プリズマ☆イリヤドライで援軍に来たのが美優の兄ではなく、世界を救おうとする最後のマスターと後輩たちだったら   作:Dr.クロ

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ハロウィンのを乗り越えた後、カルデアのマスターとイリヤ達はある真実を知る。


第十五幕~エインワーズ家のとある真実~

それはハロウィンが終わって数日経った夜の事

 

イリヤ「ふぁぁあ………」

 

就寝していたイリヤだったがトイレに行きたくなり、トイレのある方へと向かっていた。

 

刹那「あれ?イリヤちゃん?」

 

廊下を歩いているとそこで刹那とばったり会う。

 

イリヤ「あ、刹那お姉さん?」

 

刹那「どうしたの?こんな時間に」

 

気づいたイリヤへと声をかける刹那に、イリヤは顔を赤くしてモジモジするので刹那は察してああと納得する。

 

刹那「トイレはこっちだよ。カルデアって迷いやすいから大変だよね」

 

イリヤ「あ、ありがとうございます……///」

 

苦笑して言う刹那にイリヤは礼を述べて付いて行く。

しばらくしてトイレを済ませたイリヤは刹那と別れようとしたが、歩いている士郎に気づく。

 

刹那「あれって士郎くん?」

 

イリヤ「何処に行こうとしているのかな?」

 

こんな時間帯に歩く彼に疑問を感じて2人はこっそりと後を付ける。

しばらく歩くと士郎はとある部屋の前で立ち止まる。

その部屋には刹那は見覚えがあった。

 

刹那「あの部屋って……アンジェリカの部屋じゃない?」

 

イリヤ「え?アンジェリカの?」

 

入れた所を見ていたので呟く刹那に、イリヤはどうして士郎がアンジェリカの部屋に来たのかに疑問を思っていると士郎は中へと入って行く。

2人は顔を見合わせた後、近寄って会話を聞き取ろうと耳を傾ける。

 

アンジェリカの部屋

 

アンジェリカ「………………」

 

部屋に入った士郎にアンジェリカは正座したまま身じろきをしない。

 

士郎「……寝ないのか?それとも()()()()()()()()()()()()?」

 

アンジェリカ「眠れ……とご命令いただければそのように致します」

 

そう問う士郎にアンジェリカは淡々と返す。

 

そんな2人の会話を刹那とイリヤは息を飲んで逃さない様にする。

 

士郎「……本当にお人形みたいになっちまったな。それがお前の素なのか?感情の薄い奴だとは思っていけど……」

 

アンジェリカ「―――演じる必要性も無くなりましたので」

 

淡々と返すアンジェリカに、士郎は壁にもたれながらアンジェリカを見る。

 

士郎「……怒りさえも偽りだったってわけか。残念だよ。お前の激昂した顔はそっくりだったのに」

 

刹那「(そっくり?それって誰に……)」

 

声に含まれてる様に残念そうに呟く士郎に刹那とイリヤは疑問に思う。

 

士郎「ああ、本当に……そっくりだった。だから気づいた」

 

そして次の士郎の言葉に2人は驚く。

 

士郎「()()()()()()()()()()()()?」

 

イリヤ「(え―――――)」

 

刹那「(ジュリアンの……姉!?)」

 

衝撃の発言にイリヤと刹那が驚愕する中、アンジェリカは肯定した。

 

アンジェリカ「――――よく、気づきましたね。私はアンジェリカ・エインズワース。ジュリアン様の姉……だった者です」

 

だった者と言うのに刹那はどういう意味と感じた。

 

士郎「魔術は血統に継承されるものだからな。あれほどの置換魔術を使える者がエインズワースの人間でない筈がない……いや、もう()()ではないのか」

 

イリヤ・刹那「「!」」

 

告げられた事にイリヤと刹那はまた驚く。

 

アンジェリカ「人形です。もはや帰るべき肉体を持たぬ意識を宿した…………人形」

 

士郎「俺が戦った人形はどいつもこいつも……壊れていた。記憶障害に論理破綻。損傷無視の暴走、言語能力の低下……その様子だとお前は感情の喪失ってとこか」

 

淡々と言うアンジェリカに、士郎は自分が戦って来たかつて人だった者達を思い出しながら指摘すると、アンジェリカは目を閉じ、また淡々と説明する。

 

アンジェリカ「体機能すら再現する人の概念置換は容易なものではありません。必ず自我に何らかの欠落や歪みを生じさせます。私の場合は……感情の九割以上が失われました」

 

刹那「(ってことはあの二人にもなんか障害があるって事なのかな?)」

 

説明を聞いて、刹那は前に襲い掛かって来たエペナとアビゲイルを思い出す。

 

アンジェリカ「人間らしい反応を学んで演じてみせても所詮は贋作。人形の中身に価値などはありません」

 

士郎「…………」

 

そう返したアンジェリカに、士郎は悲しそうに顔を伏せる。

 

イリヤ「(そんな……それじゃあアンジェリカ()ザガリー()を失って……残った家族はエリカ()だけ……それじゃまるでジュリアンは……)士郎さんと同じ……」

 

田中「何が同じです?」

 

ぼそりと呟いたイリヤに対して、何時の間にか後ろにいた田中が聞く。

 

イリヤ「うひゃぁあ!?」

 

刹那「た、田中さん!?」

 

それにイリヤと刹那は驚いてしまい…部屋の中へと入ってしまって士郎達に気づかれる。

 

士郎「………盗み聞きが趣味かい?」

 

イリヤ「ち、違いますーっ!」

 

刹那「ちょっと歩いていた君を見かけたから、気になって後をついてきたんだよ」

 

