長らくお待たせいたしました。
りりなのの映画がやるということでトラハからやり直してきました。
〜side ナスカ〜
私は1人、樹海に来ていた。
まあ、道路は舗装されてるから車は通れるし、決して人通りが少ないとは言えない。
だからこそ、何故ここで途絶えたのかが最大の疑問である。
魔力を使用した形跡もない………もしかしたら発信機の故障?
いや、それだったら連絡は着くはずだからな〜………
そして、道を曲がったここが真っ直ぐの道路で発信が途絶えた、と………ま、何もなさそうなんだけどね〜………
取り敢えず、真っ直ぐ進んでみますかね〜。
私は流行りの曲を口ずさみながら歩き始めた。
「〜〜〜〜〜〜〜〜♪…………あれ?」
私はいつの間にか舗装されていない道を歩いていた。
いやいや、いつからこの道を歩いていたんだい?
まったく気付かなかったけど……油断?魔法?
いや、魔法だったら気付かないはずがないよ………となると………罠か………
感知が難しいタイプ魔法………最悪は……
「失礼、貴女は魔導師と呼ばれる方でしょうか?」
聞きなれない男性の声が後ろから聞こえ、私は耳に掛けてある無線機のボタンを押しながら振り向いた。
そこにいた者は、白髪で黒い瞳の整った顔をした青年だった。
「私はそれに近い存在といったところかな〜。」
「なるほど……人工的な生物、又は魔動物……この世界では使い魔と言いましたっけ?」
「そうだね、正解は使い魔、名前はナスカ……で、あなたは誰?」
「自己紹介がまだったね、僕はストラフ=ブラッヅ………使用する術は“Deimos”を象徴とした恐怖系の神術。」
「神術………」
最悪の場合が的中してしまった。
神術を使える人は少ないと言うことだったから予想はしていなかった……
だけど、恐怖系ってなに?
「その反応は……やっぱりアタリだったみたいだ。」
「アタリ?」
「そうだよ、僕は僕とアーニャ・アルノルド以外の神術者を探していたんだ………また世界を堕とす為にね……」
ストラフと名乗った青年が目を見開いた。
瞬間、世界が悪感に包まれるような悪寒がし思わず後退りしてしまった。
「僕はね、今君に与えた恐怖でまた世界を堕とす………だけどそれには他の神術者は邪魔なんだよね。」
「だ、だから消したい、と?」
「そうそう………まあ、特にアーニャ・アルノルド以外はどうでもよかったんだけど暇潰し程度には相手になるかなって…思ってさ。」
暇潰し?
堕とすことはもう前提で、その前の肩慣らしや前菜程度で相手をしようとするのか……
「ふふっ……」
「ど、どうしたの?」
「いや、ね……私が育てた神術使いをそんな程度にしか考えてないなんて思ったらさ………ついつい笑っちゃって。」
「ふーん……そんなに強いのか……だったら早く出てこないかな〜。」
青年はそう言い、どこからか出した禍々しい色を帯びた大剣を私に向かって振りかざし…………
“振り下ろす”
そこで私は笑んでしまう………タイミングが良すぎる我が家の神術者に。
『ギャン!!』
独特の金属音、大剣と日本刀のぶつかり合った音だ。
2人は剣を下ろし、互にい退き、睨み合う。
「現れたね、神術者。」
「色々初耳な事が多いけど………初めましてで良いんだよな?」
「君にとっては初めましてで間違いじゃないよ………でも、その言い様………君は何を知っている?」
「何も知らないさ、ただの勘だよ。」
「………“今までと違う、か”………」
今まで?
私にはさっぱり分からない……けれど、護は何かに勘付いてる。
一体何に勘付いてるの?
〜side 護〜
通信が開かれてまともな応答が無く、ナスカと誰かの会話しか聞き取れない状況が続き、唐突“神術”という言葉が聞こえてきた為、俺が転移してきた。
「なるほどね……ただ使い魔を送ってきただけじゃ無くて、もしもの時に備えて使い魔を送ってきたんだね………うん、僕の遮断の魔術もこれだと意味がないね。」
「そういう事だ、気配は完全に遮断されていても微かに魔力の反応は取れたから主の魔力リンクで位置を特定、転移って感じだな。」
「いい考えだね……で、君は?」
「俺は光陰 護、悪いけど神術の系統とか分からない。」
「やっぱりね……系統も知らずに神術は完全には使えない……って事も知らないのね。」
「………」
「…まあ大方予想通りだけど……冥土の置き土産ってことで教えてあげるよ……系統って言うのは人が得手不得手あるように神術にもある、これは自分で察するか与えて貰った奴に聞く他ない、でもそれさえ分かって仕舞えばそれに特化させればさらに神術は伸びる……僕みたいにね……まあ僕はこの神術の系統を全部知ってるわけじゃないけど……ちなみにアーニャ・アルノルドは“Demeter”を象徴とする掟系の神術者……まあ掟って言うから分かると思うけど僕達神術者に対して掟を定めて強制的に従わすから僕にとって1番厄介だったんだよね〜。」
では俺の系統は何なんだ?
