ドSトンカチと泣き虫片手シリーズ   作:nakira

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男ハンター×女ハンター
※過去話。甘くて猫まみれで狩りしてません


しのぶれど

ああ、久し振りに熱い闘いだった。

始まっていきなり狩りは終わっているのだが、たまにはそんなのもアリだろ? 前もそう? 気のせいだって。

おれは砂漠でティガレックスを狩り、ようやっとベルダーハンマーの強化素材を手に入れた。

いやータマミツネのハンマーも強化の爪が面倒だし、修理するにも物入りで、家に置きっぱなしなのである。

 

本調子に戻ったと思われる身体だが、やはり疲れが出るのが早い。

おれは静かな洞窟の中で、一時の休息を取る。うざったい小蟹は処理済みである。

不意に地べたがもりもりと盛り上がり(形容詞がこれしか見つからない)、先程の瀕死のティガの窮鼠の一撃を喰らったオトモのシルビアが姿を現した。

 

「アタシの白毛が台無しだニャア…」

「おかえりなさいませオトモ様」

「ニャフン。それは皮肉以外の何物でもないのニャアー!」

 

久々に狩りに連れ出したシルビアは、からかっても何処か嬉しそうに、ニャーニャと何の為かわからん準備体操をしている。

 

「ご主人、ティガも狩ったしすぐ戻るのニャア?」

 

わくわく、と言うか、爛々、と言うか。目を輝かせておれを見上げるシルビアに、たまの御褒美をくれてやる。

 

「いや、少し採取してから帰る。メシ食ったら行くから、先に草でも見てろ」

「ニャニャーア!」

 

歓声を上げ、フトコロが広いニャア、と続けたシルビアはポーチの整理も早々に四足で駆けていく。

この間、マタタビの土産は御者アイルーに渡してしまったからな。存分に取りに行って来い。

 

おれは荷物の中から支給品の携帯食料を取り出すが、気づけば空腹を凌げるか…という量しか無い。

あまり気は進まないが、肉焼きセットを準備する。突進してくる邪魔なアプケロスをぶん殴って剥いでおいた、柔らかい腹部の肉を薄く切り、本来クルクルと回す部分に近づける。炙られて出た肉汁を金属部に滴らせると、テカテカと油が馴染み眩しい。脂身の多い部位を先に炙り、塩で頂く。ちっとしつこい脂にはあっさりした味で十分だ。

実は臭みを取る為に胡椒をまぶしておいたので、それこそ狩ってる間に下拵えである。

 

え?

料理ぐれー御茶の子さいさいですて。独り身が長いとこうなるもんだって、違うか? そうか残念だ。

 

「あちち」

 

村長に貰った豆を発酵させて出来た茶色い漉し汁、少しかけてみると旨い。掛けてから炙ると焦げた香りが鼻腔を刺激して、食欲が湧くのである、飯が欲しい。

生憎と狩りが生業の男なもんで、細かな調味料がナンタラとかは語彙を用意してないが、このヒシオだかいうタレは本当に旨いな。

アプケロスみたいな活動的な肉より、ズワロポスみたいなあまり動かない柔らかい肉には合うだろうか、気になる所ではある。イャンクックの砂ずり食いたくなってきた、あれは塩胡椒が鉄板だが、香草みたいなもんと一緒にヒシオで炒めるのもありだな。

 

なんて肉談義を頭の中で行っていると、背後から気配を感じた。ハンターという訳ではない、小さい気配だ。襲ってくる訳でもなく、ただひとところからおれを窺っている……

 

ぐうぅ

 

「ふにゃっ」

 

ああ、肉の匂いに誘われてきたのか。どうやら幼いアイルーのようだ。

此処は確かに、猫共の巣から遠くないから仕方ないか。それにしても警戒心はねーのかと。

 

「ふにゃんにゃん、にゃー!」

「ん?」

 

先程のシルビアの如く目を輝かせて何かを訴えかける幼アイルーは、己の腹の音で見つかったと分かるとこちらに近付いて来る。

とてとてと二足歩行、ではなく素早く四足で、だ。

 

「しょうがねえな」

 

