勇者代理は現代兵器とともに   作:Bishop1911

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氏名:ルーク
スキル:
・軍事知識 ・ーーー ・召喚能力(解除済み)
・基礎能力向上(ロック)


1-6.5

数日後

 

森での歩き方や注意すべき点をひと通り学んだ俺が本格的に森に入る前に、アマンダから武器の使い方を学ぶ事になった。

武器と言ってもいきなり銃を渡されるわけでは無く、最初は短剣から始める事になった。

短剣はリーチが短い分、相手との距離も近くなるため、ひとつひとつの動きにかかるリスクが重い。ましてや相手は動物や魔物だ。人の形をしていない分、その動きは初心者には読みづらい上に、急所もわかりづらい。

 

「いいか、狩りで短剣を抜くシチュエーションは大きく分けて2つだ。

ひとつは獲物にトドメを刺す時。もうひとつは自分が獲物になった時だ。」

 

アマンダは唐突にタンクトップを脱ぐと、俺に背中を見せた。

3本の爪痕が右肩から左脇腹にかけて走っている。

 

「アマンダこの傷は…!?」

 

「お前が3歳の時だ。

夕方に鹿を1頭仕留めた私は、陽が落ちる前に急いで帰ろうと焦って警戒を怠った。

背後から近づくジェボーデ・ウルフに気づかないほどに気が抜けていたんだ。」

 

ジェボーデ・ウルフと言えば、大きい個体では体長5mにもなる魔物だ。

 

「この傷を受けた時の一撃で吹き飛ばされた私は銃を落とし、残ったのはこの短剣1本だけ。仰向けで動けない私の喉笛を噛み切ろうと近付いたソイツの牙を左手で受け止め、短剣で心臓を何度も刺した。

そして最後は私がヤツの喉を切り裂いて生き延びた。」

 

ジェボーデ・ウルフはどんなに小さな個体でも2mはあるというのに、この人は刃渡り30cmの短剣1本で勝ったと…。

目を丸くする俺を尻目にアマンダはタンクトップを着ながら話を続ける。

 

「それでも私は運が良かった。

なんせヤツは私の正面からトドメを刺そうとしてきた。

動物の身体の構造上、反撃を受けづらいのは背後から攻撃した時だ。

うつ伏せで押さえつけられたら背後の視界はゼロに等しく、腕や脚も届かない。

本来ならヤツはうつ伏せになった私を押し潰して身動きのできなくなった首に噛み付くべきだった。」

 

自分が獲物を狙っている時、誰かが自分を狙っている…。アマンダが昨日話していたことだ。

狩人と獲物の関係はほんのちょっとの油断や隙で簡単に入れ替わる。

 

そこから始まった短剣の練習は剣の持ち方からスタートし、刺し方、斬り方、足捌きと続き、次第に木剣を使った模擬戦になった。

模擬戦と言っても、身長が170cmほどあるアマンダと6歳児の俺では勝負にならないため、アマンダは膝を着いた状態で相手をしてくれたり、四つん這いで俺の上に覆い被さって動物に襲われた状況を再現したりしてくれたおかげで、俺も最初と比べるとかなり上達したと思う。

 

「いいか、地面に倒れたらヤツらが狙うのは四肢か喉だ。

四肢を狙うのは2頭以上で襲ってきた時が多い。

逆にまっすぐ喉を狙ってくるヤツはバカか自信家の二択だ。だから、」

 

アマンダは仰向けで地面に寝転がる俺に四つん這いの状態で覆い被さり、俺の胸と短剣を握る右腕を手で抑えた。

今からやる模擬戦は動物や魔物に押し倒された状態を想定している。

体幹を抑えられて身動きが取れない俺は、アマンダに教わった通り腹筋と脚を使って後転する要領でアマンダの頭を狙って右膝で蹴りを叩き込み、左脚は顎を巻き込んで締め技を狙う。

 

「ッ…!!」

 

俺の蹴りはギリギリでアマンダの右腕に塞がれたが、狼相手を想定した模擬戦としては合格だったのだろう。アマンダも興奮気味に褒めてくれる。

 

「そうだ!そのまま続けろ!」

 

言われるがまま両脚でアマンダの首を締めた俺はそのまま力任せに起き上がったアマンダに振り回されるが、構わず木剣をアマンダの首に押し当てた。

 

「よし…合格だ。」

 

アマンダはゆっくりと地面に俺を下ろすと首を回し、肩を動かす。

 

「それにしてもルーク、だいぶ重くなったな。」

 

唐突に俺の体重について言及するアマンダの意図がよくわからず俺は一瞬考えたが、それがどんな意味の言葉か理解するのに時間はかからなかった。アマンダは嬉しそうに視線を何度か俺の頭の先から尻尾の先端まで往復させる。

 

「なんだよ…」

 

恥ずかしくなった俺はそっぽを向くが、悔しい事に尻尾は正直だ。

 

「まったく…、可愛いやつだ。少し休憩にしよう。」

 

アマンダは倒木に腰掛けるとバッグから取り出した水筒を俺に手渡す。

疲れた身体が水分を求め、俺は半分本能で動いているような状態で水筒に手を伸ばすが、俺の目はアマンダを視界に入れた途端に動かなくなった。

 

彼女の汗で湿った黒髪と微笑んだ口角から覗く八重歯、腕に薄っすらと浮かぶ血管や上腕から肩までの程よく発達した筋肉、タンクトップの下に隠れた胸筋とそれに支えられた乳房…もはや赤ん坊ではない俺の本能は彼女の女性としての魅力を訴える。

俺の理性はすんでのところで身体の制御を取り戻し、水筒を受け取るやいなやアマンダに背を向けて座った。

脳裏には先程の情景がフラッシュバックする。

俺の上に四つん這いになったアマンダは俺の胸に手を置いて俺の上体を押さえつけ、長い黒髪はカーテンのように俺とアマンダだけの小さな空間を生み出し、彼女の青い瞳は今にも俺の首に噛みつこうと殺気を灯す。

 

(アレは…エロかったなぁ…)

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