何を基準にして系統を言っているのかさっぱり分からない……
「まあ自分の系統も把握出来てないような人はそんな顔するよね……話の続きだけど……他の人達には聞かせたくないんだよね、僕と君の為にも……」
彼は笑顔でそう言う。
今いるナスカ、そして通信機越しの両親達には聞かせたくないと言うことだろう。
そう思いナスカの方を見ると、ナスカは頷き後方の林に姿をくらました。
「じゃ続きだね……君も気付いてると思うけど、僕も転生者なんだ、そして転生者のみが扱える能力……」
「それが神術か……」
「正解、ただアーニャ・アルノルドも転生者なんだけどちょっとばかり例外でね。」
「例外?」
「そうなんだよ……彼女は転生者でありながら呪いを受けた者なんだ。」
「呪い?」
「そう、“繰り返す世界(Return The World)”って言う呪いだね……いわゆる、成功するまで進まず失敗したらやり直しという呪い、記憶も引き継がれるから彼女にしたらただの絶望的な呪いだよね……でも、それが原因で僕もこの世界を無限にやり直しているんだよ……何度殺しても意識を失い、目が覚めれば何時もと同じ天上………まるで夢だったかのような時間………だけど、それは現実………それが何回も繰り返される………無限地獄とはこの事だね〜。」
「そうか………それにお前が巻き込まれたと……」
「お、理解が早くて助かるよ……今までは同じだったんだけどね……今回はどうやら違うらしい………君も、君の手に入れたロストロギアも………」
「ナハトが狙いか………」
「そういう事……だから…」
そう言うと、ストラフと名乗る青年は目の前から消え………俺の背後にいた。
「“死”んでよ…」
〜side ナスカ〜
『キィン!!』
金属がぶつかり合う音……先頭が再開されたんだ。
私は咄嗟に無線の通信を開いた。
『ナスカくん!!状況を!!』
ジェイルが珍しく声を荒げて言ってきた。
「現在、先の神術者と名乗る青年と護が交戦中、フォローに入れるなら入る!!」
『了解した!!こちらでも解析を始める……一応言っておこう……無理はしないことだ……君も護くんも……』
「……了解。」
そして、通信が切れる。
あのジェイルが無理はするな、と……
彼に言われたなら仕方はない………無茶のスレスレまで挑戦しようか………な?
「ハハハハハ〜……愉快だよ!!実に愉快だよ!!」
私は目の前に広がる光景に唖然としてしまう。
木々はいつの間にか青年を中心に円を描くように枯れ果て、護は頭部から出血して血が流れている。
どうやったら数秒でこんな光景になるのだろうか……
「君はこんな状況に成ろうとも僕を倒すことを目標外とし、アーニャ・アルノルドの詮索を優先すると!!」
青年は宙に浮き、両の腕を開きそう言った。
恐らく青年からして見れば、格下の護が格上の自分を無視してでも目標達成をしようとしているの愉快なのだろう。
しかし、護も無視出来るほど弱い相手では無いのは百も承知だったのだろう、ファンネルと刀を展開し迎撃の体勢に入っている。
だが、それでも勝てる可能性はかなり低い。
少しでも可能性を上げるならやっぱり……
「加勢するよ。」
「……いや、いい……目的はあくまでもアーニャの奪還だ………もう放っておけない絶対の理由が出来ちゃったからな……」
「ハハハ、格好いいこと言うね〜………では…」
青年はそう言い消えた………成る程、護はこれで不意を食らったのね。
私は咄嗟に後ろを向きガードの体勢に入る。しかし、声は別の方向から聞こえてきた。
「感は素晴らしいことだけど……ただの感じゃ意味ないね。」
私の後ろ、すなわち先程まで正面を向いていた方だ。
『キィン!』
金属音、後ろを振り向くと護が刀で攻撃を相殺していた。
「感じゃなく、感じろ……」
「……成る程ね……君は今までとは圧倒的に違う訳だ……でもね…」
青年はいつの間にか護の刀と交じらせていた大剣が違う所を振り抜いていた。
そして、“血飛沫”。
どっちが切られた!?どこが切られた!?
私は瞬間的に周囲を見渡し、確認を取る……だが血飛沫以外は特に何も無いように見えた。
「使い魔くん……探し物はこれだろ?」
青年は大剣を持ってる方の逆の手で血まみれの何かを見せてきた。
いや、何かではない、“腕”……私の?
いや、私のはちゃんと付いている……私以外には1人しかいない…
そう思い、護の腕の方を見る。
そこには先程まであったはずの腕が二の腕程からキレイに無くなっていた。
早いって言葉が遅すぎるくらいの瞬速……いや、あれはもはや神速の次元だろう。
「当たったのはいいけど……僕は利き腕狙ったんだよ?あのタイミングでまさか逆の腕を差し出してくるとは予想外だよ。」
予想外と言い放つ青年、いや私自身もかなり予想外なのだが……
それにしても、だ……腕を一本失い、殆ど動かされていないのにも関わらず護は瀕死間近……
「そこの使い魔くんは付いて来れてないし……最後の冥土の土産に良いもの見せて上げるよ……」
青年はそう言い、護の腕を瞬時に腐らせ捨て、持っていた手を真横にかざし、魔法陣を展開した。
攻撃?いや見せる言っていたから違う……まさか!?