ふにゃふにゃと、人語も話せぬチビ猫が一生懸命訳の分からん猫語でおれに纏わりつきだす。おれは、お前のとーちゃんか。

何処かで言った事のある台詞だと気付き、おれは思わず笑ってしまった。

おれの食ってる肉は流石に幼い口には味も濃いだろう。臭み取りをした肉の、胡椒の薄いだろう場所を薄く削ぎ切る。軽く炙ってからくれてやるか。

いや、ちっちぇーから、生はどうかなと思っただけだ。よく焼くと猫舌で飛び上がりそうだし。

 

チビ猫は喉をごろんごろんと今にも頭が取れて落ちるんじゃねーかと思うくらいに鳴らしながら待つ。

炙り終えた肉を掲げて欲しいかと問うと、またふにゃんと鳴いた。やや人語は解するようだ。

その辺のデカイ葉っぱの上に肉を乗せてやると「ふにゃにゃにみゃふ」と手を合わせる。ネコバァの所に行く前の前段階ってとこだな、猫共も巣で勉強してんのか。

そうこうしてるとチビ猫は食べ終わり、おれは焼いてやっていた肉が尽きたのに気づく。また少しだけ炙ってやり、チビ猫は喉を鳴らして待つ。

 

「ご主人、まだ来ないのニャア……ニャッ!?」

「おおシルビア、すまん」

「ニャッニャ! ご主人何処でそんな小さい子を見つけたのニャア、乳離れしたばかりみたいな年の頃ニャア」

 

やはりそんなもんか、こんなチビで人語話せねーもんな。

驚いて足早に近寄ってきたシルビアに、チビ猫が耳を伏せて尻尾を股の中に入れて小さくなる。しかし口にはくわえた肉がもぞもぞ動いている…背に腹は替えられないとでも言いたいのか。

 

「肉焼いてたら寄ってきたんだ、攫ってなんかいねーぞ」

 

怯えるチビ猫にそっと鼻を近づけ、シルビアが挨拶をする。モンスターの血の臭いに怯えたのだろうか、ぶるりと身体を震わせたが、すぐにチビ猫もごろんごろん言い始めた。

 

「なんつー豪胆なヤツ」

「この子多分、ほんとにちっちゃいニャア。大人ならもっと警戒心もあるし、ネコバァに連れていって貰う為にも、人語を話せるようになるのはアタシ達ヒトと生きるアイルーにとって急務なのニャア」

「そうか…巣の様子を見てきてくれないか」

 

一抹の不安が頭を過ぎる。

シルビアは二つ返事で洞窟を駆け出して行った。

 

 

……………

 

 

間違って、パレットの隣に出した絵の具を混ぜてしまったような、サバトラに茶の混じった変わった色合いの模様。

先程は気付かなかったが、アイルーにしては短い手足(それで尚の事幼く見えたのだろう)と、割と変わったアイルーだ。口減らしってこたぁねーと思うが、何とも可哀想な風体である。緑がかった黄色の目ン玉した顔立ちは、そう不細工ではねーけどな。

 

「チビ猫、腹ァいっぱいか?」

「ふにゃお」

 

満足そうに一声鳴いたチビ猫は、こっくりこっくり舟を漕ぎ始める。おい、赤子か。

カクンと頭が落ちると、慌てて頭をふりふり、おれを見て何か、うにゃうにゃ口の中で喋りながらまた舟を漕ぐ。このループ、絵姿じゃ収められねーしな、笑えるのに。

 

「シアって呼ぶぞ、チビ」

 

おれが呟くと、もうチビ猫はおれの腿に頭を乗せて完全にオチていた。

 

地面がもりもりとまた盛り上がり、シルビアの姿が現れる。

きっと、おれの悪い予感は当たっているんだろうな。

 

 

……………

 

 

「あ、あんまりこういう事がまかり通ると思わニャイ事ニャ!」

「やむを得ない事情があるのニャア、お願いしますニャア」

 

帰り道のアプトノス車。

以前世話になった御者アイルーだったのをいい事に、マタタビで買収。シルビアの集めていた量がかなり多かったのが役立ったな。ポケットにあんなに押し込んでるとは。

 