倒れた3人を見て頭を掻きながら質問する士郎に、イリヤは否定して刹那が理由を言う。

 

士郎「そうか……ちょうどいい。二人にも聞く権利がある。二人は俺たちの世界も美遊も救うという可能性を示してくれた。だったら知らなくてはならない。エインズワース(彼ら)が抱えている秘密を、分厚く塗り固められた虚構(うそ)の裏側を……」

 

アンジェリカ「…………」

 

そう言って士郎はアンジェリカへと近づき、彼女の顔を見ながら聞きたい事を言う。

 

士郎「なぁ……ダリウスとは何者なんだ?」

 

刹那「ダリウスって確かジュリアンが姿を変えていた人物の名前だよね?」

 

思い出して聞く刹那に士郎はそうだと答えてから、アンジェリカにそれについて聞く。

 

士郎「美遊はダリウスがジュリアンの父だと誤解していた。だが神父の話ではザガリーこそジュリアンの実父だと言う」

 

刹那「え?ならなんで……」

 

告げられた事に刹那はダリウスと言う名前と姿をどこから拾って来たんだと思った。

 

士郎「そうだ。なんでジュリアンはダリウスの振りなんてしていた?そこに何の意味がある……!?」

 

田中「ダリウスはエインズワース全ての父です」

 

続けて聞こうとした士郎だったが、田中の口から衝撃の言葉が出た。

 

刹那「え?」

 

イリヤ「田中……さん?」

 

士郎「……!?どういうことだ…!?」

 

意外な人物から出て来た言葉に3人は田中を見る。

 

田中「………………どういうことです?」

 

イリヤ「記憶喪失(いつもの)!?」

 

刹那「ちょ、田中さん!?」

 

ロビンフッド「重要な部分でそこかよ!?」

 

エミヤ「あ、バカ!?」

 

爆弾発言を言っときながら首を傾げる田中にイリヤはツッコミ、何時の間にか顔のない王で隠れて聞いていたのかロビンフッドが姿を現してツッコミを入れて、同じ様に隠れていたのかエミヤが叫ぶが、出て来たのは変わりないのでいたんだと言う刹那に2人が頬をポリポリ掻く中でアンジェリカが口を開く。

 

アンジェリカ「……振りなどでは断じてありません」

 

イリヤ「……え?」

 

ロビンフッド「どういうこった?振りじゃないとすると坊主や嬢ちゃんが見たのは何になるんだ?」

 

出て来た言葉にイリヤは戸惑い、雰囲気からロビンフッドは真剣な顔で聞く。

 

アンジェリカ「あれは紛れもなくダリウス様そのもの。破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)概念置換(そとがわ)を壊したところで無意味。そんなことでは覆らない呪い……」

 

刹那「呪いって……」

 

エミヤ「それでは…」

 

出て来た言葉に刹那も驚く中で、エミヤは顔を強張らせる。

 

アンジェリカ「()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

刹那・イリヤ・士郎「「「!?」」」

 

ロビンフッド「そりゃまた…碌でもねえ呪いだな」

 

出て来た言葉に3人は驚き、ロビンフッドは顔を顰めてぼやく。

 

アンジェリカ「血統による継承ではなく完全なる個による永続。それが初代より連綿と続くエインズワースの歴史です」

 

刹那「ちょ、ちょっと待って!?初代から続くって、それじゃあそのダリウスって奴は……」

 

慌てて問う刹那のにアンジェリカは刹那を見る。

 

アンジェリカ「はい。千年ぐらいは生き続けていることになります」

 

刹那「なっ……!?」

 

ロビンフッド「不死…いや転生みたいな感じか…しかも話的に元々あったそいつの人格とか意思とか無視して強制的に置き換えるって感じか…本当に磯でもねえ」

 

エミヤ「………」

 

出て来た言葉に刹那は言葉を無くし、ロビンフッドは嫌そうに呟き、エミヤも厳しい顔で腕を組む。

 

アンジェリカ「掲げた悲願は世界の救済。けれど千年も生きるダリウス様の本当の目的(ねがい)など誰にも分りません」

 

ロビンフッド「そりゃあ本人から聞いてないんじゃあ分かりもしねえな」

 

エミヤ「しかもその救済の仕方も方法や他の者からすれば破滅に変わる」

 

淡々と静かに言うアンジェリカにロビンフッドとエミヤは顔を顰める。

 

アンジェリカ「だから……ジュリアン様は自身の意識が残っているうちに聖杯を成そうとしています。()()()()のためではなく()()()自身の願いのために……」

 

刹那「自分の意識があるうちに自分の願いとして世界を救う……だから美優ちゃん(聖杯)をジュリアンは欲したのか」

 

刹那は出会った時のを思い出しながら呟く中でアンジェリカを見る。

 

アンジェリカ「……イリヤスフィール、エクシア。貴方達が世界も人を救うというのなら……」

 

イリヤ・刹那・士郎「「「!」」」

 

そして彼女の顔を見て息を飲む。

 

ほとんど感情の出ていない彼女の目から涙が流れていた。

 

アンジェリカ「どうか……どうか……弟こそ救ってほしい……」

 

その頼みはアンジェリカ(ドールズ)ではなく、1人の弟を思うアンジェリカ・エインズワース()としての願いであった。

 

イリヤ「アンジェリカ………」

 

「どうやら知っちまったみたいだな…」

 

横からの声に誰もがそちらへと顔を向ける。

 

アンジェリカと共に一緒に入れられていたベアトリスが苦い顔をしていた。

 

ロビンフット「あ、オタクも一緒に入れてたんだったか」

 

ベアトリス「話すとはな…それだけこいつ等なら変えられると思ったのかよ」

 

