死が無き者の鎮魂曲 凍結中   作:鴉紋to零

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半分寝ながら書いたので、誤字とかあれば教えてください…………

眠気が……俺を襲う……ガクッ


サウザンドアイズにて《下》

「いやはや大したものだ、このゲームはおんしの勝利だの。………ところで、おんしの持つギフトだがそれは先天性か?」

 

その後、三毛猫とグリフォンに話し掛けられていた途中、拍手の音と共に白夜叉が歩み寄ってきた

 

「違う。父さんに貰った木彫りのおかげで話せるようになったの」

 

「木彫り?」

 

首を傾げる白夜叉に三毛猫が多分説明する

 

「ほほう……彫刻家の父か。よかったらその木彫りというのを見せてくれんか?」

 

春日部は頷き、首に下げていた手の平大の丸いペンダントを手渡す

 

見ていて顔をしかめた白夜叉を見て、逆廻と久藤は両端から、琥珀は春日部から木彫りが見えるようにしながら正面にて、その木彫りを観察し、考察する

 

「複雑な模様ね、なにか意味があるの?」

 

「意味はあるけど知らない。昔教えてもらったけど忘れた」

 

久藤の問いに頭を振って否定の意を示す春日部

 

「……。これは」

 

後から見に来た黒ウサギが思考しながらゆっくりと分かったことを述べていく

 

「素材は楠の神木…?神格は残っていないようですが……この中心を目指す幾何学線……そして中心に円状の空白……もしかしてお父様のお知り合いには生物学者がおられるのでは?」

 

「うん、私の母さんがそうだった」

 

春日部は特に驚いた様子もなく、淡々と答える

 

「生物学者ってことは、やっぱりこの図形は系統樹を表してるのか白夜叉?」

 

逆廻の問いに、白夜叉は半ば生返事で返す

 

数多の芸術品を見た白夜叉からしても、鑑定には時間がかかるようだ

 

「おそらくの…ならこの図形はこうで……この円状が収束するのは…いや、これは…これは、凄い!

本当に凄いぞ娘!!

本当に人造ならばおんしの父親は神代の大天才だ!

まさか人の手で独自の系統樹を完成させ、しかもギフトとして確立させてしまうとは!

正真正銘〝生命の目録"と称して過言ではない名品だ!」

 

序破急のように段々と加速していく白夜叉の説明

 

興奮を抑えきれずに声を上げる白夜叉に対して、不思議そうに聞く

 

「系統樹って、生物の発祥と進化の系譜とかを示すアレ?

でも母さんの作った系統樹はもっと樹の形をしていたと思うけど」

 

「うむ、それはおんしの父が表現したいモノのセンスがなす業よ。

この木彫りを態々円状にしたのは生命の流転、輪廻を表現したもの。

再生と滅び、輪廻を繰り返す生命を遂げて進む円の中心、即ち世界の中心を目指して進む様子を表現している。

中心が空白なのは、流転する世界の中心だからか、生命の完成が未だに視えぬからか、それともこの作品が未完成の作品だからか__うぬぬ、凄い。凄いぞ。久しく想像力が刺激されるぞ!

実にアーティスティックだ!おんしさえよければ私が買い取りたいぐらいだの!」

 

興奮した様子で交渉に移ろうとした白夜叉。だがしかし、現実は無情なようで

 

「ダメ」

 

話し合うかいなく拒否された

 

目に見えて落ち込む白夜叉を苦笑いであやすように頭を撫でる琥珀

 

彼の性格的に、どうしても子供が悲しんでいるのは見過ごせなかったのだろう

 

「で、これはどんな力を持ったギフトなんだ?」

 

逆廻が片方の眉を上げて問う

 

「それは分からん。

今分かっとるのは異種族と会話ができるのと、友になった種から特有のギフトを貰えることぐらいだ。

これ以上詳しく知りたいのなら店の鑑定士…それも上層に住むものでなければ鑑定は不可能だろう」

 

本来なら、威厳の有る図なのだろうが、容姿と状態で台無しだった

 

「え?白夜叉様でも鑑定出来ないのですか?今日は鑑定をお願いしたかったのですが」

 

「よ、よりにもよってギフト鑑定か。専門外どころか無関係もいいところなのだがの」

 

参ったなぁ……と言わんばかりに後頭部をかきながらそう告げる白夜叉

 

暫くして、意を決したのか美麗な白髪をかきあげ、逆廻から順に一人一人の顔をじっくりと覗き込んでいく

 

「どれ……ふむふむ……4人とも素質が高いのは分かる。しかしこれではなんとも言えんな。おんしらは自分のギフトの力をどの程度把握しておるのじゃ?」

 

水のように流れる質問

 

「企業秘密」

 

「右に同じ」

 

「以下同文」

 

「少しは分かりますが……なんとも」

 

三つの岩に連続で塞き止められた

 

最後が緩やかな流れだったのが幸いだろうか

 