「砂漠の猫の巣が倒壊とはニャ…ボクの巣立った場所ニャ、今度お休み貰って見に行くニャ」

「ネコ太郎は砂漠の生まれか。シルビアに見に行かせたが、入口が崩落していて、奥からもうんともすんとも言わなかったらしい。無事に脱出は出来ているだろうが、コイツはちょうど狩りの練習にでも出てたんだろーな」

 

丸くなってシルビアの腹を揉みながら、チビ猫が寝ている。揉まれているシルビアも、ウルク装備のまま釣られてうっかり寝てしまったようだ。

 

溜息をつくネコ太郎。おそらく燼滅刃の影響か、他のモンスターも活発化しているんだろうか。厄介な奴だよ本当に。

しかし、どーするよこのチビ猫。

 

 

……………

 

 

「こねこぉっ…!!」

 

第一声は、予想通り目を見開いて上ずった声で。

一緒に出迎えたオトモアイルーのリンは、即ゴロゴロ言いながらおれの腕から飛び出したチビ猫が鼻を擦り付け挨拶しようとし、横っ飛びに回避していた。

 

「コラ、だめニャア! チビはこっち来るニャア」

 

シルビアが手招きすると、尻尾をピンと立てて四足で走り寄る。その様子を目を丸くしたまま見ていたシアが、漸く我に返る。

 

「ご飯、食べながら話聞いていい?」

「おお、取り敢えずこいつも頼む」

「ふにゃあお」

 

ひとの台詞に被せて鳴くんじゃねえよ。

俺ん家に入ると、慣れたもので台所からシアが食事の支度をして、食器を運んでくる。

重くはないが、家で寛ぐには邪魔な装備を脱ぎ、汚れ物を留守番していたオトモのネルに預ける。汚れというか、肉の香りが染み付いていたようでネルは鼻をヒクヒクさせて受け取っていた。

 

ガブリブロースをヒシオやハチミツやらで煮込んだ柔らかい角煮、白い根菜を食べやすく細切りにした上に、素揚げの野菜をばらばらとまぶしたサラダ。主食は米だそうなので、丼にしてくれと頼むと、彩りよく茹でた青菜と共にタレの照る肉!角煮丼が運ばれてきた。

 

「ティガレックス、私も行きたかったなぁ」

 

最後に薄切りにしたキノコと青菜の浮かぶスープを運び、シアが席についた。

確かシアは毒の片手剣を強化するとかで、縄張りを広げてきていたドス含むイーオスの群れの狩り依頼を受けていた。ハンマーで奴らを相手するのは面倒だったし、シア1人で十分だろうと踏んだおれはガン無視してティガレックス討伐に出発したのだが、数が数で時間がかかってしまったのだという。

 

「お夕飯も、殆どリンが用意してくれたし」

 

オトモ兼キッチンアイルーってのは、かなり重宝がられる人材のようである。まあこいつが特殊らしいのだが、ネコバァが紹介するのはどちらかに特化した猫なので正直羨ましい。

シルビアでもネルでも良いから、料理習ってくんねーかな。まあ大体畑仕事ばっかやらせてるけどな。

 

「ボクは表向きオトモアイルーだから、あんまり外で言い触らしたらダメニャのよ旦那さん」

 

ごめんごめん、と形だけ笑いながら謝る。まあ、それは自分のアイルーをとても好いて信頼しているシアには有り得ない事ではあるが。

昔はむしろキッチンアイルーに近かったからニャー、当然なのニャ。とそれに喉を鳴らして応えるリン。シアと同じ位の年数生きていると以前聞いた事があるが、やはり猫の方が精神年齢が高くなるものなのだろうか。

しかし、とろける肉が箸で掴むと、ほろりと崩れる様が堪らなく良い。甘味のあるタレが最初はくどく感じるかもしれんが、なかなかどうして、癖になるのだ。

 

「チビにはこっちだよー」

 

とろとろの角煮を、急遽タレをなるべく薄めにするためダシ汁で軽く煮たのだそうだ。フロストエッジの近くに置いて慌てて冷ましたという肉の皿を、もう1匹のシアのオトモアイルーである緑縞のハクサイが運んでくる。