忘れてたと言うロビンフッドのを知らずにベアトリスがそう言うとアンジェリカは顔を逸らす。

 

エミヤ「どうやらその言葉からして彼に起こる事を知っていたと言う事か…」

 

イリヤ「あ、そう言えば……」

 

ベアトリスの反応からイリヤは自分がダリウスに破戒すべき全ての符ルールブレイカーを刺した時のことを思い出す。

 

その時、ベアトリスの反応は…

 

イリヤ「(もしかして……)貴方はジュリアンがダリウスに変装していたって私達に思わせる為に?」

 

ベアトリス「まあそうだ。……さて、そろそろジュリアン様の所に返して貰う……ぜ!」

 

行かせろと出ようとするベアトリスにエミヤとロビンフッドが入り口前で遮る。

 

エミヤ「どうしてそこまでジュリアンのところに戻ろうとする」

 

ベアトリス「決まってんだろ。それは私がジュリアン様の事が大好きだからだよっ!」

 

退けと睨むベアトリスにエミヤとロビンフットは動じずに駄目だと返す。

 

そんな2人にベアトリスはイラつく。

 

ベアトリス「邪魔すんじゃねェ!」

 

ロビンフット「うぉ!?」

 

そう言って殴りかかるベアトリスにロビンフットは直感からそれを避ける。

 

バゴォォン!

 

するとロビンフットが避けたベアトリスのパンチは壁に命中すると壁が砕ける。

 

ロビンフッド「おいおい、どんだけヤバいんだよその身体能力?!」

 

ベアトリス「私は殴っただけで人間を真っ二つにできるンだ。これぐらい朝飯前なんだよッ!」

 

それにロビンフットは目を開いて驚き、ベアトリスの退かねえならぶっ飛ばすと言う気迫にエミヤはやれやれと思いながら落ち着かせる様に指摘する。

 

エミヤ「例え我々を突破したとしても君ではこのカルデアから元の世界へ戻ることはできないぞ」

 

ベアトリス「ッ!だがもうあれからどンくらい経った!?あたしは見届けなきゃあならねえんだ!」

 

焦りを見せるベアトリスに落ち着き給えと言ってからエミヤは言う

 

エミヤ「それなら心配いらない。向こうではまだ二日も経ってはいないだろうだから」

 

ベアトリス「アァ?どういう事だ!?」

 

告げられた事に驚くベアトリスへエミヤは言う。

 

エミヤ「ロマンから聞いたんだがどうやらカルデアと君たちの世界では時間の流れが違い、こっちでの数日があっちでは一日も経っていないという事らしい」

 

そ、そうだったんだとイリヤや士郎も驚く。

 

ベアトリス「そ、そうか……」

 

刹那「そんなにジュリアンのことを心配しているんだね」

 

イリヤ「(そりゃああんなグッズを作っているほど好きだからねぇ;)」

 

安心するベアトリスの様子からそう言う刹那にイリヤは彼女の部屋を思い出してなんとも言えない顔をする。

 

ベアトリス「おい、そこ。何変な顔してるンだァ?」

 

イリヤ「な、なんでもないよ!?」

 

そんなイリヤを睨むベアトリスにイリヤはそう返しながらバレたら殺される以上のことされそうと冷や汗掻きながらぶるりと震える。

 

エミヤ「それでマスター。どうするつもりだね?」

 

刹那「んー……確かにこれはほっとけないよね。犠牲を前提にしていたのもその焦りからってなるけど今はね…」

 

問うエミヤに刹那はうーんと唸る。

 

実際ジュリアンの所には魔術王の手の者がいるので絶対にジュリアンの悲願は達成できずにダリウスに変わってしまうだろう。

 

それをどうするかで刹那は悩む。

 

ベアトリス「おい、テメェ」

 

刹那「ん?なに?」

 

そんな刹那にベアトリスは話しかける。

 

ベアトリス「テメェ、ジュリアン様の事を偽善者とか言っていたよなァ?」

 

刹那「あーそう言えば言ったねそんなことも」

 

カルデアに来る前に彼女達へと刹那が向けて言った事にそれがどうしたの?と刹那は聞き返す。

 

ベアトリス「テメェ、一体ジュリアン様の何処が偽善者なんだよ!」

 

刹那「ん~そうだね……言うとすれば独りだからかな?」

 

怒りを纏って聞くベアトリスは刹那から返された事に呆気に取られる。

 

ベアトリス「ハァ?」

 

刹那「いやだってさ、ジュリアンって君達のことはドールズ(人形)としか思ってないんでしょ?」

 

アンジェリカ「……そうですね」

 

ベアトリス「……チッ!」

 

確認する刹那にアンジェリカは肯定し、ベアトリス自身も舌打ちしているがアンジェリカと同じであった。

 

刹那「エリカって子はどうなのかまだ分かんないし、そうするとジュリアンって独りってことになるじゃん」

 

ベアトリス「それがどうかしたんだよ?」

 

そう言う刹那にベアトリスは苛立ちながら聞く。

 

刹那「独りじゃ世界は救えないよ?たとえ聖杯を使ったとしてもね」

 

なぜ?と睨むベアトリスに、刹那はエミヤやロビンフットにイリヤを見てから口を開く。

 

刹那「見せてあげるよ。世界を救うのがどんなに難しいことかを」

 

そう言って、刹那はベアトリスとアンジェリカを連れてある場所へと向かう。

 

マテリアルルーム

 

イリヤ「こ、此処は?」

 

刹那「此処はマテリアルルームって言って、様々な特異点とかの記録を観ることができる部屋だよ」

 

様々なと言う事に、イリヤと士郎は刹那達がこれまで歩んだ旅を見れると気を引き締める。

 

刹那「それじゃあ、まずは最初の特異点から映すね」

 

カチャカチャカチャ、カタン!