「うおおおおい?いやまあ、仮に対戦相手だったものにギフトを教えるのが怖いのは分かるが、それじゃ話が進まんだろうに」

 

まさかの事態に奇妙な声を上げる白夜叉に対して、逆廻は拒絶する声色で告げる

 

「別に鑑定なんていらねぇよ。人に値札張られるのは趣味じゃない」

 

弱ったなぁ、と言わんばかりに深く考える白夜叉

 

そして、妙案でも浮かんだのだろうか、ニヤリと笑う

 

「ふむ。何にせよ″主催者″として、星霊の端くれとして、試練と決闘をクリアしたおんしらには″恩恵″を与えねばならん。ちょいと贅沢な代物だが、コミュニティ復興の前祝いとしては丁度良かろう」

 

白夜叉が柏手を打つと、不思議なことに四人の前に一枚のカードが現れた

 

 

 

 

コバルトブルーのカードに逆廻十六夜・ギフトネーム

正体不明(コードアンノウン)

 

 

 

ワインレッドのカードに久遠飛鳥・ギフトネーム

″威光″

 

 

 

パールエメラルドのカードに春日部耀・ギフトネーム

生命の目録(ゲノムツリー)″ ″ノーフォーマー″

 

 

 

そして__

 

 

 

翡翠色のカードに月盛琥珀・ギフトネーム

"失う契約者(ロストテスタメント)" "八百比丘尼" "八風" "劫火"

"観測不可能領域魔術(○○○○)"

"観測不可能領域物質(○○○ ○○ ○○○○○○○○)"

 

 

 

 

 

「ギフトカード!」

 

「お中元?」

 

「お歳暮?」

 

「お年玉?」

 

「ギフトカード……ですか?」

 

「ち、違います!というかなんで皆さんそんなに息があってるのです!?このギフトカードは顕現しているギフトを収納できる超高価なカードなのですよ!耀さんの″生命の目録″だって収納可能で、それも好きなときに顕現できるのですよ!」

 

マシンガンのようにツッコミと解説を行う黒ウサギ

 

その内、聖徳太子のように十人からのボケをツッコミ出きるようになるのか、見物である

 

「つまり素敵アイテムってことでオッケーか?」

 

一言で纏められてしまった。黒ウサギからすれば悲しい一言である

 

「だからなんで適当に聞き流すんですか!あーもうそうです、超素敵アイテムなんです!」

 

自棄っぱちで叫ぶ黒ウサギ

 

問題児相手ではなかったら、とても助かる説明だった、現に琥珀はマジマジとカードを見詰めていた

 

「我らの双女神の紋のように、本来はコミュニティの名と旗印も記されるのだが、お主らは″ノーネーム″だからの。少々味気ない絵に成っているが、文句は黒ウサギに言ってくれ」

 

「ふぅん……………もしかして水樹って奴も収納できるのか?」

 

そう言うと、逆廻がカードを水樹の方へと向ける

 

すると、水樹は光の粒子となってカードに取り込まれた

 

「おお?これ面白いな。もしかしてこのまま水を出せるのか?」

 

物珍しい物を見た逆廻はふとした疑問を告げる

 

「出せるとも試すか?」

 

「だ、駄目です!水の無駄遣い反対!その水はコミュニティの為に使って下さい!」

 

逆廻のことを信頼はしているが、信用はできない黒ウサギの心中穏やかではないようだ

 

「そのギフトカードは、正式名称を″ラプラスの紙片″、即ち全知の一端だ。そこに刻まれるギフトネームとはおんしらの魂と繋がった″恩恵″の名称。鑑定は出来ずともそれを見れば大体のギフトの正体が分かるというもの」

 

スゴいだろう?と言わんばかりのドヤ顔で告げる白夜叉

 

「へえ?じゃあ俺のはレアケースなわけだ」

 

全知の一端であるラプラスの紙片にレアケースも何もない。いや、それ以前にまだ召喚されて一日も経っていない異世界の人物がレアケースであるかどうかなど知るよしもないだろう

 

逆廻はその程度の事は分かっている筈だ、故に、気になった

 

逆廻のギフトカードを覗き込んだ白夜叉の顔が驚愕に染まる

 

「…………………いや、そんな馬鹿な」

 

パッと逆廻の手からカードを取り上げ、じっくりと念入りにカードを見る白夜叉

 

正体不明(コード・アンノウン)だと……………?