フロストエッジは武器庫に仕舞われずに、台所の隅の貯蔵庫に。シアよ、それでいいのか。

 

「母性本能がやばいニャ、頂きますを言えきれてない辺りが堪らニャイニャー」

 

シルビアの隣で食べ始めたチビ猫を眺めながらハクサイが呟き、シルビアもまた強く頷く。

 

「アタシ、モミモミされて母乳出るかと思ったニャア…」

「ぶふぁ!」

「シア、汚え」

「お絞りくらい取ってよウルのバカ!」

 

鼻に米粒が入ったようで、おれと同じく角煮丼を頬張っていたシアが涙目で噎せている。しょうがないので言う事を聞いてやり、序でに鼻紙も取ってやる。すぐに米粒の呪縛から解放されたらしく、鼻紙を捨てながらありがとうと言われた。

 

「チビ、畑に連れて行けるのか?」

「多分…まだ無理だと思う、ニャア」

 

おれの意図を察してか、ネルよりも年長のオトモであるシルビアが答える。要するに、猫2匹で何とか回している雑務から1匹抜けて、チビを使い物になるよう鍛えねばならんってこった。ネンチャク草は誰が栽培するんだ!虫の養殖もあるし、うーむ。

 

「チビ、うちに来る?

リンちゃん、大丈夫だよね」

 

シアがチビを撫でながら、隣の愛猫を窺う。願ってもない申し出だが、お前さんは良いのかと。

 

「あっ、あのね、十日までは要らないけど、少し休みたくて」

「おう、アレか」

「はい、アレです…理解が早くて有難いです」

 

画面の向こうの良い子の男子は、正面きって聞くと逆効果になる場合があるから気をつけるように。

おれは狩り中に、ぶっ倒れたシアの介抱を…って、おれは本当に男として見られていたのか疑問に思う。一から十までやった訳ではないが、女の身内レベルだろあんなん出来るの、普通ビビるぜ。大型の狩り依頼じゃなくて良かった。

って、まあこれは置いといて。

体調を崩すシアの為、リンが家に居残るそうなので、有難くチビを預けることにした。

もう1匹のアイルー、ハクサイもベテラン。在庫がゼロにならない程度に素材玉や光蟲を補充出来るよう分けてくれるそうだ。

 

「わりーな」

「ウルのじゃなくて、チビちゃんの為だからねっ」

 

言葉と裏腹に、顔はゆるっゆるに緩んでいる。シアめ、だから『カンタン』って言われんだっての。

おれは何も言わず、肉を平らげて毛繕いを始めたチビ猫を眺める。視線に気付いて、チビは言った。

 

「だんにゃしゃま、にゃあ」

 

おう。

まさか…シルビアやおれ達の会話で覚えたのか?

流石おれの拾った猫、将来有望じゃねーか。なんつて。

 

「ああ、チビ、シアにも礼を言えよ。世話になるんだぞ」

「ふぁい、にゃ」

 

ごろごろ、さっき見たような緩んで蕩けそうな口元をさせて、チビ猫は軽やかにシアの膝に飛び乗り、短い前脚で太腿をフミフミしながら「ふぁにゃにゃのん」と、これまた聞き取りにくいニャン語?人語?を発した。

 

「おー、乳飲み子よ、胸よりアシのが柔らかいってか」

「うるさい! 流石に揉める位のおっぱいあります!」

 

いーっだ!と、ガキっぽさ丸出しの相方。チビ猫といい勝負だぞ。

 

 

………………

 

 

チビに洗い物を教えながらの食事の後片付けも終わり、疲れた猫共も寝静まり。

 

「なあ」

 

なーに、とアイテムボックスを前に、明日武具屋へ持っていく強化素材を整理していたシアが間延びした調子で返事をする。

おれにしては珍しく、それから二の句がなかなか告げず、聞こえなかったと勘違いしたシアがこちらへ寄ってきた。

 

「あー、何で毒片手剣の強化を?」

 

我ながら、何でこんなインタビュアーみてーな聞き方。いや、おれにも聞きにくい事くらいある。

少し躊躇ってから、シアはおれを寝室へ導いた。いやん。

 