 

そう言って刹那は機類を操作して映し出す。

自分とマシュの始まりとなった旅の原点を…

 

ヴィィイイイイイイイイイイン

 

ボォオオオ…………

 

イリヤ「………え?」

 

機械の音の後に周りの風景が変わり、目に映ったのは…崩落し、火に包まれた街であった。

 

街は建物も大地も燃えており、生きる生命は何もないまさに地獄とも思える場所にへとなっていた。

 

士郎「おい……まさかこの街は……!?」

 

その光景に口を押さえるイリヤと唖然とするベアトリスの中で、士郎が震える声でどこなのかを察知してエミヤはそれを肯定する。

 

刹那「士郎くんは分かったようだね。そう、此処はイリヤちゃんたちが住んでいた街、()()()だよ」

 

ベアトリス「なっ!?此処が!?」

 

アンジェリカ「これが冬木の街ですって……!?」

 

そして刹那が街の名前を言い、2人は愕然とし、アンジェリカも反応する。

 

刹那「そして此処が私とマシュが初めて訪れた特異点Fだよ」

 

イリヤ「特異点……F……」

 

F、つまりファーストで始まりの場所が、自分達の住んでいた街だと言うのをイリヤは噛みしめながら呟く。

 

マシュ『ハァッ!』

 

ドガッ!ズガッ!

 

次に映ったのは戸惑う刹那を守るマシュの姿であった。

 

そんなマシュの姿にイリヤは首を傾げる。

 

イリヤ「なんかマシュさんの姿、ちょっと違う……」

 

刹那「マシュは最初はあんな姿だったんだよ。今の姿はマシュに宿っている英霊の真名が分かってなった姿なんだ」

 

分かってと言う発言に、士郎とベアトリス達は真名が分かってない状態で最初は戦っていた事に驚く。

 

それと共にアンジェリカは気づく。

 

アンジェリカ「それでは彼女は宝具の真名を…」

 

刹那「うん、この時はまだ知らなかったよ」

 

ベアトリス「はぁ!?」

 

出て来た言葉にベアトリスや士郎は信じられないと言う顔で昔のマシュを見る。

 

刹那「この時はまだ召喚したサーヴァントたちは少なくてね。この頃に居たのは」

 

「僕たちだよね。マスター」

 

「■■■■!」

 

そう言った刹那のを引き継いで入って来たのは、アレキサンダーとヘラクレスであった。

 

刹那「うん、あとファントムだったね」

 

イリヤ「アレキサンダーさん、ヘラクレスさん!?どうして此処に?」

 

アレキサンダー「いやー歩いていたらマテリアルルームに明かりが付いてたから来た訳だよ。ヘラクレスは途中で会ってね」

 

頷く刹那の後のイリヤの言葉に、アレキサンダーは笑った後に懐かしいね~と呟く。

 

刹那「この時はマシュを含めて四人とキャスニキでセイバーのオルタと戦ったんだ」

 

イリヤ「え?セイバーのオルタって……」

 

ヴィィイイイイイイン

 

出て来た言葉にイリヤはもしやと思った所でその映像に変わる。

 

セイバーオルタ『卑王鉄槌。旭光は反転する。光を飲め! 約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガン)!』

 

ズガァアアアアアアアアアアアアアアア!!

 

マシュ『真名、偽装登録―――宝具、展開します……!』

 

ヴィィィン

 

ガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!

 

かつて戦った事がある存在、セイバーオルタのに対してマシュはキャスニキとの特訓でよりなんとか展開出来る様になった宝具を発動してセイバーオルタの闇の放流を受け止める。

 

受けきった事にベアトリスや士郎は目を見開いて息を飲む。

 

ベアトリス「あのガキ……騎士王の宝具を受け止め切ったのかァ?!」

 

士郎「しかもあの宝具……ちゃんとしたのじゃないのに……」

 

刹那「それだけマシュが頑張ったんだよ」

 

本当にあの時はね…と刹那はしみじみと呟く。

 

イリヤ「マシュさん、凄い……ん?」

 

イリヤも感嘆する中である事に気づいた。

 

それは刹那達の近くにいる見覚えのない女性で、あんな人いたっけ?とイリヤはカルデアで会った人達を思い出すが彼女に会った覚えがない。

 

イリヤが覚えてないのも仕方がない。

 

なぜならその女性…オルガマリーはもういないからだ。

 

イリヤ「(あの人は?)ねえ刹那……」

 

刹那「そして彼女を倒し、人類史が焼却されたことを知った私達はそれを防ぐために次の特異点に行ったんだ」

 

ヴィィィィイイイイイイイイン

 

そんなオルガマリーのことをイリヤは聞こうとしたが、刹那はそう言って次のに変える。

 

聞くタイミングを逃したイリヤだが、その際刹那が悲しそうにしていたのを見て聞くのを止めてしまう。

 

そして次なる特異点、第一特異点 邪竜百年戦争オルレアンの映像が流れる。

 

ベアトリス「おい、何処だ此処?」

 

アンジェリカ「さっきとは随分と変わってのどかな場所ですね」

 

刹那「此処は1431年のフランスにできた特異点、オルレアンだよ」

 

イリヤ「ふ、フランス?!」

 

周りの風景を見て言うベアトリスとアンジェリカに刹那は説明し、イリヤは告げられた場所に驚く。

 

