戦姫絶唱シンフォギア 〜魔進〜   作:しろ飯

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出来たので投稿します。
今回は短めですが、暇つぶし程度になってくれたら嬉しいです。


屈辱

「断る」

 

 

葵い髪の少女へ向かって言った第一声がそれだった。

少女の顔つきが険しいものになる。

 

 

「どうしてかしら?」

 

 

「貴様がノイズを倒したからだ」

 

 

その理由は至極単純。だがそれ故に重要なことだ。

 

 

「ノイズに有効な対抗策は無い筈だ。だが、貴様は今俺の前でノイズを倒して見せた」

 

今まで、ノイズに有効な対抗策があるなんて話はなかった。ましてや、人がノイズを倒した事例なんて聞いたことがなかった。

何らかの強力な兵器を使ってなら話は変わるかもしれないが、やったのはただの人間だ。腕っ節で変わる話しではない。

そこでチェイサーは少女の他とは違う衣装とその手にある武器を見た。

 

 

「どうやらその姿に秘密がある様だが、それを何故隠す? ここへ来るのにヘリを使っているところを見るとそれなりの組織があるのだろう」

 

 

ノイズに対抗できる術を持っているのにも関わらず、その事実を隠蔽している。それは真実とは異なる嘘の情報を垂れ流している。

チェイサーはこの少女とその後ろにいる存在に対して危険視以外にできなかった。

 

 

「何故真実を隠す?」

 

 

「……それは貴方がこちらへ来てくれれば分かることです」

 

 

「断る」

 

 

断固として少女の誘いを断る。

今のチェイサーにとって、目の前の少女は脅威の対象だった。世間に偽った事実を出回している連中はろくなものではないと言うのが彼の答えだった。

 

 

「人間が望むならその通りに動こう。だが悪の人間の言う事を聞くほど、俺は忠実には作られていない」

 

 

少女の面構えが一層険しいものになる。そこには怒りも滲み出ている。

 

 

「好きに言ってくれてますが、それは貴方にも言えることでしょう?」

 

 

その手にある太刀をチェイサーへ向ける。

 

 

「どこの差し金かは知りませんが、ここには私達がいます。これ以上、勝手に掻き回すような真似は許しません」

 

 

「理解不能だ。俺は人間の脅威を始末しているだけだ」

 

 

「そんな意味の分からないことをよくも……」

 

 

より鋭い視線がチェイサーへ向けられる。

 

 

「これが最後です。投降しなさい」

 

 

「何度聞こうが同じだ」

 

 

刃を向けられようとも全く心の振れないチェイサー。

感情の入っていない声で、顔は仮面で隠れて見えない。少女には目の前の相手が不気味に思えた。

 

 

「──なら、力尽くで貴方を拘束します」

 

瞬間、間を切り詰めて少女が斬りかかる。チェイサーは咄嗟にブレイクガンナーで受け止めた。

 

 

「待て。人間とやり合うつもりは無い」

 

 

「言葉のやり取りでは平行線です!」

 

 

剣の猛攻がチェイサーを襲う。だが、その一撃が繰り出される度にブレイクガンナーが防ぐ。鍔迫り合いが始まり、かち合う度に火花が散った。

 

 

「やむを得んか」

 

 

また剣とブレイクガンナーが衝突した時、チェイサーがそのまま勢いで少女を押し返して距離を作る。

 

 

[gun]

 

 

ブレイクガンナーを構えてトリガーを引く。力はあっても相手はただの人間。当てはしない。威嚇程度に弾をばら撒く。が──

 

 

「そんなもの!」

 

 

近接武器と相手する場合、距離を取るのが策だが今の相手には意味がなかった。

少女は上へ跳躍することで弾丸を回避。チェイサーを上から捉えると、後ろからいくつもの剣が現れて放たれる。

 

 

「あの時の攻撃か……!」

 

 

降り注ぐ剣の雨をブレイクガンナーで撃ち砕く。撃ち損ねたものは打ち砕くか回避で対応する。

全ての剣の雨を防ぎきる。だが、少女の攻撃は止まない。さらに巨大な剣がチェイサーの頭上目掛け降ってくる。

 

 

「何でもアリか──!」

 

 

更にそれに加え、その周りから再び剣の雨が降り注ぐ。回避経路を潰された。確実にあの巨大な剣を当てる気らしい。

 

 

「ならば!」

 

 

だが、手の内が無いチェイサーではなかった。ブレイクガンナーの銃口を力強く手に押し込む。

 

 

[execution──break]

 

 

ブレイクガンナーとそれを握る腕が紫電を帯びて紫色に鈍く光る。そして姿勢を低くして、拳を構えた。

 

 

「ハァッ!」

 

 

迫りくる巨大な剣にその拳を繰り出し、ブレイクガンナーと衝突して爆発を起こす。巨大な剣は爆発の炎に呑まれ砕け散った。

 

 

 

 

正体不明の人型と対峙していた葵い髪の少女、風鳴翼は爆発の炎を回避して地面に着地した。

 

 

「まさか天ノ逆鱗を耐えるなんて……」

 

 

 

必殺の威力を持つ天ノ逆鱗を受け止められ、更には打ち負けたことに怒りと屈辱を覚えていた。

 

 

「……やつは?」

 

 

辺りは燃え上がる火災と灰だけ。謎の人型は影も形もなかった。

あの爆発に巻込まれたなんてことは有り得ない。逃げられてしまった。

 

 

「くっ……」

 

 

逃げられた。受け入れがたいその事実に彼女は憤りを感じる。程度はさておき、人型は手負いだった。それなのに反撃してきたのは天ノ逆鱗を放ったその時だけ。手を抜かれた。これを屈辱と言わずになんと言うか。

 

 

「はい──」

 

 

装着された機械を通して耳に通信が入る。きっと、勝手な行動をしたことについてだろうと思う。

 

 

「はい、申し訳ありません。はい……では──」

 

 

短く、簡単に返事をして通信を切る。内容は予想通りだった。そんな通信なんかよりも、今の屈辱の方が彼女にとって重要だった。

 

 

「……この屈辱は、絶対に忘れない!」

 

 

拳を握って、その屈辱を噛み締める。

見にまとうギアの力を解いて私服の姿に戻ると、自分を回収するために帰ってきたヘリに向かう。

 

 

「次は、必ず!」

 

 

この日味わった屈辱は決して忘れることはなく、彼女を強くすることになるだろう。

 

 

 




チェイサーの技にもっと種類が欲しいと思い、今回オリジナルの技として「execution break」というのを追加しました。ただのライダーパンチと思っていただけたら幸いです。

今後もあまり間隔を開けないように頑張りますので。よろしお願いします。
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