りは、
活動報告にて、アンケートのようなものをしています。
余裕のある方は、回答のほど、よろしくお願いします