刹那「ここで私たちはジャンヌと出会い、一緒に竜の魔女であるもう一人のジャンヌ……ジャンヌオルタと彼女が召喚したサーヴァントたちと戦ったんだ」

 

その言葉と共に映し出されて行く。

 

映し出されて行く戦いにイリヤやベアトリスは息を飲む。

 

刹那「この時ははぐれサーヴァントのジークフリートやマリーアントワネット、エリザベート達と一緒に戦ってなんとか倒すことができたんだ」

 

言い争うエリザベートと清姫との出会い、マリーやアマデウスにゲオルギウスやジークフリートとの出会いとジャンヌオルタ撃破の所まで見てベアトリスやイリヤはじっと見続ける。

 

ヴィィィイイイイイイイイイイン

 

刹那「そして次の特異点、セプテムにて私たちは初めて魔神柱と戦ったんだ」

 

そして次の第二特異点 永続狂気帝国セプテムを映し出す。

 

英霊ではなく生きたネロとの出会いにローマに関連するサーヴァント達の戦いから、刹那とマシュだけで戦う原因となったレフ・ライノールが呼び出した最初の魔神柱、魔神フラウロスとの闘い。

 

魔神柱フラウロス『■■■■■■!!』

 

ベアトリス「な、なんだあの化物は?!」

 

刹那「あれは魔神柱。私たちが戦っている黒幕の使い魔的存在だよ」

 

その姿に驚くベアトリスに刹那はそう答える。

 

アレキサンダー「一体だけでもサーヴァント数人分の強さを持っている厄介な敵でね」

 

エミヤ「しかもこいつらは黒幕である奴を倒さない限り、倒しても倒しても補填される厄介な性質を持っているのだ」

 

いやーホント大変だったなと腕を組んでうんうん頷くアレキサンダーの隣でエミヤが補足する。

 

それだけの存在が…と士郎は絶句する。

 

イリヤ「ま、魔神柱ってそんなにヤバい存在なんですかー;」

 

刹那「うん、本当はね。それをなんで魔法少女のナーサリーは使っていたんだろうね;ホントに;」

 

最初に出会った時のを思い出して言うイリヤ。刹那も思い出してかうーむと唸る。

 

アレキサンダー「あれじゃない?魔法少女の敵役で良く悪魔が使われるし、敵側の魔法少女もそう言う悪魔を召喚したりするから出来たとか?」

 

ロビンフット「それだと簡単そうな感じになって、普通に苦労させられるの俺らになるけどな」

 

刹那「この次は海の特異点、オケアノス。そこで私たちはイアソンとメディアリリィ、そして十二の試練が使えるヘラクレスと戦ったんだ」

 

ヴィィィィイイイイイイイイイン

 

アレキサンダーとロビンフットの言葉を聞きながら、刹那は次の第三特異点 封鎖終局四海 オケアノスのを見せながら説明する。

 

イリヤ「十二の試練が使えるって、カルデアのヘラクレスさんも使えるんじゃ?」

 

エミヤ「それが魔力が足りなくてな。使えないのだよ」

 

ヘラクレス「■■■……」

 

そう聞くイリヤにエミヤは苦笑して言い、ヘラクレスも申し訳なさそうに唸る。

 

刹那「ホント、十二の試練を使えるヘラクレスはホント大変だったなぁ;」

 

あの時は裏技的な感じで倒したし…と刹那はぼやきながら見せていく。

 

刹那『うぉぉおおおおおおおおおおおおおおおお!?』

 

エウリュアレ『ちょっと、もっと早くしないと追いつかれるわよ!』

 

敵ヘラクレス『■■■■■■!!』

 

イリヤ「ええええええ?!刹那お姉さんがエウリュアレさんを抱っこしてヘラクレスさんから逃げている?!」

 

その中でエウリュアレを背負って必死に走る刹那にイリヤとベアトリスに士郎はえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?と驚き、あれは大変だったと遠い目をする刹那に変わってエミヤが苦笑しながらどうしてこうなったかの理由を説明する。

 

エミヤ「あー、なぜマスターがエウリュアレを背負っているかというと、イアソンの召喚したヘラクレスを倒すための道具へと誘導するための囮役として、サーヴァントではなく普通の人間なマスターが選ばれてな…それでマスターは必死に走ると言う状況になったのだ;」

 

イリヤ「これ、追いつかれたら死にますよね!?」

 

エミヤの説明を聞いて、イリヤは必死に逃げる刹那を指さして叫ぶ。

 

ロビンフッド「まあな。ただもう一つ死ぬのがあるんだよなこれが」

 

イリヤ「え?」

 

それに対して言ったロビンフッドにどう言う事と思うと、ぽつんと置かれた箱が目に入る。

 

士郎「なんだ?あの箱は?」

 

エミヤ「あれはダビデの宝具、契約の箱(アーク)。ダビデ以外の者が触れればその者は魔力を箱に奪われ必ず死ぬ恐ろしい宝具だ」

 

アレキサンダー「その宝具でならストックが10個あるヘラクレスでも殺すことができるんだ」

 

訝しむ士郎にエミヤは説明し、アレキサンダーが付け加える。

 

イリヤ「ちょ、ちょっと待ってください!?それが刹那お姉さんの走っている方向にあるってことは……」

 

ベアトリス「アイツがあの箱を飛び越えるのに失敗したらアイツが死ぬじゃねェか!?」

 

ロビンフッド「まぁ、今こうして立っているのは成功したからだけどな」

 

それに慌てるイリヤとベアトリスにロビンフッドが肩を竦めて言うと刹那は箱を見事飛び越え、箱に気づいて立ち止まったがエミヤ達に押されて箱に触れたヘラクレスはそのまま箱に魔力を吸われて消えていく。