「ちょっと! 勘違いしないでよ座って話したかっただけ!」

「そんな、てっきりおれは身体に教えてやる的なやつかと」

 

口をへの字にして、おれの二の腕をぺちんと叩く。乱暴にベッドを軋ませて座り、おれが隣に座るとシアは話を続けた。

 

「クシャルダオラを見掛けたって聞いて、何だか居ても立ってもいられなくて。

──お父さんの話、エルドさんから聞いたんでしょ?」

 

おう。まあ、本人から言って下さるならまあ聞きやすいけども…エルドの奴、口軽いなオイ。

 

「うち、ちょっと偉い貴族の方を護衛する事が多くて、騎士でもないのに召抱えられたんだよね。

ハンターとして契約、というより、本当に気に入られて隣のお屋敷に住まわせて貰ったりして。お父さんも王立騎士隊には入りたくないってずっとごねてたし…凄く珍しい事だったみたい。ハンターになった今なら分かるけどね」

 

その後は概ねエルドから聞いた話と同じ、父ヴィンセントがおそらく他の貴族の謀略でクシャルダオラの討伐に行かされた事、手当てが遅れハンター引退どころか亡くなってしまった事が続く。本人の口から聞くのは、やはり少し、堪えるな。

 

「クシャルダオラがどうこうより、嫌がらせしてきた貴族に復讐してやりたかったけど…召抱えてくれた貴族のおじ様も何でか圧力をかけられたみたい。

頑張ってはくれてたんだけどね、お父さんの知り合いもポッケ村に行かされて。申し訳ないしクソハゲ貴族のセクハラにも耐えられなくなってきて家出しちゃった」

 

毎日通ってきては、喪服の私を口説いたり触ってきたし。デートの誘いも行こうが断ろうが噂話になるしね。ほんと、良いご身分。

と吐き捨てるようにシアは言い、布団を叩く。

シアは明言しなかったが、まあ性的なアレコレの嫌がらせもあったんだろうな、男性恐怖症もどきとはいえ、本当に内向的だから。

 

「で、後ろ盾の貴族とやらは放ったらかしでリンと逃げてきたと」

「まあ、ポッケ村に行かされたハンターさんに手紙を書いてくれて、家出の手伝いはしてくれたよ。後は私が遺書もどきを書いて、何とかなりました、多分」

 

多分、かい。

いやー真面目に、落ちぶれた都会のお嬢様がハンターになりました、と。物語もいいとこだぜ、相手がおれみたいなオッサン間近ってのがリアルなファザコンさ出てるけど。

 

「んで、お嬢様はナイトの代わりに、おれという敏腕ハンターを家来にしたと」

「家来! 完全に私の扱い雑だけどね!」

 

ハイハイ、と噛み付いてくる小娘の頭を撫でて黙らせる。

 

「お脳も可哀想だと思ったが、なかなかお前さんも大変な娘なんだなー」

「……めんどくさい?」

「面倒臭い」

 

言い返せない時は、真面目に凹んでる時。

口をへの字にして俯く小娘に「大丈夫、扱いはカンタンだから」と言うと、軽い頭突き? 体当たり? を喰らった。寄り添うならもうちょいこう、可愛げのある…

 

「まー、いっか。乗りたかったな玉の輿」

 

…………あれ、反応がねえ。

絶対ツッコミ入れてくると思ったのに。

赤面して、手がプルプル震えているシアがギュッと手首を握ってくる。

 

「冗談でも、そこまで言ってくれるって、ウルにぃ」

 

大好き、と呟かれる。

あれ、おれの予想と違う、っつかそう取られるとは。

うーん、おれもそこそこコイツの事が好きなんだなー。何かムカつくけど。

 

取り敢えず、おれに顔を埋めてしまったシアのガウシカテールを解く。束ねた跡が付いて変なウェーブになった所を弄びながら、ゴロゴロ喉を鳴らす猫モードに入った小娘をじゃらしてやる事にする。

 

あの、こんなんでも一応ランク解放済みハンターなんで。

そろそろガチな狩りに連れ出さないといけねーな。

 

 

end...

 

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