「そう、君が探していたアーニャ・アルノルドはこの通り、僕が隠していたから僕を倒さなくちゃいけなかったんだよ!!」
魔法陣からベッドがゆっくりと出てき、そこには真っ白いワンピースを着せられたアーニャが横たわっていた。
そして、青年はゆっくりと大剣を振り上げた。
「君はアーニャ・アルノルドの目の前で殺して上げるよ!!恐怖を使わずに恐怖を植え付けてね!!」
殺し文句……でも、私は口元が緩んで笑んでしまう……
だって青年は………
“彼女”を“出した”のだから………
〜side護〜
本当の最悪の事態を回避するのが精一杯。
最低で片腕以外の四体満足………
それまでにアーニャを引っ張り出させればなんとかなると思っていた。
でも……無理かもしれない……
想像以上の激痛、片腕がない体の感覚、そして恐怖……全てが初めての経験だ。
死にたくない……助かりたい……なんで俺ばっかり……
こんな弱気は事ばかりが頭の中で飛び交っている。
でも、それでも………アーニャを……アーニャ・アルノルドを、無限の地獄から助け出す………
無理とか、出来ないとか、殺されるとか、勝てないとか………
“ドウデモイイ”
あんな話を聞かされて助けないと訳にはいかない……
『護!!!絶対にアーニャを連れて帰ってくるんやで!!!!!』
はやてからの通信……耳が痛い……てかそんな事はわかってるし言わんでもいい……
「Exam……Burst……」
『了解……』
ガイア……ありがとう……
フルドライブにExamを完全開放……正真正銘の最後の一手……
視野の拡大、瞬発力の上昇、体感時間の遅延、筋力の急上昇、魔力限界突破………
遅くなる世界に、俺は動き出す。
まず、第1目的……アーニャ・アルノルドの奪還……
ストラフは大剣を此方に接近させるが間に合わないが、逆の手で俺の肩を掴んで来た。
“切る”
そう判断し刀を掴んできた腕に目掛けて抜く。
だが、咄嗟に判断され腕を引かれてしまい指2本程度しか切り落とせなかった。
そしてこの判断のせいで大剣が届きそうになった。
“切る”
振り下ろされてきている大剣の手首に目掛けて抜く。
今度は相手から向かってきている……
間に合い、切断。
遅い世界に血飛沫が舞い、大剣を握ったままの手はそのまま落下。
しかし、その勢いのまま逆手で裏拳。
“流す”
飛んでくる手の甲を速度に合わせて握り潰し、その勢いのまま後ろに放り投げる。
“成功”
そのまま走りアーニャを抱き上げ………世界は早くなっていく。
脳は限界……筋肉は損傷……それでも……俺はアーニャを抱えたままストラフに刀を向けて意識が落ちた。
〜side ナスカ〜
瞬間、いや、刹那の時に行われた一騎打ち。
護は刀をストラフに向け意識を失っているが……とてもじゃないけどもう起きれるかも怪しい。
ストラフの方は片腕が切断され、逆の手も握り潰されていて投げ飛ばされた時に木に強打して頭から血が流れている。
「ふ…ふふ…ハハハハハ!!!!!」
気が狂ってる様にしかみない笑い。
だが、分かってしまった……彼の、笑いの意味が……
「遂に手に入れた!!!これで本当の終焉が始められる!!!」
「今の貴方を見て私が逃すと思う?」
「何、お前などこの潰れた拳でだけで充分だ!!」
青年はそう言い潰れた拳を前に出す。
「それは1人だけの話やろ?」
聞き慣れたまだちょっと幼い声。
やっと増援が来てくれた……
「光陰 はやて!」
「真島 凛(りん)」
「中島 楓(かえで)」
「田島 直人(なおと)」
「「「「いざ、ここに!!!」」」」
光陰家が誇る次女と執事にメイド……全員を導入してきた。
「……流石に退くしかないな…」
「そうはさせへん!!」
はやてがすかさず魔力弾を発射……しかし、それは潰れた拳で弾かれた。
「図に乗るなよ……」
青年はそう言い、大地に足を踏みつけた。
『ズズ………ドン!!!』
ただの踏みつけかもしれない……ただそれは彼を中心に大きなクレーターを作り皆を巻き込んだ。
「今回は見逃す……だが、今度目の前に俺が立ちはだかった時はこの世の終焉だ。」
青年はそう言い、いつの間にか展開されていた魔法陣の中に消えて行った。
そして、彼が消えたのを境に、私達の下に大きな魔法陣が展開された………
ひとまずは任務完了。
代償はかなり大きい…………
主人公が瀕死、はやてが噛ませ犬化、ナスカが何故か無事