 

刹那「いやー、ホント大変だったよ」

 

イリヤ「刹那お姉さん……凄いですね;」

 

ははははと空いた笑いをする刹那にイリヤは尊敬の視線を送る。

ベアトリスもこいつ、ジュリアン様にああ言える程なのはこれがあったからかと呆れている。

 

刹那「そして第四特異点のロンドン、そこで私達は奴と会った……」

 

ヴィィィイイイイイイイイン

 

オケアノスの次の第四特異点 死界魔霧都市 ロンドンが映し出された。

 

士郎・アンジェリカ・ベアトリス「「「「!?」」」」

 

イリヤ「(なに……あの人……)」

 

その最後に出た存在に士郎達はその威圧感に映像とはいえ思わず身構え、イリヤは体を震わせる。

 

刹那「奴こそ72柱の魔神柱を従え、人類史を焼却したグランドキャスター……魔術王ソロモンだよ」

 

ルビー「そ、ソロモン!?それは本当なんですか刹那さん!?」

 

刹那が答えた事にルビーは驚いて聞く。

 

イリヤ「知ってるのルビー?」

 

ルビー「知ってるも何も、ソロモンこそ魔術の始まりとなった人物であり彼の死から神秘の衰退が加速されたとんでもないお人ですよ!?」

 

魔術の始まりと言うのに誰もが驚く。

 

それだけの存在と言うのにイリヤは驚いた後、グランドキャスターと言うものに疑問を感じる。

 

イリヤ「あの、刹那さん。グランドキャスターってなんですか?」

 

刹那「グランドキャスターってのは聖杯戦争のモデルとなった『決戦魔術・英霊召喚』により召喚される人類最高峰の英霊、グランドの名を冠するキャスターのことだよ」

 

イリヤ「け、決戦魔術・英霊召喚?」

 

出て来た言葉にイリヤはチンプンカンプンでどう言う事と士郎達を見るが、3人とも知らないのか首を横に振る。

 

刹那「それは…」

 

ダ・ヴィンチ「はいは~い、それは私が説明するよ」

 

それについて説明しようとした刹那を遮ってダ・ヴィンチが入って来る。

 

刹那「ダ・ヴィンチちゃん!?」

 

ダ・ヴィンチ「やあやあ、夜更かしは女の敵だけど講義中なら私も加わろう。それでイリヤちゃんの知りたいのを説明するとね…」

 

そう言ってダ・ヴィンチは説明を始める。

 

イリヤは必死に内容を覚える。

 

冠位英霊(グランドサーヴァント)

 

それは人類全体に対する自業自得のアポトーシスなるモノを討つため『決戦魔術・英霊召喚』にて召喚された人類最高峰の英霊。

 

その冠位(グランド)という器のために既存のサーヴァント達よりも出力を大幅に上回っている。

サーヴァントとしてのそもそもの器もとい霊基が違うために普通のサーヴァント達を一瞬で塵屑のように屠ることができる、圧倒的なまでの力を持つ。

 

ダ・ヴィンチ「…とまぁ、簡単に説明したらこんなもんだね」

 

イリヤ「す、凄いですね」

 

説明を終えるダ・ヴィンチにイリヤは必死に頭から煙が出ない様にし、田中がどこから取り出したうちわで扇がれる。

 

アンジェリカ「しかし、何故その魔術王がこの第四特異点に?まさか特異点を修復する貴方達を消すために……」

 

エミヤ「もしそうだったら今頃我々は死んでいた。ただ奴は読書の合間にトイレに行くような物で第四特異点に現れたのだ」

 

その中でなぜ現れたのかに疑問を感じるアンジェリカに、エミヤは肩を竦めてソロモンが現れた理由を答える。

 

ちなみにこれ本人が本当に言った事だとも付け加える。

 

ベアトリス「ハァ!?おい、待てそれって……」

 

アレキサンダー「そう、ソロモンは僕たちが行っている特異点修復に対して全く興味を持っていないんだよ」

 

ダビデ「あの子が本気だったら、マスターやマシュちゃんはこの場にいないし終わっていただろうからね」

 

出て来た言葉に驚くベアトリスにアレキサンダーは困った顔をし、続いて現れたダビデが肩を竦めて入って来る。

 

来るの多いなとロビンフッドは思いながら、もうちょい子の躾け方して欲しいもんッスよとダビデにそう言う。

 

刹那「(と言ってもアイツが本物のソロモンなのか疑わしくなっているんだけど……これは話さなくていいか)」

 

その中で、刹那はキャメロットでホームズから聞いた事もあって奴が本物の魔術王なのか疑問を抱いていたが、混乱を避ける為に自分の中に留めておく。

 

ダビデ「まぁ、攻略する間も色んな事を潜り抜けてるよね~ハロウィンとかクリスマスとか」

 

刹那「アーウン、ソウダネー」

 

イリヤ「目が死んでる!?」

 

ベアトリス「棒読みになる程何があった!?」

 

あっはっはっ!と笑いながら言うダビデに対して、目から光を失くして同意する刹那にイリヤとベアトリスは叫ぶ。

 

特にクリスマスのと言うので顔を抑えるエミヤとロビンフッドに士郎は興味があるが、聞いたらなんかいけない気がして冷や汗を掻く。

 

アレキサンダー「後はリリィの特訓とか、式と出会ったマンションとか、孔明先生と挑んだ第四次聖杯戦争とかもね」

 

エミヤ「あとは京都で茨木童子と、鬼ヶ島では丑御前と戦ったな」

 

刹那「そうだね。そして第五特異点……あそこはまさしく戦争のような場所だったね」

 

思い出して言うアレキサンダーとエミヤ。正気に戻ってから刹那はロンドンの次の第五特異点 北米神話大戦 イ・プルーリバス・ウナムを映し出す。

 

ズダダダダダダダダダダダッ!