いいやありえん、全知である″ラプラスの紙片″がエラーを起こすはずなど」

 

「何にせよ、鑑定は出来なかったってことだろ。俺的にはこの方が有り難いさ」

 

そう言うと、今度は逆廻がカードを取り上げた

 

白夜叉はそれでもなお、下を向いて考え込んでいる

 

と、唐突に彼が白夜叉の肩を叩いた

 

「えっと…………白夜叉さん。少し、聞いてもいいですか?」

 

彼は軽く中腰になり、白夜叉にもカードが見えるようにする

 

その光景はまるで親子のようだったが、それを指摘するような者はいないだろう

 

「む?なんじゃ、琥珀よ?」

 

内心の焦りを悟られぬよう、平静を装いながら質問を薦める白夜叉

 

「この観測不可能領域魔術と、観測不可能領域物質って……」

 

「何ッ!?」

 

流石にこれはあり得なかった

 

普通では有り得ない。起きるはずのない異常事態(イレギュラー)

 

そんなばかな、嘘だ、あり得ない

 

先程の逆廻の展開とは訳が違う

 

これでは説明がつかない

 

何故、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「…………琥珀、後程少し二人で話したいことがあるので残ってもらえぬか?」

 

事情を聴かねばならないと思った。流石に、異常過ぎた

 

「分かりました」

 

そんな白夜叉の動揺を悟り、優しい笑みで肯定の意を示す琥珀

 

そして、暫く寛いだ五人と一匹は店先に移動する

 

「あれ?琥珀は行かないの?」

 

皆が部屋から出ていく中、一人正座で座ったままの琥珀に、春日部が問いを投げる

 

「すみません。少し白夜叉さんとお話があるので……皆さんは、先に行っていて下さい。後から追い駆けます」

 

穏和な笑みを浮かべながら彼はそう告げた

 

「分かった。なるべく早く来てね」

 

春日部は一部の者しか分からない程度の表情の変化を顕にしながら、部屋を去った

 

その後ろ姿を見て、出来れば端的に話を終わらせようと決心する琥珀だった

 

「三食首輪付きってソレもう明らかにペット扱いですから!」

 

元気なツッコミが店に響く

 

この声の主は黒ウサギさんだろうと、琥珀は頬を緩めながら察した

 

四人と一匹の気配が離れていった後、白夜叉が戻ってきた

 

「さて…………琥珀よ、お前は何者だ?」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

流石、元魔王で、三桁に本拠を構える者である。容赦がない

 

「私としては、人間、としか言えません」

 

眉をあげて微かに驚いた琥珀ではあるが、直ぐに解を返す

 

「ふむ…………ならば、その観測不可能領域魔術とやらに心当たりはあるか?」

 

嘘を言っていないと判断した白夜叉は質問を続ける

 

「あるには、あります…………昔、少し変わった人から何かしらの魔法のようなものをかけられました」

 

ふと、脳裏にその時の情景が思い浮かぶ

 

確かあれは……そう、この体が不死身になった時だっただろうか

 

一言で現すならば、影法師

 

その一言が相応しい人だった

 

過去の思い出を懐かしみながら、更に情報を開示する

 

「観測不可能領域物質というのは多分、これではないかと思います」

 

肩にかけていた袋を剥ぎ、鞘に納められた一振りの薙刀を晒す

 

無論、抜き身ではないので刀身は見えないが、一目見ただけで銘作と分かる代物ではあった

 

「ふむ…………」

 

琥珀から薙刀を受け取り、多角的に見る白夜叉

 

「して、琥珀よ。その魔術の効果は分かるか?」

 

白夜叉は丁寧に薙刀を返すと、今度は魔術のことについて問いを投げる

 

「えっと…………」

 

一般的な常識と照らし合わせて答えを求める

 

何せ、影法師の人物と出逢ったのは百年も前のことだ、記憶が薄れていても仕方あるまい

 

「魂の貯蔵、貯蔵した魂の量と質に比例した身体能力の向上、後は……己の渇望による強さを得られる。だったと思います」

 

自信なさげな様子でそう答える琥珀

 

「うむ……分かった。琥珀よ、少し手を貸してくれんかの?」

 

小さな右手をこちらにつき出して、彼が重ねるのを待つ白夜叉

 

彼はその行いの意味を計りかねながらも、その小さな右手を己の両の手で覆う

 

そして……

 

「…………これでよいじゃろ」

 

淡い光に包まれた右手を眺める琥珀に、白夜叉はギフトカードを確認するように言った

 

「この恩恵は……」

 

観測不可能領域魔術が、永久破壊に

 

観測不可能領域物質が、聖遺物 誇り高き皇国空母 飛龍となっていた

 

唐突な変化に目を白黒させていると、白夜叉はハニカミながら告げる

 

「まあ、私からの依頼の前金だとでも思ってくれれば良いよ」

 

「依頼、ですか。なんでしょう?」

 

小さく首を傾げながら、これから頼まれるであろう依頼の内容に耳を傾ける

 

「ノーネームの皆を守ってやってくれぬか?黒ウサギも含めて、まだまだ若いのばかりだからのぅ」

 

その瞳には、子供の成長を見守る親のような雰囲気を感じた

 

それ故に……

 

「……分かりました。必ずや、守りましょう」

 

彼はここに誓った

 

必ず、誰も死なせないと

 

同士も含めて、必ずや()()()()()()()()()()

 

その言葉は、誓いなのか、それとも渇望なのか…………それを知るものは、いなかった

 

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