 

イリヤ「うぇ?!なになに!?」

 

いきなりの銃声にイリヤが驚いた後、ワァァァァアアアアアアアアア!と言う叫びが聞こえると戦争が目に入る。

その光景にイリヤやベアトリスは唖然とする。

 

イリヤ「これって……戦争!?」

 

刹那「そう、女王メイヴが率いるケルトの軍勢とエジソンが作った機械兵軍団のね」

 

機械!?というのになんで!?とベアトリスとイリヤのにまぁ、驚くよなとロビンフッドは呆れて肩を竦め、エミヤも何とも言えない顔でうんうんと頷く。

 

刹那「いや~この時はロビンとエリザには頑張ってもらったよね」

 

ロビンフッド「ホント、苦労させられましたよ。俺はあいつのお目付け役じゃねえですよホント」

 

思い出して言う刹那にロビンフッドは疲れた顔でげんなりして返す。

 

刹那「特に最終決戦の時はエリザ、凄い頑張ったみたいだね」

 

エミヤ「ああ、しかもロンドンで戦った二コラ・テスラが来て、エジソンと共に女王メイヴが召喚した魔神柱を一気に倒したらしいな」

 

ロビンフッド「あんときはマジで死ぬかと思ったぜ。あの女王、魔神柱を28体も出して合体させるなんてなんて荒業を使ってきやがるとはな」

 

イリヤ「……え?今なんて?」

 

そう言う刹那にエミヤはその時その場所にいたロビンフッドへと顔を向け、ロビンフッドは今思い出しても生きた心地はしなかったな感じで言った事にイリヤは思わず聞く。

 

ロビンフッド「そのままの意味だ。あの女王、メイヴは聖杯で自身の宝具『二十八人の戦士』の枠に押し込める形で魔人柱を28体も召喚した上にそれを合体させたんだよ」

 

イリヤ「……えぇええええええええ?!」

 

告げられた事にイリヤは勿論、士郎やベアトリスにアンジェリカも驚く。

 

数人のサーヴァントでやっとな魔神柱を20体以上も呼び出した上に合体させるなど普通に想像できない。

 

それを倒した二コラ・テスラが凄いと思う中でロビンフッドが補足する。

 

ロビンフッド「まああの時は負けるわけにはいかなかったしな。マスターたちがオルタになってバーサーカーになったクーフーリンと戦っていたしよ。それにエジソンもいたから2人が協力してやっつけたもんだし」

 

エリザベート「それに私達の負けはアメリカの敗北。ようするに修復失敗ってことになるから引くわけには行かなかったのよ」

 

そう言ったロビンフッドの後に目をこすりながらエリザベートが入って来る。

 

エミヤ「おやエリザベート、君も来たのかね」

 

エリザベート「なんか騒がしいから来てみたのよ」

 

珍しそうに言うエミヤにそう返した後、エリザベートは懐かしいわねとしみじみに漏らす。

 

エリザベート「あの時はたくさん歌ったわ。声が枯れそうになったけど子ジカたちが頑張ってたからアタシも頑張って歌い続けたわ」

 

歌い続けたと言うのにベアトリスとイリヤは想像して頭を抑える。

 

刹那「アハハハ……そろそろ次のに行くね」

 

そんな2人に苦笑して、刹那はイリヤ達と出会う前に行った第六特異点 神聖円卓領域 キャメロットへと行く。

 

刹那「此処で私達は聖愴の力で神にへとなってしまった騎士王……獅子王と戦ったんだ」

 

ヴィィィイイイイイイイイン

 

映し出された光景に誰もが驚く。

 

そこは生命を感じさせない台地と砂漠だったからだ。

 

ベアトリス「なんだよこれ……今までのと全然違うぞオイ」

 

刹那「この特異点はまさに今までの中で最悪な特異点だったんだよ」

 

エミヤ「人類定礎値がEXにまでなっていたしな」

 

驚きを隠せないベアトリスに刹那とエミヤは顔を顰めて言い、アレキサンダー達もエリザベートを除いて困った顔や怒った顔をしていた。

 

刹那「円卓の騎士たちもホント強くてね。特にガヴェインとかマジチートすぎでしょあれ;」

 

エミヤ「確かにガヴェインが居るだけでいつでも日中とかマジずるすぎるだろうなあれは」

 

ホント苦労させられたなと言う刹那達の言葉に、それだけ強かったのとイリヤ達は戦慄する。

 

ガヴェイン「あの時はホント、ご迷惑をかけました。お詫びにマッシュポ……」

 

刹那「それ以上言ったらノッブ・オリオン・エウリュアレの宝具チェインでぶっ飛ばすよ?(黒笑)」

 

そこに何時の間にか来ていたガウェインが謝罪して最後に何かを言おうとしたが、刹那の笑みにすいませんと頭を下げる。

 

な、何を言おうとしたんだろうとイリヤとベアトリスは気になったが、刹那の笑みから聞かない方が良いと考える。

 

刹那「まあそんな円卓の騎士たちを倒しながら私たちはとうとう獅子王と戦い、なんとか勝利したんだ」

 

そう言って刹那は師子王との闘いから終わりまでを見ながらそう締め括る。

 

イリヤは改めてサーヴァントの凄さを肌で感じた。

 

同じ様にベアトリスも言葉が出なかった。

 

ベアトリス「なんだよあれ……神様かよ?」

 

刹那「さっき言ったでしょ?聖槍の力で神になった騎士王って」

 

先ほどまで映っていた槍トリアのことを聞くベアトリスに刹那はそう言う。

 

ベアトリス「あんなのとも戦ったのかよテメェらは」

 

刹那「うん、そうだよ。負けそうになったけど皆で頑張って勝ったんだ」

 

アンジェリカ「皆で……ですか?」

 

そうだよとアンジェリカの言葉に刹那は頷いてから、エミヤやアレキサンダー達を見る。

 

刹那「そう。私達は今まで皆で頑張って世界を救ってきたんだ」

 

エミヤ「だからこそ英霊たちを道具のように使い、聖杯を使って独りで世界を救おうとするジュリアンをマスターは許せなかった。だから彼の事をああ言ったんだ」

 

その言葉に、イリヤと士郎は刹那に対して確かにと思った。

 

今までの彼女達の戦いを見ていれば英霊と共に笑い、泣いたり、怒ったりしてきた刹那にとってジュリアンのやり方は許せない。

 

だからこそ、刹那達はジュリアンのやり方を否定し、一緒に戦ったイリヤ達と共に戦う。

 

ベアトリス「…………確かにこれを見せられたらな……」

 

イリヤ「……ベアトリス?」

 

ぼそりと呟いたベアトリスにイリヤが見る中でベアトリスは悔しそうに口を開く。

 

ベアトリス「この世界よりヤバイ世界を英霊たちと共に潜り抜けたのは今ので分かった。ジュリアン様をどうしてああ言ったのかも納得した」

 

実力的な意味ではジュリアンが上だろうが慕われていると言うのでは刹那が圧倒的。

 

もしもジュリアンであった場合、同じことを出来るかというのをベアトリスは出来るとは言えなかった。

 

イリヤ「ベアトリス……」

 

ベアトリス「なあエクシア……」

 

刹那「ん?なに?」

 

そんなベアトリスは刹那へと声をかける。

 

ベアトリス「本当に……テメェ、ジュリアン様を助けられるのか?」

 

その言葉に刹那は真剣な顔でベアトリスの目を見る。

 

刹那「ああ、必ず助けてみせるよ」

 

ベアトリス「そうか……じゃあ頼むぜェ」

 

約束する刹那にベアトリスはそう言って座り込む。

 

自分では助けられないと言う彼女の心境にイリヤはグッと手を握り締める。

 

士郎「……なあ」

 

エミヤ「ん?なんだね?」

 

そんなメンバーを見ていた士郎が、田中もそうだがイリヤ達4人に聞こえない小声でエミヤに話しかける。

 

士郎「この戦いって全部、歴史を元に戻す戦いなんだよな?」

 

エミヤ「ああ、そうだ。幾つかは違うのがあるがだいたいはそれで合っている」

 

確認するように聞く士郎にエミヤは肯定する。

 

士郎「それじゃあこの戦いって……誰にも知られない戦いって事じゃないのか?」

 

エミヤ「……そこに気づいたか」

 

その問いにエミヤはふうと息を吐く。

 

エミヤ「ソロモンにより歪められた歴史を聖杯を回収する事で修復される。だが修復される事でマスターがマシュや我々と共に冒険した事は歴史に残らないので記録されない」

 

士郎「っ!……それを彼女は……」

 

告げられた事に士郎は顔を歪めるが落ち着けとエミヤは宥める。

 

エミヤ「無論、知られないのを承知でマスターは人理修復を続けているのだ。それが皆を救う唯一の道だとマスターは思っているからな。たとえそれが誰にも知らされずともな……」

 

士郎「…………」

 

最期は悲しそうに言うエミヤに士郎は顔を伏せる。

 

エミヤ「何、心配するな。確かに歴史には残らないだろうが人の記憶や我々に残っていく」

 

士郎「我々って……」

 

アレキサンダー「もちろん、マスターと契約しているサーヴァント全員だよ」

 

ロビンフッド「世界を救った救世主が歴史に残らないなんて、認めるわけねぇだろ?それに俺たちはマスターのお陰で今この幸せな時間を居られるんだ。そんな最高のマスターの記録が残されないなんて嫌だろ?」

 

ヘラクレス「■■■■!!」

 

エミヤの言葉に顔を上げる士郎へアレキサンダーを筆頭にそう言い、ガウェインやダ・ヴィンチも頷く。

 

士郎「(歴史に名を残らないマスターを己の記憶に刻もうとするサーヴァント……そして誰にも褒められないけど歴史を戻す為に頑張るマスター……ジュリアン、お前はもっとも敵に回してはいけない奴らを敵に回したようだな)」

 

ダ・ヴィンチ「それに人理を完全に修復した時に協会に報告したら、歴史に名が残るかもしれないしね」

 

そんな刹那やエミヤ達を見ながら士郎は内心そう言い確信する。

 

ジュリアンは友達思いの魔法少女だけじゃない、英霊とその英霊と真の意味で共に戦い、支える少女を相手にしているからだ。

 

「会話は終わったか?雑種共」

 

全員「!?」

 

突如聞こえてきた声に誰もが入口を見る。

 

エミヤ「この声は……まさか!?」

 

ウィーン

 

聞き覚えのある声にエミヤも驚いていると扉は開き…カードがあった。

 

カード「そうだ。我だ。最古の英雄王……ギルガメッシュだ!」

 

………………

 

全員「えぇぇぇぇええええええええええ!?」

 

まさかのカードからの声に誰もが叫ぶ。

 

刹那達のこれまでを知ったイリヤ達を前に、カードの姿のまま現れたギルガメッシュ。

 

なぜ彼はカードのままなのか…


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